ビジネススキル

イニシアチブをとってビジネスを戦略的に進める

ビジネスにおいて、営業であったり、契約であったり、相手と交渉するシーンは多々あります。そうした交渉や会議の場では、目的とするゴールに近づけるため、あるいは、自分の意見や提案を採用してもらうために、話し合いのなかで、できるだけ会話の主導権を握りたいものです。

その「主導権を握る」ということを、ビジネスでは「イニシアチブをとる」と言います。ここでは、ビジネスで使われる「イニシアチブをとる」という意味、そして、「イニシアチブをとる」ためにどんなことをすればいいのかを紹介していきます。

イニシアチブをとることはビジネスで影響力がある

そもそも、「イニシアチブ」という言葉は、英語の「initiative」からきています。英語の「initiative」のもつ意味は数多く、「主導権、率先した行動」「進取の気性」「決断」「第一歩」「発議権」などがあります。

そのなかで、日本のビジネスシーンで数多く使われる「イニシアチブをとる」という言い方は、おもに「主導権を握る」という意味で使われます。

「主導権を握る」ことは、すなわち、多くのビジネスシーンにおいて、影響力をもつことになると言っても過言ではないでしょう。

イニシアチブをとることは「主導権を握る」こと

日本のビジネスシーンで使われる「イニシアチブをとる」は、前述のとおり、「主導権を握る」という意味で使われることが大半です。

例えば、上司や得意先などから「その件において、君はイニシアチブをとれるのか?」と聞かれた場合は、概ね「主導権を握れるのか?」と問われたと認識していいでしょう。すなわち、事業や手がけている案件について、主導権を握って進めることができるのか? 自らのリードで意見を述べることができるのか? ということです。「イニシアチブをとる」という場面は、会議の席や話し合いの場、顧客への営業活動などで使われることが想定できます。

こうしたビジネス用語は、感覚的に使ったり、何となく認識してそのままにしたりする人も多いものですが、日本語できちんと置き換えられるようにしておくことも大切でしょう。

ほかに「率先した行動力」という意味もある

先に触れた通り、「イニシアチブ」には、「率先した行動」という意味もあります。この場合、「イニシアチブをとる」とは言わず、「イニシアチブがある」「イニシアチブがない」となります。

例えば、「彼はイニシアチブがある」と言えば、彼はやる気がある、自発性があって率先した行動ができる、ということになります。上司や先輩から、「君はイニシアチブがないのか?」と言われたら、「やる気がないのか?」と問われていると受け取ってください。

それでは、実際にどんな場面で「イニシアチブをとる」という言葉が使われているのか、一つずつ見ながら、イニシアチブについての理解を深めていきましょう。

ビジネスでイニシアチブをとるにはどうするか?

多数の出席者がいる会議の席。社内会議でも取引先を含めた社外会議でも、さまざまな意見が交わされて、その場で採決されて、事業などの方向性が決まっていきます。こういった場で「イニシアチブをとる」のは、一見難しいと思われがちです。けれども、ビジネスではこうした多数の前で自らの意見や提案を話したり、プレゼンをしたりする機会が多いものです。

また、営業活動や打ち合わせなど、業務の内容によっては1対1の対話で「イニシアチブをとる」ことが求められるかもしれません。それぞれ、状況に合わせた「イニシアチブをとる」にはどんなことをすればいいのか、ポイントを紹介していきます。

会議やプレゼンでは十分な準備や根回しも必要

重要な会議となれば、参加者には役員など役職の上の人、あるいは、得意先の上司などもいるでしょう。そうなれば、参加するのも少々気後れするかもしれません。けれども、会議で「イニシアチブをとる」ことをめざすなら、まずはそうした苦手意識を取り除き、会議に参加することをポジティブにとらえましょう。

そして、できれば、会議の司会や進行役を進んでやるようにして、積極的に参加します。

また、会議で「イニシアチブをとる」には、周囲の人々を味方につけることも一つの方法です。自分の提案する内容について十分な準備をした上で、その意見を押してくれそうな人や、味方になってくれそうな人に根回しをしておきます。自分の意見の論拠を伝えて、会議の場で応援してもらえるようにしておくのです。

一対一の会話なら聞く側に徹して効果的な質問を

営業活動や交渉ごとなど、1対1の場面で「イニシアチブをとる」ことを意識するなら、聞く側に徹するというのも一つの方法です。

素晴らしい意見を流暢に話し、畳みかけるように話を進めている人のほうが、一見して主導権を握っているように思われます。けれども、一方的に威圧的な態度で話したとしてもそれが「イニシアチブをとる」こととイコールではありません。1対1の対話では、むしろ、聞く側となるほうが主導権を握りやすいこともあります。

相手にはできるだけ多く話してもらい、こちらは、その話に合わせてタイミングよく頷き、的確な質問を投げかけるのです。質問の内容をさりげなく工夫して、相手の話す内容をこちらの意図する方向へと導いていくのです。

相手にしてみれば、気持ちよく話していて、気がついたら意見や提案に納得していた…となるのです。スマートな形で「イニシアチブをとる」ことができるでしょう。

周囲を味方につける非言語メッセージも意識する

例えば、会議やプレゼンの場などで「イニシアチブをとる」には、その場にいる多くの人々に自分の意見や提案に関心をもってもらい、耳を傾けてもらうようにしなければなりません。その際の発信方法も意識してみるのも一つの手です。

人が話を聞く時には、相手の話す言葉の内容だけを聞いているわけではありません。実は、声の抑揚やスピード、さらには、視線や表情、身ぶり手ぶりなども、「聞く側」にとって大きく影響します。これらは非言語メッセージとも言われるものです。

となれば、「イニシアチブをとる」ために、これら非言語メッセージも意識しながら、話し合いに挑んでみてはいかがでしょうか。前向きな意見やプロジェクトを成功させたいという気持ちを伝えたいなら、熱意をもって少し前のめりに…。そういった、話の内容以外のところで発せられるメッセージも相手に確実に伝わります。

イニシアチブをとることでビジネスを戦略的に進める

ビジネスでは、相手と直接会って話し合うシーンが多いもの。それは、ビジネスが人と人との関係で成り立っているからでしょう。「イニシアチブをとる」のも、人との関係のなかで行われ、成り立っているのです。

ビジネスの相手との関係を良好に保ちながら、会議の席や交渉の場で「イニシアチブをとる」ことは、その後のビジネスにおいて大きな影響力をもたらします。すなわち、ビジネスを戦略的に進めるには、話し合いの場で「イニシアチブをとる」ことが重要となってくるのです。

会議では自分の意見や提案を公平かつ有利に運べる

組織によっては、社内会議など決議の場で、役職が上の人の意見が優先されるなど、立場や役職による力関係が決議に影響力を及ぼすという風土があるところもあるでしょう。

そういった組織や企業であれば、会議の席で「イニシアチブをとる」のは、さらに難しいかもしれません。けれども、だからこそ、こうした大勢の参加者の前、公の前で、自らの準備した提案を発表し、熱弁をふるい、参加者の注意をひくことが重要なのではないでしょうか。

こうした社内会議の場で「イニシアチブをとる」ことを実践できれば、それまで力関係で決まっていた決議を、公平に意見を言い合える場として改善することができます。さらに、そうした実績は、競合他社との会議の場においても実力を発揮できると評価され、対外交渉もできる人物として選ばれることでしょう。

交渉の場では優位な立場で契約に挑むことができる

ビジネスにおける営業活動や打ち合わせ、あるいは、資材や商品を購入する際には、条件や価格における交渉の場面が予想されます。ここで「イニシアチブをとる」ことができれば、その営業や契約において「主導権を握る」ことができ、自社が優位な立場で物事を進めることができるのです。

例えば、こちらの提案や条件について、データや情報を駆使して説明し、納得してもらいます。その上で、交渉の相手にとってどこが魅力的でどの条件が進めやすいのかを促していきます。成し遂げたい事業があって、それに対する熱意があり、熟考を重ねた上で会議や交渉の場に挑んだ人こそが「イニシアチブをとれる」のです。

相手の状況をふまえて「イニシアチブをとる」、そして、自分たちに有利な条件に近づける。これらはみな、スマートな交渉術の一歩でしょう。

まとめ

「イニシアチブをとる」とは、ビジネスシーンでよく使われる言い方です。おもに「主導権を握る」という意味で使われています。「率先して行動できる能力」として使われることもあります。

一般的には、「会議の席でイニシアチブをとる」「交渉の場でイニシアチブをとる」などという使われ方をします。

「イニシアチブをとる」ことは難しいと思われますが、ポイントをおさえて自信をもって挑戦してみましょう。まずは、自らの意見や提案には十分な事前準備をすること。その場にいる人を味方につけること。会議の席であれば、進行役に立候補することも「イニシアチブをとる」ことにつながるでしょう。さらに、話す言葉に抑揚をつけたり、身ぶり手ぶりを添えたりして非言語メッセージも有効に使って周囲の関心を集めることもポイントになります。

こうした「イニシアチブをとる」ことは、ビジネスにおいて戦略的に事業を進めることにつながるのです。