私達は日々多くの仕事を抱えています。様々な大口の得意先との取引といった大きなものから、古くからの顧客との取引といった小さなものまで様々なものがあります。また、一見するとたった1つの仕事でも、複数の小さな仕事が積み重なり、1つの大きな仕事を形作っているときもあるでしょう。そういった様々な仕事を目の前にして、私達はどういった優先順位をつけて取り組むべきなのでしょうか。今回は3つの要素を元にして、その順位の決め方を考えていきたいと思っています。「どれから手を付ければ良いかわからない」という方はぜひご覧ください。
もくじ
納期・能力・人間関係と観察力で考える仕事のこと
今回お話させていただく3つの要素とは、あらゆる仕事における「納期」、「能力」、「人間関係」の3つです。後に紹介する優先順位の決め方も、この要素それぞれを加味した上で考えていく決め方になります。その決め方の後にご紹介しますが、その3大要素を加味した上で「ポイント制」にすることで、より具体的に何を優先すべきかがはっきりしてきます。さてそれでは、まずは3大要素について簡単に説明させていただきましょう。
「納期」は文字通り取引先に納品する制作物などを納める時期のことですね。「能力」は仕事を担当するご自身はもちろんのこと、チームで取り組む場合はその人員の方の能力のことも指します。「人間関係」は取引先との関係性だけでなく、ご自身の職場・チームにおける人間関係も指しています。
また、この3大要素を考える上で大切なのは「観察力」です。自分がやろうとしている仕事がどんなものかを見極める力だけでなく、ご自身や職場の方がどういった人間なのか、仕事に対してどのようなパフォーマンスを発揮できるかも理解していなくてはなりません。これを円滑に進める上で大切なのは、「樹形図」を作ることです。中央に取り組もうとしていう仕事を書き、それを取り巻く事象にはどんなものがあるかを書き出してみると良いでしょう。
納期は余裕のあるものを優先して信頼を獲得
納期は余裕のないものよりも余裕のあるものを優先して取り組むようにしましょう。もちろん大前提として、余裕のないものも期限内に終わらせることは当たり前です。その上で余裕のあるものでも先延ばしにせず、少しずつ取り組むようにします。そして期限近くになって終わらせるのではなく、それよりも数日~1週間ほど早いタイミングで終わっていると良いですね。これを徹底すると一時期ものすごく忙しくなる時期というのもできてしまいますが、その忙しさに代わるだけのメリットがあるのも事実です。
第一にそれは信頼です。ご自身が仕事の終わった報告をもらう側になってみてください期限ギリギリよりも余裕がある方が印象も良くなりますよね。具体的な感想としては「この人はやる気があるな」、「この人は能力があるのだな」などがあるでしょう。しかも、納期まで余裕がある方がお互いにフィードバックもしやすく、気持ちの面でも余裕が出てきます。人間余裕のあるものは先延ばしにしがちですが、先延ばしにしてしまうと納期的にも気持ち的にも焦りが出てきます。焦り出すと質の高い仕事ができず、ミスもする可能性があるので注意が必要です。ですので、余裕のある仕事こそ優先して行うようにし複数のメリットを得るべきでしょう。
能力を考えて早く終わらせられるものから優先する
ご自身や仕事に取り組みチームの方の能力によっては、「この仕事はある程度早い時間でできる」というものと、「この仕事はじっくりと時間をかけなくては終わらない」というものとに分けることができると思います。この時、「早く終わらせられる仕事ほど優先するようにしましょう。早く終わらせられる仕事から取り組むことには下記のようなメリットがあります。
- 仕事の総量が減ることに対し心の余裕ができる
- 経験の浅い部下や新人にも任せることができる
- 早く終わらせられるので早く終わらせられた分の信頼を得ることができる
業界や職場での立場にもよりますが、仕事というのはたった1つの仕事に取り組むだけでなく、同時進行で複数の仕事を進めるケースも多いはずです。そんな仕事において早く終わらせられるものに取り組むことは上記のように「心の余裕ができる」、「部下や新人に成長の機会(成功体験)を積ませられる」、「信頼が得られる」というメリットがあります。特に部下や新人に早く終わらせられる仕事を割り振ってあげることは1番のメリットでしょう。最初から時間のかかるものを任せるのはリスキーですし、結局上司などの力を借りることになり仕事のスピードが全体的に遅くなる可能性もあるからです。
今後を左右する人間関係を考えて優先しよう
仕事というのは、その仕事それぞれに必ず数字を伴った成果が出ます。その成果は売上であったり、広告効果であったりするでしょう。ただ、この数字よりも人間関係を考慮した上で優先順位を考えることも大切です。人間関係は数字に現れない部分なので、観察力をより一層働かせなくては見えてこない部分です。その仕事に関わるクライアント、チーム、同僚、上司、会社。あらゆる部分に働く影響力を鑑みて見極める必要があるでしょう。この見極めが上手になると会社での立ち回りも上手くなるかもしれませんね。
具体的には昔からの取引がある得意先との仕事は今度の関係を良好に保つためにも、優先して取り組むべきでしょう。数字ばかりを追いかけて、あるいは得意先であることに甘えて仕事にかかる時間や質をなぁなぁしてしまうのは良くありません。この他にも自分の査定に関わる上司が期待している仕事、自分を懇意にしてくれている上司がセッティングしてくれた仕事なども優先した方が良いかもしれませんね。もちろん、どれも早く終わらせられるに越したことはありませんが、高いクオリティであることも必要ですね。
3つの要素にポイントを割り振って数値化しよう
それでは3つの要素をご理解いただいた上で、それぞれにポイントを割り振ってみましょう。割り振る部門は3つに分けられますが、割り振るポイントの数値はあなたの自由です。その方が優先順位を明確にしやすいですからね。そして、それぞれにポイントを割り振ってみて総合ポイントが高くなった仕事こそ、やはりあなたが最も優先すべき仕事になります。その仕事に対してあなたが今からできる調査・準備・作業を少しずつ進めていき、できるだけ良いものに仕上がるようにご尽力いただければと思います。
仕事をする時間は無限ではありません。そして人生の時間も無限ではありません。限られた時間であるからこそ優先順位をはっきりとさせることで、大切にしていくものです。それに優先順位を決めることで仕事を効率的に進めることができ、成果にも現れてくるはずですよ。さらには今回ご紹介させていただいた方法を実践していけば、今までなんとなくやってきた優先順位の決め方にもあなたなりの規則性が生まれ、今後数十年にわたって活用できるようになるでしょう。そうして見つけた優先順位の決め方をあなたなりに咀嚼し、他の方に紹介してみるのも良いでしょう。
観察力と思考力で見えてくる優先順位の決め方
今回ご紹介した「納期」、「能力」、「人間関係」の3つの要素は、仕事の優先順位を考える上でとても大切な要素になってきます。それぞれどんな仕事にも関わってくるもので、じっくりと観察することで様々な事象が見えてくるはずです。ただ、この要素は仕事それぞれ、あるいは仕事に取り組む方それぞれで優先順位も変わってきますから、ポイントを割り振り数値化するのも良いでしょう。この仕事に対する観察力と何をどれくらい優先するかを決めるための思考力をからめて考えることが重要です。継続していくと皆さんなりの仕事に対する見方もわかってくると思いますので、ぜひ試してみてくださいね。そしてそれを仕事に活用し、時間の有効活用や人材育成にも役立てていきましょう。そうして積み重ねたノウハウがこれからの社会を良くしていくはずです。