今よりも収入や、労働環境を改善したい!という気持ちで転職した人が多い中、転職しても必ず成功するとは限らないものです。転職した人の中には、転職失敗して転職先も辞めたい…と考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、転職して「今度こそは」と思っているのに、また辞めたいと漏らせば、親や配偶者に何と言われるかわからない、または自分自身さらなる転職を重ねて今よりもよい条件で働ける自信もないという理由で、辞めるに辞められない人も多いでしょう。
そこで今回は、転職失敗して会社を辞めたいと考えている人が再転職するタイミングや、再転職の希望を切り出す方法について紹介します。
もくじ
あるある!転職後に「失敗した」と後悔する4つのケース
転職を希望するということは、前職でもそれなりの理由を抱えていた人が多いでしょう。それが理由で転職したのに、また同じような悩み、もしくは新しい悩みに頭をもたげてしまうのは、本当に辛いことです。
では、転職失敗した!と感じている人は、何によって転職を失敗だととらえているのでしょうか。
求人票とはまったく違う業務を強いられてやる気が出ない
転職先を選ぶとき、まず転職のきっかけとなるのが求人票ですよね。求人サイト、求人誌、ハローワークなどで求人票を見て、「今のところよりもいい条件だな」と判断して転職を決意する人は多いでしょう。
しかし、この求人票が嘘求人である可能性はゼロではありません。法的にも認められませんが、あまりの人出不足に悩んだ企業が、実際の条件よりもよい条件のように見せかけて求人を出すこともあるからです。
たとえば事務職の求人票で、「異動なし」というような表記があったとします。
このような場合でも、事務職で応募し、事務職として採用されたはずなのに、営業職の補助の仕事も任され、さらには営業担当者のスケジュール調整の都合によって、事務職なのに取引先に出向いて営業のような活動を強いられることがあるのです。
また、よくあるケースなのが未経験で応募した場合です。新しい仕事にチャレンジしようと考えて転職しても、未経験の場合は即戦力にはなりづらいものです。そのため、まずは業務全体を覚えるという建前で、希望以外の仕事に携わらせるというのはよくあります。
その為、未経験へのチャレンジだとしても最低限の知識やスキルは身に着けておいた方がよいでしょう。
想定以上に残業が多くて心身共に辛い
転職前は、「残業はほとんどない」などの表示・通知があったにも関わらず、それが実際はまったく違ったということもあります。
たとえば「平均残業時間10時間/月」という表記に惹かれて転職したのに、実際は残業時間が短いのは一部の部署だけで、自分が転職した部署は残業時間が月に50時間を超えたということもあるのです。
この「平均残業時間」というのはクセモノで、残業時間の短い部署も、長い部署も一緒くたにされてしまうので、まったく残業せずに定時に帰る部署、日付が変わるまで残業する部署を均した結果が表示されてしまうのです。
そのため、残業時間の長い部署に配属されてしまった人は、思ったよりも残業時間が長く、プライベートの時間も確保できず、転職失敗した…辞めたい…と後悔することになってしまいます。
人間関係が最悪で上司や先輩の態度についていけない
転職前に、次の職場がどんなところか知っておきたくて会社見学や会社で行われる説明会に参加する人もいるでしょう。そこまでするからには、次の転職で失敗したくない、求人票からではわからない情報を仕入れて、転職先を精査したいと思う賢明な人が多いはずです。
ところが、会社見学で見えるのは企業の内情のほんの一部であり、その日たまたま出張で不在にしていた社員の中にお局様がいたり、何人も後輩を退職に追い込んでいるようなイヤな先輩社員がいたりする可能性もあります。
また、見学者が来ている間だけ、いい顔をしようとする人もいます。そのような表の顔、一時期の平穏を観察し、「今度は人間関係のよさそうな職場だな」と思って転職してみたら、実はとてつもなくイヤミな先輩社員がいたり、上司の態度が見学日と豹変したり、このような事態はゼロではないのです。
人間関係から醸し出される職場の雰囲気は、求人票や企業の公式webサイトからは把握できるものではないため、転職してみて失敗だったと後悔することが多いのです。
残業代が出ない…これなら転職しなきゃよかった
転職するまで額面が分からないような企業もあります。内定承諾書にサインしてから給与体系がわかり、入社して先輩社員から「ここは残業代でないからね」と言われて初めて「転職失敗した…」と思う人もいます。
残業しても、休日出勤しても手当がつかず、代休は出るものの消化するほどの仕事の余裕もなく、結局疲れだけがたまっていく毎日を過ごすうちに、辞めたい…と考えるのも無理はありません。
もっとタチの悪い企業では、定時になると上司が全員分のタイムカードを切ってしまい、そこからいくら残業しようが自由…という方法をとっています。書類上は全員が定時で帰っていることになるため、外部からの指摘も受けにくいのですが、社員からの信頼は皆無になってしまいます。
このような労働条件が思ったよりも悪かったという企業は多く、転職失敗を実感している人もまた、少なくはないのです。
この転職は失敗だ…でもすぐに辞めてもいいもの?
上記のような理由で転職失敗だと自覚し、すぐにでも辞めたい!と思っている人は多いでしょう。でも、そもそも今の職場も転職したばかりなのに、転職失敗だと自覚して、そんなにすぐにまた退職してもよいものか、悩みますよね。
もちろん、今の職場はあなたのスキル、業績、可能性を買ってくれて、あなたを採用してくれているわけです。その採用担当者のことを思えば、端的に表現すると裏切り者のようになってしまう罪悪感があるのではないでしょうか。
しかしながら、転職直後は使用期間であることも多く、この期間であれば社内規定を守れば退職する自由が労働者全員にあります。あなたの良心が許さなくとも、社内規定が許せば、すぐにでも辞めても構わないのです。
本当に転職失敗で辞めたいと思い詰めているなら、今すぐに社内規定を確認してみましょう。最低でも何か月前までに申し出ること、などの表記があるはずです。
再転職を目指すならタイミングが大切!今度こそ後悔しない転職を!
就業規則を破らなければいつ辞めてもいいとは言え、自分を採用してくれた人に恩義を感じている人は、できるだけ迷惑をかけずに辞めたいと思うでしょう。
民法627条によれば、期間の定めが特にない雇用契約について、退職の申し入れがあった2週間後に雇用契約を終了することになっています。この期間が守られていれば、どんなに上司が反対しても退職できるのです。
でも、無理やりな辞め方をしてしまえば、特に同業種内で転職を考えている場合、よくないウワサが広まり、次の転職にも影響を与えかねません。
また、短い間とはいえ関係のあった社員にも引き継ぎ不足などでかなりの迷惑をかけてしまいます。
このことから、辞めたいと思った日からさかのぼること3か月前には再転職の意思を伝えるようにしましょう。それさえ守れば、あとはあまり引きずりすぎないよう、転職を後伸ばしにしないことも大切です。
辞めよう辞めようと思っているうちに適切な判断ができなくなり、後戻りできなくなってしまうかもしれません。
転職に失敗して辞めたい人は、相談相手とタイミングを見極める
転職を決意したのであれば、一人で考え込まずに、信頼できる人に相談することをおすすめします。転職の意思を伝える相手、伝える場所・環境を選ばないと、後で辞めにくくなったり、あなたが思いもよらないようなウワサを立てられることもあるのです。
まず相談するのは直属の上司!先に同僚に話さない
転職して、再転職をしようと思ったら、まずは直属の上司に相談しましょう。
仲の良い同期や同僚がいると、どうしても相談したくなってしまいがちですが、こと会社を辞める・辞めないというような重大な決断については、まずあなたを直接マネジメントしている人に相談するのがマナーです。
もしもお酒の席で気を許してしまい、同僚に先に「実は会社を辞めたいと考えている」などと漏らしてしまえば、その同僚から上司に伝わってしまう可能性もあります。
そうなると、「そういう大切な問題を上司を通さずにいつ言うつもりだったのか」と詰問され、本来の相談がしにくくなってしまいます。
退職前に不穏な空気が流れると、再転職のための活動もしにくくなってしまいますから、先に誰に相談すべきかをわきまえ、話を通す順番に留意しましょう。
相談するなら上司と二人きりのタイミングを選ぶ
上司に相談をする場合は、他の社員がいる可能性の低い時間・場所を選ぶようにしましょう。話の内容がデリケートですから、上司も他に社員がいれば、自分の反応が第三者の目につくことを嫌がる人もいます。
ストレートな反応を出しにくいこともあり、また退社したいという内容の相談は、他の社員のモチベーション低下にもつながりかねません。
上司のストレスを少しでも軽減できるよう配慮するなら、二人になれるタイミングを選んで相談しましょう。
具体的には「お話しがあるので、お時間を作っていただけないでしょうか」などとあらかじめアポイントメントをとっておくことをおすすめします。会議室を予約したり、会社帰りにカフェや居酒屋などに行くなど、ひとまず社内の人間が近くにいない環境で話すことができるでしょう。
失敗を繰り返さないために考えたい転職準備3ステップ
長いキャリアを考えると、できる限り転職の回数は減らしたいものです。ただし、だからと言って「失敗したな」という気持ちを押し殺して勤め続けるのも辛いものですよね?そこで、次の転職では後悔しないためにも、失敗したなと感じた転職経験を活かす方法をご紹介します。
転職後に失敗したと後悔したポイントをすべて洗い出そう!
まず初めに行うべきことは振り返りです。感情や記憶というのは、時間と共に薄れていってしまいます。また、失敗したなと感じることは多くあっても、その思いの強さは後悔のポイントによって異なるはずです。ですが、今回はあまり後悔しなかった事柄でも、次回の転職では強く後悔する内容に変わることが少なくありません。ですから、ちょっとでも失敗したな、後悔したなと思うことは、まずリスト化してみましょう。
そうすることで、転職後にどのような状況だと後悔しやすいのかがより明確になり、かつ記憶にもとどまりやすくなります。それによって、万全の対策が打てるようになりますよ。
転職で譲れないポイントと譲歩できるポイントを見つめなおす
続いて取り組みたいのが、転職において譲歩できるポイントとできないポイントを明確にすることです。
何度転職をしても、すべてが理想通りに整っている職場というのは存在しません。仕事内容はいいけど人間関係がよくない、給料はいいけど休みが取れないなど、探せばいくらでも不満は出てくるものです。ですから、逆にこれだけは譲れないということと、これは希望通りではなくてもいいかなというものを予め明確にしておくとよいでしょう。
たとえば、給料がいいから人間関係や仕事内容は我慢する、給料は安くてもいいから休日はしっかりと休めて、残業も月に10時間程度で収まる会社にする、といった内容です。これが明確になれば、あとはそれを満たす企業を探していくだけです。
転職で後悔しないための準備とは、後悔しやすいポイントを予めリストアップしておき、理想通りではなかった時を想定しておくことであると言えるのです。
企業情報を得るための方法を準備する
最後に取り組んでおきたいのが、企業情報を得るための準備です。転職に失敗してしまう原因の多くは、情報が不足していることです。事前に必要な情報が全てそろっていれば、入社した後でこんなはずじゃなかったと後悔することはありません。ですから、情報を得るためのツールをできるだけ多く持っておくことも、転職における重要なポイントの一つです。
今はインターネットで様々な情報を手に入れられます。また、転職エージェントを活用すれば、ある程度の情報も仕入れられます。複数の転職エージェントから話を聞くのもいいでしょう。また、できればその会社に実際に勤めている人の話やSNS等を見ながら社内の雰囲気や実際の所について、調べるようにしましょう。
もちろん、すべてが正確とはかぎりませんので情報の信憑性を確かめることも重要ですが、そのためにもできるだけ多くの情報を仕入れ、判断できる材料をそろえることが重要です。
まとめ
転職失敗だと感じ、転職を繰り返している人は、決して少なくはありません。それだけ入社前に社内の環境、労働条件を把握することが難しいということです。
転職失敗して、辞めたい…と考えている場合は、直属の上司に、タイミングを見て二人きりになれる環境で相談することから始めてみましょう。
もしかしたら慰留されることもあるかもしれませんが、あなたが「辞めたい」という強い意志を持っていれば引きずられることはないでしょう。
そして、また転職をして失敗だった…と思わないように、転職先の内情はよく調べておく必要があります。情報社会の今では、SNSや就職・転職の口コミサイトでも情報を得ることができますが、匿名性が高いとどこまで信ぴょう性があるのかは疑わしいものです。
本当に転職前に転職先の内情について知りたいと思ったら、企業の採用担当者とのつながりのあるキャリアコンサルタント等に相談することをおすすめします。
次の転職先について相談すべき相手がいるということだけでも、あなたの安心感は約束され、前向きな気持ちで新たな転職活動に取り組めるでしょう。