キャリアプラン

新卒の離職率は平均30%!?高い業界と低い業界に見るキャリアの考え方

いくつもの会社の面接を受け、焦燥感や辛い思いをしながらやっと内定をもらって社会人として働き始める人がほとんどです。そんな思いをしたにも関わらず、離職してしまうのはなぜなのでしょうか?

今回は新卒者の離職率などを中心に、離職しやすい人や、離職されやすい職場とはどのようなものが多いのかを考えてみます。

特に新卒者の離職率が高い会社運営者の方は、しっかりとこのことを考えることが大事です。新卒者の方も、離職することのメリット、デメリットを考えてから決断をすることが重要です。

もくじ

新卒者の離職率は5年連続でほぼ変わっていない

厚生労働省のデータによると、新卒者の離職率はここ5年間でほぼ変わっておらず、およそ30%台です。過去30年間のデータを見てみても、新卒者の離職率はほぼ変わらない数値となっています。

ここから考えられるのは、今の新卒者が特別我慢や根性が足りないということではない。ということです。

裏を返せば3年以内に新卒者のあなたが離職したいと感じることは、特別あなたに問題があるわけではなく、ごく普通に起こる感情だということです。ただし、離職を考えるのであれば現状で離職した場合のメリット、デメリットは考えておく必要があります。

メリットとしての代表格は、その場から離れることができることです。

労働環境、人間関係など離職したい理由は色々ありますが、どうあれその場から離れることができれば、そこから生じている全ての問題から一瞬で開放されます。ストレスなどが限界点に近い場合などは、これは非常に大きなメリットと言えます。

デメリットの代表は収入がなくなることです。

また、正当だと思われる事由もないのに、むやみに離職を繰り返していると、次の就職先が見つかりにくくなることもあります。離職を考える場合は、この2つぐらいは考慮しておくべきです。

新卒離職率の高い職種と低い職種、あなたはどう思いますか?

大学新卒者の離職率を職種別に見た場合、職種ごとに結構明確な差がデータとして現れています。このデータの上での離職率の高低が、そのままその職種の良し悪しとイコールではありません。

就職する時に、始めからその職場をステップアップに使う場合もありますし、離職して職場を変えることでキャリアアップに繋がる職種などもありますので、あくまでも1つのデータとして見てください。これを見て、あなたはどのように思うでしょうか?

大卒新卒者の離職率が高い職種トップ5とその理由

  1. 宿泊業・飲食サービス業
  2. 生活関連サービス業・娯楽業
  3. 教育・学習支援業
  4. 医療・福祉
  5. 小売業

離職率の高い職種のトップ5はこのようになっています。こうしてみると、関連しているのはサービス業、お客との直接的な関わりが多い職種で占められています。

お客様は神様です。という風潮が未だに日本のサービス業では多く見られます。

また、サービスを受ける側の態度にも問題がある場合があります。モンスターペアレントやモンスタークレーマーなどの問題がネットやテレビなどで取りざたされることも珍しくはありません。

実際に就職して働いてみると、予想以上にこれらの問題が重くのしかかり、心に多くのストレスを抱えてしまう人も少なくありません。外側から見ていると、華やかに見える職種でもあるので、より一層ギャップを感じてしまうのです。

一般の休日にあたる曜日にこそ仕事が忙しくなり、友人や家族とのスケジュールを合わせづらいということも理由の1つです。平均的に給与があまり高くないことも一因と考えられます。

大卒新卒者の離職率が低い職種トップ5とその理由

  1. 電気・ガス・熱供給・水道業
  2. 鉱業・砕石・砂利採取業
  3. 製造業
  4. 金融・保険業
  5. 複合サービス業(郵便や農協など)

離職率の低い職種のトップ5はこのようになっています。

生活インフラに関する職種が多くを占めています。また、金融保険業と複合サービス業以外はお客との直接的な関わりが少ないことが分かります。

直接的な関わりが少ないということは、そこで発生し得る対人関係からのストレスを感じなくて済むことになります。これは仕事を継続していく上で非常に大きな要因となります。

また、言い方は少し悪いかもしれませんが、華やかな仕事ではありません。縁の下の力持ちとして、生活の基盤を支えてくれている立派な職種ですが、離職率が高いトップ5と比較すると、外から見た時と実際の仕事のギャップが少ないともいえます。

これもまた、離職率を低くする要因の1つとして考えられます。

寡占的な企業が存在していることも特筆すべきことで、労働組合が強いこともあって労働環境が守られやすいともいえます。

新卒者が3年程度で離職することは悪いことではない

3年間その仕事に従事して、それでも離職したいと思うならば、それは決して悪いことではありません。

就職して一ヶ月も経っていないのに離職したいとなれば、それはもう少し頑張ってみませんか?となりますが、3年間という一つの区切りの目安まで続けた上での思いならば、それは尊重されて然るべきです。

離職=良くないことの様な考え方が、そもそも時代に沿っていないという考えもあります。

大企業は倒産しない、一度就職すれば問題を起こさない限り定年まで、という終身雇用の神話もかなり昔に崩壊してしまっています。それらのことも加味すれば、離職を考えるというのは、むしろ自分の人生に対して真剣に向き合っているともいえます。

考えや意志のない離職はオススメしませんが、真剣に考えた上での結論であればそれに従うべきでしょう。いざ離職をすると考えると、周りの人に迷惑を掛けてしまうのではないかと思ってしまう人も少なくないと思います。

今までお世話になった人たちのことが気に掛かるのは確かですし、その気持ちを蔑ろにするのは良くありません。しかし、あくまでも一番大事なのはあなた自身ですから、そのことも忘れないでください。

新卒者の離職は必ずしも会社側に全ての原因があるとはいえない

新卒者側からしてみれば、離職するのは会社側に責任があると言う人が多いでしょう。

思っていた職場環境や、実際の労働条件と違うなどの会社側との見解の相違もそうですし、人間関係が良好ではないなどが際たるものです。離職の原因として、あなたには何の責任も落ち度も無い場合も少なくはないでしょう。

しかし、常に新卒者の離職の原因が会社側だけにあるとは限りません。前提として会社は働く環境を提供する場所です。そのため責任ある立場の人が、人間関係などにまで常に事細かに気を配ることはできないことが多いです。

職場での人間関係はあなた自身が努力して、良好なものを築いていくという意識を持っておくべきです。

労働条件や職場環境も、全ての人が満足できる桃源郷のような場所を提供することは普通では不可能です。労働基準法などの法律に明らかに違反をしている場合を除き、思い通りになっていないことが当然であるということを忘れてはいけません。

まとめ

それぞれの立場や考え方の相違などの要因で、新卒者が離職してしまうことはある程度は仕方のないことです。誰が悪いという話ではありません。しかし、新卒者の離職率が30%台よりも大きく離れて悪い場合は、会社の運営方針や職場環境などを見直した方が良いでしょう。

会社は新卒者を採用した場合、基本的には3年間程度はその新卒者に対して投資をしていることになります。3年程度経って、始めて会社側はその人から利益を得ることができるようになるのに、頻繁に新卒離職をされていては大赤字です。

人こそが最大の資産であるという考え方を無くしてしまった運営をしてしまうと、離職率を下げることはできません。新卒離職率を下げることは、会社の利益を上げることと同意であることを忘れてはいけません。

新卒離職率に着目することは、会社側は運営方針を考える一助に、新卒者側はその会社の実態を把握するための指針になります。新卒者も会社側も、離職すること、されることによるメリット、デメリットを今一度考えて見直すことで、双方にとって良好な職場環境を築いていけるでしょう。

あわせて読みたい!