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本嫌いでも大丈夫!読書初心者が読むべき本5選

出版業界は斜陽産業と言われて久しいですが、そんな今だからこそ読書をはじめてみるというのも、同じような毎日を変える一つの方法として有効です。
でも、いざ本を読んでみようと思ったところで、読書初心者が悩むのは、まずどんな本を読んでみればいいのか?ということではないでしょうか。

そこで今回は、読書初心者の人のために、本を好きになる本の選び方、そして趣味・傾向にマッチする読書初心者でもスイスイ読める本を紹介します。

もくじ

本を読まない人が増えている?「目が滑る」減少に悩む人も

スマホやパソコン上でのインターネットの普及によって、書店で本を買って読む、という人は著しく減少しています。2017年の年間売り上げ金額の減少幅は過去最大のものとなり、ほとんどの人がデータで情報を得る時代になりました。

スマホなどで簡単に見ることができるいわゆる”まとめサイト””キュレーションサイト”では、一文あたりの文字数が少なく、さらに行間には長い間をつくることで、特に意識しなくとも読めたような気持ちになる構成が目立ちます。

せっかくの小説などもスマホで簡単に「題名 ネタバレ」で検索すれば数分で話を分かったような気持ちになり、ますます本離れを悪化させている一因とも考えられます。

文章を読むことに慣れていない人が初めて本を読むと、「目が滑る」…すなわち目で字を追ってはいるものの、文章の意味を深く理解しないままで終わってしまうという人も多いのです。

しかし、読書によって得られる知識、教養は大きく、価値観が広がったり、さまざまな仕事の内情がわかったり、経験したことのないライフイベントを知ることもでき、非常に有益です。

読書を始めようと思ったあなたは、これからたくさんの世界を本を通して知り、また考え方を広げ、人生を豊かにすることができるでしょう。ただしその前に、最初に出会う本がよき本であるよう、以下に紹介するような方法で「本を選ぶ」ことも大切なのです。

読書初心者におすすめ!本が好きになる本の選び方

読書初心者の人は、本を読もう!と思って書店や図書館を訪れてみても、膨大な書籍の山のうち、いったいどこから始めてみればよいのか、迷う人が多いでしょう。

そのような場合、闇雲に目についた本を手に取ってみるという方法もありますが、ギャンブルで大博打を打つようなものです。読者初心者ほど、読む本をよく選ぶ必要があります。

最初に読んだ本が自分に合わないもので、その後本嫌いにならないためにも最初の本選びは重要です。

文章量が少ないものから選んで、読了の喜びを覚える

本嫌いな人の中には、過去にも挑戦してみたけれど、最後まで読み切ることができず、途中で投げ出してしまい、それ以降本にあまりよいイメージがないという人もいるのではないでしょうか。

勉強や仕事と同じように、実は読書でも「読み切る」という体験をすることが大切です。

おそらく最初の読書では、自分のキャパシティを超える文章量や内容のものを選んだがために、読了(最後まで読み切ること)せずに終わってしまったのではないでしょうか。

読書初心者が本を好きになるためには、そしていろいろな本に挑戦するためには、最初の1冊を選ぶ際、短編集やショート・ショートなどの文章量が少ないものから始めることをおすすめします。

特にショート・ショートは、小説の中でも特に短いものを指します。このような本を選んで、まずは1話読み切るという体験をしてみましょう。

ショート・ショートなら読書初心者の人でも飽きずに読めて、遅くとも20分あれば簡単に読めてしまいます。1話読んだら翌日にもう1話、今度は2話ずつ…というように短い区切りで読み進めていくことで、1冊を読了することは難しくありません。

読み切り形式のショート・ショートだからこそ、読了後の爽快感、達成感などの喜びを実感でき、「本を読むのもいいな」という感覚をつかむのにぴったりなのです。

趣味に関する本から読んでみる!好奇心で本も読みやすくなる

文章量が少ないものから読んでみるのもいいのですが、「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、好きなもの・ことに関する本を読むと、興味や関心から読書初心者の人でも比較的簡単に読み進めることができます。

たとえば好きな芸能人がいる場合は、初めに読むのは好きな芸能人のエッセイ、いわゆるタレント本でもいいのです。読み進めるたびに好きな人の情報を深く知ることができるという喜びがあるので、読書自体も楽しむことができるでしょう。

また、好きなスポーツ選手がいる場合はそのスポーツ選手のトレーニング本でもいいですし、コーヒーが好きな人は、おいしいコーヒーのいれ方に関する本を読んでみてもよいでしょう。

本を読むことで、好きなことがもっと好きになれ、さらに文章を読む力も身につくため、一石二鳥です。

読書初心者でもスイスイ読める本5選

読書初心者の人の中には、特に趣味もないし、そうなるとどんな本から読めばいいのかわからない…という人もいるでしょう。そんな人に、具体的にどの本を手に取ってみればよいのか、読書初心者の人でも抵抗なく読める本を紹介します。

星新一のショートショート『悪魔のいる天国』

前述したショートショートは読書初心者の人におすすめですが、そのショートショートの中でも秀逸なのが星新一の描く不思議な世界にまつわるショートショートです。

最初に読んだときにはまったく想像できないような結末が待っているのに加え、そこにたどりつくまでの時間・文章が短く、あまり長い文章は読めない…という読書初心者におすすめです。

『悪魔のいる天国』は、星新一作品の中でも秀逸と名高く、現在のAIの普及・発展を予期していたかのような(この書籍自体は1975年に出版されたものです)、ロボットタイプのインコに関する『肩の上の秘書』は、思いもよらない結末を迎えます。

そのほかにも、日常生活に潜む闇、SFファンタジーなど、とにかく1冊の中で体験できる世界、繰り広げられる世界が広く、読んだ後に十分な満足感を得ることができます。

赤川次郎の短編集の中の名作『回送電車』

こちらも少し前の作品にはなりますが、赤川次郎の小説も読書初心者におすすめです。文章が読みやすく、情景の描写がわかりやすく、まるでドラマを見ているかのような感覚で小説を読みすすめることができます。

赤川次郎の作品は非常に多岐にわたるのですが、その中でも『回送電車』は長編小説ではなくいわゆる短編集、オムニバスとも呼ばれる形式のもので、一話一話異なる人物の視点から、共通する電車をテーマに話が進んでいきます。

人生はうまくいかないことが多く、性別・年齢・職業を超えてそれを実感している主人公たちに共感できる人も多いでしょう。読書初心者の人でも、このような主人公たちに共感できるからこそ、最後まで読み進めることができるという理由で、読書初心者の人におすすめしたい一冊です。

乙一のホラー系短編集『ZOO1・ZOO2』

ホラー・サスペンス系の映画や漫画が好き!という人におすすめなのが、乙一の小説です。弱冠17歳で小説家デビューした乙一が手掛ける短編集ですが、叙述トリックという、読者の先入観や思い込みを利用したトリックが多用されており、最後に「そうきたか!」「だまされた!」という意外性を楽しむことができます。

ドラマや映画などで「どんでん返し」が用意されているものを好んで見る人には、特におすすめできる一冊です。

単行本ではZOO1とZOO2にわかれているのですが、ZOO1に収録されている『SEVEN ROOMS』という話は、まるで映画の『SAW(ソウ)』のような世界観で、ホラー要素が強いため、心臓の弱い人や、想像力の豊かな読書初心者にはおすすめできません。

ただ、それ以外に関しては、少し不思議な世界で繰り広げられる主人公たちの以外な結末が楽しめるため、本を読んでも「だまされたい!」と思う読書初心者はぜひ手にとってみてください。

東野圭吾の秀逸ミステリ『仮面山荘殺人事件』

東野圭吾の作品は、テレビ以外にも映画化されていたり、普段読書をしない人でも目にしやすいのではないでしょうか。この『仮面山荘殺人事件』は、ある山荘(仮面山荘)に主人公が招待され、招待した主人公の元恋人の父親や、いとこなどの8人の宿泊客が余暇を過ごしているところに、二人組の強盗が入ることから始まります。

閉ざされた空間である山荘、主人公の亡くなった元恋人の死因、強盗が招く予想外の自体…。文章自体は非常に読みやすく、やはりサスペンスドラマを見ているような感覚で、次はどうなるのか?という好奇心から、次々と読み進めることができます。

この小説は長編小説ですが、登場人物が限られていること、そしてセリフが多いために本の厚さの割には読み終えるまでの時間が短いことが影響して、読書初心者でも十分に読了することができます。

最後の結末は、予測できない人が多く、トリックを見抜くことも楽しめるので、普段からサスペンスドラマをよく見ている人にはおすすめの小説です。

田辺聖子の恋愛短編集『孤独な夜のココア』

サスペンスものや、人が殺されるような話はちょっと受け付けない…という読書初心者の人は、恋愛小説を試してみてはいかがでしょうか。

恋愛ものでも、最初から長編を選んでしまうと、読者初心者の中にはなかなか進展しない関係や、終わりの見えにくい展開を目の前にして、読了に至らない人も多くなってしまう可能性があります。

そのため、恋愛ものなら短編集がおすすめです。『孤独な夜のココア』は、昭和53年に発刊された小説であるものの、時代の古さを感じさせない当時の、現代の女性にも共通する恋愛への切なさ、一時期の想いを寄せ合う刹那がよく表現されている恋愛ものです。

恋愛小説となると、場合によっては暗くなってしまうものも多いのですが、著者の人となりが表れているのか、むしろ読んだ後に「過ぎたことほど美しい」とスッキリとした気持ちになることができる小説であり、読書初心者にもおすすめしやすい小説です。

まとめ

読書から得るものは、知識だけではなく、多様な考え方や価値観、自分がきいたことがないような国のこと、まだ進んでいないライフステージに起こりうる問題などを知ることができる非常に有益なものです。

読書に興味はあるけれど、どこから手をつけたらよいかわからない場合、一つの話が短めか、あるいは自分が興味関心をもって読める分野の本を選びましょう。

それでも何を読めばいいかがわからない場合は、ここで紹介した小説を手に取ってみてください。本を開いたら最後、秀逸な展開、文章表現に本を読む目を止めることが難しくなるでしょう。

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