転職の際には企業研究を行うのが一般的ですが、人によってはどのように企業を研究すれば良いのか分からないという場合もあるでしょう。企業には多くの人が関わっている以上、その本質を一言で表すことはできませんし、その実体を掴むには様々な情報を目にする必要があります。
この記事では、転職活動の際に企業研究を怠るとどうなるか、そして実際の企業研究の方法等を見ていきたいと思います。企業研究をしっかりと行っているかどうかで、面接の通過率が変わることもあるのではないでしょうか。
もくじ
基本的に企業研究はやってて当り前
転職活動を行う際は、企業研究はやってて当たり前という部類に入るものです。全くやらずに選考に臨む人は少ないかと思いますが、その企業に対する志望度が強いほど、しっかりと深掘りをしておいた方が良いでしょう。
少なくとも、他の応募者達はある程度企業研究を行っていることが予想されますので、自分がそれに劣ってしまうと「熱意が足りない」と見られてしまう可能性があります。勿論、企業に対する理解や知識だけで全てが決まるわけではありませんが、応募者間のスキルやキャリアに大きな違いがない場合、そういった点が重視されてもおかしくはありません。
逆に、企業研究をしっかりと行っておけば、その企業に対する理解を深めるのと同時に、業務内容等に更に興味が沸くこともあるでしょう。興味を抱くことでより一層深掘りすることができ、面接で何を聞かれても的確に答えることができるのではないでしょうか。
それこそ、企業側が応募者に求める「熱意」と言い換えることができます。
企業研究を怠ってしまうとどうなるの?
それでは、まず企業研究を怠ってしまった場合のリスクを考えてみたいと思います。企業研究を怠ると質問に的確な答えを返すことができず、「熱意がない」と見なされてしまう可能性があります。
また、人は対象を知れば知るほど興味の度合いが強くなる面もあるため、全く何も知らない状態では企業に興味を抱くことができません。興味を抱くことができなければ、そもそも「何故その企業に応募したのか?」という話になってしまいます。
その辺りを、以下詳しく見ていきましょう。
質問に答えられず、面接の通過率が悪くなる
企業分析を怠ると面接で問われる質問に答えられず、通過率が下がってしまうことが懸念されます。目を見張るほどのハイスキルを持っている人材なら別かもしれませんが、そうでない場合はやはり企業に対する熱意や相性といった要素が重視されるでしょう。
企業分析をしっかりと行うことで、相手企業に対する熱意をアピールすることができます。それだけにとどまらず、「そんなところまで調べたのか」と思わせることができれば、自身の情報収集能力のアピールにもなるのではないでしょうか。
情報収集はビジネスの基本であり、他の人が通常知っているレベルの情報を知らない場合は周回遅れになってしまいます。常に誰かが自分のために適切な情報を用意してくれるわけではありませんので、企業分析を行うついでに情報収集能力を磨いておくことをお薦めします。
そもそも、その企業に興味が持てない
企業分析を怠ってしまうと、その企業に興味を抱くことができず、ひいては効果的な志望動機を考えることも難しくなってしまうでしょう。面接で質問に答える時だけではなく、履歴書や職務経歴書に志望動機を記載する際にも企業研究が必要なのは言うまでもありません。
志望動機とは、「その企業でないといけない理由」になるため、その企業のことをある程度知らないと書けないものです。それを無視して自分のやりたいことのみを羅列しても、「それなら他社でもいいのでは?」という見方をされてしまうのではないでしょうか。
企業に興味を持ってもらうためには、まず自分が企業に対して興味を持たなければなりません。その方法には様々なものがありますが、企業研究を行い対象を深く知ることはその最たる例です。
具体的な企業研究のやり方って?
それでは、引き続き具体的な企業研究のやり方を見ていきたいと思います。基本的にはその企業の様々な情報を収集し、実体を探るという流れになるでしょう。そのため、情報を正確に読み取る力、及びそこから本質を掴む力が必要となります。
場合によっては多少の専門的知識が必要になるケースもあるかもしれませんが、その企業を志望している以上学んでおいて損はないでしょう。転職活動という本旨からあまりにも外れてしまうのは考えものですが、寄り道をしたことでその企業に対する理解が深まることもあるのではないでしょうか。
具体的な企業研究のやり方としては、下記のようなものが挙げられます。
その企業の主要サービスの評価を探ろう
企業研究を行う際は、まずその企業の主要な商品やサービスについて調べてみてはいかがでしょうか。商品やサービスをリリースしていることこそが企業の社会における存在意義となりますので、商品やサービスはその企業を端的に象徴する存在と言えるでしょう。
その際はどのような商品やサービスがリリースされているかだけではなく、それらの市場評価も合わせて確認したいところです。革新的な評価を得ている商品をリリースしている会社はイノベーションマインドが強いことが予想されます。
また、数は少ないものの安定した評価のサービスを運営し続けている会社は、堅実で物事を長期的に判断する傾向があるのではないでしょうか。主要サービスの概要や特徴、そして市場評価を知ることは、その企業を知るのと同義です。
全てを網羅するのは難しいかもしれませんが、目立っているものに関しては必ず確認しておきましょう。
投資家向けのIR情報を眺めてみよう
企業分析を行う際は、投資家向けに公開されているIR情報を眺めるのも良いでしょう。IR情報とは、企業のお金の流れがどのような状態になっているかを数字で記載しているものであり、その企業の現状を端的に表しています。
分かりやすい指標としては、売上高や純利益が挙げられるでしょう。売上高は企業が当該期間中に上げた売上のことであり、この数字が大きければ大きいほど事業の規模が大きいと言えます。また、純利益は売上高から様々なコストを差し引いた結果手元に残るお金のことです。
その他確認しておきたい数字としては、経常利益が挙げられます。経常利益とは、売上から事業に要したコストに営業外収益(受け取り利息等)を足し、営業外費用(支払い利息等)を差し引いたものです。
純利益は本業以外で得た臨時の収益等も計算に含みますので、どちらかといえば経常利益の方が本業における実体を表していると言えるでしょう。
業界内ではどのような立ち位置か?を探ろう
その企業が業界全体の中でどのような立ち位置にいるか、という点も企業分析を行う際に意識したいポイントです。どの企業も何かしらの業界に属しており、その中で様々なライバル企業と覇を争っています。
ということは、その企業の業界内での立ち位置は、その企業の安定性や優位性、そして今後の見通し等を示す材料になるでしょう。業界内でトップクラスのシェアを誇っている企業は、その業界自体が萎まない限りは変わらない優位性を得続けることが可能ですし、その逆も然りです。
そのような場合、企業に求められる人材はイノベーティブマインドを持った人より、堅実で協調性のある人かもしれません。しかし、これからシェアを獲得していかないといけないような企業の場合、堅実性や協調性より多少強引に物事を進められるような人になることが予想できるのではないでしょうか。
「自分だったらこうする」を考えよう
企業分析を行う際は、上述した企業にまつわる情報を見るだけではなく、一歩進んで「自分ならこういうやり方で利益を上げる」ということを考えるのも効果的です。それにより、企業が行っているビジネスを他人事ではなく自分事として捉えることになり、実際に企業が抱える問題点や課題を知ることができるでしょう。
また、そのような考え方をすることはビジネス脳を鍛えるトレーニングになります。良い手法を思いついたからといって即座に試すことはできませんが、そのやり方に穴はないか、成功確率はどれくらいか等を検証することは可能です。
それによって様々な能力を鍛えられるのは勿論ですが、企業が置かれている現状や業界のことを深く知ることができるでしょう。ビジネスとは、どれほど良い施策を行っても外部環境次第で上手くいったりいかなかったりするものです。
それらを多角的にシミュレーションしておくことは、転職活動においても、そして入社後にも役に立つのではないでしょうか。
まとめ
転職活動を行う際は、自己分析と同じくらい企業分析が大事です。自分のことはしっかりと分析できていても、相手のことを知らなければ、どの企業に応募すれば良いのかが分からないままでしょう。
企業研究は口で言うほど簡単ではありませんが、幸いなことに企業の沿革やニュースリリース、商品情報やIR等、様々な情報がオンライン上で公開されています。それらを多角的に眺めることで、少しずつその企業の実体が見え、そこで働く姿もイメージできるのではないでしょうか。
また、企業研究を行うことで、応募する企業をより身近に感じられるという側面もあります。親愛の情を抱く程ではないかもしれませんが、まったく見知らぬ存在よりは、多少身近に感じられた方が選考もリラックスして臨むことができ、良い結果に繋がりやすいのではないでしょうか。