転職において、必ず書く機会がある履歴書。その中で“資格”を記入する欄を見ると、「自動車免許しか持ってないのは寂しいな…」と感じる方も多いのではないでしょうか?
ただその一方で、
- そもそも資格は転職の役に立つのか?
- 面接官は資格をどう見ているのか?
- 苦労に見合う評価を得られるのか?
- どんな資格を取れば有利になるのか?
と、資格に対して疑問を持つ方も少なくないはずです。では、転職活動において“資格”はどれくらい役に立つものなのでしょうか?
そこでこの記事では、転職における資格の意味や、企業の見方について紹介していきます。
もくじ
転職において資格は必要?企業側はどう見てる?
資格について「転職で有利になるなら取るけど、そこまで意味がないなら取らなくてもいいな…」と考えている方がほとんどのはずです。実際のところ、企業から見て“資格”というのはどのように見えているのでしょうか?
結論から言うと、資格に対する認識はそれぞれの業界や職種、その本人が持っている資格によります。ある職種では資格が必須であったり、別の職種ではほとんどの資格が参考程度でしか見られなかったり、あなたが転職を希望している業界や職種によって、持っている資格の“価値”はさまざまといえるでしょう。
ここでは、業界や職種による考え方や、資格を取る際のポイントについて紹介していきます。
資格が前提となる職種では間違いなく必要になる
世の中には本当に多くの職業がありますが、その中には「資格を持っていないと就業できない」という職業がいくつかあります。薬剤師や建築士、栄養管理士などを目指す方は、資格を持っていることが“前提”となるため注意が必要です。
もしこれらの職種への転職を考えていれば、まず大学や専門学校へ入学し、一から知識をつけていくことになります。ですので、時間や金銭面でかなりの負担がかかることは覚悟しておきましょう。
もちろん「絶対〇〇の仕事へ転職する!」という強い意志を持っていれば別ですが、これらの職業への転職はかなりの時間が必要な選択であるのも事実。転職を決意する前に自分自身と十分に向き合い、その上で転職を決断するべきです。
必須でなくても関係する資格があると転職に有利
一部の職種を除いては、資格は転職するための絶対条件ではありません。ただ、転職先の業界や職種に関係するような資格を持っていると、その分面接官から評価が得られる可能性が高いのも事実です。
資格を持っているという事実は、その分野に対する知識を有している“証明”となるとともに、分野への継続的な興味や探究心を表します。たとえば、金融系の会社へ転職をする場合、“ファイナンシャルプランナー(FP)”の資格を持っていれば、企業側からしても「この人はお金や保険に関することに長く興味を持って勉強している」と感じるでしょう。
もちろん、資格はあればなんでもいいというわけではありませんが、転職先の業界や職種、あなた自身のアピールポイントにマッチするような資格を持っていると、転職活動において有利に働くでしょう。
ですので、もし「転職を有利に進めるための資格が欲しい!」という希望があれば、まずは自分が進みたい業界や職種のことを調べ、それに関係する資格を目指すと効果的です。
あくまで資格は目的を持って取得するべき
先述のとおり、業界や職種に関係する資格を持っていると転職活動でも有利に働く可能性が高いでしょう。ただ、「いつか役に立つかもしれないから、なにか資格を取っておこう」という考え方はあまりオススメできません。
繰り返しになりますが、すべての資格がどんなときでも役に立つわけではないのが事実です。資格によってはかなりの時間や労力を使うものもあるため、明確な目的意識がない段階では資格に手を出さず、まずは自身の進みたい仕事や働き方について考えるようにしましょう。
特に転職活動では、あまりマッチしていない資格をアピールしても“参考程度”に終わる可能性も低くありません。まずは自身の経験や仕事に対する希望条件をハッキリさせて、明確な“目的”を持った上で資格の取得を検討してみてください。
さまざまな業界や職種への転職に役立つ資格とは?
転職において、資格の取得はハッキリとした“目的”を持って行うようにしましょう。もし目的を持たずに資格を取ってしまうと、“時間の無駄”になってしまう可能性も十分に考えられます。
とはいえ、転職に役立つ資格を自分自身で探すのは面倒だと感じる方がいるしれません。特に、専門性が比較的高くない営業職や事務職などについては、「どんな資格を取れば転職活動を有利に進められるの?」と疑問を感じる方もいるでしょう。
そこでここでは、営業職や事務職への転職で役に立つ資格や、技術職への転職をする際の資格に対する考え方の例を紹介していきます。
営業マンならば『営業力強化検定』がオススメ
まず、営業職への転職を希望している方は『営業力強化検定』という検定がオススメです。これは株式会社サーティファイが運営している“ビジネス能力認定試験”のひとつで、顧客への対応や営業提案、マーケティングの知識などの“営業の基礎力”をチェックできる検定になります。
営業マンとして必要な能力を数値化し、全国の受験者と比較して「自分は営業マンとして、なにがどれくらいできているのか?」ということを知れるため、検定結果を面接でアピールできるのはもちろん、アピール内容の“数値的な根拠”としても使えるでしょう。
所要時間は50分で、検定料金も1,000円である『営業力強化検定』。受験した方の“97%”が「今後の仕事に対して有益である」という回答をしており、営業マンとしての現在地や今後の課題を発見するキッカケとなるはずです。
この『営業力強化検定』は資格というジャンルからは外れてしまいますが、面接でのアピールポイントや今後の成長にもつながる検定ですので、営業職への転職を考えている方は一度受験を検討してみてください。
事務系ならば『日商簿記(2級以上)』がオススメ
事務系への転職を考えている方は、『日商簿記』の資格を取ると効果的です。簿記とは、日々の経営活動を記録してその会社の経営成績を明らかにする技術であり、その分野の資格として『日商簿記』という資格があります。
簿記については、
- 事務職ならば会計や経理の仕事もするから必要
- 企業の募集で“簿記2級以上”という条件設定が多い
- 製造業の事務職ならば必要になる
などのことが言われており、事務職として働くのであれば『日商簿記』は転職に有利となる資格といえるでしょう。
受験をする際に気をつけておきたいのが、『日商簿記』には1級、2級、などの“階級”があるということ。1番下は初級となっていますが、2級以上を取得するのが望ましく、3級以下だと企業によっては参考程度として受け取られるようです。
ただ、いきなり2級を受検するとなるとハードルが高いですし、3級以下(もしくは資格なし)で事務職として働いている方はたくさんいるため、まずは3級からの受検でもまったく問題はないでしょう。
技術職ならば「転職先に合った資格」がオススメ
さて、ここまでは営業職や事務職といった、専門性が比較的高くない職業におけるオススメの資格について紹介しました。では、専門性がかなり高いといえる“技術職”については、資格とどう向き合っていけばいいのでしょうか?
結論として、すべての技術職に対して網羅的に役立つ資格は少ない、というのがが事実です。もちろん、中には『労働安全コンサルタント』や『危険物取扱者』など、“持っていると役に立つ資格”はありますが、技術職となると、その仕事にマッチした資格を取得するのが最優先といえるでしょう。
技術職への転職では、まず「どんな仕事をしたいのか?」ということに対して明確な答えを出し、その上で「取っておくべき資格はないか?」と悩むのが正しい順序といえます。技術職といっても職種はさまざまなため、まずはあなた自身が希望する職業について考えてみてください。
転職の面接で資格をアピールするポイントとは?
資格は転職活動において有利に働くことはあっても、不利に働くことはない“武器”ともいえるものです。この武器をうまく活かしながら企業にアピールをして、転職活動を有利に進めていきましょう。
ただ、業界や職種にマッチする資格を持っているだけで高評価、というわけでないのも事実。資格を持っていることを最大限に活かすためには、面接でのアピール方法にも力を入れなければりません。
そこでここからは、転職の面接における資格のアピール方法や、その際に気をつけるべきポイントについて紹介していきます。
資格の内容とともに“取得の過程”をアピールする
資格を持っている人がしてしまう失敗の例として、資格を持っている事実だけをアピールしてしまう、というものがあります。もちろん資格を持っていることは立派なアピールポイントですが、その事実をアピールするだけでは効果が薄いといわざるを得ません。
というのも、あなたが資格を取るまでにはさまざまな苦労があったはずです。どうしても理解できない部分があったり、モチベーションが下がっていた時期があったり、たくさんの苦労を乗り越えて資格を取得したのではないでしょうか? その“成功体験”をアピールしないのは、とてももったいないことです。
- 〇〇に苦労したが△△を工夫した
- 資格を取った経験から〇〇を学んだ
- 〇〇という経験が資格を取ったキッカケだ
というように、資格を取った事実とともに、資格を取るまでの“過程”をアピールに盛り込むようにしましょう。同時に過程を話すことで、課題解決力や行動力、継続力などのあなたが持つ“ヒューマンスキル”もアピールできるはずです。
資格に依存しない!他のアピールも考えておく
繰り返しになりますが、あなたが希望する業界や職種に合った資格を持っていると、転職活動において心強い武器となるでしょう。しかし、資格だけに依存して転職活動を進めるのは、とても危険であることは覚えておいてください。
たしかに、資格というのは立派なアピールポイントのひとつです。しかし資格だけに頼って、自己分析や志望動機をおろそかに考えていると、面接で必ず“ボロ”が出ます。
というのも、資格の取得というのはあくまで“過去”のことであり、あなたがこれから進む“未来”についてのアピールにはならないのです。自己PRにおいて大切なのは「これまでなにをしたのか?」ではなく、「経験を活かしてどうしたいのか?」という視点。資格だけをアピールポイントにするのは、この視点から外れているといわざるを得ません。
ですので、転職の面接で資格をアピールする際には、あくまで資格は“武器のひとつ”だ、として認識しておきましょう。そして、その武器をこれからどう活かして仕事をしていくのか、という視点を持ったアピールが必要になります。
まとめ
資格を取得する際、もっとも大切なのが「目的意識を持つこと」といえます。資格は転職活動での武器となる一方で、希望する業界や職種とマッチしていない資格であれば強力な武器としては成立しません。また、資格というのは目的ではなく、転職を実現させるためにある“ひとつの手段”であることも意識しておきましょう。
資格の取得を考える際には、「自分がどんな仕事をしたいのか?」ということについて、じっくり考えてみてください。その問いに対して明確な答えが出れば、自ずと“取るべき資格”が見えてくるはずです。
そして、仮に資格を取ったとしても、資格に依存して転職活動を進めるのはオススメできません。転職活動で必要なのは、過去の経験と未来に対する考えの“深掘り”です。ただただ資格を取ったことを伝えても、それは単なる“事実の報告”であり、経験や今後の考え方をアピールできるものではないでしょう。
とはいえ、資格は転職活動において大きな武器になるのは事実です。まずはあなた自身の希望と向き合った上で、“あなたにとって必要な資格”を取ってみてはいかがでしょうか?