会社には毎年新人が入ってくるのが通例ですが、時代によって新人のタイプも様々であり、それを揶揄した言葉を耳にすることもあるのではないでしょうか。時代の変化によって最も影響を受けやすいのは若者であり、ある意味彼らは時代の最先端に位置しているとも言えるでしょう。
しかし、昨今の新人はどうも仕事に自信を持つことができず、教える側もどのように接したら良いのか分からないというケースもあるようです。仕事というのはある程度自信を持って取り組まないと成果が出ないものですが、何故彼らはその意欲に欠けてしまっているのでしょうか。
この記事では、そのような自信を持てない新人について考えてみたいと思います。
もくじ
いつもおどおど…新人が仕事に自信がないのはなぜ?
新社会人にとって会社というのは初めて尽くしの場所であり、仕事というのもまた同様になるのではないでしょうか。そのため、新しく会社に入ってきた新人の中にはなかなか仕事に対して自信が持てず、接する側もどう扱ったら良いのか分からないといったケースもあるかと思います。
この場合、仕事に対してというよりは自分に対して自信がないというのがその大きな原因になるでしょう。基本的に自分に自信が持てないというのは周囲からの評価を気にしすぎているからであり、職場で自分の価値を見つけられないということも大きく影響しているようです。
失敗体験が重なりまた失敗したら…という不安から
失敗体験は人を萎縮させる大きな要因であり、失敗して周囲から嘲笑されたり馬鹿にされたりしてしまうと自信を喪失するのも無理はありません。そこまではいかなくとも、周囲はあまり気にしていないのに自分だけが過剰に気にしてしまうといったことも考えられます。
そういう人にとって、失敗は成功の母ではなく、失敗は更なる失敗へと続く道になってしまうのかもしれません。であれば、なるべく自分から動くことはせず、誰かから指示されたことを最小限行っている方が確かに効率が良いと言えそうです。
しかし、そこには仕事を通しての成長はなく、むしろそちらの方が周囲から反感を買ってしまったり低評価を下される結果になるのではないでしょうか。
仕事内容が理解できずに聞くことを恥だと感じている
また、人によっては仕事内容をしっかりと理解することができず、それを誰かに聞くことを恥だと感じているのかもしれません。「分からないことは質問すればいいのに」と思ってしまうかもしれませんが、「聞くは一時の恥」という言葉もある通り、一時とはいえ恥には違いないようです。
勿論、そのことわざは「聞かぬは一生の恥」と続きますので、むしろ誰かに質問することを推奨しています。しかし、あまりに周囲の評価を気にしすぎてしまう人にとっては、例え一時とはいえ恥をかくことに耐えられないと感じてしまうようです。
歯医者に行くのが嫌いな人は、毎月検診に行って虫歯を初期の段階で治療した方が良いと分かっていても足が遠のいてしまいます。より良い方法を頭では分かっているのに感情的に避けてしまうといった経験には誰しも心当たりがあるのではないでしょうか。
仕事に自信がない新人に実践すべき5つのことは?
仕事に対して自信がない新人の精神性は少々難しいものがありますが、上司として完全に放置するわけにはいきません。基本的に会社で働くというのは自分で上司や部下を選べないということに繋がりますので、相手がどうであれ対処する必要があるでしょう。
そのような自信のない新人に自信をつけさせるのも上司の仕事であり、デキる上司というのは新人を伸ばす上司のことを指します。相手を選ぶことができないからこそ、与えられた環境で全力を尽くすといった姿勢が求められるのではないでしょうか。
それでは、仕事に自信がない新人に対する具体的な対応を見ていきたいと思います。
新人を褒める!褒められると新人は次も頑張ろうと思う
人に自信を持たせる一番の方法は、やはり褒めて伸ばすというものになるでしょう。褒められて悪い気になる人はまずいませんし、褒められれば褒められるほど「次も頑張ろう」という意欲が沸いてくるものです。
そして、その意欲が人を難しい課題に取り組ませるエネルギーになり、それが上手くいった際には更なる自信に繋がります。そういった意欲に欠けている新人に対しては、とにかくまず褒め、しっかりとエネルギーを充電してもらうことが重要です。
しかし、自信のない新人は自分に対してネガティブな印象を持っているため、ちょっとやそっと褒めたくらいではなかなか効果が出ないといったこともあるかもしれません。その場合、相手が何に対して自信がなく、どういった褒め方をすれば効果的なのかを見極めるのも大切です。
得意分野の業務を与えて自分はできることを確認させる
また、相手の得意不得意といった適性を見極め、本人に適した業務を与えて小さな成功体験を積ませるのも良いやり方です。自信がない新人はとにかく人生における成功体験に欠けているきらいがありますので、例え小さなものでもそれを体験させるのは無駄にはなりません。
業務を上手くこなすことができれば、上述したようにしっかりと褒め「君はデキる」ということを伝えましょう。そうすることで、業務を成功させたという小さな成功体験と、褒められたというポジティブな成功体験を同時に積ませることができ、相乗効果が生まれる可能性があります。
自信のない新人はとかく自分を過小評価しがちですので、まずはその認知の歪みを取り除く必要があります。決して自分は能力が低いわけではないのだということを理解してもらいましょう。
頼りにしていることや期待していることを伝える
そして、上述したような事柄が上手く回り始めた際には「頼りにしている」「期待している」ということを伝えるのも効果的です。そういった何気ない言葉の一つ一つが小さな影響を及ぼし、いずれは失った自信を復活させるきっかけになるかもしれません。
しかし、あくまでも上述したような事柄が上手く回り始め、新人がある程度自信をつけてからにした方が良いでしょう。そういった土台が築かれていない内から「頼りにしている」「期待している」という言葉をかけてしまうと、本人はプレッシャーを感じ、余計に萎縮してしまうリスクがあります。
自信のない新人は非常にデリケートな精神性を持っているため、なるべく無神経な言葉をかけないよう気を配ることが求められます。
いつでも新人が質問しやすいような雰囲気作りをする
前述した通り、自信のない新人は周りに何かを質問することを恥と感じてしまっている節があります。そのため、何かを尋ねることも億劫になってしまい自分一人の判断で仕事を進め、結果失敗して更に自信を失うといったことも想定されるでしょう。
そうならないよう、いつでも新人が質問しやすいような雰囲気作りを行うことが大切です。できれば、その雰囲気を自分だけではなくチーム全体で共有した方が良いのですが、そうするためにもまず自分から率先する必要があります。
気軽に身近な誰かに不明点を質問することができ、そしてそれを嘲笑する人は誰もいないということを新人に認識してもらいましょう。そうすれば、いずれ彼らも躊躇うことなく誰かに何かを質問することができるようになるかもしれません。
積極的に日常会話などのコミュニケーションを取る!
最後に、自信のない新人とは積極的に日常会話等を交わし、頻繁にコミュニケーションを取ることをお薦めしたいと思います。自信がない新人は別に人嫌いというわけではありませんので、こちらが心を開くことで相手もそれに応じてくれる可能性があります。
冒頭で述べた通り、新社会人にとって会社や仕事というのは何もかも初めてのことですので、普通の人でも若干尻込みしてしまいがちです。ですが、職場の雰囲気が温かく、自分達は新人が入ってくることを歓迎しているという雰囲気を醸し出すことで、彼らもいずれは心を開いてくれる可能性があります。
その際に気をつけたいこととしては、しつこいコミュニケーションは行わない、相手にコミュニケーションを強要しないといったところでしょうか。そんなことをすれば彼らはますます萎縮してしまいますので、しっかりと空気を読みながら対応することが大事です。
新人を伸ばす!上司が読みたい新人教育におすすめの本
それでは、ここで何冊か新人教育にお薦めできる書籍を紹介したいと思います。上述したような方法を用いることで上手くいくケースもありますが、人によって個性も異なるため、基本的には臨機応変な対応が必要になるでしょう。
関連書籍から事前に様々な知識を蓄えておくことによって、彼らの気持ちをより理解することができるかもしれません。
「20代男子」戦力化マニュアル 「ほめる・しかる」で部下を劇的に伸ばす!
こちらでは、主に20代男子をいくつかのタイプに分類し、それぞれに適した褒め方や叱り方が解説されています。ただ闇雲に褒めたり叱ったりすれば良いというわけではありませんので、より相手に寄り添ったやり方を学びたい方にお薦めの一冊です。
あたりまえだけどなかなかできない ほめ方のルール
こちらの書籍では、様々な細かいシチュエーション下での効果的な褒め方が解説されています。タイトル通り褒め方に特化した内容になっていますので、相手を上手く褒めたい、褒めることによって信頼関係を築きたいといった方にお薦めです。
まとめ
自信のない新人は何も生まれた時から自信がなかったわけではなく、様々な経験を通していつの間にか自信を失ってしまっています。それが何かまでは分かりませんが、自信のあるなしにかかわらず、新人を伸ばすのも潰すのも上司次第と言えるでしょう。
デキる上司は自分で動くことも得意ですが、基本的には人を上手に動かしてチームを効率的に機能させられる存在です。そのため、新人が自信を持って仕事ができるよう努めることも職務の一部と言えるのではないでしょうか。
最初から扱いやすい部下ばかりが揃っていれば上司としてはやりやすいでしょうが、その場合はマネジメントは特に必要ありません。纏めるのが難しいチームをいかに上手に纏めるかというのが上司としての腕の見せどころになります。