世界的に見ても、日本人は働き過ぎだと言われています。むしろ、サラリーマンで定時に上がれる仕事となると、かなり限られてくるのではないでしょうか。
事務員や公務員でも、職場によっては多くの残業を強いられていると聞きます。先輩社員や上司が遅くまで残っている姿を見て、帰りづらいという部分もあるでしょう。
日本人はなぜ過労死するまで働き過ぎてしまうのか?日本の昔ながらの文化の問題でもあり、個人の問題でもあります。
それぞれの原因や解決策をご紹介していくので、「最近働き過ぎているな」「もっと早く帰ることができればな」と思っているサラリーマンは必見です。プライベートと仕事、どちらも充実させてハッピーな人生を送りましょう。
もくじ
サラリーマンは働き過ぎ?1日に5時間以上の残業も
サラリーマンの平均残業時間は何時間だと思いますか?6万8,000人の社員クチコミを分析した「Vorkers」のデータによると、『47時間』です。
毎月20~22日の出勤日数と考えると、毎日2時間以上の残業をしているという結果になります。医療関係や金融機関の残業時間は比較的少ないものの、広告・新聞などのメディア関係、IT関係、飲食関係の残業時間は多いということも分かりました。
なんと、月100時間以上も残業している社員が12.9%。6万8,000人のうち、8,700人以上の社員が月100時間以上も残業をしていたのです。
定時が18時だとすると、23時頃まで仕事というイメージでしょうか。通勤時間を考えると、家に着くのは24時をまわってしまうかもしれません。
これはどう考えても働き過ぎですよね。とはいっても、当事者からしたら「時間内に終わらないんだから仕方がないだろ」という感じでしょう。
残業のしすぎで過労死も発生している
働き方改革などの施策が取られ、ノー残業デーやプレミアムフライデーなどを導入する会社も増えてきましたが、いまだに残業は多いですし、過労死に関するニュースも後を絶ちません。
残業による過労死のラインはどのくらいだと思いますか?労働行政によると、月に20日の出勤日数で、80時間が過労死ラインだとされています。
80時間~100時間の残業を繰り返していると、健康面や精神面に支障を来たし、過労死へと近付くということです。
近年では大手広告代理店の女性社員が過労死(自殺)をした事件がニュースで取り上げられましたが、彼女も100時間以上は残業をしていました。
恐ろしいのが、「月100時間の残業くらいで過労死するなんて情けない」というコメントが多く寄せられていたことです。こういう一部の意見に惑わされてはいけません。過労死ラインに迫ってきたら、休憩・休息を取ることが大事です。
仕事は無理してなんぼ?休憩・休息が大事
日本だと、「仕事は無理してなんぼ」「遅くなってもいいからしっかり仕上げろ」「クライアント様のために遅くまで働け」という昔ながらの風潮がありますよね。最近だと減ってきたように感じますが、まだまだ根付いているのが現状です。
世界的に見ても、「日本人は働き過ぎ」「異常だ」と散々言われてきたわけです。ドイツなどは、「短時間で成果を出す効率のいい人」を評価していますが、日本の場合は「時間がかかっても成果を出せる人が偉い」という風潮がまだあります。
残業という概念すらあまりなかった時代を生き抜いた上司から「昔はな~」という過去の話を振られたとしても、働き過ぎだと感じたらしっかり休憩・休息を取りましょう。
身体と心を壊したら、大変です。いつでも自分が一番大事だということを忘れないでください。
働き過ぎてしまう3つの原因と解決策は?
さて、働き過ぎ問題は、日本の昔ながらの文化の問題でもあり、個人の問題でもあります。個人の力では変えられない部分がある一方、しっかり対策をすれば解決できる部分もあるのです。
ここでは、ついつい働き過ぎてしまう3つの原因と、その解決策をご紹介していきます。「最近働き過ぎているな」と感じるサラリーマンは必見です。仕事とプライベートを両立することができれば、きっと今よりも幸せになれますよ。
それでは見ていきましょう!
①パーキンソンの法則が作用し、仕事が膨張していく
1985年、シリル・ノースコート・パーキンソン氏が提唱した法則「パーキンソンの法則」というものがあります。いつまで経っても仕事が終わらない理由は、この法則に隠されているのです。
「パーキンソンの法則」には、次の2つの法則があります。
第1法則:仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
第2法則:支出の額は、収入の額に達するまで膨張する
これの第1法則。例えば、「金曜日の午後までにプレゼン資料を作っといて」と上司に言われたとします。そうすると「パーキンソンの法則」が作用し、「金曜日の午後までまだ時間があるから他のことをやろう」と脳が判断します。
結果、本当はもっと早く終わる作業でも金曜日の午後になって初めて終わったりするのです。与えられた時間をすべて満たすまで、仕事の量は膨張してしまいます。
夏休みの宿題が最終日まで終わらなかった経験はありませんか?
①の解決策:to doリストを作成しタイムリミットを設ける
「パーキンソンの法則」は非常に恐ろしい法則ですよね。本来数時間で終わる仕事なのに、数日に膨張してしまう。ついつい無駄なことも含め、遅くまで残業してしまうわけです。
この解決策として、時間を意識するというより、to doリストを作成するなどして、それぞれにタイムリミットを決めることです。自分で締め切りを定めてしまいましゅう。
気を抜いたら「パーキンソンの法則」が侵食してくるので、予め、「この仕事は明日までに終わらせるぞ」「この仕事は今日の〇時までに終わらせるぞ」と早めに目標設定しておけばいいのです。
何も決めずにダラダラと仕事をしてしまうと、結局、締め切り直前に成果物が仕上がるといういつものパターンになってしまいますよ。そんな現状を変えていくためにも、少し目線を変える必要があるのです。
②残業が当たり前になっている会社が多い
先に記した通り、サラリーマンの平均残業時間は『47時間』と言われています。1日に2~3時間の残業は当たり前ということですね。
仮に定時が18時だとしたら、仕事が終わるのは20時過ぎでしょうか。通勤時間を考えると、家に着く頃には21時をまわっていることがほとんどだと思います。
さて、この数値を見て「それだけしか残業していないの?」「そのぐらい普通でしょ」と思う人もきっと少なくないでしょう。それだけ、残業が当たり前になっているのです。
実際、サラリーマン同士の宴会の場で残業自慢の話が出たりしますよね。「俺なんか先月100時間以上残業したよ」というように。
まだ、残業代が出ればましですが、会社によっては完全サービス残業の場合もあります。忘れないでください。本来、残業は当たり前ではないということを…
②の解決策:メリハリをつけて仕事する
残業をたくさんこなしているうちに、「ちょっと働き過ぎかな」と感じる時があると思います。実際、残業している人ほど効率が悪かったりします。
ある営業会社で、毎月トップの売上を出しているセールスマンはほぼ定時上がり。全然売れていないセールスマンは毎日4~5時間の残業をしているようです。
大事なのは、効率を意識し、メリハリをつけて仕事をするということです。1時間に1回タバコ休憩に行ったり、誰かに頼める仕事をダラダラ自分でやっていたりしませんか?
メリハリをつけて仕事をしないと、自分自身も疲れてしまいますし、成果物はいつまで経ってもよくなりません。まずは、働き過ぎなこの状況から、どういう効率化を図れば少しでも残業時間が減るのかを考えましょう。
③上司や先輩が残っているから帰りづらい
ついつい働き過ぎてしまう原因の1つで、「上司や先輩が遅くまで残っているから帰りづらい」というがあります。新入社員や若手社員の悩みとして、よく聞くことですね。
いざ早めに上がろうとして周りを見渡すと、モクモクと作業をしている上司や先輩ばかり。「お先に失礼します」や「先に帰っても大丈夫ですか?」の一言が言えずに、みんなに合わせて遅くまで残ってしまう…そんな経験をしたことがある人も多いかと思います。
これは、職場の雰囲気によって大きく左右されますよね。やはり、早く帰りやすい職場と帰りづらい職場はあります。「早く帰りなよ」と言ってくれる上司がいればいいのですが、現実はそんなに甘くありませんよね。
そんな時に使える魔法の一言があります。
③の解決策:配慮のある一言をかけてから退勤
「上司や先輩が遅くまで残っているから帰りづらい」という人は、「お先に失礼します」や「先に帰っても大丈夫ですか?」とだけ言おうとしていませんか?
実際、それらを言われたところで、気にするような上司や先輩もいないと思いますが、やはり配慮のある一言は大事です。
その一言とは、『何かお手伝いできることはありますか?』です。
何もないよと返されたら、「そしたらお先に失礼します」と言えばOKです。これで、配慮のある人間だと思われますし、積極性もアピールできて一石二鳥です。
ついつい周りに合わせてしまうことで働き過ぎているな、と感じる人はぜひ実践してみてください。一気に帰りやすくなり、残業時間も劇的に減るはずですよ。
まとめ
さて今回は、働き過ぎの原因や解決策をご紹介してきました。働き過ぎ問題は、日本人全体の国としての問題でもあり、個人の問題でもあります。
「どうせ何も改善されないよ」と最初から諦めずに、自分自身の意識がけや対策で解決できる部分もあるということが分かったと思います。まずは変えられる部分から変えていく必要があるでしょう。
そして繰り返しますが、働き過ぎも残業も、当たり前のことではありません。当たり前の風潮はありますが、周りに流され過ぎないように務めてください。無理をして、身体と心を壊してしまったら元も子もありませんよ。
「働き過ぎだな」と感じた場合、しっかり休憩・休息を取りましょう。いつでも自分が一番大事だということを忘れないでください。
幸運を祈ります!