仕事に思いやりや優しさといった性質は必要なのでしょうか。ビジネスを行う際にはドライな思考が必要とされている面があり、思いやりや優しさといったものは時に邪魔者扱いされてしまうこともあるようです。
しかし、ビジネスはチームメンバーや顧客、取引先等の人間関係を無視して進めることはできません。そのため、あまりにも人間の感情を無視したやり方は長期的には支持されず、いずれ凋落に向かう運命になるのではないでしょうか。
この記事では、思いやりのある上司が部下や職場にもたらす効用について見ていきたいと思います。
もくじ
思いやりのある上司の元で働く部下は一生懸命になる!
上司には部下を適切に指導する役割が求められていますので、時には部下に厳しく当たらなければならないシーンもあるでしょう。しかし、一般的に部下に対しては思いやりをもって優しく接した方がメリットが高いと言われています。
思いやりのある上司によってポジティブな環境が構築されている場合、そこで働く部下はリーダーへの忠誠心が高まる傾向があります。忠誠心が高まった部下はリーダーのために一生懸命に働こうという意欲が沸いてくるのではないでしょうか。
人は自分の利益のために頑張ることもできますが、多くは誰かのために頑張った方がより強い力を発揮できるようです。誰しも自分勝手な人間より、ちゃんと周囲のことを鑑みることができる人に上に立ってほしいと思っていますので、思いやりのあるリーダーは部下から強く信頼されることでしょう。
思いやりのある上司の仕事の仕方や特徴とは?
それでは、次に思いやりのある上司の仕事の仕方や特徴等を見ていきたいと思います。思いやりのある上司は成熟した人格を有しており、多少のことで感情が乱れることはありません。
感情が安定しているというのは信頼を得るために大事なことであり、誰も子供のように感情的に振る舞う人と一緒に仕事をしたいとは思わないでしょう。部下の仕事に対するモチベーションは上司次第で変わるため、しっかりと思いやりを持って接することが大切です。
部下の話や意見をじっくりと聞いて参考にする
思いやりのある上司は、部下の話や意見をじっくりと聞くことができる精神的余裕を備えています。もし上司が自分の仕事で手一杯で部下の話を聞く余裕がない場合、チーム内の問題がそのまま放置され、いずれ表面化し手遅れになってしまう恐れがあるでしょう。
思いやりのある上司は常に部下のことを気にかけており、また部下の方も上司を信頼しているため、何かあったらすぐに相談することができます。それにより様々な問題を未然に防ぐことができ、チーム内の雰囲気を良好に保つことができるのではないでしょうか。
また、思いやりのある上司は部下の意見を真摯に傾聴し、決して軽んじるような真似はしません。立場は上司と部下というものですが、あくまでも対等な一人の人間同士として互いを尊重し合う姿勢を大切にしています。
よく褒めることで部下のモチベーションを向上させる
また、思いやりのある上司は部下をよく褒めることでモチベーションを向上させるよう努めています。褒められて嫌な気持ちになる人はいませんし、自分が尊敬している相手から褒められたら「よし、もっと頑張ろう」という気持ちになるのではないでしょうか。
思いやりのある上司は部下の仕事ぶりをしっかりと見ていますので、基本的にその評価基準は適切な設定がなされています。そのため「頑張っているのに誰も評価してくれない」ということもなく、メンバーがそれぞれ自分の持てる力をいかんなく発揮して仕事に取り組める環境が整備されています。
他人を褒めることができるというのは、イコール他人の良い面をしっかりと見ているということに他なりません。そのような人の下であれば、部下も安心して自分の業務に専念することができるでしょう。
部下に対するねぎらいや感謝の言葉をつねに表現する
部下に対するねぎらいや感謝の言葉を常に表現するのも思いやりのある上司の特徴の一つです。ねぎらいや感謝の言葉というのは一般的には口にするのが恥ずかしいため、素直に表現できる人は少ないのではないでしょうか。
しかし、思いやりのある上司は嫌味にならないよう感謝の言葉を表現することに長けているようです。褒められるのと同様、感謝されて嫌な気持ちになる人もいませんので、思いやりのある上司は周囲の人から好かれる傾向があるでしょう。
自分が好きな人からねぎらいや感謝の言葉をかけられるのは嬉しいものであり、相手のために何かしてあげようという気になるのが自然です。思いやりのある上司が率いているチームは、そのような良いサイクルの中で仕事に励むことができるでしょう。
部下の失敗は自分の責任だという考えで部下を守る
思いやりのある上司は責任感も強く、部下が何かを失敗した際にもそれを自分の責任と捉える習慣があるようです。そのため、部下のミスで何かしらの損害が発生してしまった際、部下と共に上司も相手先に頭を下げてくれるのではないでしょうか。
世の中には「部下の手柄は自分の手柄だが、部下のミスは自分には関係ない」という無責任な上司も存在します。そのような上司は、部下がミスした際には一応相手先に頭を下げるものの、本心では「なんで俺が」と思っており、後でミスをした部下に対して冷たく当たることでしょう。
対して、思いやりのある上司は本心から「部下の失態は自分の失態」と捉えているため、そのミスで部下が不利な立場にならないよう守ってくれます。その姿を見た部下に上司を尊敬するなというのは少々難しい話になるのではないでしょうか。
部下のために決して甘やかさない優しさがある
そのような思いやりのある上司でも、時には部下に対して厳しく当たることもあります。しかし、それはただ感情的に接しているわけではなく、あくまでも部下のためを思って厳しくしているに過ぎません。
人間というのは、甘やかしすぎても厳しくしすぎても潰れてしまいますので、指導者はそのバランスを上手くとる必要があります。思いやりのある上司はその辺りをしっかりと考えており、長期的に部下を育成することを視野に入れて接しています。
よく知らない人や付き合いの浅い人に厳しく当たられたところで、ただ反発を感じるだけでしょう。しかし、思いやりのある上司は普段から周囲との関係性を大事にしていますので、十分な信頼関係を構築した上で怒ったり叱ったりといった行動に移ることができます。
そのため、叱られている方も、その厳しさは愛情の裏返しであることが理解できるのではないでしょうか。
部下が困ったときにはすぐにフォローする
思いやりのある上司は部下が困ったときにはすぐにフォローし、仕事が滞らないように適切なサポートを行ってくれます。風通しの良いチームというのはいつでも誰にでも何でも聞くことができるチームと言い換えることができますので、上司が率先してそのような環境作りに励んでいるのかもしれません。
風通しの良いチームは仕事を停滞せることがなく、お互いがお互いをフォローし効率良く業務を遂行することができます。そして、仕事におけるストレスがあまりないため、メンバー同士も仲が良く、些細なことでも気軽に相談できる雰囲気が整っています。
また、部下が困った時にすぐさまフォローすることのできる上司は周囲をよく観察しているとも言えるでしょう。観察力に優れた上司はトラブルやミスを未然に防ぐことができますので、自ずとチームの生産性が向上するのではないでしょうか。
部下に対して一人の人間として興味を持って接する
思いやりのある上司は、部下といえど一人の人間として興味を持って接することを心がけています。上司と部下というのはあくまでも会社から与えられた役割であり、それ以前にお互い一人の対等な人間であるという考えを大切にしているようです。
酷い上司であれば、会社での役割をまるで身分制度のように捉えており、部下は上司の奴隷であるという見方をしている人もいます。そのような上司の元では部下は疲弊するだけであり、チームの成績も部下の成長もまるで見込めないでしょう。
対して、思いやりのある上司は部下のことを一人の人間として尊重しているため、人として失礼に値するような行為は決して行いません。そのため、部下の自己肯定感や忠誠心もアップし、結果としてチームの成績や部下の成長に大きく貢献するようです。
怒りをコントロールして部下を許すことが大事
思いやりのある上司とは、精神的に余裕があり、態度や行動が成熟しているというのが大きな特徴であると言えそうです。そのような思いやりのある上司を目指したいところですが、時には部下のミス等でイライラしてしまうこともあるでしょう。
しかし、そこでしっかりと怒りをコントロールし、部下に対して寛大な態度を見せるのも上司の職務の一つです。感情のままに怒りを撒き散らしたところで相手からは反発されるだけですし、ひいてはチーム内の雰囲気にも悪影響を及ぼしてしまいます。
上司というのは部下よりも仕事や人生の経験が豊富であることが求められていますので、多少のミスは許す心を持つことが大切です。そのような柔軟な態度は、部下を含む周囲からの信頼に繋がり、長期的には自分のためにもなるのではないでしょうか。
まとめ
思いやりのある上司の下で働く部下は能力以上の頑張りを見せることが多く、結果的にチーム全体の業績も良くなることが期待できます。職場の雰囲気というのは思った以上に生産性や創造性に影響を与えるため、リーダーとして部下が仕事しやすい環境構築を行うことが大切になるでしょう。
適切な環境からは適切な成果が生まれますし、その逆もまた然りです。一般的な会社ではチームの業績イコールリーダーの業績としてみなされるため、管理職は自分だけが頑張ってもなかなか評価には結びつきません。
時には部下の未熟さにイライラしたりもどかしく感じてしまうこともあるかもしれませんが、そこは人生や社会の先輩としてグッとこらえた方が良さそうです。上司として大人の余裕を見せることができれば部下からの信頼を得ることができ、ひいては会社全体の利益に貢献することができるでしょう。