あなたが退職することを決めた際、当然のことながらその意思は職場に伝える必要があります。
その時に「残念だけれど仕方ないね」と退職することを素直に受け入れてくれる場合もあれば、「君がいなくなったら困る、どうか考え直してくれないか?」と引き止められてしまう場合もあるのではないでしょうか?
しかし、あなたの意思が退職する方向へと傾いている以上、その引き止めに対して上手に対応し、なるべく円満な退職を実現させなくてはなりません。
今回はそうした引き止めにあった時に考えておきたい3つのことについてご紹介させていただきます。
もくじ
大前提のルール!退職希望は14日前に伝えれば成立する
退職を決めた時、皆さんは退職する当日からどれくらい前にその意思を職場に伝えるでしょうか?
転職サービスを提供している「エン・ジャパン」が約5800人に対してアンケート調査を行ったところ、「1カ月前」と回答した方が全体の約4割だったという調査結果が出ました。
また、25歳以下の方に限って言えば約4割が「転職を決めた時」と、特別期間を決めていないこともわかっています。
確かに1カ月前というのは数字的にもキリがよく、あなたがいなくなることによって生じる職場の混乱なども最小限に抑えられると考えられるでしょう。
しかし、民法第627条によれば、「雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」との条文があり、1カ月よりも遥かに短い2週間前というタイミングで退職希望を出しても構わないことになっています。
これは大前提のルールであり、この事実を知らずに退職の準備を進めることはおすすめしません。
しかし、1カ月前に伝えることを就業規則で義務付けている場合は、それに従う必要があると考える弁護士も多いようです。
その場合2週間前に辞められるというルールは通らないケースも多くあるので、就業規則で退職がどのように扱われているかについても、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
退職する際はこの民法と就業規則の存在と規定についてもよく勉強し、計画的に進めていかなくてはなりません。
もっとも、あなたの退職理由がやむを得ないものである場合は(健康上・家庭の理由など)、この就業規則よりも民法の定めに従って退職を許可される場合もあります。
そうしたケースにおいては、退職するタイミングをあなたの職場とよく相談の上決めるようにしましょう。
退職を引き止められたら考えたい3つのこととは?
それでは退職を引き止められたら考えたい3つのことについてご紹介します。
引き止めに対して上手に対応することで、退職した後も以前の職場との人間関係などを良好に保つことができるでしょう。業界・企業によっては今の職場と以前の職場と取引先同士になることも考えられます。
そうした将来性を考えればここで紹介する対応を実践しておくに越したことはありません。引き止めに対してあなたは毅然とした態度をとる必要があるわけですが、今後の身の振り方もよく考えるようにしましょう。
なぜ自分?引き止める理由をしっかりと確認しよう
あなたが職場からの引き止めにあった時、「なぜ自分を引き止めるのか」という理由について確認する必要があるでしょう。
そのまま退職するにしても退職を辞めるにしても、引き止める理由がわからなくては、あなたはスッキリとした気持ちで次の行動に映ることができないでしょう。
また、引き止める理由は職場(企業「)があなたをどのように評価していたのかを知るきっかけになります。
その内容によっては転職するという選択が、あなたにとって一層間違いのないものになるかもしれません。退職希望を出したことに自信がない方は、こうした確認をすることによって背中を押されることにもなるのではないでしょうか。
本心の確認を!退職する理由を思い出そう
引き止めにあった時、あるいは引き止めの理由があなたにとって良いものであった場合、「退職しない方が良いのではないか?」と思うこともあるでしょう。そうした迷いを感じた時は、今一度「あなたの本心の確認」をする必要があります。
なぜ退職を希望するのか、退職してどんな職場に就きたいのかなど、退職することによって成し遂げたいことがあなたにはあるはずです。
そうした自分の本心を確認し、どちらの選択が本当に自分にとって良いのかをよく考えなくてはなりません。
この時、退職することを辞める理由として「職場や上司に恩(義理)があるから…」という理由を挙げることはおすすめしません。あくまでもあなたにとって退職がどのような位置づけであるかを確認するようにしましょう。
そして退職することの思いや、先程もご紹介した退職後に成し遂げたいことなどを職場に説明し、退職することを支持してもらえるのが理想的です。
人は未来に向かって頑張ろうとしている人を無下にすることは難しい生き物ですから、あなたの伝え方で円満な退職の可否は大きく変わってくるでしょう。
引き止まるなら問題の解決を求めよう
万が一、引き止めに応じる場合はあなたが退職するという決断を下すに至った問題(原因)の解決が果たされなくてはなりません。
その問題の解決・改善なくして、あなたはその職場で気持ちよく働くことはできないでしょうし、いずれは再度退職したいと思うはずです。
先程、恩や義理だけを理由に退職を辞めるのは良くないとお伝えしたのは、こうした事情あってのことです。今まで言いにくかった問題点をこのタイミングでクリアにしておき、職場に正直に伝えましょう。
ここで問題が解決・改善されることが実現されて初めて、あなたは退職の引き止めに応じるか応じないかの選択ができるようになるといっても過言ではありません。
自分が理想とする働き方についてもよく考慮して、その職場に居続けることが良いことかどうかも考えるようにしましょう。あなたがこれからどんなキャリアを歩むかという選択は、職場に左右されてはいけません。職場と相談することは可能ですが、最終的な決断を下すのはあなたです。
留まらない!退職を伝えたら退職するのが無難
退職希望を正式に出した場合は、そのまま退職するのが無難です。確かに前項でご紹介したように問題の解決が果たされる場合は、退職を撤回することも選択肢の1つには入ります。
しかし、あなたが退職したいという意思を明らかにした瞬間、周囲の上司・同僚・部下達は「〇〇さん(あなた)は、この職場に不満を持っているのだ」という意識を持つことになります。
そうした意識はやがて「人間関係に不満があった」、「給料に不満があった」、「仕事に不満があった」など、要らぬ詮索を捗らせることに繋がってくるでしょう。
そうなってしまうと退職を撤回した後、その職場におけるあなたの立ち位置は気まずいものになることは想像に難くありません。
そうした事情を踏まえると、やはり退職する旨を伝えた後はそのまま退職するのが無難といえるでしょう。
まとめ
退職希望を出した結果、職場が引き止めをしてきた際、あなたには上手な対応が求められます。
それはあなたの決定を間違いのないものにするためでもあり、辞めた後もその職場・人間関係を良好に維持するためでもあります。
その際は「引き止める理由を確認する」、「自分がどうしたいのかという本心を確認する」、「仮に引き止まるなら問題の解決を要求する」などを心掛けるようにしましょう。
その結果次第で、あなたは退職することに対して積極的になることもできます。
もっとも、そうしたことを確認した結果、退職することを辞める側に意識が傾くことも考えられます。
ただ、退職希望を出した瞬間から、同僚によるあなたへの詮索は始まっています。
退職を撤回したとしてもその後の居づらさは否めませんので、やはり退職する旨を伝えた以上は退職するのが無難といえるでしょう。
引き止めにあった場合、あなたの意思は大きく左右されるかと思いますが、自分の気持ちに正直になることが必要不可欠です。その上でどの選択がベストなのかをよく考えるようにしましょう。