近年、私たちが住む日本で「働き方改革」という言葉を耳にするようになったと思います。ただ、他の先進国と比べると、まだまだ働きやすい環境が整っているとはいえません。少しでも多くの人が、働きやすい環境で働けることが望まれています。働きやすい環境というなかで、「残業時間の多さ」という点は、日本が最も改善をしてくべき問題の1つといえます。
日本では、その残業時間について、「残業が多いのは無能な証拠だ」と言われることが多々あります。果たして本当にそうなのでしょうか?もちろん、そう言われても仕方がないケースもあるでしょうが、一概に「無能だ」とはいえないはずです。そこで今回は、「残業が多いことは無能な証拠なのか?」ということについて考えていきます。
もくじ
本当に「残業が多い=無能である証拠」なのか?
よく言われる「残業が多いのは、その人の能力や考えが足りていないからだ」という言葉は本当に正しいのでしょうか?確かに、人によって仕事の能力や効率は異なりますし、この点をうまく改善できれば業務時間を短縮できるのは事実です。しかし、本当にそれだけで「残業が多い=無能」と言えるのでしょうか?結論からお伝えすると、「完全には成り立たない」といえます。
- 仕事が終わらないから
- 残業代が欲しいから
- 周りの上司や同僚も残業しているから
「残業」と一言でいっても、その理由は人によってかなり異なります。先ほど、「完全には成り立たない」とお話ししましたが、これは「残業が多い理由」によって異なります。これからは、残業をしている理由ごとに「無能といわれても仕方がない」のか、それとも「無能とはいえない」のかをまとめさせていただきます。
「残業が多い=無能」といわれても仕方がないケースは?
「残業が多いのは無能だから」ということは、一般的にもよくいわれていることです。しかし冒頭でもお話しした通り、すべてのケースが「無能」を呼ばれるのは間違っています。ただ、そのなかにも、実際に「無能といわれても仕方がない」と感じるケースがあるのも事実です。もちろん人によって働き方はさまざまで、一言で「残業が多い人は無能だ」とはいいにくいものの、「こんな理由で残業が多い人は、無能といわれても仕方がないんじゃないか?」と思える理由を紹介させていただきます。
長時間労働をすることで、残業代を稼いでいる
まず言えるのは、「残業代を稼ぐために残業が多い人」は無能といわれても仕方がないでしょう。本来仕事とは、業務の効率を重視しながら、そのなかで出せる「最大の成果」を出すことの対価として、報酬が発生するものです。日中の作業効率や成果を考えず、労働時間を引き伸ばすことで報酬を得ようと考える働き方は、ハッキリ言って「無能」といわれても仕方がありません。
「会社のために働くべき」とまでは言いませんが、残業代のためだけに時間を費やすのは、会社にとっても本人にとっても、本当にもったいないことです。「残業代を稼がないと生活に支障が出る」という方もいるでしょう。だからこそ、日中の仕事で最大の成果を出すように努め、その対価に正しい報酬を得るべきなのではないでしょうか。
評価や人間関係を良くするために残業している
会社において、人間関係や周りからの評価はとても大切です。しかし、そのために残業時間を増やすことはおすすめできません。本来、会社においての人間関係や評価は「仕事そのもの」で得るべきものです。「上司がまだ残っているから」や、「他の同期が残っているから」ということを残業する理由にしてはいけません。確かに、職場の雰囲気や周りの環境によって、「なかなか早くに帰りにくい」という方もいるでしょう。
しかし、そういった環境だからこそ、誰かが最初に動かなければならないのも事実です。それに、残業が少ないことを理由に人間関係や評価が悪くなるような職場であれば、今の会社を見限るべきです。もし、周りの人のようになりたくなければ、思い切って環境を変えることを考える必要があります。
「残業が多い=無能」とは言えないケースは?
これまで、「残業が多いのは無能だ」といわれても仕方がないケースを紹介させていただきましたが、逆に「無能だとはいえないケース」もあります。そのほとんどは、会社の環境や制度に原因があることです。会社そのものの制度や決め事など、個人レベルではどうにもできないことは、ある種仕方のないことといえるでしょう。もちろん、「無能と呼ばれなければいくらでも残業しても良い」というわけではありませんが、これからは挙げるケースは「会社そのもの」に大きな原因があるといえるでしょう。
自分に任される仕事量が、あまりにも多すぎる
まず、「仕事量が多すぎて残業をしてしまう」というケースが挙げられます。例えば、機械などの都合でどう工夫しても定時内で仕事が終わらない場合や、人手不足、上司の管理の甘さなどの理由が挙げられるかと思います。そのなかで、本人のやれることはかなり限られてきます。個人レベルでの解決というのはなかなか難しいのが現実です。もちろん、個人レベルでの業務の効率化や工夫で、残業時間を多少縮めることはできるでしょう。しかし、それで根本的な解決したとはいえません。こういった「個人の仕事量が多すぎる」という場合は、上司や周りの同僚と相談をしたうえで、いま行っている仕事のやり方や割り振りなどを改めて考え直すべきでしょう。
自分の仕事を終えても、別の仕事が追加されていく
自分の仕事を終えたとしても、別の仕事が次から次へと舞い込んでくる。こういった例はよく見られるもので、会社によっては、仕事が早く終わる有能な人へどんどん仕事が集まっていき、有能な人ほど仕事量が増えてしまいます。この場合、「無能」というには無理があるでしょう。むしろ、仕事の効率が周りの人よりも良く、他の人がやるべき仕事が舞い込んでしまっているケースがほとんどです。会社によっては、有能な人ほど仕事量が多くなり、周りと比べると残業も多くなります。
こういったケースも、個人でできることはかなり限られてきます。いくら自分でペース配分をしたところで、最終的には誰かが仕事をしなければいけませんし、その状況が改善されることはありません。ですので、上司や周りと相談・協力をし、解決していくべきでしょう。
残業を減らすために、個人レベルでできることは?
残業といっても、理由は人や会社によってさまざまだという話をさせていただきました。ただ、無能と言われようが言われまいが、残業時間を減らす取り組みは個人レベルでも行うことが大切です。もちろん、会社そのものに大きな原因が潜んでいる場合もあり、個人レベルの取り組みではなかなか改善しない問題もあるでしょう。しかし、社員一人ひとりが改善する姿勢を見せることで、会社全体にも良い影響が出ることは間違いありません。ですので、これからは「残業を減らすために個人レベルでできること」を紹介させていただきます。
「今やっている仕事は、本当にやるべきことなのか?」を見直す
残業を減らすために最も大切なのは、「必要ではない仕事を減らしていく」ことだと言えます。おそらく、残業が多い原因のほとんどは「仕事が追いついていない」ということだと思います。「仕事が追いついていない」ということは、人手不足や、会社そのものの制度が不十分という理由もあるとは思いますが、そのなかでも「やらなくてもいい仕事をしている」ということも、大きな原因として挙げられます。
もちろん、会社の決まりなどで省けない仕事もあるかと思います。ただ、「この仕事は本当にやる必要はあるのか?」と自分で問いかけてみてください。そのなかで減らせるものは、どんどん減らしていくべきです。例えば、今あなたが書いている報告書や、本来ならば周りに任せるべき仕事など、自分がしている仕事を改めて見直すことでより効率良く成果を出すことに専念しましょう。
残業時間の多さで人間関係や評価を良くしようとしない
先ほどもお話しした通り、残業時間の多さで人間関係や評価を良くしようというのは、あまりにも間違った働き方です。これは、会社にとってもあなたにとっても、得られるメリットは少ないでしょう。そのような働き方を続けていると、いずれボロが出てしまいますし、あなた自身の成長を止めてしまう働き方といえます。
それに、残業時間の多さで得た人間関係や評価を保とうとすれば、おのずと残業時間は増え続けていき、いずれあなた自身も消耗してしまいます。残業時間の多さで評価を得ようとはせず、仕事の内容や成果で評価を上げられるような働き方を心がけましょう。そういった働き方を心がけることで、あなた自身の成長にもつながりますし、会社としても得られるメリットがかなり高まるはずです。
まとめ
日本では、「働き方改革」という言葉をよく耳にするようにはなったものの、残業時間の改善はいろいろな原因があり、国レベルではなかなか改善が難しい現状があります。それぞれの会社の制度に問題があるとすれば、その問題を解決できるのは「それぞれの会社で働く人自身」です。「残業を多くしている人は無能だ」ということがよく言われていますが、まずはその理由を見つめ直し、周りとも協力をしながら原因を改善していくことが必要であるといえます。残業というのは、人や会社によって理由はさまざまです。自分自身の問題というケースもあれば、会社そのものに原因があり、改善が難しいケースも考えられます。なので、まずは自分のできることから始めてみましょう。