ビジネススキル

伝達力を意識してビジネスシーンを円滑にしよう

「あれほど説明したのに、伝わっていなかった…」。そんな悔しい経験はありませんか? ビジネスにおいては、誰かに物事を伝えるシーンは数多くあります。業務においても人間関係においても、相手に物事を伝える能力というのは、影響力があるでしょう。

そこで意識したいのが伝達力です。相手に情報を伝えて理解してもらい、行動や対応してもらうためにそれを促す力です。

ここでは、伝達力はどんなシーンで効果を発揮するのか、どうすれば伝達力が上がるのか、そして、どんな伝え方をするといいのかなどを紹介していきます。

もくじ

伝達力ってどんな力? 物事をねらい通りに伝える力

部下やスタッフ、あるいは上司に対して「話したことが伝わっていなかった…」という経験はありませんか? 実はその原因、それを伝えた人の側にあるとも言われています。

伝達力は、単に、正しい内容を分かりやすく話せばいいというわけではありません。とすれは、伝達力で肝心なのは一体どういったことなのでしょうか。

伝達力は物事を相手に伝えて、それを理解してもらい、実際の行動に移してもらうこと。ここまでの一連の流れが求められるのです。ビジネスにおいては重要なスキルと言われるので、一度、自分の伝える力について見直してみてはいかがでしょうか。

伝達力は話術ではない。伝えた人に行動してもらうこと

話すことだからといって、スピーチ能力や話術があればできるということではありません。どんなに魅力的なトークで、分かりやすい言葉を並べたとしても、相手が理解できなければ伝達したことにならないのです。

「情報を伝えたのに、動いてくれなかった…」という経験では、話した人は十分な説明だったと思っていますが、それを聞いた人は理解できていなかったということです。

ビジネスシーンで大切なのは、相手が知りたいこと、求めていることに応えること。ここを押さえておく必要があります。

話す人は、自分の言いたいこと、伝えたいことに意識を向けてしまいがちですが、大切なのは、聞く人が求めている情報を伝えられるかどうかです。伝わらなくて苦い経験をしたという人は、一度、その辺りを振り返ってみてください。

伝達力はリーダーシップにも欠かせない

伝達力で意識したいポイントは、もう一つ。それは、相手の記憶に残る伝え方をすることです。

職場のリーダーであれば、部下やスタッフに対して業務指示を出すこともあるでしょう。その際、意図したとおりに行動してもらうことがポイントになります。

とはいえ、命令口調や威圧的な態度で指示を出しても、思うように動いてもらえないこともあります。行動してもらうには、相手の心に残るメッセージでなければなりません。

ビジネスにおいて、優先すべきは組織の目的や目標を達成すること。一つの部署でも、一つの情報でも、それに関わる伝達力は業務に大きく影響します。とすれば、部下やスタッフにねらい通りに動いてもらうため、伝達力はリーダーシップにも欠かせないスキルということになります。

 

伝達力はプレゼンの資料や企画の提案でも役立つ

伝達力があると、業務の伝達だけでなく、ほかにもいろいろなシーンで役立ちます。

例えば、セールストークにおいても、商品のウリや強みをねらい通りに伝えることができれば、顧客の購買意欲にもつながるでしょう。ここでも、顧客の求める内容に応えることを意識するという伝達力が関わってきます。

また、プレゼンの資料づくりや、企画の提案などでも役立ちます。競合のいるプレゼンでは、いかに自分の提案を理解してもらえるかです。伝達力を意識して資料を作成してみてください。自社の特徴を並べるだけでなく、検討する側の求めている情報、気になる情報に応えるような情報やデータを盛り込むことも意識してみましょう。

相手の心をつかむことができれば、プレゼンでも勝てる資料となるはすです。これは、社内の企画提案の際にも活用できます。

 

どうすれば伝達力は上がるの?

では、どうすれば伝達力を上げることができるのでしょう?

話し方のテクニックを知っていて、スピーチが上手な人なら伝達力があるかといえば、必ずしもそうではありません。聞く人が心を開いていなければ、どんなに素晴らしい内容や話し方でも耳に入らないからです。耳を傾けてもらえるようにするのも伝達力のうち。それには、普段からのコミュニケーションも大切になってくるのです。

そして、聞く人にとっては、耳から入る内容だけでなく、話す人の表情や身ぶりなども影響します。伝達力においては、この辺りも意識していく必要があります。

まずは意識して分かりやすい言葉を使う

情報を伝える時に一番に意識したいのは、相手に分かりやすい言葉を使うことです。例えば、職場の部下やスタッフなのか、あるいは、上司や得意先なのかによっても選ぶ言葉は違ってきます。

そして、「自分は分かる」と思って難しい言葉や専門用語を使ってしまうと、聞く人がそれを知らなかったり、分からなかったりすれば、全体の内容を理解することができません。

聞く人の立場に立って、情報を整理し、相手が分かる言葉を使うことを意識してみましょう。

また、話すスピードも状況や内容によって考えたいものです。難しい内容を話した時は、一呼吸おいて、聞く人が考える余裕をもつことも必要でしょう。

一対一で話をする場合だけでなく、大勢のスタッフの前や、文書やメールなどで一斉に配信する時も同じです。聞く人や読む人への配慮を欠いていないか、確認してみてください。細かいことですが、そうした一つひとつの気配りも伝達力を高めることにつながります。

身ぶり、手ぶり、表情など見た目も伝達力のうち

伝達力でもう一つ気に留めておきたいことがビジュアルです。

とくに、人から話を聞く場合、耳から入る情報だけでなく、視覚から入る情報も伝達力に大きく影響するのです。

聞く人は、話す人の表情や話し方なども感じ取ります。真剣に聞いてほしい内容であれば、そういった姿勢は、言葉だけでなく表情や態度でも伝わります。また、身ぶり、手ぶりは少しおおげさなくらいでもいいかもしれません。うれしい知らせなのか、注意してほしいことなのかは、表情や身ぶりなどでも表すことです。

例えば、部下やスタッフに向けて伝えたいことがあるとします。眉間にしわを寄せて叱責するのか、真剣なまなざしで注意してほしいことを伝えるのか。同じ言葉や内容でも、聞く側にとって、その印象は大きく変わってくるでしょう。

上司や部下など相手のタイプをふまえて伝達する

伝達力を上げるために、さらに気を配りたいこと。それは、聞く人の性格やタイプに合わせて伝える方法を考えることです。

例えば、身近なスタッフや所属する部署の上司など、相手がどんなタイプか事前に分かれば、それに合わせて伝える内容を検討してみることです。熱血タイプか、クールなタイプか。または、せっかちななのか、細かいことを気にするのかなど。相手がこだわる部分に合わせて、伝えたい内容をアレンジしていくことも必要でしょう。細かい配慮ができれば、伝達力を高めることにつながります。

熱意やビジュアルなどを重視するタイプには?

話す相手が、情熱的なタイプであれば、まずは、自らの思いやきっかけなど、その人の心に響くストーリーを話してみましょう。意気投合できれば、その後の説明は伝わりやすいものです。順番として、まずは伝えたいことに対する熱意を語り、その後、理由となっているデータなどを伝え、最後に具体的な方法を伝えます。

こういうタイプの人には、根拠となるデータや情報を伝える際も、数字はもちろんですが、視覚に訴える分かりやすい資料を準備しておくと理解してもらいやすいでしょう。

同じ情報や内容でも、「この人にはこの順番とこの方法で…」と伝え方においても作戦を練ることが肝要です。

データや正確さを求めるタイプには?

一方、話す相手が、データや数字などにこだわるタイプもいるでしょう。そういった人の場合、自分がこれから伝える内容について、まずは根拠としている情報やデータを示し、どういったことが理由となっているかを説明することから始めます。

このようなタイプであれば、「これだけ情報を揃えているなら、話を聞こう」という気持ちにつながるのです。先にデータを示すことで、その後、伝えたいことを理解してもらいやすいでしょう。

裏付けとなっている数字を話のなかに盛り込み、その資料も携えます。注意すべきは、その数値を間違えないようにすること。そして、情報ソースがどこなのかも準備しておくことです。

初めて会う顧客など、どんなタイプか分からない場合は、まず、万能な伝え方や資料を用意しておき、相手の様子が分かってきた時に話せるよう、伝え方のパターンをいくつか準備しておくといいでしょう。

まとめ

伝達力は、その言葉どおり、伝える力。ビジネスシーンでの活用が期待されるスキルの一つです。ところが、多くの人は「自分はきちんと伝えたのに、相手が分かってくれない…」と思いがちです。

伝達力は、相手に分かりやすく伝えることはもちろん、それを理解してもらい、ねらい通りに行動してもらうまでがその力です。ポイントは、相手が耳を傾けてくれるように伝え方を工夫することです。伝達力は、業務の指示や報告などだけでなく、プレゼンや企画の提案でも役に立つスキルなのです。

そして、伝達力を上げるには、相手に合わせて言葉を選び、表情や身ぶりなども意識することです。予め、聞く人がどんなタイプか分かれば、それをふまえて伝える内容や情報を考えて準備します。細部にまで気配りができれば、伝達力はぐんと上がるでしょう。

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