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詐欺師症候群の3つの特徴と克服法。仕事が順調なときほど要注意!

「詐欺師症候群」耳慣れない言葉ですが、この症状に当てはまる人は意外に多いと言われています。あなたは、上司や同僚、友人から「よくやった」「すごいね」と褒められた時、その評価を素直に受け入れられますか。

もし、居心地が悪く過大評価されたような気持ちになったなら要注意。詐欺師症候群かもしれません。ひどくなると仕事でのビッグチャンスを逃がしかねないこの症状、特徴に当てはまる人は今のうちにしっかり克服しましょう。

もくじ

著名人も経験している詐欺師症候群とは?

詐欺師症候群は病気ではなく、自分の成果に対する正当な評価を素直に受け入れられない心理状態のことです。社会的な成功を収めた人の5人に2人が経験しているとも、全世界の人口の約70%が経験するとも言われています。つまり、誰にでも起こりうるのです。

著名人の中では、「ハリーポッター」で有名な女優のエマ・ワトソンさんが自ら経験者であることを告白していますし、ハリウッド俳優のトム・ハンクスさん、FacebookのCOOを務めるシェリル・サンドバーグさんなども経験者だと言われています。

仕事で成果を出しているのに自己評価が低い状態

では、詐欺師症候群とは具体的にどのようなものでしょうか。一言で言い表すとするなら、自己評価が著しく低い状態です。

例えば、仕事で業績が認められた時や昇進した時、仕事以外でも友人や知人から褒められた時など、通常であれば「嬉しい」「努力した甲斐があった」と素直に嬉しいはずです。ところが、詐欺師症候群の人は「自分はラッキーだっただけ」「ポストがタイミングよく空いていただけ」「自分はまとめ役をやっただけで、成果が出たのは他のメンバーが優秀だったから」と受け取ってしまいます。

そして、評価された自分を本当の自分ではないと考え「周囲を騙しているのではないか、自分は詐欺師ではないか」と思い悩む…これが詐欺師症候群です。

当てはまる人は要注意!詐欺師症候群の特徴とは?

詐欺師症候群に陥りやすい人のタイプはさまざまですが、自分に自信が持てず、他人との関係に不安感や不信感を強く抱いている傾向があります。自分が出した結果に自信がなく、周囲も表面上だけ褒めているのだろうと考えてしまうのです。

また、女性に多いとも言われています。男女平等が叫ばれ、女性の管理職を増やすべきだという風潮は日本でもよく見受けられます。昇進しても「とりあえず女性の管理職を作りたいだけだろう」と受け取ってしまう女性は少なくありません。

ここからは具体的に、詐欺師症候群の特徴を見ていきましょう。

特徴1:常に何か失敗していないか気にしている

1つ目の特徴は、失敗することに対して異常な恐怖感を持っている点です。詐欺師症候群の人は自分に自信がないため、大小にかかわらず全ての失敗を自分の責任だと、自分を責めてしまいます。

そのため、自分だけではなく他人が失敗することも極端に恐れるようになります。気にしすぎるあまり必要以上に慎重になり、何度も書類や進捗状況を確認してしまうのです。その様子は周りから見ても心配になるほどですが、詐欺師症候群の人にとっては確認を怠ることなど考えられないのかもしれません。

また、ポジティブな意見には耳を貸さないのに、ネガティブな意見は素直に聞く傾向があります。詐欺師症候群の人は常に不安感を持っているため、マイナス面をイメージしやすいのでしょう。

特徴2:褒められてもお世辞だと受け取ってしまう

詐欺師症候群の人は、自分はもちろん他人も信用できない傾向があると言われています。自分を信用できないというのは、自分に自信が持てないことで前述のとおりです。

他人も信用できないというのが2つ目の大きな特徴で、相手の言うことを素直に受け入れることができません。上司や同僚、友人や知人など信頼できて関係が良好な相手であっても、です。

「おめでとう」「さすがだね」と言った誉め言葉も口だけのお世辞に聞こえ、無意識に言葉の裏側を探って「君は運が良かっただけ」「あなたじゃなくて周りの人がすごいね」という風に翻訳してしまいます。その反面、自分に対する否定的な意見は言葉通りに受け取り、ストレスを抱え込むのが特徴と言えるでしょう。

特徴3:ネガティブな言葉を使ってしまう

「できません」「無理です」といったネガティブな言葉をよく口にする人、職場に1人はいませんか。その人はもしかしたら詐欺師症候群かもしれません。

とても分かりやすい特徴ですが、詐欺師症候群の人は自分や周囲に対してネガティブな発言をよくします。何か仕事を頼まれた時に「私には無理です」と言って断ったり、同僚の提案に「そんなことできるわけがない」と否定したり…。もし自分に心当たりがあるなら要注意です。

謙遜や愚痴で言っているのならよいのですが、ネガティブな発言は仕事にもプライベートにも悪影響しか与えません。否定的な言葉を繰り返すことで周囲からも疎ましがられ、自分自身に刷り込まれることで本当にネガティブな人間になってしまいます。

詐欺師症候群はどうやって克服する?

詐欺師症候群の症状がひどくなると仕事での満足感が得られなくなり、キャリアアップへの意欲も薄れ、自分の成長を止めてしまいます。今までに挙げた特徴に当てはまる人は、まず、自分が詐欺師症候群だと自覚しましょう。

克服するといっても、何も難しいことはありません。普段の生活の中でほんの少し、考え方や行動を見直してみるだけです。詐欺師症候群に陥るということは、周囲からも評価される優秀なビジネスマンのはず。しっかり克服すれば、心から仕事を楽しめるようになります。

運も実力のうち。相手からの評価は素直に受け止める

「運も実力のうち」という言葉があります。まさにその通りで、日々の努力なくして幸運など転がってきません。「自分はたまたま運がよかっただけ」と否定的に捉えるより、自分には運を引き寄せる力があったと考えるのです。

運がよいだけであろうが、相手が勘違いしているだけであろうが、まずは相手からの評価を一旦素直に受け止めます。そして、なぜそのような評価を得られたのかを具体的に考えてみましょう。資料が分かりやすいと好評だった、悩む後輩の相談にのった……など何でも構いません。

そうやって具体的に考えるなかに、きっと自分が納得できる要因があるはずです。1つずつ自覚することで、自分で自分を正しく評価できるようになります。運を引き寄せるのも、相手に勘違いをさせるのも、自分自身の日々の努力があるからだと意識を変えましょう。

ネガティブな言葉遣いをあらためる

普段の生活の中ですぐに実践できる克服法が、「ネガティブな言葉使いをあらためる」ことです。人間は考えている以上に、否定的な言葉に引きずられるもの。だからこそ、普段の言葉使いは大切です。

仕事でもプライベートでも、自分の成功体験について話をする時に「~だけ」「~に過ぎない」といった言葉を使っているなら今すぐにやめましょう。自分の能力を限定してしまう「できない」「無理」も同様です。

言葉遣いを変えるだけで心の持ちようが変わり、周囲の環境も驚くほど変わります。自分に自信が持てず、口を開けばネガティブな自己否定ばかりの人には、誰も新しい仕事を頼もうと思いません。巡ってくるチャンスを逃がさないためには「まず発言からポジティブに」が鉄則です。

詐欺師症候群の部下や後輩へはこう対処しよう

この記事に目を通している人のなかには、部下や後輩への指導的な役割を担っている人もいるでしょう。その場合に注意しなければいけないのは、自分だけではなく部下や後輩が詐欺師症候群に陥っていないかということです。

ある程度キャリアを積み上げてくると、自分自身の成果だけではなく、人材育成の能力も評価の対象になります。だからこそ、詐欺師症候群の兆候がある部下や後輩がつぶれてしまわないように的確にフォローする必要があります。

ポイントはたった1つ、具体的に褒めて評価することです。例えば「〇〇してくれて助かった」「君が〇〇をしてくれたから、この仕事が成功した」というように根拠を示してあげてください。それがあれば素直に自分の成果だと受け取り、どんどんステップアップしてくれるでしょう。

まとめ

まるで自分が詐欺師のように周囲を騙していると考えてしまう「詐欺師症候群」、その特徴を知れば知るほど、誰でも陥る可能性があるということがよく分かりました。

重症になると、仕事へのやる気やキャリアアップへの意欲をなくしかねず、成長の機会も失われます。自分が詐欺師症候群の特徴に当てはまった人は、少し考え方や行動を変えてみましょう。少しずつ克服することで活力を取り戻せるはずです。

時に謙遜が美徳とされる日本社会では、詐欺師症候群だと見抜くのは難しいかもしれませんが、身近な誰かが苦しんでいるかもしれません。周囲にもアンテナを張って的確なフォローができれば、人材育成という観点からも会社に貢献できるに違いありません。

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