職場の悩み

調整能力を正しく発揮できるリーダーが組織に必要な3つの理由

調整能力は、組織において主に中間管理職に必要と考えられているスキルです。しかし正しく発揮できない調整能力は、逆に組織をガタガタにしてしまう危険もあります。調整能力は正しく発揮してこと評価されるのです。そして今、組織には正しい調整能力を持つリーダーが必要とされています。「今は個性の時代だから調整能力など不要」という考えがあるかもしれません。でも逆なのです。個性の時代だからこそ、正しい調整能力が求められています。

もくじ

現代の組織において調整能力は必要か?

先に述べたように、現代は個性で勝負する時代と考えられています。特出したものが尊ばれる時代です。そのため、ものごとを中庸に保とうとする調整能力は害であると考える向きもあります。果たして現代において調整能力はメリットが大きいのか、デメリットがまさるのかを、実際に組織のなかのリーダーのスキルとして考えてみましょう。そこから調整能力に求められている役割とは何なのかもおのずと見えてくるはずです。

組織における調整能力のメリット

組織における調整能力のメリットは、ものごとが順調に進むことです。人や仕事の間に摩擦が生じないように調整するのが中間管理職の調整能力の最たる役割と言っていいでしょう。お互いに違いを抱えた人や、異なる仕事の間には必ず摩擦が起きます。だからこそ摩擦が少ないように調整できれば仕事が順調に回ります。また、摩擦が減れば余計な争いが起きにくくなり、組織にストレスが生じにくくなります。連続した仕事で一定のノルマをこなす必要がある場合、中間管理職の人間に調整能力があるとないとでは大きな結果の差が生じる場合もあるのです。ストレスは降り積もって爆発するもの。ある意味組織の危機回避にとって、もっとも頼もしい能力が調整能力と言えるでしょう。

組織内を乱す調整能力のデメリット

調整能力は誤った使い方をしてしまうと、組織の能力を削ぎ、内部構造を乱してしまうことがあります。それが「なあなあ」による調整です。つまりいわゆる喧嘩両成敗、ものごとの中間を取って調整するやり方です。この調整方法は、一見平等に処理をしたように見えます。しかしそこに正しさはありません。特出した個性は抑えられ、さらに調整を受けた両方に不満が残る結果となってしまいます。定まった指針がなく、ただ間を取るだけの調整では、調整される側は何を信じていいのかわかりません。結果としてだれも自分の考えを表明しない組織ができあがります。そうした誤った調整能力は、自由度のない固まった組織を作ってしまうという大きなデメリットを産むのです。

調整能力=リーダーのバランス感覚

調整能力は、単に異なる意見同士をまとめればいいというものではありません。調整能力には、リーダーのバランス能力が大きく関わっています。基準を持たないままグラグラと定まらない調整をしてしまうと、信用を失い、あなた自身が組織からはみ出してしまうことになりかねません。上からも下からも信頼される調整を行うには、リーダーとしての芯の通った基準が必要となります。上から押さえつけられ、下から突き上げられて消耗してしまうのは、バランス感覚が不足しているからと考えていいでしょう。

会社に対する調整能力はイエスマンではない

組織のなかで調整能力を発揮するにはバランス能力が必要です。そしてそのバランス能力には知識が必須です。組織において、その意志、つまり会社が何を目指しているかということを知らずして調整はできません。あなたの身を置いている組織、会社は、どのような理念で仕事を行っているのか。社会のなかで、どのような立場でありたいと望んでいるのかを把握しておくことが必要です。きちんとした知識があれば、上から言われたこと全てにイエスと答えるだけのイエスマンにならずに済みます。大局的に見て、会社という組織の利益になることは推し進め、損失になるならストップをかける。それが行えるリーダーこそ、真に調整力がある人材となれるのです。

部下に対する調整能力とは明確な状況判断

組織のリーダーに部下が求める調整能力は、理にかなっていることです。筋の通った理由付けがあり、説明されて納得できることが大前提となります。この理屈にかなっているという調整は、簡単なようで実はかなり難しいものです。それぞれの状況、考え方、組織のなかでの立ち位置など、状況が理解できなければ正しく判断することができません。そのときそのときで正しい方向にバランスを取る現場判断が求められます。たとえば部下が指示外のことをしました。独断専行は組織では厳禁ですから、普通は叱責する必要があります。しかし、部下のその判断で組織の信用が救われたという状況だったとしたらどうでしょう。頭ごなしに判断せずに状況を知る労力を惜しまないこと。それがリーダーとしての調整能力には必要です。

現代だからこそ求められるリーダーの調整能力

現代の組織には間を取り持つ「なあなあ」の調整能力が必要ないというのは真実でしょう。しかし一方で、確かなバランス感覚を持つ高い調整能力のリーダーは渇望されています。現代は1人1人が個性を持って主張していく時代であり、だれもが気軽に世界に向けて発信できる時代です。しかしいくら個性が大事と言っても、奔放すぎては組織として成り立たなくなってしまいます。さまざまな意見を持つ集団のなかで常にバランスを失わない調整能力を持つこと。それこそが求められるリーダーなのです。

年代差や性差に敏感な組織が増えている

現代の人々は違いに敏感です。年代による感覚の違い、性別による意識の違い。これらの違いを上手に取り扱わないと、たちまちハラスメントが発生してしまいます。今やどこの組織においても、違いを調整し、摩擦のない状態を作り出そうとする試みが行われるようになりました。とは言え、人には歴然と違いが存在します。だからこそ、その違っている部分をバランスよく調整できる人材は貴重となります。それぞれの立場を理解して、不満が出ないように調整する能力を持つリーダーが渇望されているのです。違いを受け入れて調整できる能力を磨くためには、フラットな視点から違いを測る公平で広い視野を持つことが大切です。

日和見ではない意見を持つリーダーが求められている

調整能力を持つリーダーは決して日和見となってはいけません。上にも下にもいい顔をしてみせるのは厳禁です。全ての相手に都合のいい調整など存在しません。全てにいい顔をしてしまうと、必ずどこかにひずみが生じます。リーダーは毅然として基準となる正しさを持って、全体を調整する必要があります。それは上にもきちんと意見を上申することができ、部下の意見を聞いて必要があるものは受け入れて評価することができる。ということです。これは自分の保身を考えていてはできない仕事です。調整能力を持つリーダーとは保身を考えず、正しいと思うこと、評価しなければならないことを判断できる人材です。そのような人材は大変貴重であることは誰もがわかっていて心から欲しています。

調整能力を持ったリーダーが組織の起爆剤になる

組織のなかに優秀な人材がいたとしても、その人材を受け持つリーダーがその能力を発現させることができなければ埋もれてしまいます。正しい調整能力を持つリーダーは、組織のなかの人材全てに平等にチャンスを与えることができます。そのため、埋もれていた人材を発掘する能力を持っていると考えることができるのです。個々の能力を十分に発揮できる環境を構築できれば、その組織は大きく飛躍できます。だからこそ、調整能力の高いリーダーは組織が飛躍するための起爆剤になれるといえるのです。誰にでもいい顔をするのではなく、正しく全体を調整できる能力を身につけること。それが組織に必要とされるリーダーになるための大きな力となります。

まとめ

今なぜ調整能力を持ったリーダーが必要とされるのかということを説明させていただきました。調整能力と言うと、つい、誰にでもいい顔をする日和見な能力のように感じてしまいます。しかし、本当の高い調整能力を持つリーダーは、バランス感覚に優れ、人材を大切にして組織を豊かにしていく力を持っているものです。今後ますます高い調整能力を持つリーダーは必要とされるでしょう。ぜひあなたも確かなバランス感覚を持ち、調整能力を磨いて、必要とされる人材として成長していってください。

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