職場の悩み

なぜここまで?日本の労働生産性が低い原因と今後の対処法

近年、日本の労働生産性の低さが指摘されています。労働生産性とは、GDP(国内総生産)を就業者数で割ったもので表されます。

つまり働いている人の、1人当たりの生産量を表しているのですが、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国35ヵ国中で、第20位。なんともパッとしない位置にいます。

時間当たりの労働生産性は、1位のアイルランドは日本の2倍、6位のアメリカでは1.5倍の差があります。ここまで加盟国と差がついているのは、日本では常識的に行われていることが関係しています。

何が労働生産性を下げてしまっているのか、また、どうすれば日本は向上に向かうのか、考えていきましょう。

理由①おもてなしの心が過剰サービスを生む

まず日本では、おもてなしの心が素晴らしく、長所とされていますよね。海外旅行に行ってみると、日本のサービスがいかに充実しているか、有難みを感じるものです。しかし、これが日本の労働生産性を下げているのです。

今回は、空港にフォーカスして海外と比較してみようと思います。まず、日本の空港では、あらゆるところにスタッフが配置されていて、チケット発券から荷物の預け入れまで、スタッフ付き添いのもと何不自由なく行うことができます。

反して海外の空港では、基本的に何もかも自分でしなくてはいけません。

預け入れ荷物の中に、壊れやすいものは入っていませんか?とは聞かれませんから、自分で調べて、しかるべき措置をとる必要があります。事前に調べるにしても、航空会社のWEBサイトは見づらく、該当ページまでたどり着くのも一苦労です。

海外では、飲食店でも待たされる・態度が悪いというのも当たり前です。

日本だと、客単価の低いファーストフード店であっても、お客さんを待たせないように、しっかりスタッフの人数を確保して、笑顔の接客をしてくれます。

お客さんの満足度は上がっても、売り上げが上がらない限りは、労働生産性の上昇につながりません。

理由②周りへの確認に時間を割かれ過ぎている

そして日本では、ほんの少しの決断をするのにでさえ、上司や周りの同意が必要になります。日本人の優柔不断さの表れでもありますが、組織体制がそうさせてしまっているところが大きいですね。

プロジェクトを進める際も、上の確認が必要ですので、承認を求めないといけません。

確認を求めないといけないのに、どこかでストップしてしまって、どんどん時間は過ぎ、そのプロジェクト自体の旬も過ぎてしまう、なんてこともあるでしょう。

日本企業は、時間が1つの財産であるということを、もっと自覚しなくてはいけません。

なお、アメリカでは「ジョブ・ディスクリプション」という労働契約が、会社と従業員とで交わされます。

この労働契約では、従業員の仕事の裁量が事細かに決められていきます。その範囲内の決断であれば、上司に確認をとることなく、業務を遂行できるのです。

スピード感と自由度があるので、プロジェクトの質も高めていくことが可能です。日本のように、関係各所からの合意を求めないとプロジェクトを進行できない組織体制が、労働生産性を下げていたのです。

理由③100%主義で物事を進めるのに慎重すぎる

更に日本企業は100%主義で、失敗が許されない風潮があります。そして即座に責任問題に発展していきます。こういった状況では、リスクを恐れてチャレンジする人員は減ってしまいます。

ミスは許されず、完璧を求められる社風では、従業員に強迫観念が芽生えます。

そして、ミスを指摘する時間に注力して、100%になるまでは世に発表をしない体制では、市場のサイクルに乗り遅れ、ますます労働生産性を下げる結果になります。

対してアメリカは、100%主義ではありません。ミスが発覚してから直せばよい、不良品なら返金すればよい、という考えを持っています。

これは、アメリカ人が適当だから、というわけではありません。100%になるまで時間をかけるよりも、後からミスを見つけて対応する方が効率の良いことを、計算して把握しているからなんです。

アメリカでは、リスクの計算をする専門家がいて、しっかり利益が出ることを分かっているので、そういった対応もできるんですね。

そして、完璧じゃなくて、後からどんどん修正をかける企業体制が浸透していますから、従業員も伸び伸びと業務に集中できるのです。

理由④労働者のモチベーションが低すぎる

そして、出る杭は打たれるといったような状況も影響して、日本では労働者のモチベーションの低さが労働生産性を下げていると指摘されています。ここで登場するのが「社員のエンゲージメント」という概念です。

社員のエンゲージメントとは、社員の所属企業に対する感情の度合いで、これが高ければ、仕事に情熱をかける社員が多いという指標になります。

情熱があれば顧客サービスが充実し、結果として企業の生産性が上がるのは、目に見えています。

しかし日本は、社員のエンゲージメントが極端に低いのです。仕事にやる気がなく、必要最低限のことをして終わりたい、というモチベーションレベルの低いの社員が多いのが現状です。

やる気の低い従業員がいると、顧客サービスが低下し、企業の社会的信頼、そして生産性も低下していくのは避けられません。

チャレンジャーが現れてもつぶされてしまうような日本の組織が多いですから、ますますエンゲージメントは低下の一途をたどってゆくことでしょう。

日本の生産性をこれより下げない! 解決策とは?

4つの、日本の労働生産性が低い理由を解説してきました。どれも絡み合って存在していていることが分かりますよね。100%に届かず問題を起こせば、今後の社内での生き方が危ぶまれます。

そして顧客にとっても、過剰なサービスを受けるのに慣れてしまっている状況で、すぐには辞めることはできませんよね。

仕組みの問題であることが大きくて、経営陣の意識が変わらない限りは、大きく改善していくのは難しいもの。ただ、以下の3つ中心に進めることが、労働生産性を上向きにすることにつながると思いますので、解説していきます。

サービス残業文化を取り締まる 当たり前を当たり前にしない

まずは、サービス残業の文化を終わらせて、取り締まることから始めるべきです。現状、飲食やIT業界では、手当ての出ない残業が横行している現状があります。

閉店後の後片付けには時給が発生せず、IT企業も納期まで間に合わせるために無償で時間を提供するというのが、当たり前になっているところが多いですね。

すると社員のエンゲージメントはますます下がり、従業員の負担前提で、商品とサービスの価格が決められてしまうので、利益も上げ止まります。

もっと、実現可能な金額を顧客に求める必要があります。更に、そのような構造的ブラックを改善していかないと、「生産性を上げる」という、問題解決機能も働きません。まずは、今の当たり前を見過ごさないところから、着手していくべきです。

無駄を洗い出して仕事に集中する その人にしかできない仕事か見直す

日本の企業では「慣例」と呼ばれるものを重視するあまり、生産性を著しく下げていることがあります。

例えば、全員にお茶を入れる、といった、新人の業務があるとしましょう。これを、各個人が飲みたいものを持参する方に換えることで、新人の労働時間が確保できます。

ほんの朝のひと時と思っても、年間にすると、莫大な時間がお茶くみにとられているわけです。

他にも、電話対応などで作業が中断されるのも、生産性を下げる結果になります。生産性の高い人からは電話を遠ざけるなど、その人にしかできない仕事に集中してもらえる環境を作ったり、無駄を洗い出したりすることが重要です。

大企業になればなるほど、時間の無駄になる会議もしがち。書類で済む報告なら会議の開催もしないなど、思い切った時間の効率化をしていくべきです。

市場の流動性を考慮した労働市場の変化を受け入れる

日本では一度正社員で雇用すると、解雇するためのルールが厳しいので、解雇は頻繁には行われていません。しかし、スピード重視の企業戦略が求められる中、従業員側も、労働市場の変化を受け入れるべき時代に入ってきています。

来年、企業が存続しているかどうかも分からないのに、従業員の生涯を守るなんて宣言できるはずがありません。必要な人材だけが企業にとどまることができ、その流れにもまれていく覚悟というのが、これからは必要になります。

従業員にとっても、企業への在籍を望むのであれば、今まで以上の努力が必要になります。これは、社員のエンゲージメントの上昇にもつながりますから、やはり企業の生産酸性に直結する部分にもなります。

まとめ

日本のお家芸とも言える「おもてなしの心」や古くからの企業体制で労働生産性が落ち、更に社員のエンゲージメントも低下していっている、日本の現状をお伝えしてきました。

企業内で仕事をしている限りは、国際競争で後れをとりつつある日本の現状など、考える機会はないでしょう。ただ、これからの競合は日本企業だけではなく、世界を相手にしていかないといけないということを、もっと一人一人が自覚する必要があります。

日本の人口は減る一方ですので、経済活動はどんどん停滞していきます。今後は何をするにしても、世界を市場に置くことを前提に考えていく必要があります。

世界の競争で埋もれないためにも、労働生産性の向上は、優先順位を上げて企業が取り組むべきプロジェクトなのです。

一個人では変えることが難しい負の連鎖を止め、いかに危機的状況なのか気づいて、早々に手を打っていくことが求められます。

 

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