私達は長い人生において多くの人と出会い、多くの人とコミュニケーションをとることで生きていきます。その繋がりなくして私達は生きていくことはできません。
会話、表情、行動。誰かと話す時はこれらを使い分け、上手にコミュニケーションをとることが求められるでしょう。
ことに職場においてはコミュニケーションが必要不可欠です。しかし、職場には自分にとって好きな人がいれば、嫌いな人がいることも事実です。「むしろ嫌いな人のほうが多いよ」という方もいらっしゃるかもしれませんね。
今回はそんな方に「職場で嫌いな人がいる時にやっておきたい処世術」をご紹介させていただきます。
もくじ
嫌いな人とのコミュニケーションは本当に必要?
まず、「嫌いな人とのコミュニケーションは本当に必要なのか」ということについて考えていきましょう。
コミュニケーションのとり方は人それぞれだと思いますが、なかには「嫌いな人とはコミュニケーションをとる必要ない」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
嫌いな人に対して極度に冷たく接する方、全く繋がりをもとうとも思わない方もなかにはいらっしゃるでしょう。それは、「この人が嫌いだから」、「話すだけ気分が害されるから」という至極もっともな理由で接しているのかもしれませんが、嫌いだからという理由だけで断罪し、関わりを拒絶するのはあまりにも極端だともいえます。
それに冒頭でお話させていただいたように、私達は自分以外の誰かとコミュニケーションをとらなくては生きてはいけません。
もちろん、究極的な意味でいえばコミュニケーションをとらなくても生きていくことには生きていけます。しかし、健康的かつ文化的な生活を送る上では、私達は他の人間とコミュニケーションをとらなくては生きてはいけないのです。
それは仕事をするためでもありますし、誰かと生活をするためでもあります。自分の考えを誰かに知ってもらうためには、私達はコミュニケーションとらなくてはいけないのです。
嫌いな人も1人の人間であることを考えてあげよう
私達が嫌いだと思う人も「1人の人間である」という事実を忘れてはいけません。
その人が誰かに対して誤った態度をとっている場合には、その人なりの生来の性格や生きてきた環境が起因している可能性があるのです。
さらに私達人間は過ちを侵してしまう生き物であり、多面性を持つ生き物です。第一印象で嫌いだと判断してしまっても、「付き合いを続けていくうちに良い人だということがわかった」、「刺々しかった接し方の理由がわかった」ということもあります。
もちろん、嫌いになるポイントばかりを見せつけられるとこちらも良い気持ちはしませんが、まずはその人のことを観察すること、知ろうとすることを考えてみても良いのではないでしょうか。
誰かのことを嫌いだと考えるのはそれからでも遅くはないはずです。それに嫌いな人の数よりも好きな人の数のほうが良いに決まっています。
ありきたりではありますが、その人のことをよく観察し、嫌いになるところよりも、好きになれそうなところの方を探すように心がけてみてみましょう。
そうしていれば自分の周りには嫌いな人よりも、好きな人のほうが増えているはずですし、自分が身を置く環境も良くなっているはずです。
職場で嫌いな人がいる時にやっておきたい処世術とは?
それでは上記のことを鑑みた上でも、「やっぱりあの嫌いな人とは上手く付き合えない」という方にやっていただきたい処世術についてご紹介します。
”処世術”ということで、これから紹介する方法は、その多くが「考え方を変えてみると楽になる」ということに則しています。つまりは、「ご自身の意識の持ち方を変えてみることで、上手く嫌いな人と立ち回っていきましょう」ということです。
考え方・意識の持ち方をコントロールすることは非常に難しく、短期間で嫌いな人とも上手く付き合えるようになるとは言えません。
しかし、自分を上手くコントロールできるようにさえなれば、嫌いな人との付き合い方だけでなく、その他の様々な場面で役立ちます。ですから、どうぞ少しずつ実践してみてください。
すべての人が自分のために存在するとは思わないこと
まずお伝えしたいのが「すべての人が自分のために存在するとは思わない」ということです。
多くの方は自分以外の誰かにあからさまに敵意を剥き出しにするようなことはまずありません。しかしその一方で、あからさまな敵意でなくても少しだけの悪意を向けてくることはままあります。
悪意を向けられている側に、悪意を向けられるだけの思いあたりがあろうとなかろうと、です。
むしろ、純然たる好意だけを向けてくるような人の方が稀ですし、そういった方こそ少し疑った方が良いのかもしれません。そしてそれ以外の方は、「大抵自分以外の誰かに無関心」であることも忘れてはならないでしょう。
つまり、自分以外の人間が「自分に対して気持ちの良い付き合い方をしてくれるのが当たり前」だと思うことこそが傲慢なのではないでしょうか。
「人間は誰かを幸せにするために存在する、生きている」という方もいらっしゃいますが、少なくともそれは職場においては通用しません。皆が皆自分のことで精一杯であることがほとんどでしょう。
だからこそ私達は、「そういう人もいて仕方ないよね」と思うことも大事なのです。
自分も誰かに嫌われているかもしれないことに気付くこと
自分が職場の誰かを嫌う一方で、「自分も職場の誰かから嫌われているかもしれない」という可能性があることも忘れてはいけません。これだけ聞くと、少々怖がらせるような言い方になってしまいますので、もう少し話を掘り下げさせていただきます。
あなたが誰かを嫌いだと判断する際には必ず、「〇〇さんの〇〇なところが嫌いだ」というポイントが必ずあるはずです。
「特別理由はないけどなんとなく嫌い」というケースにおいても、必ずどこかにその人を嫌いになってしまうポイントがあるはずです。そのポイントに気付いた時、皆さんはどうしていらっしゃいますでしょうか?
「嫌いだと断罪するだけで、距離を置いているだけ」ということはありませんでしょうか?
私達人間は、知り、学び、変えていくことができる生き物です。誰かの嫌いなポイントを見つけた際にも、その事実を自分のなかで整理して「自分は気をつけよう」という反面教師にできるはずなのです。
当然のことながら、嫌われるよりは好かれる方が相手にとっても自分にとっても気持ちが良いものです。職場においては好意がもてる上司・同僚・部下が多い方が働く上での励みとなり、支えとなるはずです。
だからこそ私達は嫌いな人の嫌いなポイントを見つけてしまった時に、「自分も嫌われているかもしれない」という意識を持つことによって、己の行動や他の人との接し方を反省することが大事でしょう。
どうにもならない人もいる、パレートの法則を受け入れること
これまで紹介したような考え方を実践してみても、本当に嫌いになってしまう人というのはやはり存在するでしょう。こればかりは「どうにもならない人もいるのだから仕方ない」と思わざるを得ません。しかし、それは諦めではないこともご理解いただければと思います。
この世界には”パレートの法則”というものがあります。ばらつきの法則とも呼ばれるこの法則は『アリの巣にいるアリのうち、2割は働かないアリがいる。その2割を除いても、また新しく2割のアリ働かなくなる』といった説明に用いられることがあります。
このパレートの法則はアリだけでなく、嫌いな人にも用いることができるのではないでしょうか。
この世界には多くの人間が生きています。職場で出会う人の数にも、限りはありません。
あなたが何かしらの組織に属して働く限り、その組織は新陳代謝を続けていきます。経営方針が変わり、業務が変わる一方で、そこで働く人(社員)にも新陳代謝が起こります。
絶え間ない人の入れ替わりにおいては、好きな人を見つけられる一方で嫌いな人も見つけてしまうものです。
好きな人もいれば、嫌いな人もいる、これはもはや自然の摂理なのです。そのことを受け入れることは諦めではないでしょう。
その事実に向き合い、上手く付き合っていくことこそが肝心なのではないでしょうか。
嫌いな人をよく考えよく観察し、上手に付き合うことが大切
職場にいる嫌いな人に対しては、まずは「嫌い」の感情1つで断罪して距離を置くのではなく、その人のことをよく考えること、観察することが大切です。
そしてそういう人と自分との関係性、自分の立ち回り方についても反省し、上手く付き合っていくことが大切でしょう。
私達は人間であり、1人1人違った人生を生きています。その違った人生が交錯するのが私達の社会(職場)です。
その際には好きだという感情を抱くこともあれば、嫌いだという感情を抱くこともあります。その気持ちを上手にコントロールしてあげることで、私達は社会で上手く生きていくことができます。
パレートの法則に則り、「仕方のないことだ」と割り切るのも1つの処世術です。それは諦めではなく、文字通り世の中を生きていく上で必要な術なのです。
どうか嫌いな人に臆することなく気負うこともなく、なるべく多くの人が心穏やかに過ごせることを願ってやみません。そのためにはまずこの記事を読んでくださったあなたから始めていただくことが肝心です。