職場の悩み

これってセクハラ?セクハラの定義と2種類のセクハラとは何?

職場で「かわいいね」と褒められる程度ならセクハラとまでは思わなくても、しつこく誘われたり、容姿のことをあれこれ言われたりするとイヤなものですよね?相手の言葉の裏にある感情を想像すると、鳥肌が立つという女性も多いのではないでしょうか?

でも「何でもかんでもセクハラというのも…」と迷ってしまうことも多いものです。今回はそんな「セクハラの定義」についてのお話です。現代のセクハラは、被害者が女性とは限らなくなってきましたが、やはり大半は女性が被害に遭っています。「これってセクハラ?」と思ったら、その多くは「セクハラ」です。

もくじ

セクハラの定義と被害者を悩ませる理由

セクハラは、男女雇用機会均等法によって以下のように定義づけられています。

“職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したり抵抗したりすることによって、解雇・降格・減給などの不利益を受けることや、性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に重大な悪影響が生じること”

何となくわかるようでわからない…それがセクハラです。

結論から言えば、「何をすればセクハラ」という行為が限定されているものではありません。これは、相手や受け手の感情や感覚によって大きく左右されるからです。相手に悪気はなくても、受け手側が「性的いやがらせを受けた」と感じればそれがセクハラになるということです。

この「融通」のようにも見える余白が、「自分はセクハラを受けているのか?」と被害者を悩ませることにも繋がっています。

セクハラには2種類ある!あなたが受けているセクハラは2つの内どっち?

セクハラには2種類あることをあなたは知っていますか?「ちょっとしたことだけど不快に感じる、でもセクハラと騒ぎ立てるのは気が引ける」という女性は多いものですが、この種類を知っておくだけでも、それがセクハラかどうかの判別に役立つことがあります。

また、「自分が受けているこの不快感はどちらに属するのか?」と考えることで、そのセクハラによって生じる問題にあらかじめ対処することもできるでしょう。その内容を、それぞれご紹介します。

対価型セクハラ:立場を使って不利益を与える

セクハラのほとんどは、こちらに属します。セクハラをする人が自分の立場を使って、相手に性的ないやがらせをするということです。

先ほどご紹介したセクハラの定義の前半にあった「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したり抵抗したりすることによって、解雇・降格・減給などの不利益を受けること」がこれにあたります。

「付き合わなければ評価を悪くする」「一緒に飲みに行ってくれたら昇進させてやる」など、性的な利益と引き換えに相手の立場を脅かします。対価型セクハラは直接的な被害に繋がりやすいので、被害者がセクハラと認識しやすく、会社や相談機関への通報がしやすいものがほとんどです。被害者の性格によっては、泣き寝入りをすることも多々あります。

環境型セクハラ:聞いている人も不快にする

「自分が何かされているわけではないけど不快」というのは、こちらの環境型セクハラです。これは非常に範囲が広く、多くの人が被害者となります。セクハラの後半に手議されている「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に重大な悪影響が生じること」です。

たとえば「同僚が上司からしつこく誘われているのを見る」「性的な話を職場している人の声が聞こえてくる」なども環境型セクハラにあたります。また、対価型と反対に「自分の容姿を原因に昇給をしてくれない」など、能力とは別のところで判断されることも含まれます。

いずれにしても、直接的な被害ではない分「セクハラ」を認識しにくいことが特徴で、相談機関への通報などに躊躇してしまう人が多いでしょう。

セクハラに認定される3つの事例

では、どんな言動なら自信を持って「これはセクハラ」と言えるのでしょうか?その基準がわかっていれば、その後の対策を立てやすくなります。

ここでは敢えて「直接的な被害」とは考えにくい例を上げて解説していきますので、思い当たる節があれば一度相談機関へ連絡をしてみるのも良いでしょう。

自分が受けているセクハラ、周囲が受けているセクハラ、またはどちらも受けているセクハラ…あなたが日々感じている釈然としない不快感の理由は、やっぱり「セクハラ」なのかもしれませんよ?

世間話の中で性的な言動を入れる

セクハラ被害の代表的なものとして「性的な言動」があります。これは、面と向かっていやらしいことを言われたり、されたりすれば誰にでもわかるものです。しかし、実際のセクハラではそうではないことも多々あります。

男性が自身の女性経験を話したり、聞いてもいない恋愛話を聞かせられたりするというのも、セクハラの一つです。これらは世間話として職場でされていることも多く、多くの女性社員は「イヤだな」と思いながら聞いています。

コミュニケーションの一つとして、誰もに共通する恋愛の体験談を取り上げることはあるかもしれませんが、その話しが下品でつまらないものであれば、それはセクハラと言って良いでしょう。もちろん、「今まで何人と付き合ったの?」などもセクハラです。

容姿に関する発言もセクハラになる

よく「いいじゃないか、褒めているんだから」という男性がいますが、容姿について褒めることもセクハラの一つです。褒めるという行為は自己満足で成り立つものではありません。褒められた相手が「うれしい」と思って始めて成立します。

「かわいいね」「スタイルがいいね」という褒め言葉のつもりで発したものも、相手が「いやらしい」「気持ち悪い」と受け取ればそれはセクハラになるでしょう。もちろん「もっと痩せたら?」「足が太い」なども立派なセクハラです。業務に関係のない容姿の特徴についての冷やかしなどもセクハラと認定されます。

「セクハラ」と聞くと「いやらしいことでなければならない」と考える人がいますが、そうとは限りません。本人が「イヤだな」と感じる容姿についての話しはセクハラです。

年齢や女性だからという理由の差別的発言

男性の中には「本当のことなら言っても構わない」という考え方の人がいます。確かに仕事においてはそうかもしれません。でも、仕事とは無関係で、本人にはどうしようも無いことをとやかく言うこともセクハラです。

たとえば、年齢や性別についての発言があります。「いい歳なんだから」「女性のくせにこんなこともできないの?」などが代表的でしょう。男性に言わせれば「それは事実だから」なのでしょうが、男性にとっても自分ではどうしようも無いことを指摘されるのは気分が良いものではないはずです。

ましてや、女性ともなれば年齢を気にしている人は多いですし、女性という性別だけで、得手不得手を決めつけられたくない人はたくさんいます。

こちらでは、セクハラの具体的な事例も紹介しているので、あわせてご参考にしてください。

セクハラを受けたらまず相談!社内外のホットラインを活用しよう

セクハラは、我慢しているとどんどんエスカレートします。セクハラをしている相手にとって「黙っている」「反抗してこない」という姿勢は「許容」に見えます。「これで大丈夫なら、これもいいかも?これも大丈夫かも?」とその言動は加速していくでしょう。

「自分はセクハラを受けている」と感じたら、すぐに誰かに相談をしてください。同僚でも、上司でも良いですし、社内や社外のセクハラホットラインでも良いのです。セクハラホットラインのほとんどは女性の相談員が対応してくれます。同じ女性になら話しやすいという人は多いでしょう。

また、秘密は必ず守られますので、通報をしたことによる不利益なども受けることはありません。セクハラをしている人は、たいてい複数の女性にセクハラをしているものです。指導を受けても、誰が通報したのかわかりませんよ。

まとめ

女性に生まれると面倒なことがたくさんあります。キレイにしていなくてはならない、女性としてできることはしておかなくてはならない、など相手が期待している態度を取るように努力している人は多いものです。それなのに、その努力が裏目に出てしまっては悲しくなってしまいますよね。

確かに、何でもかんでも「セクハラ」と考えるのは、人とのコミュニケーションが取りにくくなることがあります。それがわかっているからこそ、セクハラを受けている人は悩むのです。でも、他でもないあなた自身が「不快」と感じているのであれば、それは結果としてセクハラなのです。自分の目だけで不安であれば、同僚などにも相談をして然るべき対処をするようにしましょう。

あわせて読みたい!