人と向かい合って話すときに、どうしても自分の目線をどこに置くべきかがわからずに、困ってしまう人も多いのではないでしょうか。プライベートの生活では面と向かって相手に話すことがあまりないかもしれません。しかしビジネスの場面では交渉や会議・打ち合わせで、このように空いてと対話するシーンが、しばしばあります。
いざというときに困らないように、会話をするときの目線の置き方のポイントと注意事項などについて、詳しくご紹介していきます。
もくじ
常識では会話中の目線はどこにおくことが望ましい?
まず初めに触れたいことが、一般的に会話の最中には目線はどこに置くことが望ましいのか、ということです。話をしているときには、相手の目をただ一心に見つめるということでは、相手は圧迫感
や威圧感を感じてしまいます。このことからは「会話中には相手の目を見て話す」という一般論は必ずしも正しいということではない、ということが分かります。
厳密には、相手の目を見るということは広い意味を表していると言えるでしょう。威圧感を感じさせない目線とは、相手の目よりやや下に目線を置くようにするとよいでしょう。相手の目より下とは、口や顎、首の辺りを指します。この時には一点に焦点を合わせずに、曖昧にぼんやりと目線を置くことが望ましいのです。
会話中に目を見て話さないとどんな印象になるの?
「話しをするときには、人も目を見て話す」ということは、人は小さい頃から周囲の人から言われて育ちます。「目をそらして話すのは相手に失礼に当たる」とも教わった記憶があるかもしれません。それでは、人の目を見て話さないときには、相手にどんな印象を与えるのでしょうか。会話中の目線について確認するまえに、目を合わせないで話続けるとどんな影響があるのか、を知っておくことが必要です。
まずは目を合わせないときに相手に与える印象から、掘り下げていきましょう。
一度も目を合わさない場合は失礼にあたる
「会話の最中に目を全く合わせない」という場合を仮定した場合、相手はどのような印象を持つのでしょうか。全く一度も目を合わせないという人がいた場合は、間違いなく印象は悪くなります。最悪の場合は、相手に不快感や怒りを起こさせるとも言えるのです。この「視線を全く一度も合わせない」という行為は、とても強いインパクトとなって相手の印象に残ります。そしてその印象とは、最悪のものと言えるでしょう。
相手のことを好きか嫌いかなどの個人的な感情は別として、人と接するときのマナーとして相手の目を見る(目の周辺を見る)ということは、必ずすべきことなのです。ビジネスの場においては特に守りたいマナーです。
四六時中目を見て話さなくても悪くとられない
相手の目を見るということがあまり得意ではなく、精神的にプレッシャーになるという人もいるのではないでしょうか。普段の生活の中で考えると、相手の目をしっかり見て話しをするというシチュエーションはあまりないかもしれません。話をしているときには、四六時中相手の目を見ている必要は全くありません。
これは自分が話すときでも相手が話しているときでも、両方について言えることです。目(瞳)そのものだけをじっと見つめることは、なかなか難しいことです。また相手にも負担になります。そこでおすすめしたい方法は、自分の伝えたい事や重要点のときに集中して相手の目を見つめることです。また相手が話しているときも同じで、ポイントポイントで相手の目をしっかり見るという風にしてみましょう。
何か隠し事や気まずいことがあると誤解される
日本の諺で「目は口ほどにものをいう」というものがありますが、これは日本だけではなく海外の諺や言い伝えにもある万国共通のもののようです。
よく隠し事や何か気まずいこと、都合の悪いことがあると人は目をしっかり見ることができない、と言われています。これは、心理学でも有名なことですが嘘をついていたり、隠し事などがあると人間の本能として「相手の視線を避けたい」という気持ちが無意識に目線に反映されているのです。また、目の眼球そのものの動きも脳と綿密に連携しているので、脳で感じ取ったことは眼球の動きに敏感に反映されます。また、目線そのものだけではなく、まばたきの回数や速さなども、心理的な緊張感や不安・驚きなどを如実に表します。
相手に、自分が嫌われているかもと思わせてしまう
もし、誰かが話すときに目線を避けていて合わせる様子が全くない、というときには聞き手の人にさまざまな感情と不安感を発生させると言えます。視線が全く別の方にいってばかりだと、聞き手は「自分は嫌われているらしい…」「自分に敵対心があり、興味もないのかもしれない」と敏感に感じ取るでしょう。
そして、最初からこのような目線の置き方の場合は、2人の間には信頼関係や親しみ・好印象といった感情はほぼ生まれないと言って過言ではないでしょう。また、会話の途中から突然雲行きが怪しくなり、目を合わせなくなってしまった場合は、相手が自分とは正反対の意見や考えを持っていて不満の感情を持っている可能性が高いと言えます。
目線は顔の中心に視線のポイントをおく
会話をするときの目線の置き方のコツの「一つ目」をご紹介します。目線は顔の中心辺りに何となく置くようにしましょう。「ここの位置をずっと見つめる!」という風に決めておかずに、ぼんやりと顔全体に視線がいく感じで大丈夫です。これは自分が話しをするときも、相手の話を聞くときも共通して言えることです。自分が目線を置きやすい顔の部分がどの辺りかの見当をつけておきましょう。鼻の辺り、目の周り、首の辺りと目線を置きやすいところを発見しておくことが大切です。
そして、目線は話の重要な箇所でしっかり相手の目を見る、と決めておくとメリハリのついた目線の置き方になります。同時に相手にとっても圧迫感のない、自然な目線の位置であると言えます。
常に凝視せず話の大切な所で目をしっかり見つめる
会話をするときの目線の置き方のコツ「二つ目」は以下の次のようになります。目線をどこに置くかは一つ目でご紹介しましたが、その目線の強さもまた重要なポイントと言えるでしょう。目線はしっかりとした意志を感じさせるように、目力のある視線を話の大切なポイントで送ると良いでしょう。
それ以外のところでは、あまりじろじろと見たり一箇所を凝視するなどはせずに、ぼんやりとした感じの視線の送り方で大丈夫です。相手の顔を凝視すると、相手に対して失礼にもなりかねないからです。特に男性から女性への視線に関しては凝視するということは、避けなければなりません。女性はこの目線だけでプレッシャーを感じ、不快な気持ちになってしまいます。
相手の目の一点だけを凝視しすぎないようにする
最後に、会話をするときの目線の置き方のコツ「三つ目」をご紹介します。目線はポイントや大事と思われるところで、相手の目をしっかり見てアイコンタクトをすることが重要です。しかし、毎回まっすぐに目(瞳)を見つめるだけでなく、時には相手の目の周りにも視線を動かすという事もコツと言えるでしょう。
このことは、相手に対して柔らかい印象を与えます。また同時に、会話をしやすくして話しやすいムードを徐々に作り上げていくことになるのです。ここで注意したいことは、目線を目の周辺や顔の周辺に動かすときのことです。目線を瞳からずらすことは、テクニックとして必要ですが動かす方向は、なるべく左右ではなく下の方が良いでしょう。左右に視線動かすと、相手に対して「自分の話に興味がない」と勘違いさせてしまう可能性があるからです。
まとめ
ビジネスのシーンにおいて、顔と顔を合わせてのコミュニケーションは欠かせないことです。通常は電話やメールなどのツールでやり取りしている取引先や顧客でも、重要な場面や節目には必ず直接会って話をしていくことになります。そのときに、会話でいかに自分の印象をよくするかということは目線も大きく影響するのです。身振り手振りや挨拶、声の出し方、話の構成や内容だけではなく、視線や目線の置き方にも工夫をしていくと、より効果的な伝達やPRが可能となるのです。
もし目線の置き方に不安がある場合は、何回か鏡や練習相手に対してここで紹介した目線の置き方を実践してみてはいかがでしょうか。何回か行うことでより自然にできるようになるでしょう。