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時代の変化から考えるこれからの働き方 第4次産業革命は目前に

インターネットを中心とした技術革新は、近年益々その勢いを増しています。経産省は2017年に、生産・販売・生活のあらゆる分野で、これまでの価値観やスタイルが一変する「第4次産業革命」が、各国で進行中であるという報告を行いました。

第4次革命の中心となる技術は人工知能(AI)とIOT(Internet Of Things)であり、特に国際経済の中で日本の立ち位置が厳しくなるだろうと予測されています。

また、日本国内では少子高齢化に伴う人口減少が続いています。

果たして、こうした時代の変化は、私たちの働き方にどのような影響を与えるのでしょうか。

2010年代までの日本 第1次産業から第3次産業の時代へ

経済の変化は今に始まったことではありません。日本はこれまで何度か大きな変化を経験してきました。特に、戦後から2010年代現在の雇用状況を見てみると、第1次産業の縮小、第3次産業の拡大の流れを見ることができます。

内閣府の調査によれば、産業別の就業者の構成割合は、1950年は農林漁業が48.5%を占め、製造業は15.8%、卸売・小売業は11.1%、サービス業は9.2%です。1970年には、高度経済成長の影響により農林漁業の割合が大きく低下します。反対に製造業の割合が伸びていました。

現在では、サービス業が拡大を続け、サービス業を含む第三次産業従事者の割合は、全体の約70%に達しています。

自然を加工し、物を作る国から、情報や娯楽、介護や福祉などのサービスを行う国へと日本が変化していることが分かります。

世界経済の重心 経済の中心は日本ではない?

戦後、アメリカ及びEUは世界の経済に強い影響力を持っていました。日本は経済規模では劣るものの高い成長率を見せ、日本の勤労意欲を学ぶためにアメリカから研究されるほどでした。しかし、2010年代以降はこの様相は大きく変化します。ASEANやインド等の新興国が高い成長率をみせ、国際経済に進出しています。

このような予測を裏付ける指標の一つに、「潜在成長率」という計算があります。その国の資本・労働・生産性を基にGDP(国内総生産)の伸び率を予測するものです。

世界銀行によれば、1981~1991にかけての日本の潜在成長率は4.4%を誇りましたが、2014年には0.6%まで減少しています。アメリカは2.3%、イギリスは2.9%、ドイツは1.7%という数値と比較すると、先進国でも日本の値が低いことが分かります。

経済規模(GDP)は25年で半分以下に

世界銀行は、こうした予測からGDPシェアを算出し、2050年には、日本の経済規模は韓国に並ぶ水準まで低下すると結論付けました。代わりに、中国・インド・ASEAN諸国が全体の4割弱を占めるとされています。

GDP(国内総生産)は、国内で新たに生産された商品・サービスの付加価値の総量を算定したものです。世界全体のGDPに対する割合は、1990年、日本は13.8%、アメリカは26.5%、EUは31.5%、中国は1.8%、ASEANやインドはそれぞれ1.4%程度でした。日本・アメリカ・EUで全体の70%を占めています。

2014年になると日本は5.7%、アメリカは21.0%、EUは22.1%と大きく減少し、中国は12.5%と10倍近い成長を見せ、ASEANは2.1%、インドは2.5%と増加しています。

2050年には、日本は2.8%、アメリカは14.9%、EUは13.3%と、かつて全体の70%を占めていた規模が30%にまで減少すると予想されています。反対に、中国は19.3%、ASEANは6.0%、インドは10.1%と成長を続けます。

中国・インド・ASEAN アジア新興国の台頭

上記のように、中国、ASEAN、インド等の新興国の経済成長は目覚ましく、今後数十年間世界の経済を牽引していく可能性は高いと言えます。

このような成長の要因の一つには、他国の企業誘致に成功していることが挙げられます。例えば中国では、日本経済との力の差を解消するため、経済特区を設け、海外企業の誘致を進めました。そうした企業の技術やノウハウを吸収し、自国生産品の輸出を強化しました。

一方で、IMF(国際通貨基金)の報告によれば、ブラジルなど新興国の一部では成長率が伸び悩んでいるとされています。これは、それらの国々が、先進国への輸出や、先進国からの投資を受けて経済を成長させていたためだと考えられています。このような国々は、先進諸国の経済が不活性になると、その影響を受けてしまいます。

新興国の台頭には、国際経済の複雑な要因が影響し合っていることには注意が必要です。

6分の1の人口が減り3人に一人が高齢者

一方で、日本の成長率の停滞には、国際関係よりも大きな要因があります。その最大の原因が少子高齢化です。

総務省によれば、21世紀末には、日本の人口は6,000万人を切ると推計されています。今後の80年ほどで日本人が半分近くまで減少するということです。

また高齢化率は、2025年には30%を超え、50年後は40%弱に達する見込みです。少なくとも3人に一人が、やがては2人に一人が高齢者となります。

高齢者を支える現行の社会保障制度の継続は難しくなり、体力の衰えによる労働力の減少、所得の減少に伴う購買力の低下等、あらゆる理由により経済規模は縮小するでしょう。

有史以来、これほどの規模で少子高齢化が発生した国はまだ発見されていません。日本政府も有効な政策を実現できておらず、これらはまず避けられない予測だと考えるべきです。

時代の変化に対応するこれからの企業とは?

経済を牽引する中心地の移動、複雑な関係で成り立つ国際的経済、日本の人口減少、以上の3つが、日本のビジネスの時代の変化に関係する主要因です。

今後日本は経済活力が低下し、これまでと同様の産業形態では継続が困難であると予想できます。設備に対する企業投資も、90年代以降は低下傾向にあり、新たな「イノベーション」を発生させるには環境的にも不利です。

このような視点で考えた時、日本企業にはどのような在り方が考えられるのでしょうか。

「GVC」という考え方 国際社会での貢献度を上げる

2000年代以降の国際経済を考える上で、一つの指標となるのがグローバル・バリューチェーン(GVC)です。

一例としてApple社のiPhoneの生産過程が挙げられます。2009年の同商品の小売価格は500ドルでした。この500ドルが、各国の企業にどのように分配されたかを調査すると、

アメリカの企業が331ドル、日本・韓国・ドイツ等が合計で162ドル、中国が7ドルであることが分かりました。

この値段の差は、それぞれの国で生産されている部品及び製造過程の市場価格の差から起こるものです。当時高い価値を持ち、また生産に技術を要するタッチスクリーンなどを、日本の東芝が製作していたため、日本の取り分が多くなったと考えられています。

参考に、製造業以外で外需に対するGVCのシェアを見てみると、建設、卸売りが併せて40%程、95年以降拡大傾向にあり、日本が同分野で強いことが分かります(World Input-Output Database 「World Input-Output Tables ,November 2013」 )。

国際経済におけるGVCの中で、どのように貢献度を高めるかが、企業の戦略の一つと言えるでしょう。

消費者が評価する「高技能労働」を強化する

World Input-Output Database (2009年)によれば、GVCへの貢献度を労働者から評価したとき、他の先進国と比較して日本の弱点となるのが「高技能労働者」です。

同調査は、労働者の技能を低・中・高と分類し、それぞれが自国のGVC所得に対しどの程度貢献しているかをスコアにしています。高技能労働者とは4年制大学卒業以上、中技能は短大・高卒程度、低技能はそれ以外の者を指します。

それによれば、日本は中技能労働者の貢献度が最も高く、1.2、高技能は1.0でした。アメリカは高技能が1.4、中技能が1.0、ドイツは高技能が1.7、中技能1.5と、どちらも高技能労働者の貢献度が高くなっています。

一方で、中技能労働者の業務はルーティンが多く、その需要はAIや機会に代替される可能性が高いと分析されています。

ドイツは日本と同様に人口減少の傾向がありますが、すでにこうした動向を察知し、中技能労働者が高技能労働者になるための投資を実施しています。結果、GVC所得のシェアを、1995年から2011年にかけて1.5倍ほどに伸ばしています。

このように、GVCへの貢献度を高める手段として、高技能労働者の強化が、戦術として有効と考えられます。

「無形資産投資」人や技術、形の無い資産に投資する

上記のように、日本がこれまで主力としていた技術や技能は、GVCへの貢献としてみた場合、強みとなりえない可能性があります。高技能労働者の育成や、力を活かす設備、環境整備に対する投資が必要になります。

「産業別無形資産投資と日本の経済成長」(2013)によれば、無形資産は以下の3つに分類されます。

一つ目は「情報化資産」で、パッケージソフトウェアや自社開発のソフトウェアです。二つ目は「革新的資産」で、科学およびエンジニアリング研究開発、鉱物探査、著作権及び商標権、その他の製品開発、デザイン及び研究開発です。三つめは「経済的競争力資産」で、ブランド資産、企業固有の人的資本、組織改編を指します

資産投資は競争力の向上に大きな相関関係があるとされ、無形資産に対する投資では特にアメリカが力を入れています。アメリカは1995年以降、無形資産への投資額が有形資産を上回っており、GDP比に対し13%になります。日本は8%であり、まだまだ今後が期待される分野です。

時代の変化に対応するこれからの働き方とは?

以上のように、時代の変化に対し、企業の形は転換期を迎えています。これは日本で働く労働者も例外ではありません。

働く人々が特に注意しなければならないのは、こうした産業構造の変化や人口の変化が、これまでに前例の無い水準で起きているということです。

したがって、「~の資格を持てば確実にどこでも働くことができる」、「~に投資すれば利益を得ることができる」といったような、過去の成功事例に倣って行動することは、今後ますます難しくなるという予測が立ちます。

このような時代に、働く人々はどのような準備・対応をすればよいのでしょうか。

20代に学んだ技術や知識だけでは通用しない

最初の前提として、大学や学校で学んだ知識や技術は、老後仕事を引退するまでには使えなくなっている可能性が高いということです。プログラミング等の進化ももちろん、英語等の言語も翻訳ソフトの改良によっては別のものに代替される可能性があります。

したがって、学校を卒業し仕事を始めてからも、新たなスキルの獲得に向けた学習が必要となります。場合によって、一度仕事を辞め、もう一度学校へ行って就学期間をとるなど、柔軟な対応が必要になります。

こうしたライフプランは、これまでの社会では少数でしたが、今後多くの人がそうなる可能性があります。

「ワークシフト」の著者リンダ・グラットンは、人生において手探りで自分の適性や生き方を探求するような時期を、エクスプローラーと名付けました。

エクスプローラーは本来高校生~大学生や20代前半を指す言葉でした。しかし今後は、30代や40代にもう一度エクスプローラーを経験し、新たな職場でその能力を発揮するような、これまでにないライフプランが必要だと、同著で指摘されています。

様々な境界、「内と外」をつなぐコーディネート能力

国際経済の進展により、移動を続ける経済の中心地に対応するには、国や企業を超えて関係を作る力が、これまで以上に必要となります。

日本での外国人労働者はますます増えるでしょうし、反対にインドや中国、アジア圏に出向する機会も増えることでしょう。

こうした動きは国際企業に限定されるものではありません。医療や福祉の分野でも同様の動きが起こりつつあります。人口減少が進む地域では、社会保障費の削減、増え続ける高齢者に対する支援の多岐化に伴い、医療・介護・地域行政が協働して取り組む「地域医療」も活発化しています。

これまで関りの無かった外の世界と、自分たちの属する内の世界を接続する、新しい力が必要とされます。問題解決、交渉、言語といったコミュニケーション能力は、その前提要件となるでしょう。

高齢化はリスクと同時にチャンス 寿命と健康

BBCによれば、各国で差はあるものの、平均寿命は以前伸びつつあると報告されています。

日本においても、1950年には60歳程度であった平均寿命が、2010年には83歳にまで伸びました。アメリカの研究によれば、2007年に生まれた日本の子どもの半分が、107歳まで生きると予測されています(コートホート平均年齢)。

日本の年金制度を考慮にいれると、高齢化は老後に必要な資産が増やすリスクでもあります。しかし、健康な期間が延びると考えた場合、新たなスキルを獲得し、別の仕事を行うためのチャンスでもあります。

寿命には、健康で若々しい体でいられる「健康寿命」という考え方があります。新しいスキルの獲得と共に、健康寿命を延ばすための取り組みを行えば、高齢化社会は一つのビジネスチャンスとして捉えることができす。

まとめ

近年、技術革新は益々その速度を速め、企業、労働、生活、生命などあらゆる分野に変化をもたらしつつあります。

日本は高度成長期に黄金期を迎えたものの、すでに経済の中心地は移動してしまったという厳しい見方があります。また、有史に例のない人口減少の時期に差し掛かっており、その具体的な対策の手立てはどこにも見つかっていない現状があります。

このような中、国際経済において日本が経済的価値を高めるためには、企業・個人共々、新しい考え方を取り入れる必要があります。

それはビジネスのみならず、働き方、生き方という面でも同様です。学校を卒業して一つの企業で働き、60~65歳で引退、老後の生活を送るというライフプランは、すでに通用しなくなっています。

このような時代の変化の中で、どのように働き生きるべきかを真剣に考え、未来に備えた準備や行動をとることは、これまで以上に大事になるでしょう。

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