仕事に就いて何年かすると部下もでき、任される仕事も大きくなり、自分の立ち位置を改めて意識することが多くなると思います。自分が社会人として働き始めた当初のことを振り返ってみれば、できる上司もいればできない上司もいたと思いますが、自分がなるならやはり「優秀な上司」になりたいですよね。ここでは優秀な上司と呼ばれる人たちに共通する特徴をまとめてみました。これを参考に行動すれば、きっとあなたも優秀な上司として部下に慕われるはずです。昇進で初めて上司という立場につく人も、部下との関係に悩んでいる人、いまいちチームの生産性があがらず困っている人などはぜひ読んでみてください。
もくじ
優秀な上司ってどんな人? 成績やスキルが大事?
まず、「優秀な上司」の定義について考えてみましょう。「優秀」という言葉を辞書で引くと、「他より一段と目だってすぐれていること」という意味になります。こう聴くと他の人より営業成績が良かったり、仕事のスピードが速い人などが優秀であるように思えます。もちろんこれは約束事や締め切りを守る、身だしなみが整っている、しっかり挨拶ができるなどの社会人としての基本ができた上でのことです。会社員として働いている以上、会社への貢献度は一番大事なこと。売り上げが達成できなかったり、他の人の何倍も時間をかけて仕事をしているようでは優秀だとはいえません。しかし「上司」となると別です。上司は人の上に立つ立場ですから、まったく仕事ができない人はなれません。ですが優秀だと言われる上司には、成績や仕事のスキルだけではない、ある4つの特徴があります。
優秀な上司は具体的な目標を提示してくれる
上司が存在している目的とは、仕事をスムーズに進めること。仕事では社員、取引先、下請け業者など多くの人が関わってきます。人が増えれば増えるほど手間は煩雑になり、情報も収束しづらくなるものです。その中ですべての事項を把握し、情報を一元化、そして「誰が何をどうするべきか」という指針を立てるのが上司の役割です。そのためにはチームの目標が具体的に提示されていなければいけません。
例えば「取扱商品のうちBよりもAを売りたい」という会社の目標があったとして、上司がこれを部下に伝えていなかったらAを売るべきかBを売るべきかみんな迷ってしまいます。その結果、Bのほうをたくさん打った社員はあまり評価されず不満をためてしまい仕事に対するモチベーションが下がってしまいます。
これは一例ですが、上司が目標をきちんと部下に伝えていないと数々の弊害が起こってしまいます。組織が上手くいく方法のひとつに「メンバー全員が同じ目標を共有していること」というのがありますが、上司はこの先導役とならなければいけません。
慕われる上司は部下の人間性を尊重し、誠実に向き合っている
だめな上司がやってしまいがちなことのひとつに、部下を“部下”としてしか見ていないということが挙げられます。部下といってもきちんとしたひとりの社会人ですから、その人間性を尊重できない上司には誰も心を開いてくれません。
優秀な上司は「部下なのだから絶対にこれはやるべき」といった考え方をしません。「○○さんだからこれをお願いしたい」という考え方をしています。そのために日ごろから部下と上司という立場を越えたコミュニケーションをとり、時には面談をするなどして部下の気持ちを汲み取っています。とはいっても、媚を売ってまで仲良くする必要はありません。必要なのは「あなたのことをきちんと見ている」という態度です。部下も人間ですから調子が良いときも悪いときもあります。そのどんなときでもチームにとって良い行いをすれば褒め、不必要なことをしていれば諭し、悩みがあるなら聴き、きちんと誠実に向きあうことが大事なのです。
このようにひとりひとりの特性や性格、考えなどを見極め適切な仕事の指示を与えることができれば、部下のモチベーションは飛躍的に向上します。また、「自分のことを理解してくれている」と思った部下たちは、グループのために協力的に働くようになるでしょう。人間関係は仕事の上でもとても大事な物なので、生産性やチームワークに直接影響をもたらします。上司という人を統率する立場にある者は、しっかりと人間性を尊重するべきでしょう。
愛されるキャラクターは上司としての強みになる
具体的な目標を提示でき、人間性を尊重する上司であったとしても、可愛さというものがなければ完璧とはいえません。ここでいう可愛さとは顔の造形や体型を指すのではなく、人間らしい愛されるキャラクターのことです。
上司という立場では、時に厳しく部下を叱責しなければいけない場面もあります。怒ることも大事なことです。ですが非の打ちどころのない上司に叱られたとするとどうでしょう。部下は「上司のようにはなれない」とすっかり意気消沈してしまうはず。モチベーションの低下です。一方、これが普段から人間味を感じる上司であれば、部下の気持ちは「上司」に怒らられたというよりも「○○さん」に怒られた、と思えるのです。上司という揺るがない目上の立場から叱責されるのと、ひとりの人間に叱責されるのでは大違いです。
締めるところは締め、緩めるところは緩める。普段からこうしておくと、上司自身の人間性を部下に知ってもらうことができます。上司といえども辛いこともあれば苦手なこともあります。ネガティブな姿は見せるべきではありませんが、たとえば苦手なことが起こったとき。「実はこれ苦手なんだけど、克服してみようかな」などとありのままの姿を見せておくことで部下からは人間味を感じてもらえるでしょう。得手不得手があったとしても、それを笑って乗り越えようとする姿を見せることができれば慕われる良い上司になれるでしょう。
部下が安心して働けるよう、責任を負う
部下ひとりひとりが成長するために、上司はどんどん部下に仕事を任せていく必要があります。ですが大きな仕事を与えられると、部下はプレッシャーを感じることも。また、初めて挑戦する仕事であればミスをしてしまうかもしれません。そんなとき必要なのは、上司の後押し。上司が「責任は私が取るから、好きなようにやってみろ」と言うだけで、部下は大変心強く思うものです。
そもそも上司というのは責任を負う立場なので一見当たり前のことのように思えますが、はっきりと口に出して伝えられている上司はあまりいません。あえて口にだして「責任を負う」ことを部下に伝えてみてください。みるみるうちに生産性があがっていくはずです。しかも、「ミスをしたらどうしよう」と不安に思いながら仕事をするよりも、「ミスをしても大丈夫」という気持ちで仕事をしたほうがかえってミスが減ったりするものです。仕事をする上で、安心感というのはとても大事なことなのです。このように部下たちの不安を解消してあげるのも、上司の大きな役目のひとつです。
まとめ
優秀な上司に必要なのは営業成績や仕事のスキルだけではありません。ここまでで述べてきたように、どちらかというと人間性やコミュニケーション力のほうが大事かもしれません。部下たちに優秀だ、見習いたい、尊敬できる、と思われるためには日ごろからちょっとした言動にも気を遣うようにしてください。上司が優秀であれば間違いなく部下は幸せです。それは結果的に会社に貢献することにも繋がります。会社にとっても部下にとっても必要な人材になれるよう、今日からできることからはじめてみましょう。