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日本の働き方は異常っていうけど正常は何?そもそも何が異常なの?

「日本人の働き方は異常だ!」

こうした海外からの批判は、意外と昔からあります。もちろん、日本人の神経質さは確かに異常ともいえるかもしれません。なにせ、1分電車が遅れただけでも「謝罪」が必要な国です。インドなどにいけば、1時間遅れてもなんの連絡さえないこともありますよ。それはそれですごいことです。

日本は、労働時間が長いことでも世界最高クラスにランクインです。問題は、労働時間が長いのに、GDPが伴っていないこと。世界一労働時間が長いのなら、GDPも世界一多くないとおかしいはずです。労働時間が世界一長いのに、GDPが世界一でないということは、「無駄な労働時間」があるということです。

今回は、日本の働き方は本当に異常なのか?異常であるなら、何が異常なのか?それは直すべきなのか、それともそのままでいいのか、そういったことをいろいろな角度から見ていきたいと思います。

日本の働き方が異常なのは、そこにはもともと「心」があったからなのです。

もくじ

海外の人に日本の働き方が異常だといわれる理由

海外に行くと、空港でも、飲食店でも、お土産屋さんでも「雑」「適当」な仕事が目立つことがありませんでしょうか。

たしかに、仕事中でも平気で私語をしていてり、接客中でもスマホを操作していたり、本当に自分のペースで仕事をしています。これに比べると、日本の接客業は異常です。いや、異常ではなく「素晴らしい」というべきでしょう。

自動車のディーラーなどでは、お客様の車が見えなくなるまでスタッフ全員で頭を下げている光景をみますよね。

日本の仕事に公私混同はあり得ません。お金をいただいている以上、きちんと時間中は自分の使命を果たすのです。これは素晴らしい発想です。

このように、サービスが隅々まで行き届いているというのは、そうではない海外から見れば「異常」ですが「素晴らしいこと」でもあります。でも、海外の人が日本人の働き方を異常だという理由はまだあります。

たとえば、「仕事優先」という考え方です。「仕事だから」といえば「じゃあ仕方がない」となりますよね。こうした考え方も、海外ではあまり通用しません。たとえば、クリスマスなど「仕事?クリスマスだろ!」という感じです。

これは、大阪であれば、岸和田のだんじりに似ているかもしれません。「だんじりなので休みます」が通用する地域ですからね。こうしてみると日本も、意外と「仕事」だけではない部分もあるようです。

日本の働き方は本当に異常なのか なぜ異常なのか

日本の働き方が異常なのは、ブラック企業を見ればわかります。残業、休日出勤、低賃金。パワハラ、モラハラ、セクハラ。こうしたことと直面していても、「仕事だから」と辞めずに働いて身体を壊したり、酷ければ自殺に追い込まれたり、過労死したり、そういったニュースは後を絶ちません。これはいくらなんでも「異常」です。ブラック企業でなくても、日常的に「異常」ともいえることはあるんです。

それは、日本の体質に原因があります。ブラック企業になる要素は、ほぼすべての企業にあるということですね。その根底にあるのは、「プロ意識」だったのですが、今では「欲」に代わってしまっているのかもしれません。

高度経済成長期、「世の中のために働く」という大義があり、その大義があるからこそ、「残業だ!」「休日出勤だ!」「給料安くてもがんばれ!」という発想が通用したのです。こうしたことが、現在でも大義のところの形を変えて残っていて、「世の中のために」が「会社の利益のために」とか「社長の利益のために」にかわってしまっているんですね。それに対し、雇用される側でも、「会社だから」「仕事だから」と自分を殺して働くことになっていて、それが「違う」といえない雰囲気を残しているようです。

働き方が異常だと感じるのは、仕事があっていないから

本来、仕事とは「喜ばれることをして対価を得ること」です。相手に喜ばれることを提供して、「ありがとう」という感謝とともに「お金」という対価をいただくこと。これが仕事です。なので、まず「喜んでいただくこと」が重要なのです。そのために工夫した結果が「サービスの向上」になるのです。日本のサービスが異常に素晴らしいのは、「お客様に喜んでいただくため」です。

それが「異常」だと感じるなら、その仕事はできません。例えば、テーマパークでスタッフが全員スマホを操作しながら私語をして接客していたらどうでしょうか。その方が異常ではありませんか?そこのスタッフも、そんな働き方はしたくはないはずです。

どうやら、「異常」と感じる働き方には、「こういう風に働きたい」という働く側の理想があるようです。これが大切なところです。働く側が、「こういう風に働きたい」という結果が「異常」なほどすごいなら、それは「素晴らしいこと」です。働く側が思ってもいないのに「異常」なほど働かされているなら、それは「ブラック企業」です。

「こういう風に働きたい」と思える仕事を見つけることが大切なんだということですね。好きな仕事、自分が輝ける仕事なら、もっと働くはずです。

なんとなく働かず、なんのために働いているのか、一人ひとりがもっときちんと考えるべき

「まず三年は同じところで頑張ってみるべきだ」

よく聞く話ですね。これは、三年はやってみないとわからないということがあるからです。「ちょっとやってみて面白くなかったけど、三年やったらはまってた!」ということがあるのですね。そしてこの経験は、必ず後々役に立ちます。もちろん「三年やったけどやっぱり面白くないや」ってこともありますが、このあとは不思議と三年しなくても、ものの本質がある程度分かるようになります。

三年やらずに投げ出すのは、ちょっともったいなく思います。誰かに無理やりやらされてでも、三年すると分かることがあります。

また、残業にしても、休日出勤にしても、なんとなくやっていては無駄になるばかりです。「これは残業しないとできないことなのか、休日出勤しないとできないことなのか」あるいは「残業してまですることか、休日出勤してまですることか」をよく考えてするべきです。

なんのためにするのか、よく考えて仕事する癖をつけること。これがないから、無駄な残業や休日出勤が増え、GDPの伴わない労働時間ができるんです。むしろこれこそ「異常」です!

仕事をすることではなく、残業することが優先されているわけです。さらに、有給休暇を取得することに罪悪感を抱いてはいけません!自分が休むことで迷惑する人がいなければ、有給休暇を使ってもいいはずです。休む前には、しっかり仕事を前倒しして自分の仕事をなくしておき、取引先とのやり取りは周りにわかりやすく説明して振っておきます。自分がいなくても誰も困らない状況を作っておけば、有給休暇を取りやすくなります。

また、そうした状況を無理してでも作って有給休暇を取らなければ、有給休暇という制度だけがあって休めないというのは異常です。とくに会社の重要なポジションにいる人は、「俺が休むわけにはいかない」と思っているかもしれませんが、それは大間違いで、あなたが休まなけば、それを差し置いて誰も休めないんです!重要なポジションにいる人こそ、会社に損害を出さないよう工夫して積極的に有給休暇を取るべきです。

飲み会も、上下関係も「なんとなく」付き合っていては、自分のためにも会社のためにもなりません。しっかりと考えて付き合ってください。上司のいうことが理不尽であれば、きちんと反論するべきです。

そのときこそ飲み会を利用してください。また、両親や先輩など、分別のある相談相手をたくさん持ち、誰に相談しても自分が正しいと思われるなら、そんな会社にいつまでもいる必要はいりません。なんとなく空気に流されるのも、異常な働き方を作る原因です。それは本当に重要なことなのか。きちんと考えてください。どうしても違うと思うのに、空気にのまれて流されてはいけません!

まとめ

これまで見てきたように、確かに異常な部分はあります。でも、異常な職場に居座るのも、異常な職場から抜け出すのも自分次第です。自分にあった仕事を探し「こうな風に働きたい」という理想をもって、異常なほど素晴らしい仕事ができるといいですね。

日本の働き方は、確かに海外からすれば異常です。でも、それだけ「すごい」ともいえます。サウジアラビアの王子は、資源のない日本がこれほど発展しているが信じられず、なぜなのかとその原因を視察にきたといいます。

日本の発展の秘密には、「世の中をよくしたい」という戦後の焼け野原の日本を何とかしようと思った人たちの「心」があることは間違いないことです。今では、その「心」の部分がすり替わってしまっているかもしれませんが、できるだけ、一人ひとりが「なんとなく」仕事をするのをやめて、先人たちの「心」や「本質」を考えて働いてほしいものです。

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