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対人恐怖症の人との接し方3選!対人恐怖症になる原因や接し方の基本

あなたは「対人恐怖症」という病気を知っていますか?文字通り「人と接することに恐怖を感じる症状」を持っている人です。もしあなたの身近に対人恐怖症の人がいたら、あなたはどう接しますか?今回は「対人恐怖症の人への接し方」についてお話します。心の病気は目に見えない分、扱い方がわからないものですよね。失敗して相手を傷つけたくない、と思うほど接し方に迷ってしまうでしょう。その優しさを間違いなく伝えるためにも、一緒に考えてみましょう。

もくじ

対人恐怖症の人は「人に迷惑をかけたくない」という思いが強い人

対人恐怖症の人には「真面目」「人に迷惑をかけたくない」という共通の性格があります。これはほとんどの人が持っている感覚ではありますが、対人恐怖症の人は一般的な人よりも、その想いがとても強いのです。その強い想いが対人恐怖症の人を生きづらくしています。対人恐怖症にはさまざまな種類の症状があり、それぞれが確立した病気として扱われています。その中でも「人にどう思われているかが気になる」という人がほとんどです。自分が誰かに迷惑をかけていないか、誰かを不快にしていないか、と考え始めると動けなくなってしまいます。中にはその想いが強すぎて、自分の顔や声、習慣や匂いなどを後ろめたく考えている人もいるほどです。

対人恐怖症の主な特徴 「人といるのが面倒」も対人恐怖症?

よく「自分は人といることが面倒に感じる」という人がいます。友達ともSNSを通しての付き合いしかしない、という人もいるでしょう。しかし、それを即対人恐怖症と結び付けてしまうのは危険です。対人恐怖症は病気として認められているので、専門医による治療が必要ですが、人見知りや一時的な感情を一緒にしてしまうと、本当はそうでないのに、対人恐怖症のような症状を引き起こすこともあります。心当たりがあるのであれば、自分で判断せずに専門医の診断を受けるようにしましょう。

人が怖い 「面倒」「つらい」などとは異なる怖いという感覚

対人恐怖症の人は「人が怖い」と感じています。「面倒」「つらい」などではありません。この「怖い」という感覚は対人恐怖症の人にしかわからないと言われています。自分以外の人が全員怖い人もいれば、家族や気を許した友人など特定の人なら怖くないという人もいます。その度合いは人それぞれということです。この「怖い」という感覚には、主に「自分がどう思われているのかがわからない」というものです。そう聞くと一般的な感覚を持っている人は「私はあなたのことをそんな風に思っていない」と伝えたくなりますが、そう伝えてもその言葉のさらに奥を見てしまうのが対人恐怖症です。対人恐怖症の「怖さ」には終わりがないのです。それがまた本人を苦しめています。

生活に支障がある 人が怖いことで日常生活に影響がある

人が怖いという症状は日常生活にも大きな支障をもたらします。たとえば電車など、不特定多数の人が同じ空間に存在する場に居ることができない人もいます。これは「隣に座っている人は私のことを変だと思っているだろう」など、事実とは違う思い込みをしてしまうからです。対人恐怖症の人は「人に迷惑をかけたくない」という気持ちが強いとお話したように、こういう時に「腹が立つ」とか「悲しい」という感情ではなく「申し訳ない」「いたたまれない」と感じてしまうのです。自分が乗ることで電車に同乗している人は迷惑なのではないか、と考えるのですから、これが会社となればさらにその怖さが増してしまいます。ちょっとしたやり取りが元で「迷惑をかけている」と感じてしまえば、その後その場所に行くこと自体が難しくなる人もいるのです。

対人恐怖症になる原因は何?過去の出来事に目を向けてみよう

それでは、なぜ対人恐怖症になってしまうのでしょうか?対人恐怖症の人と話す時には、自分の価値観で話をしてしまうと余計に恐怖を感じられてしまい、上手くコミュニケーションが取れなくなってしまうことがあります。

それを避けるためには、その人のことをよく知り、その人に合わせて話をすることです。そこでここでは、対人恐怖症になりやすい原因をご紹介します。

過去のトラウマなどの外的要因が原因で対人恐怖症になる

対人恐怖症になる原因は、大きく外的要因と内的要因に分かれると言われています。

外的要因とは、生活の中で経験した出来事がトラウマとなって、人と話をするのが怖くなってしまったという原因。例えば、幼い頃にいじめられた経験がある、親にいつも怒られていたといった出来事を経験していると、またいじめられるのではないか、怒られるのではないかという恐怖心が無意識のうちに生まれてしまいます。その恐怖心を払拭することはなかなか難しく、大人になっても人と話すのが怖いと感じるようになってしまいます。

性格や気質などの内的要因が原因でも対人恐怖症になる

また、もう一つの原因とされているのが内的要因です。これは、自身の性格や気質が過剰に反応してしまい、それによって人と話すことに恐怖を感じてしまうのです。

例えば、完璧主義な人の場合は常によく見られたい、できない人と思われたくないという強迫観念を持っていることがあります。これによって、自分は相手が望む対応をできているか、完璧な対応ができているかという想いが生まれてプレッシャーになり、恐怖心へとつながってしまうことがあります。

ただし、性格というのは生まれ持ったものとは別に、生まれ育った環境によっても大きく左右されます。つまり、外的要因から性格や気質といった内的要因が生まれ、それが原因で対人恐怖症になるという流れになっている人も少なくありません。

ですから、どのような価値観を持っているのか、どのような過去を送ってきたのかをしっかりと理解すること、理解しようとすることが、まずは大事です。

原因によって違う心地よさ 対人恐怖症の人への接し方の正解は一つだけではない?

原因についてお伝えしましたが、やはり対人恐怖症の人が同じ会社にいたとしたら、どう接したら良いのかわからなくなるでしょう。対人恐怖症は症状がさまざまなので、これと言った対処法は無いとも言われています。でも、縁あって仲間となったのですから、周りとしては何とか少しでも心地よく過ごして欲しいと願うものです。

ここからは大まかな症状別の対処法をご紹介します。もちろん、これが全てではありませんが、大事なことは相手を良く観察することです。その際の参考にしてもらえれば役立つことがあるかもしれません。

過去に周囲から特別視されてきた人は「普通にしてほしい」

何らかの理由で過去に特別視をされ、それが耐えられなくなった対人恐怖症の人へは「普通に接する」ということが大事です。周囲は心配のあまり、何かにつけて「大丈夫?」「できる?」と過剰に声を掛けすぎてしまうことがあります。でも、対人恐怖症の人は身体に問題を抱えているわけではありません。あくまでも「普通」を心がけましょう。「これお願いしてもいい?」「ありがとう、助かった」とほかの人への接し方と同じで良いのです。もちろん、口調や視線には注意が必要です。乱暴な言葉や冷たい視線は普通の人でも怖くなります。特に視線は合わせなくても「受け入れられていない」と感じますし、合わせ過ぎても「何かおかしいのかもしれない」と感じてしまいます。自然に、それだけを意識しましょう。

気持ちをわかってくれる人に出会えなかった人は「気持ちを理解して欲しい」

人と気持ちを共有できないことでつらい想いをしている対人恐怖症の人は「理解して欲しい」という気持ちを強く持っています。一般的な感覚の人の中には「共感なら簡単」という人もいますが、対人恐怖症の人に共感を示す時は、少し注意が必要です。安易に「わかる」「そうだよね」と同調することは逆効果になることがあります。これは「きっとわかってくれていない、それなのに合わせてもらっている」と受け取られてしまうことがあるからです。対人恐怖症の人に共感を示す時は「そうだったんだね」「そう思っているんだね」と認知するだけで良いでしょう。その後に「私はいいと思うな」「僕もそう思ってみようかな」となど、賛同している気持ちを伝えると誤解なく伝わりやすくなります。

疎外感を味わってきた人は「仲間外れにしないで欲しい」

対人恐怖症の人には、過去にいじめられたことが原因となっている人が多いです。どんなに昔のことであっても、その時の記憶が拭えずずっと疎外感を感じています。そのため、心の中では「仲間外れにしないで欲しい」という気持ちが強いのです。会社では悪気なく声を掛けないことが良くあると思います。たとえば、仲良しの同僚とランチに行く時などです。誘いたくないわけではなくて、誘うことを考えていなかった、という場合もありますよね。でも対人恐怖症の人にとっては、これが疎外感に繋がります。「一緒にどう?」と声を掛けることが大切です。それで本人が「うん」と言えば一緒に行けば良いですし、「やめておく」というのなら無理に誘い続ける必要はありません。「声を掛ける」ということが大事なのです。

対人恐怖症の人への接し方は「相手に委ねる」が基本 相手をよく観察して

対人恐怖症の人と接すると、気を遣いすぎてしまうことがあります。「傷つけたくない」という想いがそうさせるのですが、本人にとっては「気を遣わせている、申し訳ない」という気持ちに繋がるのです。対人恐怖症の人には意思が無いわけではありません。「自分はこうしたい」という意思をちゃんと持っています。これを尊重するように心がけましょう。周囲は選択肢を提示するだけで良いのです。あとは本人が決めます。相手を子供のように、何でも先回りしてしまうと「自分はやっぱりダメなんだ」という想いを強くしてしまうのです。提示をしたら「決まったら教えて」と言うだけで良いのです。あとはしっかり観察をして「イヤがってるかも?」「これは大丈夫そう」など、見受けられる印象からその人の性質を見極めていけば良いのです。

まとめ

誰でも人目が気になることはあります。相手が親しい人であっても「こんなことを言ったらどう思われるかな」と不安になって、思うように接することができないこともあるでしょう。対人恐怖症の人は、その想いが強すぎることで自分を苦しめています。「もっと簡単に考えればいい」「みんな一緒なんだ」と頭ではわかっていても、それを自分の思考として受け止めることができないのです。「みんなそうだよ」と言われても、それができない自分を責めることしかできません。対人恐怖症になってしまったということは、過去に何かしらつらい想いをしてきたということです。身近な人間として、ぜひ間違いの無い対処をしたいものですね。相手を思いやって接していれば、あなたの想いが伝わる時は来るはずですよ。

 

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