働き始めたばかりなのに、早くも職場に違和感や不信感を持つことってありますよね。この気持ちが試用期間中に生まれて、どうも消せないと分かった時、辞めることは可能なのでしょうか。結論から言うと、退職は問題なくできます。でも、試用期間中の退職こそ守るべきルールと手順があります。
そして試用期間で退職した事実を記載した履歴書を手に、再び就職活動をすることの不安もあるでしょう。ネガティブな印象を持たれては困ります。今回は、試用期間中に辞めたくなった場合の、会社への伝え方と、今後の対処法、そして同じ失敗を繰り返さないための方法について解説していきます。
もくじ
試用期間はお試し期間!早い段階から気づけて良かったと考えよう
まず、試用期間にはどんな意味合いがあるのか解説します。試用期間は、企業が従業員を雇用するにあたり、適性を判断するための期間です。適性とは、スキルなどの能力面と、勤務態度や考え方などの内面を、幅広く見ます。実際に働いてもらうことで、履歴書や面接では汲み取れない部分を知る期間が、試用期間なのです。つまりは、お試し期間ですね。
試用期間は1~6ヶ月が一般的です。この期間に、合わないと感じたのであれば、辞めるにあたって特段問題はありません。もちろん、試用期間中は初めてのこと尽くしで、普段より感情が不安定になりやすいもの。
そんな時期ですから、落ち込み傾向は強くなるでしょう。落ち込みが一時的なものだったら、たいていは乗り越えられます。しかし、思い描いていた仕事と違うことや、どうしても合わない環境で、今後改善の見込みがない場合には、試用期間中に退職したい旨を伝えるのもアリです。
常識的に考えて、こんなに早く退職を伝えるのはオカシイ!と思われてしまう可能性があります。しかし、時間は有限。自分で納得できる環境に身を置く時間が長いほうが、良いに決まっています。
試用期間は、企業にとって人材を見極める期間ですが、従業員にとっても働くにあたって問題がないか確かめる時間という意味あいもあります。試用期間中に分かったのはラッキーだと思って、次の仕事場所を探すことを考え始めるのがおすすめです。
トラブルなし!試用期間中に辞める場合の正しい手順って?
試用期間というのは、企業にとっても従業員にとっても本採用ではないので、フワフワした状態です。ただし、辞めるのもフワフワと曖昧にしてしまうのは、社会人としていかがなものでしょうか。ほんの短い時間だったとは言え、何かしら指導を受け、お世話になった人がいるはずです。その人たちに失礼のないよう、円満退社を目標にしてください。
円満退社は、感謝を伝えることだけが目的ではありません。人は、どこで、どうつながっているか分からないものです。今後、自分が望む道に進む際、退職時にトラブルがあると、後を引いてしまうことだって考えられます。このようなことの起こらぬよう、しっかりマナーは守って辞めるようにしましょう。
いきなりの退職届提出はNG 上司に時間をとってもらって相談しよう
退職届をいきなり上司に突き付けて、辞める宣言するのは絶対にダメです。退職の決意が強く、一刻も早く去りたいとあっても、まずは退職の希望を伝えるための時間を、直属の上司にとってもらうように依頼しましょう。できれば直接が良いですが、無理そうであればメールでも大丈夫です。
話す内容は退職の件ですから、普通の仕事の内容とは色が違い時間のかかるものです。上司の手の空いた時を見計らって時間を貰うのではなく、仕事終わりのように、ゆっくり座って話をできる時間にしてもらいましょう。
また、お願いする時点では「ご相談があるのですが、少しお時間頂戴できませんか」というように、伺いを立てる感じで聞くとスムーズにアポイントがとれますよ。退職届は、退職日などをその話し合いで決めてから記載することが多いので、その時は手ぶらで行っても大丈夫です。
退職理由は自己都合が鉄則 わだかまりを残さない
上司と落ち着いて話す時間を設定したのであれば、次は退職したい旨を伝えます。この時、しっかり誠意を伝える努力をします。「お世話になって、とても良くしてもらったが、退職をさせていただきたい」というように、申し訳ない気持ちを織り交ぜて説明すれば、分かってもらえます。
民法上では、従業員の退職を止める権利は、会社側にはないことが記載されています。しかし、それを逆手に強気に出ては、絶対に印象が悪いですよね。申し訳なさを前面に出し、仕方のない選択であったと理解してもらいましょう。
そして、普通の退職と同様に、退職理由は自己都合が鉄則です。仕事内容や社風や雰囲気、人間関係に嫌気がさしての退職だったとしても、正直に伝えたら上司はどう思うでしょうか。いい気分をしないことだけは確かですが、逆に対策を講じるから退職しないでくれと、引き留められる可能性があります。
もう決意が固まっているのであれば、時間の無駄です。最初から自分が勘違いしていた、自分の不甲斐なさが原因である、というように、全ての責任は自分にあるというニュアンスで説明します。本当は違ったとしても、わだかまりを残さないことが1番です。本音はグッと抑えて乗り越えましょう。
決意したらできるだけ早く伝えるのが礼儀
退職を決めて揺るがない心があるのであれば、極力早く、上司に伝えるのが礼儀です。なぜなら、人を採用するというのは、労働者側からは想像がつかないほど大きなエネルギーを必要とするからです。試用期間であっても、会社にとっては戦力にカウントされていたでしょう。
たった1人の退職であっても、求人を新しく出したり、掲載期間を延長したりすることを考えなくてはいけません。人を集めるというのは、お金のかかるものです。ハローワークであれば求人掲載は無料ですが、手続きは必要なので、会社としては時間という資源が割かれます。辞めるのであれば、残された上司と同僚は穴埋めに備える必要がありますから、決めたらなるべく早く伝えてください。
試用期間の途中リタイア 履歴書に正直に書こう
試用期間の退職で懸念されるのは、履歴書のことだと思います。あまりに短い勤務での退職だと、次の転職先にどういった印象を持たれるか心配ですよね。根性なしとか、続けられない人間だとか、ネガティブなネタの宝庫になってしまいそうです。
そこで、勤務期間がごくわずかであったり、雇用保険に加入する前に辞めたりした場合、履歴書に書かなくても良いのでは?と思ってしまいますよね。でも、正直に書いておくのがおすすめです。書かなければ故意的に隠したとみなされ、経歴詐称になる可能性もあります。
ごく短い勤務のことですから、書かなくてもバレずに済むことがほとんどでしょう。しかし、もしも空白の時間を指摘されたら、なんと答えたら良いのでしょうか。そして万が一バレた場合、なんと答えるでしょうか。不都合な事実は隠す人、という印象を持たれかねません。
短期間の離職が、必ずしも採用側にとって悪い印象があるとも限りません。しっかりとした離職理由を用意していれば、むしろ高評価を得られるチャンスです。「入社前の仕事内容のギャップで苦しんだので、これからは面接でどんどん質問して状況を確かめようと思った」など、試用期間中に離職に至った経験から、反省して改めようとする姿は、むしろ評価されるでしょう。
試用期間で辞めたことを隠して入社しても、いつかバレるのではないかとビクビクしながら仕事するのは、精神衛生上も良くありません。
働き始めて違和感!短期間での退職を繰り返さないためのポイントは?
試用期間で退職をするパターンは、あまり多くありません。でも、この経験を次に生かしてこそ、意味のあるものになります。試用期間であっても、入社前は色々な書類を準備したり、必要な物品を買いに走ったりと、エネルギーを使うでしょう。新しい環境に行くというのは、また疲れるものです。
このように、短期間での離職を繰り返して消耗しないためのポイントをまとめました。1度あることは2度あると言いますが、何がダメだったのか知れば防げます。勤務を開始してからポコポコ違和感が噴き出ることのないようにしましょう。
転職活動中に陥りやすい「雇ってくれたらどこでも良い」思考はやめる
就職活動中、うまく行かずに書類や面接が落ちまくると、とてもネガティブな気持ちになり、自信がなくなります。そうやって「自分はどこにも必要とされていないのかな?」というように、自己肯定感が低くなってしまうことも。すると、どんどん卑屈になって、会社の将来性や自分との適性も深く考えず「雇ってくれたらどこでも良い」という思考になりがちです。
そんな思考では1社でも内定が出ると喜んで、雇用条件などを詳しく見ず飛びついてしまうことになります。正常な思考を失った状況での大きな決断ですから、入社後に「こんなはずじゃなかった」となりかねません。転職活動中は、うまくいかないことが続いても、大丈夫だと信じて、自分に合った職場を探し当てることが大切です。
求人票と面接で仕事内容を詳しく確認して認識違いをなくす
仕事内容がイメージと違うと、すぐに「退職」のフレーズが浮かびますよね。特に「事務と聞いていたのに、現場に出向いて営業もさせられる」というように、全く違うジャンルの業務がまかり通っている職場も、沢山あります。
企業側は、それが当たり前になっているので、詳細を記載する必要性を感じていなかったのかもしれません。または、あえて応募を増やすために、事実を隠して記載していることもあります。このような募集背景を抱えた企業は沢山あります。自分の思い描いている仕事ができる場所なのか、しっかり面接で確認しましょう。
面接は、企業側の人間から見定められる場所だと思っている人が多いですが、労働者にとっても働くに適している場所なのか、見極めるタイミングともなります。疑問点はこちらから質問して、認識違いのないように歩み寄りましょう。
事前に職場を見学させてもらって雰囲気をつかむ
仕事の内容もですが、どんな職場であって「対人関係」はストレスの原因となります。どんなに恵まれた場所でも、何らかのモヤッと感情は生まれるでしょうが、明るい人・ポジティブな人が集まった職場であれば、トラブルに発展することは少ないです。雰囲気を見るためにも、面接時に職場を見学させてもらうのも良いと思います。
働いている人の顔を見れば、どういった人が集まっているか、どんな雰囲気で仕事ができるのか、大体分かりますよね。逆に、ちょっとしたオシャベリも許されないような閉鎖的な雰囲気や、働いている人が虚ろな目をしていたら、少し危険です。また、職場は窓があって明るいのか、観葉植物などの自然味があるのかなど、快適に仕事が進められるかどうかも、これで分かります。
内定をもらっていない段階で職場見学なんて時期早々だ!と思われるかもしれませんが、内定前だからこそ大事なのです。見学してみて辞めておこうと思えるのであれば、内定前に辞退ができます。企業の人事的にも、候補から外すだけなので負担が少なくなります。
まとめ
試用期間中の辞めたい気持ちは、押しとどめる必要はありません。自分ひとりの力でどうにもならない状況であれば、長く居続けるほどに苦しく、そして申し出づらくなります。試用期間の早い判断は、自分自身も、そして企業の採用側をも救う道にもなるのです。
そして次の就職活動ですが、短期間での退職という経験を、どう生かすかが問われてきます。入ってから違った!ということをなくするには、面接での踏み入った質問と職場見学が効果的です。ぜひ勇気を出してお願いしてみてくださいね。そういった求職者の姿勢は、企業側にとっては積極的で意欲があるように映ります。しつこいと思われるのでは?面倒くさいと思われているのでは?などのネガティブな思い込みは取っ払って、次に向かいましょう。