「いつまでたっても仕事が終わらない」と思った時、私達の多くはその原因を探し出し仕事を早く終わらせようとしますね。なぜなら「仕事が早く終われば早く帰ることができるから」です。これは普通のことでしょう。ただ、その仕事が早く終わらない原因が仕事量でもなく、仕事環境の問題でもなく、「部下が使えないから」という人的な問題であった時、上司であるあなたは一体どのように指導し問題解決にあたりますでしょうか。今回は仕事を効率的にこなしたいあなたに「使えない部下を活かすことができる指導方法」ご紹介します。使えない部下に思いあたる節のある上司の方はどうぞご覧ください。
もくじ
これだからダメだ、上司を悩ませる使えない部下の特徴3つとは?
それでは使えない部下の指導方法をご紹介する前に、使えない部下の特徴についてお話させていただきます。特徴を押さえておけば、その部下の方を冷静に観察できるだけでなく、後に紹介する指導方法を特徴に合わせて実行しやすくなります。今回ご紹介する使えない部下のケースは3つです。それぞれどういった点が問題なのかについても紹介していきますので、皆さんの周囲の部下にあてはめながらご覧いただければと思います。
1,報・連・相の基本ルールが守れない部下が使えない
社会人の基本ルールには「報告・連絡・相談(報連相)」があります。仕事におけるあらゆる報告、連絡、相談を上司に適切に行うことで、仕事を円滑に進めやすくするだけでなく、ミスを減らすことにも寄与するのがこのルールです。社会に出ればまず身につけるべき基本ですね。ただ、この「報連相ルールを徹底することなく、自分の考えだけで突っ走るような部下」がいます。上司としては仕事のミスが心配になるだけでなく、部下を指導する機会も奪われるためとても困るケースです。
こういった部下は上司との付き合いが苦手というよりはむしろ、「自分に自信がある」、「プライドが高い」といった性格である可能性があります。独断で行動した結果仕事が上手くいけば、「〇〇さん(上司)の助けがなくとも私はちゃんとできましたよ」という自分の成果と自信にできるため、独断で行動するのです。そして上手く行く回数が増えていくとますます自分を「仕事ができる人間」と思い込み、いつか大きな仕事でミスをする…。ここでやっと報連相を怠り自分を過信していた事実に気付くのです。しかし、この段階に及んでも報連相を怠った自分を悔いることがないケースもあります。これは前者よりも問題であり、やはり大きなミスを起こす前に指導しておきたいところでしょう。
2,仕事をこなす量が明らかに少ない部下が使えない
端的に仕事ができない部下という言葉を表すケースでは、「仕事をこなす量が明らかに少ない部下」というものもあります。これは文字通り仕事の量をこなす量が少ない=仕事の効率が悪いというもので、会社にとっては損になってしまいます。また、他の同僚や上司にとっては、「俺よりも圧倒的に少ない仕事量で、俺と大差ない給料をアイツ(部下)はもらっている」や、「アイツ(部下)が仕事をこなす量が少ないせいで、周りの俺たちの仕事量が増えている」という不満につながってきます。
また、仕事量をこなせていない事実を本人が気付いており、改善に向けた努力をしている場合は無下に起こることは難しく、むしろ応援してあげようという優しい気持ちになる方もいらっしゃるでしょう。しかし、この事実に気付いていないばかりかもっと楽をしようとしていたり、仕事とは関係ない時間の過ごし方をしていたりする場合は、腹立たしさが一層募ってきます。ただ、どちらにせよきちんとした仕事量をこなしているに越したことはなく、やはり仕事量が少ない部下はどうにかして解決していきたいものですよね。
3,上司や得意先に対する気遣い・尊敬が足りない部下が使えない
ここまで紹介してきたケースにも通ずるものがありますが、「上司や得意先に対する気遣い・尊敬が足りない」という部下もいます。上司に対して気遣いができなかったり、尊敬の念が足りていなかったりするような部下は、率直にいって存在が不愉快になってしまいます。そのような人物との仕事は気分が乗らない上に連携もとりにくく、結果的に仕事が上手くいかなくなります。つまりは、周囲の足を引っ張ってしまうのがこのケースです。
また上司とは良い関係が築けていても、得意先と良い関係を築くことができないケースもあります。この場合だと言わずもがな得意先との取引がまとまりにくくなり、会社にとっては大きな損害を被る可能性が出てしまいます。さらには監督不行き届きの名のもとに、その部下と同じ部署に所属する上司の責任が問われる場合もあり、大きな問題となります。
仕事そのものとは関係ない部分の問題であり、問われるのは各々の人間性です。人間性は長い人生の間における様々な経験と時間の流れによって作られるものであり、これを変えるのはなかなか難儀なことではあります。とはいえ、こういったケースをそのままにしておくことは許されないでしょう。
今から実行、仕事ができる部下にする指導方法3つとは?
それでは実際に仕事ができる部下にするための指導方法をご紹介していきます。今回ご紹介する方法はこれまで紹介してきた様々な使えない部下のケースに応じた指導方法になります。ただご紹介するのはこの他のケース以外の部下にも活かせる指導方法になりますので、皆さんそれぞれでしっかりと吸収・応用していただければと思います。また、部下の性格によっては効果を発揮せず悪影響になる可能性もありますので、まずは部下を観察することから始めましょう。
1,ミスした部下を怒るのではなく、心配する気持ちをみせよう
報連相を怠る部下に対しては、腹立たしい気持ちがかなり募ってくると思いますが、「心配している気持ちをみせる」ことがかなり重要になってきます。「いやいや、怒ることで怒られたくないから、次からちゃんと報連相をするだろう」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、そのような指導はすでに部下がミスを起こしている時点においては、報連相をして怒られるのが怖いがために、報連相をせずになんとかミスを自分で取り返そうとしてさらにミスをしてしまうケースですね。
本当ならミスをしないのが1番ですが、ミスをしてしまった以上はそのミスによる被害をなんとか小さくしなくてはなりません。そのためには日頃から部下を指導する際に「俺はお前のことを心配して話しているんだぞ」と諭すような話し方をするべきでしょう。単に怒るだけでは部下を怖がらせるだけですので、日頃から部下と密接な信頼関係を構築することを心がけましょう。そのためには部下とよく話すことです。部下の負担にならないレベルで飲み会や昼食に誘ったり、差し入れで缶コーヒーを渡したりするといった些細なことから始めてみてください。
2,量なのか質なのか、部下が得意なスタイルを見極めて伸ばそう
こなす仕事量が少ない部下に対しては、その部下が「仕事における量を増やすことが得意なのか、質を高めることが得意なのかを見極めること」が重要になってきます。なぜなら、人によってこなせる仕事量に違いがあって当然だからです。むしろ、「こなす仕事の質は他の誰よりも高い」という場合もあるため、こなす量だけでなく質も評価してあげるべきなのです。もちろん、そのどちらもが充実しているに越したことはないのですが、その部下はまだまだ発展途上なのかもしれません。
仕事量がこなせなくても段々とコツを掴み、量も質も優れた力を発揮する部下もいるでしょう。そのため、今しばらくはそれを上司が見守り伸ばしてあげる必要があるのです。そして必要であればサポートに入ってあげて一緒になって仕事に取り組んであげると良いでしょう。部下はそういった心意気をみせる上司に対しては良い印象を受けるはずです。当然、この先も長く働くのであれば良い関係を築いている残したことはありませんよね。また、室の高い仕事ができている部下を上司が見習うこともできるはず…。指導するということは部下だけが成長することではないのです。
3,部下の考えと人間性を尊重した指導を心がけよう
部下が上司や得意先に対する気遣いや尊敬の念が足りていない時は、はっきりとそのことを伝えた方が良いでしょう。ただ、その時もやはりただ頭ごなしに怒ることは避けるべきですし、部下の人間性を尊重してあげることも重要です。そのためには「どうしてそんな付き合い方をするのか部下の考えを聞く」ということから始めてみましょう。もしかすると部下は部下なりの考えから、そういった付き合い方をしているのかもしれませんし、堅苦しい付き合い方よりもフランクに接することで相手の懐に入り込もうとしている可能性だってあります。
もちろん、そういった付き合い方が必ずしも正しいとは言えません。私達は相手に応じて様々な付き合い方を使い分けて、上手に付き合っていく必要があるからです。もし部下が誤った付き合い方をしている場合は、「〇〇さんにはしっかりとした挨拶から入った方が良いぞ」、「〇〇さんは子どもの話をすると機嫌が良くなるかもしれないぞ」といった指導をしてあげるのも良いかもしれませんね。ただ、部下には部下なりの考えもありますから、やはり付き合い方を強制するような指導をするのは良いものではありません。ちょうどよい折衷案を見つけてあげられると良いですね。
部下も人間、完璧は無理だということを認識しよう
話の大前提としまして、「部下も1人の人間で完璧は無理だ」ということを忘れてはいけません。上司と部下という立場ではやはり上司の方が上になります。しかし、その上司の言うことが正解とも限りません。上司も人間であり完璧ではないのですから。だからこそ上司は、部下に対して様々な助言をすることは必要ですが、あくまでも上司の考えに強制させたり怒ったりするのではなく、問題解決に向けた道筋を示してあげることが重要です。
仕事の成果だけでなく日頃から部下をよく観察し、部下のためになるアドバイスをすることを心がけましょう。すでにご紹介したように部下の仕事ができるかできないかというのは、何も仕事の成果に限った話ではありません。部下の仕事に対する姿勢などもきちんと評価してあげる必要があり、そこを無視して上司という立場を利用して指導するというのはアンフェアでしょう。これを考えないままに指導するようだと部下は上司に対する信頼を失い、仕事の成果も職場での人間関係もこじらせてしまう可能性があります。こういったことはないように上司は上手く手綱を握ったり緩めたりすることが必要だということになります。
怒るだけじゃない、上司に求められているこれからの指導
部下の抱える様々な「仕事ができない」に対しては、上司が寄り添ってあげる姿勢をみせたり、部下の得意・不得意を見極めてあげたり、部下の考えを尊重してあげることが重要です。働くことへの価値観が変わりつつある今、単に部下を怒るだけでは部下の成長も会社の成長も、そして上司自身の成長もありえません。また、いくら上司といえども部下よりも人間として偉いというわけでもなく、相手の立場に立った指導を行っていく必要があります。それを無視した指導こそが、パワハラであったりセク八ラであったりといった労働問題につながってくるのです。
部下が仕事をできるようになり、お互いが気持ちよく仕事をするためには、部下にあった指導方法をきちんと考えなくてはなりません。かつて自分が上司からされていた指導をそのまま部下に流用してはいけないでしょう。