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ラポールの意味とは?ラポールを築くコツを紹介

ラポールを大切に!ラポールは作ったのか?などと、勤務先で言われたことがある人の中には、「そもそもラポールって何?」と、その意味をよくわからないままにしている人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、「ラポール」という言葉の意味と、ラポールをうまく築くためのポイントについて紹介します。特に営業職や、対人援助の仕事をしている人は必見です!

もくじ

ラポールはフランス語で「橋をかける」という意味

ラポールという言葉は元々フランス語で、「橋をかける」「橋を築く」という意味を持っています。この意味から、やがて英語でも「ラポール=心の橋をかける」というような意味合いで使用されるようになりました。

元々はフランス語だったものが、世界共通の言葉になったのですが、現在は日本でも「ラポール」といえば英語表記で「rapport」、自分と他者の架け橋を築くという意味で使われています。

この「ラポール」という言葉は、ビジネスシーンでもよく使われる言葉になりました。特に営業職の人は、上司から「ラポール作ったのか?」「契約の前に、まずはラポールだろ!」などという助言をもらったことがあるでしょう。

ラポールの形成は今や国や業種を超えて、さまざまな場所で使われているのに、本来の意味を知らないという人は意外に多いものなのです。

ラポールとは、心の通い合った信頼関係のこと

言語としてのラポールは、フランス語から発生していることは紹介しましたが、元々はビジネスシーンで使われる用語ではありませんでした。

では、どのような分野で使われている言葉なのでしょうか。深く掘り下げてみると、また異なる意味合いが見えてきます。

元々は心理学の専門用語!ラポールはカウンセリング上重要

ラポールという言葉を現在使用されている本来の意味「心の通い合った信頼関係」だと位置づけたのは、ビジネスシーンではなく心理学分野の専門家たちです。

ラポールは、カウンセリングの際に、クライエントとカウンセラーの間にあるべきものであり、カウンセラーの間では「意志疎通」と同義だと考えられています。

カウンセラーがクライエントと面接(カウンセリング)を行う際に、信頼関係が築けていなければ、クライエントは自分自身の深い内面や、誰にも話したことのない悩みなどを話しにくいものです。

そのため、カウンセラーは数回の面接を通して、クライエントとの間に十分なラポールを形成していく必要があるのです。

ラポールの形成されていない面接では、クライエントはカウンセラーに対して心を閉ざしたままであり、本当の意味での意思疎通ができないまま、面接は上滑りしたものにしかなり得ません。

だからこそ、カウンセラーはクライエントとのラポール形成を非常に重んじているのです。

プロのカウンセラーでもラポールを築くのは難しい

ラポールの重要性は紹介してきたとおりですが、それでもすべてのカウンセラーがクライエントとのラポール形成に成功するかというと、失敗に終わることもあります。

コミュニケーションの方法を間違えてしまった、表情や声色などの非言語的なメッセージを読み違えてしまった…ということは、カウンセラーの初診者にはよくあることです。

臨床心理士の資格を持つプロのカウンセラーでもラポール形成には苦労するのですから、心の専門家でもない一ビジネスマンが顧客とのラポールを形成するのは、あまり簡単なことではないことがわかるでしょう。

心理学的な知識のない人がラポールを形成しようと思ったら、時間、労力などのコストをかけて、少しずつ獲得していく必要があるのです。

会社で「ラポールを大切に!」と言われたら考えること

上記では心理学的なラポールの形成の重要性について触れましたが、この記事を読んでいる人の多くは、ビジネスシーンにおいてラポールの必要性を感じているのではないでしょうか。

そこで、勤務先で「ラポールを大切にしないと…」などの指摘をされている場合、どのような考え方をして、どのような行動をとればよいのかについて紹介します。

営業でもよく使われるラポール…顧客との信頼関係を指す

心理学では、カウンセラーとクライエントの間の信頼関係を指すものだった「ラポール」ですが、心理学の臨床場面のような対人援助職以外にも、営業職において「ラポール」という言葉がよく使用されます。

この場合、心理学では「カウンセラー・クライエント」間で使われていたのに対し、営業職では「営業担当者・顧客」間で使われるということに違いがあります。

また、心理学では「ラポール=クライエントが安心して面接を受けることができるための基盤づくり」というとらえ方ですが、営業職では「ラポール=顧客のニーズを知るため、顧客との密な関係を築くためのもの」というとらえ方になっており、差が見られます。

営業職が顧客とのラポールを形成することができれば、確かに顧客の好み、ライバル会社、買い替えの時期などの営業に有利な情報が手に入りやすくなります。

しかし、本当に営業成績のよい営業担当者の場合、営業に求められる意味合いだけではなく、本来の心理学での意味に近いラポールを形成していることがあります。

顧客との意思疎通を図り、古くからの友人のような付き合いができる場合、営業担当者であっても、カウンセラーと同じようなラポールを形成しているといえます。

ラポールは、1日や2日で築けるものではない

「ラポールをつくっておかないとダメだろ!」というようなお叱りを受けたことがある人は、「ラポール、今すぐ作らなきゃ!」と焦るかもしれませんが、焦ったところでラポールを形成するのに必要な時間は短くはありません。

ラポールを形成しよう!と思っても、相手があることですから、営業担当者の場合はまず顧客とラポールを築けるだけの回数「会う」ことを目標にしなくてはいけないでしょう。

ラポールは、カウンセラーであっても1回や2回の面接で形成できるものではありません。ラポールを形成するまでに年単位の時間がかかるカウンセラーもいます。

要は、ラポールを築こうとする相手との相性がかなり重要な要素なのです。元々、人間としての相性がよければ回数を重ねずともラポールを形成できますが、相性の悪い人とは何度会ってもラポールを形成することは難しいものです。

この「相性」を細かく分析してみると、「共通点があるか」「価値観が似ているか」などが挙げられます。

ラポールを形成しないと!と言われても、相性が悪ければこちらの意図に反してラポール形成までの時間がかかってしまうのは、仕方のないことなのです。

ラポールを築くための大切なコツを3つ紹介

ラポールを形成するのは難しい…ということは紹介しましたが、それでもあなたの努力によってラポールをつくることはできます。顧客との間にラポールを形成するなら、以下のような方法を試してみましょう。

営業でラポールを築くなら、会う頻度を高める

心理学の「単純接触効果」という理論をご存じでしょうか。この理論は、心理学者のザイアンスが提唱したもので、単純に目にしたことがある回数が多いものほど、好意を抱きやすくなるというものです。

営業職の人が顧客との間にラポールを形成するならば、単純に顧客の目にかかる、つまりは会う頻度を高めることが有効だと考えられます。

職場にいつも来てくれるヤクルトレディや、取引先に好感を持ったことがある人は、納得できるのではないでしょうか。

単純に会う頻度を高めることで、相手からの好感度があがるのですから、「近くに用事があったのですが、〇〇さん(顧客)にご挨拶していこうと思いまして…」「近くで会議がありまして、〇〇さん(顧客)の顔が見たくなって…」などと何かと会う機会を増やすことは試してみる価値があるでしょう。

ただし、いわゆる「生理的に嫌い」なタイプには、会えば会うほど嫌われてしまいます。

このようなケースはあまりありませんが、相手からかなりネガティブな感情を持たれているという自覚がある場合は、この方法でラポールを形成することはおすすめできません。

自分から話すよりも、相手の話を傾聴する

ラポールを形成するには、カウンセラーの方法を見習ってみるのもよいでしょう。つまり、自分から最近あった出来事や、おすすめの商品を話すよりも、相手に話しをさせて、それを傾聴するのです。

具体的には、簡単なあいさつを交わした後に、「最近どうですか?」「あれ?今日は顔色がいいですよね?何かいいことありましたか?」などの誘導的な質問をして、顧客の話を引きだします。

顧客が話し出したら、行き過ぎない頻度でうなずき、相槌を打ちます。話を聞いてくれる人というのは、ある年齢を過ぎるとあまりいない人も多く、こちらのコストは少なくラポールを形成するきっかけになるのです。

話し相手になると、次に営業担当者が来てくれることを楽しみに待つような顧客もいます。徐々に親しくなったら、少しずつあなた自身の話(最初は仕事とは関係のない話が望ましい)をし始めてもよいでしょう。

相手のリズムを観察し、相手に合わせて話を進める

ラポールを形成するためには、「波長」を合わせにいくことが大切です。これは決してスピリチュアルな意味合いではなく、話の波長を合わせていくという意味です。

話をする時、人によって話をするリズムは全く異なります。呼吸の置き方、1つの話題にかける時間、話すスピードなど、話ひとつとってもリズムを構成しているものはたくさんあるのです。

ラポールを形成しようと思ったら、相手の話す時のリズムに注目し、さりげなく観察するようにしましょう。

リズムがつかめたら、たとえあなたが割と早口でも、また反対にゆっくりと話す場合でも、相手のリズムに合わせることで、「話の波長」を演出することができます。

これができる人は、顧客との会話を深いところまで進めやすく、効果的にラポールを形成できるでしょう。

まとめ

ラポールとは、相手との信頼関係、または意思疎通のことを指します。ラポールはそもそも心理学における専門用語ですが、ビジネスシーンでの顧客相手にも使用されることが増えてきました。

顧客との間にラポールを形成するためには、ラポールの性質として、簡単に形成できるものではないという自覚を持つことも大切です。

その上で、顧客に会う頻度を高めて好感度を高め、その状態で自分からではなく相手の話を傾聴します。しかし、相手ばかりが話していると、中にはあなたの情報を知りたがる人もいるでしょう。

その場合は、自分の話をするときにも相手の話の波長をよく観察し、相手の話す速さ、呼吸の置き方、そもそも話すことが苦手なのか好きなのか…さまざまな点に留意することが大切です。

ラポールを形成することは、仕事以外でも家庭でも友人関係でも役立ちますから、日ごろから信頼関係、意思疎通を図るという意味で、ラポールを自分がどれくらいできているのか、客観的に振り返ってみることをおすすめします。

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