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【KJ法とは?】アイデアを明確化する正しい方法と注意点を解説

複数の人間が出し合ったアイデアをグループ化して視覚化できるKJ法は、散らばったアイデアから問題の本質を見つけることができる手法です。KJ法を用いることで断片的な1つ1つのアイデアを結びつけることができます。

膨大なデータを効率的にまとめることができるKJ法は、様々なシーンで活用されています。非常に有効な手法ですが、正しい方法を知らないで行うと効果の薄いものになってしまいます。今回は、アイデアをまとめるのに最適なKJ法について解説します。

もくじ

アイデアを整理して明確化できるKJ法

文化人類学者である川喜田二郎氏が考案した方法で、本人のイニシャルからKJ法と名付けられました。当初は文化人類学のフィールドワークのデータを整理する方法として用いられていました。

情報を整理する中で、本質的な問題を特定したり、新しいアイデアを生み出すことにも効果的であることに気づきました。1967年には川喜田氏が出版した著書「発想法」の中でKJ法について説明しており、整理法としてだけでなく発想法でも有効であることを発信しました。

現在では、企業や学校など大人数で意見を出し合う場所で活用されるようになりました。一定の手段経ることで散らばったアイデアから革新的なアイデアを生み出すことができるKJ法は今やスタンダードな発想術になっています。

KJ法を実践する上で重要な4つのポイント

こんがらがった情報を整頓することができるKJ法。しかし、正しい方法を理解していなければ、期待する効果を得ることは難しいでしょう。段階的な手順を踏んで初めて効果を発揮することができます。

アイデア出し、グループ化、図解化、視覚化という4つの手順は、それぞれに大切な意味があり、順序を守って実行する必要があるんですね。ここからは、KJ法の正しい進め方について解説していきます。KJ法を初めて実行する人は、ぜひ参考にしてみてください。

1.ブレストで出てきたアイデアを付箋紙に書き出す

まずはブレストによって複数の人間からアイデアを出していきます。KJ法では付箋紙や小さなメモ帳などを使って、1枚につき1つのアイデアを書いていきます。複数のアイデアを1枚の紙に書いてしまうと分ける時に面倒なので注意しましょう。

アイデアが出揃ったら机の上に並べたり、ホワイトボードに貼り付けたりして全てのメモを見れるようにします。特別ルールはないので、床に置いても構いません。大事なことはメモを全員で見られるような状態にすることだと覚えておきましょう。

この段階では、乱雑な状態でメモを並べておいて問題ありません。アイデア出しに参加しているメンバー全員の頭の中にあるものを全て出すイメージで、どんどん書き出してください。

2.書き出したアイデアを内容の近いものに分類する

出し合ったアイデアを広げたら、次に内容の近いもの同士をグループ分けしていきます。メモを見ながら「これのアイデアは、このアイデアと内容が似てるよね?」という感じでメンバー同士で話ながら1つ1つのグループに小分けしていきましょう。

分け方はシンプルに同じ内容のメモを重ねていくだけ。無理して関連性を見出す必要はありません。「これはどこにも属さないよね?」とメンバーの大多数が思うなら、そのままにしておいてください。

小分けが完了したら、グループに名前をつけて見やすくしましょう。グループ名は、簡単に内容が理解できるような短い文章にしてください。ここでもメンバー同士で話し合いながら、分かりやすい名前をつけるようにしましょう。

3.まとめたアイデアに名前をつけて図解化する

1つ1つのグループに分けることができたら、グループ名を見ながら内容の近いもの同士を近くに起き直していきます。内容の近いものは近くに置いて、内容の遠いものは遠く置くようにしてください。島を作るイメージです。

関連性のある内容を近くに置き直すことができたら、それぞれのグループを丸く囲んでいきましょう。この作業の中で「このグループは、2つの島に関連してるよね?」「こっちは3つの島に入れるべきかも」という意見も出てくると思います。

この場合、複数の丸で囲んで問題ありません。次に島ごとに繋がりを感じるものに対して矢印と文章で関連性を表していきます。ここでも、どこにも属さないメモが出てくることもありますが、そのまま進めて構いません。

4.グループに文章をつけて視覚化する

KJ法最後のステップは、図解化されたアイデアを文字に起こして1つの図にします。矢印で結んだ関連性のあるグループ達を矢印に沿って文章化することで、アイデアを視覚化する作業です。

1回で完璧な文章を作る必要はありません。意味合いを考えながらメモを書いていき、シンプルな文章を作っていきましょう。「〜のため」のような接続詞を使ってグループの繋がりを文章で表現してみてください。

最終的に完成した文章は新しいアイデアや、問題解決のキッカケとなる答えになっているでしょう。ブレストだけでは見えなかったアイデアに関連性を見出してまとめた文章は、物事の本質を表すものになっているはずです。完成した文章を元に今後のスケジュールや動き方を計画していきましょう。

KJ法を成功させるための注意点

効率的に情報を整理して本質を見つけるができるKJ法ですが、より良いアイデアを完成させるためにはいくつかの注意点があるんです。複数名で進めていくKJ法は、高い集中力が必要になります。

KJ法でアイデアを出す時は、中途半端な思考はしてはいけません。そのため、時には苦行を強いられる時も出てくるでしょう。物事の核心をつくにはそれなりの辛抱が必要です。

ここからは、KJ法を成功させるための注意点を見ていきましょう。

キーワードだけでアイデアを分類してはいけない

アイデアをグループ分けする際にありがちな失敗が、キーワードだけでアイデアを分類してしまうこと。「プロジェクトAって書いてあるから、これとこれは同じだな」と単純に分けてしまうと、関連性の低いもの同士がグループになってしまうことがあります。

グループ分けする時は、必ず文脈をベースに分類してください。文脈の関連性が高いものは、キーワードベースのグループ分けと違い、明確な関連性を持っているはずです。

グループのタイトルをつける際も、単純なカテゴリータイトルをつけるのではなく、グループが表す意味を理解した上でタイトルをつけるようにしましょう。この意識でグループ分けを行うことで、本当に関連性のあるものをまとめることができるようになります。

グループ化できなかったアイデアを切り捨てない

アイデアの中にはグループ化できなかったものも必ずあるでしょう。そんなアイデアは捨ててしまうのではなく、少数意見として残しておいてください。少数意見はメインの意味合いとして考える必要はありませんが、会議の内容として残しておくべき情報です。

実際に行ってみると、どのグループにも属さないアイデアは少なからず出てくるものです。これらのアイデアは最初から要らないものとして扱ってしまうと最終的な文章が薄くなる可能性があります。もしすると1つのアイデアがスパイスになるかもしれません。

また、無理にグループ分けするのも良くありません。1つ1つの工程を経ることで明確さを増していくのがKJ法の特徴です。無理なグループ分けは曖昧なアイデアの塊を量産するだけになってしまうので、注意してくださいね。

中途半端な完成度で終わらせない

KJ法の1番ありがちなミスが中途半端な完成度で終わらせてしまうことなんです。「まぁこれくらいでいいか…」と気を抜いた作業をしてしまうと、全ての作業が意味をなさないものになってしまいます。

また、最終的に完成した文章が、理解しにくいような文章の場合は、気合を入れてゼロから作り直すことも考慮してください。全員が納得できるような文章が完成させられないのは仕方がないことですが、内容のない文章は作り直す必要があります。

核心をついた文章は、物事を前に進めるのに何かしらの効果を発揮するものです。なので中途半端な完成度でKJ法を終わらせてしまうことだけは避けましょう。慣れないうちは時間がかかると思います。会議をする際はある程度のまとまった時間を確保していくようにしてください。

まとめ

今回は、KJ法について解説しました。バラバラのアイデアを整頓するだけでなく、グループ分けを行って最終的に1つの文章に変身させることで、それぞれの意思が形になっていきます。

非常に効率的な発想法ですが、KJ法を行う際は効率を考えないで実行するのがポイントと言えるでしょう。「早く終わらせたい」「適当にやっておけばいいや」などのモチベーションなら初めからやらないほうが良いです。

アイデアの中にはネガティブなものもあります。複数名で仕事をしていれば、こういったことは少なからず起きることですね。そんなアイデアも1つの重要な要素として捉えて、俯瞰的に分析すれば繋がりが見えてくるでしょう。

様々な問題を解決するキッカケになるKJ法。ぜひ活用してみてくださいね!

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