どこの職場にでも「細かい」上司はいるものですよね。自分からすれば「そんなことどうでもいいのに」と思うことでも、いちいち細かく注意されると、あまりいい気はしないものです。
今回は、そんな細かい上司とうまくやっていくための心構えと対処法について紹介します。
もくじ
どこの職場にもいる細かい上司…どうでもいいことにも細かい
あなたの職場にも「細かい上司」がいませんか?提出する書類の押印がほんの0.1mmずれていたり、ななめになっているだけで再提出を求めてくるような上司、書類のファイリングを行う際にインデックスを貼る位置がずれていると最初からやりなおしを求めてくる上司…。
社内文書のハンコでも、社内保管の資料でも、本当に細かいところまで指摘されると、「会社の人間しか見ないのに…」と、イヤになってしまいますよね。
そんな細かい上司が自分にも厳しく、周りに求めていることを自分が完ぺきにこなせるならまだ納得できます。ところが、周囲には求めるのに自分はやらないとなると、一気に反感を持たれてしまいます。
自分にも他人にも細かい上司は、いるだけで雰囲気がピリピリとします。しかし、他人には細かいのに自分には細かくない上司は、ただの嫌われ者になってしまいますよね。あなたの上司はどちらのタイプでしょうか。
いちいち細かい上司…どんな心理で細かくなっているのか
いちいち細かい上司が何を考えているのか、どういった意図や目的でそこまで細かくなっているのか、細かくない人から見ると不思議に思うものです。そこで、細かい上司がどのような心理的背景があって細かくなっているのかについて紹介します。
性格的に細かいことが気になる人は多い
一般的に「神経質」と呼ばれている性格の人は、生まれつきのレベルで細かいことが自然と気になってしまうものです。テレビでも、一部の芸能人が、バスタオルをたたむ時に少しでもずれていると気になる、同じタイプで同じ色のタオルが同じ向きを向いていないときになる…というように、わざとではなく、本人の意図しないところで細かい性格の上司もいます。
神経質な人は、自分なりの基準があり、その基準は神経質ではない人と比べると、驚くほど高い基準なのです。そのため、その基準に追いつけない部下のひとつひとつの仕事が気になってしまい、細かく指導してしまうのでしょう。
性格が原因で細かい上司の場合、本人の性格を直すよりも、周りの人が行動を変えてあげるほうが手っ取り早く解決します。つまり、細かい上司の基準を一日も早く把握し、その基準で書類を提出したり、作業を行うようにするのです。
簡単なことではなく、「どうしてこっちが合わせないといけないの?」と思うかもしれませんが、それくらい性格レベルで細かい人の細かさをどうにかするのは難しいことなのです。
フィルターの役割?細かくないと上司でいる意味がない
細かい上司の中には、元々本人は細かい性格ではないのに、役職に求められる細かさがあるがゆえに、「がんばって」細かい指導をしている人もいます。業種や職種にもよりますが、たとえば事務職の上司がいたとします。その上司は下から上がってくるたくさんの書類を見て、「これで間違いないので、さらに上に通してもOKです」という意味をこめて押印します。
つまり、上司が何気なく行っている押印作業は、部下の仕事にミスがないかをチェックして、さらに上に通すための重要な作業なのです。上司がフィルターとなって、「回してもいいレベルの書類」と「回すのに問題がある書類」を判別していることになります。
上司はその作業を繰り返すうちに、自然と「ミスを見つけるのが得意な人」になってしまい、その結果「細かい上司」になってしまうというカラクリです。
家庭でのストレス過多で憂さ晴らしに細かくしている人も
心理学の専門用語で「ネガティブ・スピルオーバー」というものがあります。これは、家庭や職場のどちらかで体験したネガティブな感情が、もうひとつの場所に持ち込まれてしまうことを指します。
たとえば家庭で夫婦喧嘩が絶えなかったり、思春期の子どもが非行に走ったりして、家庭に問題がある場合、その家庭でのネガティブな感情を会社にも持ち込んでしまうということです。
家庭で何かトラブルがある人や、夫婦・親子関係がうまくいっていない上司の場合、このネガティブ・スピルオーバーによるストレスがたまり、そのストレスを会社で発散させているのかもしれません。
指摘ややり直しを命じられて、「細かいな~」と感じることがあっても、「家でうまくいってないんだろうな」と思うと少し溜飲が下がりませんか?
部下を成長させる目的で、イヤイヤ細かさを装っているかも
部下に実務を経験させることで成長させるタイプの上司の場合、実務の中で細かくできるだけ細かく指摘して、どんな仕事にも、どんな上司のところでもやっていけるように「修行」の意味をこめて細かさを装っている可能性もあります。
部下としてはいい迷惑だと感じる人も多いでしょう。でも、上司の役割の中に「この会社だけじゃなくて、人間的に成長させたい」と考えている上司ほど、自分の(甘やかしたい)という意志とは裏腹に、自ら嫌われ役となって部下と成長させようとします。
あくまでも細かさを装っている場合、ふとした瞬間に上司の優しさを感じることがあるでしょう。体調を気に掛けたり、家族のことをきいてきたり(残業が続いているが家は大丈夫か?など)、
細かい上司と上手に付き合うための対処法は?
いちいち細かい、あまりよくは思えない上司でも、毎日仕事で顔を突き合わせる以上、楯突いたり、聞こえないふりをすることもできませんよね。そこで、細かい上司とうまく付き合っていくための方法を紹介します。
一度注意されたことはその時に完全に学習する
仕事上細かい上司や、細かい性格の上司は、あなたがその仕事を「細かい指摘をしなくても済むレベル」でこなせるようになれば、いちいち注意されることもなくなるでしょう。
実は、細かい上司側も「何度言ったら学習してくれるんだろう」と腹を立てていることが少なくありません。細かい上司側のレベルに合わせなければならないことに納得のいかない人もいるでしょう。
でも、あなたがその上司の細かい指摘に対して細かい仕事ができるようになれば、それはあなた自身のスキルアップにもつながるのです。本当にその職場でやっていくことに限界を感じて転職をする際にも、細かい上司の元で鍛えられてきた仕事のスキルは他の企業でもポジティブな評価を受けやすいでしょう。
また、注意されたその時に細かく指摘された点について学習すれば、「他の社員と違ってデキるやつ」「見込みがある」などと思われ、付き合いやすくなる可能性があります。
傾聴する!口答えをすると何倍も細かく言われる可能性あり
ネガティブ・スピルオーバーによって、家庭でたまったストレスの憂さ晴らしで細かくなっている上司の場合、「話をよく聴く(傾聴する)」ことでうまく付き合えるようになります。
傾聴するためには、上司の細かい指摘をイヤイヤ右から左に受け流すのではなく、上司からの話を前傾姿勢で、目を見て、うなずきながら聴くのです。さらに上司からの指摘を繰り返して自分で言うことで、自分が指示内容を覚えやすくなるだけではなく、「ちゃんときいている」ことをアピールできます。
何度も何度も細かく言われ続けている人は、心底うんざりすると思いますが、ここで顔に出したり、口答えをすることだけはやめておきましょう。憂さ晴らしで細かく注意している場合は、「家庭でも仕事でも自分の言うことを誰もきかない」と感じた上司は、さらなる細かい指摘であなたに嫌がらせのような指導をしてくる可能性があるからです。
たとえ心の中では「うるさいな…」と思っていたとしても、真剣な表情でうなずきながら話をよく聴きましょう。
きくだけきいて、スルーするスキルも必要
「よく聴く」ことは、細かい上司への簡単にできる対処法ですが、「本当によく聴いて」しまうと、あなたのストレスはたまっていく一方です。相談援助業務の仕事をしている人も、クライアント(患者)の悩みなどを傾聴しているうちに、自分の精神のバランスを崩してしまうということはよくあります。
他者のストレスのはけ口になってしまうということは、あなたの精神的な健康を保つことを難しくしてしまう一因になりかねないのです。
このような理由から、傾聴しているフリをして、実務とは関係のない話はスルーするスキルも大切です。スルースキルの高い人は、自分への精神的な攻撃があったとしても、まともに話を傾聴している人よりも受けるストレスが少ないといわれています。
あなたが心のバランスを崩すその前に、このスルースキルを高めましょう。具体的には、話は耳にいれても、自分への個人攻撃だと感じたら、自分の好きなもの、行きたい場所などを想像してみましょう。
細かい上司が細かい背景を観察して分析してみよう
自分なら気にならないことを気にして、細かい指摘をしてくる上司…本当は心の中でよく思ってない人が多いですよね。相手を「嫌い」「苦手」と感じると、そこで思考停止してしまい、相手がどんな人物で、どうしてその行動(細かい指摘)をしているのかについて、深く考えないまま、日々を過ごしている人も多いでしょう。
でも、もしも細かい上司と本当に上手に付き合っていきたいと考えているなら、なぜ上司が細かくなっているのか、その理由・原因・背景について、考えてみましょう。自分にだけ細かいのか、他の社員にも細かいのか、帰宅時の表情などを観察して、上司の細かさの背景がわかれば、その背景に対処することで上手に付き合っていけるでしょう。
まとめ
細かいことを指摘する上司が、他の社員には細かく指摘をしていなければ、それはあなた自身の行動に見直すべき点があるのかもしれません。もしくはあなたをストレスのはけ口として選んでいるのかもしれません。でも、本当の理由は上司にしかわからないものです。観察して分析してみることはとても重要ですが、細かいく指摘されたことについてあなたがどうしても納得できなければ、上司本人にきいてみるのも一つの方法です。
こちらの記事では、より具体的に上司との関係性をよくしていくための方法をご紹介していますので、こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。