「セクシャル・ハラスメント」通称セクハラは、肉体や精神的に苦痛を与え、被害者に癒える事の無い傷を負わす卑劣な犯罪行為です。
そして女性だけでなく男性がセクハラのターゲットにされる事件も度々ニュースで取り上げられます。
しかし裁判沙汰になるケースは意外と少なく、多くの場合が我慢、泣き寝入りして退職してしまう事が多いようです。
ですが具体的に世の中にはどんなセクハラが蔓延っているのでしょうか?今回は数々の事例を挙げて紹介していきます。同じような場面に心当たりがあったのなら要注意ですよ!
もくじ
卑劣極まりないセクハラの事例
自分より立場の低い、あるいは逆らいづらい人間ばかりがターゲットにされがちなセクハラ行為。社内ではもちろんのこと、就業時間外や会社主催の飲み会でも被害の報告は後を絶ちません。一体どんなセクハラが行われているのでしょうか?
「自分が新入社員という手前、逆らえないというのを良い事に、先輩上司が髪や肩、腰に過剰なスキンシップをしてきました。そして上司は既婚者の身であるにも関わらず、“愛人になって?”としつこく付きまとい、私がそれを拒否すると、翌日から仕事を回してくれなくなり、しばらくして退社しました。」
「上司がトイレから戻ってきた時、チャックが開いていたので指摘したら、“お前が閉めてくれないとずっと開いたままだよ”と言われ、気分が悪くなりました。」
「自分が仕事の話を真剣にしているにもかかわらず、常務はずっと下ネタを話し続けていて、その状況が二時間以上続きました。」
「所属している部署のノルマを無事達成し、喜んでいると横から同僚に“女のくせに生意気”と吐き捨てられました。」
「女性更衣室やトイレでカメラを見つけたけど、別の日から角度を変えた他のカメラが設置されていました。」
「新人歓迎会で、隣に座った上司から彼氏の有無を聞かれたり、胸のサイズや好みのタイプについてしつこく聞かれ、帰りのタクシーも強引に入ってきてウンザリしました。」
男性からはこんな声も……。
「社内の女上司に“一緒にホテルに来ないとウチで働けなくしてやる”と脅されました。」
「真面目に働いてしっかり会社に貢献しているにもかかわらず、女子社員から“顔が生理的に無理”など身体的な悪口を言われ、自身が無くなりました。」
「妻が妊娠中で、頑張って支えていこうと思っていたら、会社の打ち上げで酒に酔った上司から“風俗とか浮気しちゃえ”とデリカシーに欠ける冗談を言われました。」
「付き合っている彼女の写真を見せたら、性的な冗談を言われたり、彼女の身体について色々質問され、気持ち悪くなりました。」
有名企業でもセクハラ行為が発覚!
「実話BUNKAタブー」によると、人材派遣の大手パソナでは異常ともいえるセクハラの実態が、元社員の女性の証言で明らかになりました。彼女は当時営業部に勤めており、そこでは日常的に常務からのセクハラを受けていたといいます。
「横浜セクハラ事件」。
営業所に勤めていた女性従業員A氏。上司であり部長兼営業所長のB氏に頭髪や肩、腰を触られ、事務所で二人きりという状況になった時に、B氏に抱きつかれ服の下に手を入れられるといった数々のセクハラ行為を受け、後にA氏は退職に追いこまれました。
ハリウッドでも大波乱のセクハラ騒動。
2017年10月、様々なアカデミー賞受賞作品を手がけてきた大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ疑惑が、ニューヨーク・タイムズで報道されました。これを機に俳優ケヴィン・スペイシーやブレット・ラトナー監督といった数々の著名人の名前が疑惑の対象に挙がり、映画界でのセクハラ問題が浮き彫りになりました。
ハリウッドでのセクハラ行為。
『ミラマックス』で脚本ライターを担当したリザ・キャンベル氏は「ワインスタイン氏からホテルで仕事のミーティングとして招かれた時、“一緒にバスタブに入ろう”と求められた。」と語りました。
セクハラを認知するポイント。
実のところ、その判断自体にも個人差があり、一般的な男女の感じ方が判断の基準になりますが、被害者個人の感じ方によっても判断は変わってきます。同じ行為をされても、相手次第で感じ方に違いが出るのも事実です。
勝手な憶測や思い込みは危険。
先ほども述べた通り、行為を受けた人物が不快に感じたのなら、セクハラと判断される可能性があります。親しさを示すつもりのスキンシップであっても、自分の意図とは関係なく相手が不快感を露わにする場合が多いにあり得ます。
注意しなくてはならない点は、不快に感じるか否かは個人差がある事や、「この程度は相手も許容するだろう」という勝手な憶測。そして相手と良好な関係を築けているという思い込みです。自分が考えている以上に相手は傷ついているという事を認識する必要があります。
特に酒の席はセクハラの温床に。
会社員の方は打ち上げや忘年会、新人歓迎会など、酒の席での交流を度々経験するかと思いますが、こういった機会が実は職場以上にセクハラが起こりやすいので要注意です。相手が酒に酔って歯止めが効きにくいという事もあり、本来楽しいはずの時間が一瞬で台無しになってしまいます。
執拗なボディタッチ。
食事の席で隣に座った上司に頭や腰など、直接的な接触を受ける事が多いです。立場が上という事もあり、断りづらいという声も聞きます。こういった場合は、他の人と席を交換、手にグラスを持たせるなどして流れを無理やり断つといいでしょう。もし悪化するようであれば遠慮なく声に出してみましょう。
待ち伏せをされる。
トイレに向かった時、相手に待ち伏せされ強引に肉体的接触を図ろうとするケースもあります。トイレというある種“閉鎖空間”で迫られると大変危険です。心配なら同性の社員に付き添ってもらったり、別の社員を呼んで仲裁に入ってもらいましょう。
連絡先を聞かれる。
楽しい酒の席という事もあってか、社員同士の精神的な距離感が近くなりがちな飲み会の風景。ですが聞かれたくないのに必死に連絡先の交換を要求する人も中にはいます。こういう時は、恋人の存在をほのめかし諦めさせるか、迷惑という気持ちをストレートに伝えましょう。
プライベートな事を聞かれる。
特に多いのが、女性に対する交際や結婚にまつわる価値観の押しつけです。「何で結婚しないの?」「子供はどうするの?」というプライベートな質問は人によっては大変不愉快です。自分にとっての幸せが相手も同じだと限りません。それに気付かず価値観の押しつけで、無意識に傷つけてしまう可能性があるので注意しましょう。
そもそもセクハラとは?
セクハラは簡単に言ってしまうと、“性的いやがらせ”または“相手の望まない性的言動すべて”を指します。「いきなり身体に触られた」、「卑猥な冗談を言われた」、「性差別的な発言をされた」相手に不愉快な思いをさせ、自尊心を傷つけた場合、これらは立派なセクハラ行為と認められます。
そういった場合、よくニュースなどで聞く相手の弁解は「そんなつもりはなかった」。皆さんも一度は聞いたことがあるかと思います。では、どこからどこまでがセクハラなのでしょう?セクハラを分類分けして紹介していきましょう。
「対価型」と「環境型」。
セクハラは大きく分けて対価型と環境型の二種類があります。対価型とは、職場の地位や役職という逆らいづらい立場を利用し、相手に不利益を与えるケース。環境型は、就業環境を不快にさせ、仕事に支障をきたす程の影響を及ぼすケースです。
環境型に含まれる3つのタイプ。
さらに環境型には3つのタイプが存在します。女性に無理やり卑猥な画像を見せ、カメラをトイレなどに設置する「視覚型」。会社で顔を合わせた時に性的な質問や身体的特徴を揶揄するような冗談を言われたりする「発言型」。身体に触れたり、相手の性的な要求を断ると、不当に解雇されたなどといった「身体接触型」に分類されます。
まとめ
セクハラは人の尊厳を踏みにじる憎むべき犯罪です。最初は軽い気持ちであったとしても、エスカレートしていけばあっという間に取り返しのつかない状況へ陥ります。たとえ上司と部下、または友人同士という間柄であったとしても、「親しき仲にも礼儀あり」という事を忘れないでください。「冗談のつもりだった」が通用しないのが社会人としての常識です。