ゆとり世代というのは、一般的には1987年から2004年にかけて生まれた人の事を指すのですが、狭義には1987年から1996年生まれの事を指す場合もあります。どちらにせよ、現在新入社員として入社してくるのはゆとり世代である事が多く、彼らと上手く付き合う事が会社の発展には欠かせません。とかく揶揄されがちなゆとり世代ですが、一方では社会の常識に囚われる事なく斬新な物の見方ができると言い換える事もできるでしょう。
ゆとり世代やさとり世代とレッテルで人間性を決めつけてしまうのではなく、彼らの持つ長所を上手く活かせば、会社に新しい風を吹き込む事ができるかもしれません。そして何より、新入社員というのはまだ年齢が若いため様々なトレンドに敏感であり、ビジネスのヒントになる情報に聡い可能性もあります。
この記事では、そんなゆとり世代の新入社員と上手く付き合う方法を見ていきたいと思います。
もくじ
ゆとり世代の特徴。今までの社会通念は通用しない?
それでは具体的なゆとり世代の特徴を見ていきたいと思います。彼らの仕事上の大きな特徴として挙げられるのは、とにかく指示待ちであり、効率よく楽をして成果を上げたいといったものになるでしょう。勿論個人差はありますが、労働生産性、コストパフォーマンス、効率といった言葉に敏感であり、なるべく楽をして大きな結果を出したいと思っている節があるように見受けられます。
こういった考え方は特に年配の方にとっては信じられず、そのくらいの年齢の方が大事にしている「苦労の数だけ人間性が磨かれる」といった思想とは真逆といっても良いかもしれません。
ゆとり世代は苦労を良しとせず、自分に正直に生きている
ですが、ゆとり世代の持つそういった考え方は本当に良くないものなのでしょうか?確かに苦労によって人間性が磨かれる部分はゼロではありませんので、ある程度の苦労は人生にとってスパイスになるのかもしれません。ですが同時に苦労というのは人間性を歪めてしまう場合も多く、貧困や差別を原因に犯罪が起こってしまうといった例は枚挙に暇がないこともまた厳然たる事実です。
また、楽をして成果を上げたいといった感情は自然なものであり、誰しもが楽をしてお金を稼ぎたい、楽をして生活したいといった願望は持ち合わせているものです。ですが、それを実現するのはなかなかに大変ですので、苦労を正当化してしまっている場合もあるのではないでしょうか。
そういう意味では、ゆとり世代というのは、自身の願望に正直に生きているだけなのかもしれません。
ゆとり世代が最小限の努力で最大の成果を求めるのは時代の要請
そして、ゆとり世代の新入社員は仕事に対する情熱に欠けているとも言われています。これもまた比較になってしまい大変恐縮なのですが、主に高度経済成長からバブルを経験したかそうでないかがこの問題の分水嶺になっているのではないでしょうか。
日本経済が熱狂に沸いた高度経済成長期からバブル期にかけては、とにかく働けば働くほどに儲かり、今では考えられないほどに様々な待遇が良かった時代です。少々タガは外れていたかもしれませんが、良くも悪くも努力が報われた時代であったと言えるでしょう。
対して、高度経済成長やバブルを経験した事のない場合はどうでしょうか。努力量イコール成果となるわけではなく、どちらかというと要領良く物事を処理していった方が成果に繋がる事を多く経験しているのではないかと思います。そのような環境で育った場合は、なるべく最小限の努力で最大限の結果を求めるというのはごく自然なことであると言えるかもしれません。
ゆとり世代の新入社員と上手く接するにはどうしたらいいの?
そのような特徴を持つゆとり世代の新入社員ですが、それでは彼らとはどのように付き合っていけば良いのでしょうか。まず、彼らからゆとり世代というレッテルを外す事が大切です。レッテルを貼られて(それが良くないレッテルであれば尚更)嬉しい人間というのはまずいないでしょう。ゆとり世代の特徴という部分を色々と見てきましたが、そういった固定概念を一旦外し、あくまでも一人の個性ある人間として接する事が重要になります。
公私は分けて考えよう。ゆとり世代とは距離感が大事
また、ゆとり世代の新入社員にはあまり密な付き合いを求めない方が良いかもしれません。彼らは上述した通り仕事に対する情熱をあまり持っていない事もありますので、こちらが一方的にそれを押し付けたり、そのために親密なコミュニケーションを図ろうとしても空振りに終わってしまう可能性があります。北風と太陽ではありませんが、飲み会等に誘う場合でも、あくまでも相手の意思を尊重するといった形で意見を聞くのが良いでしょう。
また、密な付き合いではなく、ある程度距離を置いた付き合いの方が好ましいため、彼らに接する時は敬語を使うのが良いでしょう。後輩だからと言っていきなりタメ口で接してしまうのは、公私を分けたいと思っているゆとり世代には少々距離が近くなってしまうため、図らずも敬遠されてしまう可能性があります。
ゆとり世代への指示は明確に。そして説明は丁寧に
そして、ゆとり世代の新入社員に対しては、それぞれの業務に関してしっかりと説明をしましょう。彼らは固定概念に囚われない思想を有している事が多いため、業務の一つ一つに関しても「それはどういった意味があるのか?」と疑問を持ってしまう可能性があります。特に、慣習的になんとなく行っている業務であれば、彼らはそれを無駄な業務であると判断してしまうため、処理効率が著しく悪くなってしまう恐れがあります。
前述した通り、ゆとり世代の特徴としては「なるべく楽をして効率良く」といったものがありますので、説明を求められた場合は、なるべく業務一つ一つが持つ意味をしっかりと説明し、懇切丁寧に指示をする事で納得して動いてくれる事でしょう。
ゆとり世代と上手くやるために一番重要なのは個性を見ること
ゆとり世代の新入社員との付き合い方を様々に説明させて頂きましたが、これらはあくまでもこのような傾向があるといったものに過ぎません。ですので、一番大事なのは、やはり一人一人の個性を見て、それぞれの適性に合わせた接し方や指導を行うという事になるでしょう。
ゆとり世代の人間だからと言って皆が皆一様の個性を持っているわけではありませんし、望むものや仕事への情熱もそれぞれに異なります。本来であれば採用の段階でそれらの個性や適性を見極めて自社に相応しい人材を獲得できれば良いのですが、なかなかそう完璧にはいかないものでしょう。ですので、せっかく入社してきた新入社員なのですから、長い目で見て自社の戦力となるよう教育される事をお薦めいたします。
ゆとり世代と接するのは時には大変だけど、こんなメリットも
ゆとり世代の特徴やその接し方を見てきましたが、最後にゆとり世代の新入社員と接することによるメリットを考えてみたいと思います。彼らは滅私奉公するタイプではありませんが、それだけに幅広い世界を知っている可能性がありますので、彼らと接する事によって新しい価値観を得る事ができるかもしれません。会社で働いていると、どうしても人間関係が仕事による人脈で固定されてしまう事が多く、なかなか異なる分野の人と知り合う事は難しいでしょう。ですが、新入社員というのはついこの間まで学生という社会人とは異なる身分でした。新入社員という肩書が外れる頃になると、もう立派な社会人になってしまいますので、彼らと積極的に(但し上手に)コミュニケーションを取る事で、自身の知見を広げる事に繋がるかもしれません。
また、彼らは決して会社や社会に従順なタイプではないため、接していて時には腹の立つ事もあるでしょう。ですが、そこを怒りで埋めてしまうのではなく、「そういう考え方もあるのかもしれない」と捉える事で、自分の中に多様性の芽を育てる事ができます。
現在ダイバーシティという言葉が広がり、多様性というワードが様々な場所で謳われていますが、実際にそれを意識して生活している方は少ないのではないでしょうか。多くは自分と似たような人々と付き合い、そう広くはないコミュニティーの中で暮らしています。それでも特に問題はないのですが、その場合はどうしても固定概念が育まれてしまい、変化に弱い人間になってしまいがちです。
固定化された時代であればそれでも良いのですが、今は激動の時代であり、いつ何時どのような変化が起こるか分かりません。そのため、何が起こっても対応できるよう、自分の器や情報感度を高めておく必要がありますので、時には自分と異なる人間、違う世界で生きている人間と接するのは大変有意義でしょう。自社に入社してきた新入社員であれば業務中に何かしらのコミュニケーションは取るでしょうし、機会があれば色々な話をしてみる事をお薦めします。