ビジネススキル

俯瞰力はビジネスにおける判断や予測を高める

俯瞰力と聞いて、あなたはどんなことを思い浮かべますか?

俯瞰とは、ものごとを高い所から見下ろして眺めること。鳥が上空から見下ろすような目線は鳥瞰と言います。俯瞰力とは、離れた場所から物事や状況の全体を見渡すスキルということになります。

この俯瞰力をつけることは、ビジネスにおいてどのような時に役立つのでしょうか。ここでは、マネジメントやスキルアップにつながることを中心にご紹介していきます。

留意してほしいのは、ただ俯瞰すればいい…のではないということ。大切なのは、俯瞰して見えてきたことによって、その後どう行動するかです。俯瞰力は次の行動をするための判断材料を集めるスキルとも言えるでしょう。

もくじ

俯瞰力が必要って言われるけれど、なぜ?

俯瞰力はその名の通り、俯瞰する力。ビジネスシーンにおいては、業務やプロセス全体を眺めることになります。

日頃は目の前の業務や作業に追われることも多いと思いますが、忙しい最中でも、一呼吸おいて、業務全体を俯瞰してみてはどうでしょうか? すると、業務に関わっているスタッフ動きや、作業時間の流れ、そして、現場ごとの生産量や利益率など全体の様子を知ることができます。こうしたことが分かれば、どこを改善すればいいかも分かってくるでしょう。

俯瞰力が求められるのは、全体を見渡すことで、こうした現状の把握をすることができること、そして、次に起こりうる状況や展開も予測できるようになるからなのです。

俯瞰力によって視野を広げて状況判断をする

目の前の作業に没頭してしまうと、どうしても視野が狭くなりがちです。そんな時、あえて俯瞰力を意識してみてはいかがでしょう。

視点が広がることで、自分の受け持つ業務が全体のなかでどういう位置づけなのかが見えてきます。一連の流れが分かれば、求められていることに対して、より完成度の高い作業をすることもできるでしょう。その一方で、どのポジションで作業の遅れが出ているか、時間やスタッフの無駄があるかも見えてきます。

俯瞰することによって、こういった問題があっても、それに対する対応も素早くできるでしょう。スタッフの一員だったとしても、現場ならではのアイデアも発言できるでしょう。

視野が広がるからこそ、状況に合わせた具体的な対策を考えられるのです。

俯瞰力はビジネスマンの総合力も高める

俯瞰力は全体の状況を見るだけではありません。多角的に見ることで、現状の判断やそれによる予測もできるようになるのです。

スポーツの試合などでは、その展開を予測できるようにあえて俯瞰で考えて動く選手もいます。ビジネスのシーンでも同じく、次の一手を考えるためにも、現状の把握と今後の予測ができなければなりません。そのために俯瞰力が必要となってくるのです。

一般的に、入社間もない頃は所属先で求められる専門技能の向上を目指すものですが、一定レベルに達した後は、その人の人間力とも言われる総合力が求められます。

チームリーダーとなれば、スタッフの能力を判断した上で、他の部署との連携事業などで周囲との調整力も求められます。そのような時に、俯瞰力を含めた総合力を発揮していくことで、多くの課題を乗り越えられるでしょう。

俯瞰力をつけて戦略のシナリオを描く

俯瞰力をつけることで、その人がグローバルに成長できるきっかけとなるものです。

ビジネスの現場では、現状を見極め、その判断によって次の一手を考えていきます。ですから、現状を俯瞰することはビジネスシーンにおいて重要視されているのです。

俯瞰力をつければ、部署全体、事業全体、会社全体の状況も理解できるようになります。すると、次にどういった戦略をとるべきかを容易に考えられるでしょう。ビジネスアイデアや発想も湧いてきます。俯瞰力がつけば、ビジネスにおいての次のプランを描くことができるようになり、マネジメント力も上がってくるのです。

ビジネスにおいて俯瞰力を養うメリットは3つ

ビジネスシーンにおいて、俯瞰力をつけておくメリットは大きく3つあります。

  • 事業やプロジェクトの方向性を予測できる。
  • 目的や目標に対してぶれない意見やプランを出せる。
  • 客観的に考えることができる。

どれも、全体の流れや状況を把握することでできること。二歩も三歩も先を考えてプランを立てるのに俯瞰力はおおいに役立つのです。

また、俯瞰力は、リーダーや上に立つ人だけがするものではありません。現場の第一線で作業したり取り組んだりしている人も、その業務に対して俯瞰して見ることは大切です。自らの成長を求め、グローバルな視点を養いたい人に俯瞰力は欠かせないでしょう。

事業プロセスや効率を見直す一歩になる

現在の業務が上手く進まない、どうも取り組みが空回りしているといった状況ならば、もしかしたら、俯瞰して状況を把握してみることで解決策が見えてくるかもしれません。

業務に邁進すると、目の前の作業や顧客や関係部署などの状況に気をとられがちです。ところが、俯瞰すると事業全体の流れを見ようとするために、自分の作業がどのプロセスに影響を与えているのかも見えてきます。そこで、事業全体の効率を考えることができ、対策の方向性が見えてくることもあります。

要は、プロセスに問題がある時も、全体の効率を上げたい時も、まずは全体の動きを俯瞰することが解決の一歩になるということです。

俯瞰力を養うために必要なことは?

ここまで俯瞰力を備えることの大切さをご紹介してきましたが、では俯瞰力を養うにはどうしたらいいのでしょうか。

俯瞰力をつけるのに、特別な専門知識などは必要としません。俯瞰力は知的マネジメントの一つですし、意識しないとなかなかできないことでもあるでしょう。

事業やプロジェクトの状況を知ろうとするなら、例えば、周辺の状況についての資料や報告書に目を通してみたり、あるいは、他の部署の人とコミュニケーションをとって様子を聞いてみたり、同僚と現状を話し合って情報交換するのもいいかもしれません。俯瞰力をつけるため、まずは意識することと情報収集することです。

個々のタスクと俯瞰のバランスを図る

俯瞰力を養う上で大切なことは、俯瞰ばかりしないこと。上から目線で眺めてばかりいても、作業は一向に進みません。

スタッフであれば、目の前にある作業をこなしつつ、時間を作ってあえて俯瞰してみる。あるいはリーダーやマネージャーであれば、全体の進行状況を監督しているだけでなく、時には現場におりてきて、個々の業務がどうなっているのか、現場をどうサポートしたらいいのかなどを確認してみてください。現場の作業と俯瞰することのバランスを考えて行動することも、俯瞰力を発揮する上で重要です。

ビジネスではご存じのように、個々の作業による営みがあるからこそ、会社全体に利益が生まれます。全体像だけを把握していて個々の損益が分からなければ、問題点を見失うことにもなりかねません。現場の重要性を意識しつつ、俯瞰力を養ってください。

スタンスを変えて公平に考える

俯瞰で全体を見る時は、できるだけ偏りなく公平に見る必要があります。偏っていると正しい判断も予測もできません。

ここは俯瞰力の難しいところの一つでしょう。誰もが多少なりと主観をもって見てしまいますから、俯瞰で見る時はできるだけ公平になるよう心掛けてください。そのためには、立場や役職などを変えて見てみることです。

例えば、あなたが役職やリーダーであれば、現場のスタッフの立場ならどう思い、どう考えるだろうか…と。あるいは、あなたがスタッフであれば、上司やマネージャーなら、この状況をどう判断するだろうか、あるいは隣の部署のメンバーだったらどう受け止めるかなど、立場や立ち位置を変えて考えてみるのです。

こうすることで偏った見かたが減り、より公平な俯瞰力に近づくでしょう。

自分自身も俯瞰で見てみる

俯瞰することは、ビジネスシーンに限ったことではありません。自分自身を俯瞰で見ることもできます。それは、自分を客観的に見るもう一人の自分を想像してみることです。

これまで自分の状況を不満に思ったり、感情的になったりしていた人も、きっと視野を広げることができるでしょう。家族や仲間、地域や組織などを俯瞰して見ることで、他の人の立場や状況を冷静に理解でき、もしストレスがあればその原因が分かってくるかもしれません。

また、未来も含めた人生という時間軸で俯瞰してみることもできるでしょう。案外、今はいい状況なのか、あるいは現状に甘んじているけれど、奮起して新天地をめざしたほうがいいのかなども見えてくるかもしれません。

自分を客観視できるこの俯瞰力をさまざまなシーンで応用してみてはいかがでしょう。

まとめ

俯瞰力についてご紹介しました。ビジネスにおいて日々の業務に磨きをかける、あるいは、自分自身がグローバルに成長するために、俯瞰力を身につけることはおおいに役立ちます。

俯瞰で見ることで、現状を客観的に把握することができ、それによって適切な判断をすることもできます。さらに、次の展開を予測できるようにもなります。

俯瞰力をつけるのは難しいことではありませんが、個々の現場と全体を俯瞰で見ることをバランスよく試みたり、自分とは異なる立場や立ち位置で現状を考察したりすることもトレーニングになるでしょう。

そして、俯瞰力はビジネスシーンに限ったことではありません。身近な人間関係や将来の設計などさまざまなシーンで活用できるスキルでもあるでしょう。

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