昨今、ホワイト企業やブラック企業といった名前がすっかり社会に定着してきたように感じます。一昔前は労働とは辛く厳しいものが当り前という風潮があり、従業員は残業も休日出勤も厭わず働かなければならないという観念が社会を支配していました。
しかし、様々な労働問題や事件が起こるにつれ、「その価値観はおかしいのではないか?」という疑問が呈され、少しずつ空気が変わろうとしています。しかし、まだまだブラック企業と呼ばれる会社は存在し、従業員を疲弊させているのが現状です。
この記事では、そんなブラック企業やその対象的な存在であるホワイト企業を見分ける方法を考えてみたいと思います。
もくじ
ホワイト企業とはどんな会社?社員の気持ちに寄り添った企業!
それでは、まずホワイト企業とブラック企業の違いを見ていきましょう。
ホワイト企業というのは、従業員を大切に扱い、仕事における待遇や環境、能力育成の場等をしっかりと与えてくれる企業を指す言葉です。対して、ブラック企業というのは、あまり従業員のことを大切に扱わず、まるで消耗品のように使い捨て、待遇や環境等もあまり良くない企業のことを指します。
両者にはそのような違いがあるため、就職を考えるのであればホワイト企業にすべきという意見が大勢になるかとは思うのですが、自分が志望している企業がホワイトかブラックかを外から判断するのは少々難しそうです。
一体どのような点に注意すれば、両者を見極めることができるのでしょうか。
優良企業の見分け方!ホワイト企業の5つの特徴は?
まずは、ホワイト企業の具体的な特徴を見ていきたいと思います。ホワイト企業はとにかく社員を大事にするという企業体質を有しており、それが長期的に自社の利益に繋がることを熟知しています。そのため、いかに社員を疲弊させず向上的に仕事に取り組んでもらうかといった部分を真剣に考えており、それが結果的に待遇や環境の良さ、サポートの手厚さといった部分に繋がるのではないでしょうか。
また、社員側もホワイト企業で働くことによってスキルアップやキャリア形成を図れますので、労使間にWin-Winな関係が築かれているといえるでしょう。
離職率が低くて社員の勤続年数は長い!働きやすい職場
まず目安となるのは社員の離職率と勤続年数です。離職率というのはある時点での社員数に対して辞めた人の割合を示す数値になりますので、人が辞めにくいホワイト企業を見分けるのに非常に適した指標です。
良い会社というのは自然に人が集まり、一度入社した人はそう簡単に辞めることもありませんので、基本的に離職率は低くなる傾向があります。自分のことをしっかりと評価してくれ、満足な収入も得ることができ、そしてスキルアップの機会も提供してくれるホワイト企業を辞めようと思う人はそうはいないでしょう。
離職率が低いということは、すなわち社員の勤続年数が長くなるということにもなりますので、ホワイト企業は安定して長期間働くことのできる職場であるともいえそうです。
ボーナスが高い!福利厚生も充実しているのがホワイト企業の強み
そして、ホワイト企業では給与やボーナスといった金銭面、そして様々な研修や機会の提供等の福利厚生も充実しています。ホワイト企業は自社が属している分野で強いシェアを持っていることが多く、価格競争に巻き込まれにくい体質を持っています。そのため、安定した利益を出しやすい土壌が整っており、結果的に給与やボーナス等の金銭面の拡充に繋がるようです。
また、ホワイト企業は人材こそが企業の財産であるということを理解していますので、社員の育成に余念がありません。そのため、社員のスキルアップに繋がる機会は会社側がお金を払ってでも提供するといった姿勢になるのではないでしょうか。
給与やボーナス、福利厚生といった待遇面は募集要項に記載されていることも多いため、自身が就職を希望している会社における各種項目は必ずチェックしておきましょう。
スキルアップなどのサポート体制が整っている!
こちらも福利厚生の一環になるかもしれませんが、ホワイト企業では様々な場所でスキルアップの機会を設けてくれます。そのため、わざわざ自分でお金を払ってスクール等に通わなくとも、会社側が学びの場を用意してくれ、それに参加することでしっかりとスキルアップを図ることが可能でしょう。
そして、ホワイト企業には精神的に余裕のある人が多いので、何か分からないことを質問した際にもしっかりと教えてもらえるという空気が形成されています。そのため、通常のOJTでも十分にスキルアップに繋がる環境が構築されています。
人間が何かの能力を長期的に伸ばす際には、緊張や集中だけではなくリラックスも重要です。その点、ホワイト企業は良い意味でリラックスできる職場環境になっていますので、萎縮することなく様々なことを学べるでしょう。
評価システムが整っている!社員のやる気がアップ
また、ホワイト企業は社員の評価システムがしっかりと整っているといった点も特徴の一つです。社員の評価システムが曖昧に設定されている職場だと評価者による恣意的な評価が行われる可能性があり、もしそのようなアンフェアな評価が行われてしまった場合は社員の仕事に対するモチベーションが大きくダウンしてしまう恐れがあります。
しかし、ホワイト企業の評価システムはしっかりと整備されており、社員はそれぞれ客観的かつ公平に評価されることになるでしょう。客観的かつ公平に評価基準が定められているということは、評価された人は勿論、評価されなかった人でも反省点や改善点が明確になり、次回に向けて対策を練ることができるのではないでしょうか。
休みもしっかり確保されていて残業も少ない!
そしてホワイト企業の特徴として見逃せないのは、休みが多く、且つ残業が少ないといった点でしょう。ホワイト企業は前述した通り、自社の事業分野において高いシェアを持っていることが多く、価格競争に巻き込まれにくい体質になっています。そのため、クライアントの無理難題に応える必要がなく、安売りをする必要もないため、少ない時間で大きな利益を上げることが可能です。
また、ホワイト企業で働いている社員には優秀な人が多いため、無駄な残業や休日出勤は逆に減点の対象になる可能性があります。グローバルな市場領域では、残業をするということは時間内に仕事が終わらなかったというマイナス評価に繋がってしまうこともありますので、ホワイト企業では、なるべく残業をせず時間内の労働生産性をいかに上げるかということを考える必要があるでしょう。
知っておきたい!ブラック企業の見分け方は?
それでは、次にブラック企業の見分け方を見ていきたいと思います。ブラック企業はホワイト企業とは真逆の存在であり、その待遇の悪さや職場環境の劣悪さは実例を伴って様々な場所で目にすることができるでしょう。
ホワイト企業が社員を人間として大切にしているのに比べ、ブラック企業は社員のことをただのパーツの一部程度にしか考えていませんので、もしそれが毀損した場合は新しい部品に入れ替えれば良いという程度の認識しかないようです。
上述した通り、ホワイト企業は労使間でWin-Winの関係が築かれていますが、ブラック企業では労使間は対立関係、若しくは奴隷と主人のような関係になっているのではないでしょうか。
残業や休日出勤は当たり前!過労死や健康被害の危険がある
ブラック企業はホワイト企業とは対象的に残業や休日出勤が非常に多く、社員が仕事で疲弊してしまうことに対して真剣に対策を講じようとはしません。一般的にブラック企業が手がけている事業はあまり利益率が良いとはいえず、それでもなんとか会社を回すことのできる利益を得るため、社員の長時間労働に頼るしかないという部分があるのではないでしょうか。
当然そのような無茶が続くわけもなく、長時間労働を強いられた社員は何らかの健康被害を受けてしまったり、時には過労死してしまうといった最悪なケースもあるようです。しかし、そのようなことがあったとしても、ブラック企業は体制を改めようとはせず、いなくなった社員の分はまた新しく採用して埋め合わせ、同じことを繰り返し続けようとするでしょう。
悪質なパワーハラスメント!耐えられなければクビになる
そして、ブラック企業では悪質なパワーハラスメントが日常的に行われている場合もあります。パワーハラスメントとは、例えば上司が部下に対してその権限を利用して業務に関係ない命令を下したり、逆らえないのをいいことに言葉で罵倒したりする行為全般を指す言葉です。
現在ではようやくその異常性が周知されつつあり、以前に比べると数は減ったのではないかと思われますが、それでも会社によってはまだまだ悪質なパワハラが行われているところもあるでしょう。そして、そのようなパワハラに耐えることができなければクビになってしまう等、ブラック企業はまるで社員のことを奴隷か何かと勘違いしている節があります。
そのような職場で働いてしまうと、本来は自身のキャリア形成やスキルアップに割かなければならないリソースが無駄に消費されてしまいますので、ホワイト企業に入った同年代の社会人と比べて能力に大きな差がついてしまう可能性があります。
まとめ
このように、ブラック企業とホワイト企業の間には埋められない月とスッポンほどの大きな差があります。もし間違ってブラック企業に入社してしまうと最悪心身を壊してしまう危険性があり、そうでなくともホワイト企業で順調にキャリアを積んでいる人と比べると大きく差をつけられてしまう恐れがあるでしょう。
基本的にはブラック企業に入社するメリットは何一つありませんので、入社前に企業の中身や待遇、その他様々な情報を分析し、可能な限りホワイト企業を選んで就職活動をすることが大切です。昨今は何かと問題になりつつあるブラック企業ですが、残念ながらすぐさま根絶される可能性は少なく、現状は未だ自分の身は自分で守るしかないといった状況です。
ですが今はインターネットの発展に伴い、実際に働いている人の生の声を聞く機会も増えました。そういった情報を吟味しつつ、ホワイト企業に入社することを目指して企業選びを行いましょう。