人は生きていると、どうしても嫌なことがあります。仕事での失敗や人間関係のストレスなど、「忘れられれば楽なのに…」と感じることはないでしょうか?
ポジティブなことに取り組んでいても嫌な記憶にジャマをされ、その度に足を止めていては時間がもったいないでしょう。
よく「嫌なことがあったら、思い出さずに早く寝るといい」とも聞きますが、それは本当に正しいのでしょうか?
この記事では、嫌なことを忘れるためにやるべき“5つの方法”を紹介していきます。
もくじ
嫌なことを忘れる!そのためには脳の仕組みを知るべき
では、嫌なことを忘れるためにはどうすればいいのでしょうか?
大前提として覚えておきたいのは、人の脳の構造上、完ぺきに記憶を消すことはできないということ。特に“嫌な記憶”については、無意識のうちに頭の中でくり返し思い出してしまい忘れにくくなるのです。
ですから人の脳は、ポジティブな記憶よりもネガティブな記憶が強く残りやすい性質を持っています。
「なぜ記憶を消せないのか?」と思いつめてはいけません。それは人の脳の構造上、仕方のないことなのです。
とはいえ、あなたが生活していくうえで「昨日の晩御飯すら思い出せない」という経験もあるでしょう。
それは、どういったメカニズムで起きている現象なのでしょうか?この“思い出せない”現象をうまく利用することで、嫌な記憶を忘れられるようにしましょう。
嫌なことを忘れたい!忘れるためにやるべきこととは?
人の脳の構造上、記憶を完全に消すことはできません。特に嫌な記憶は、無意識のうちに頭の中でくり返してしまうため、より記憶に残りやすいと言えます。その一方で、脳は忘れっぽい性質を持っているのも事実。
「嫌な記憶を忘れたい」と感じたのであれば、脳の忘れっぽい性質を生かしつつ、できる限り記憶を思い出さないように努めるしか方法はありません。脳から記憶を消すことはできなくても、忘れることなら可能なのです。
そこでここからは、嫌な記憶を思い出さないためにできる“5つの方法”を紹介していきます。
思い出そうとしない:思い出そうとすると忘れられなくなる
まずは、“嫌な記憶を思い出さないこと”を心がけましょう。たとえ記憶を思い出してしまったとしても、とにかく嫌な記憶を積極的に忘れようと意識してください。
人の脳は、物事を頭の中で繰り返すことで記憶を定着させます。嫌な記憶を脳に定着させないためには、できる限り思い出さないことが大切です。
どうしても記憶を思い出してしまう場合は、その記憶を“抽象化”するとこから始めましょう。抽象化をする方法としては、以下のような方法が挙げられます。
頭の中に浮かぶ記憶の風景に対して、
- 白黒にしてみる
- ぼかし(モザイク)を入れる
- 良い思い出に書き換える「本当にうまくいくのか?」と信じられない方もいると思いますが、まずは試してみましょう。意識的に記憶を抑え込むことは、嫌な記憶を忘れるにあたってとても効果的です。
- などをして、思い出してしまう記憶の印象をぼかしていくのです。
好きなことに集中してみる:他のことを考える時間を作る
くり返しますが、嫌な記憶は頭の中でくり返すことで定着していきます。ですので、嫌な記憶を思い出さないように、好きなことに集中するのも効果が期待できます。
あなたには、何かしらの好きなことがあるはずです。運動や読書、ゲームに音楽鑑賞、内容はどんなことでもかまいません。あなたが「楽しい」と感じられる時間を増やすようにしましょう。
ここで大切なのが、嫌な記憶から意識を遠ざけること。極端な話、没頭できることであれば何でもかまいません。生産性は度外視して、好きなことに没頭してみてください。
とにかく、何かしら別のことに集中しましょう。もし「趣味がない」のであれば、何かしらの没頭できる作業に取り組んでみてください。まずは、別のことに集中する時間を作ることが大切です。
紙に書き出してみる:悩みを可視化して整理する
嫌な記憶を忘れるためには、記憶を整理して抽象化する必要があります。そのために、嫌な記憶を紙に書き出して整理することはとても効果的です。
悩んでいるときは、いろいろな考えや不安が頭の中をグルグルと回っている状態です。自分では「頭の中でしっかり考えを整理している」と思っていても、頭の中ではグチャグチャになっている場合がほとんど。
ですので、まずは自分の考えを紙に書き出して整理してみましょう。嫌な記憶を文章に落とし込んで客観視することで、感情的に向き合うのを避けられます。
紙に文章として書き出すと、頭の中のモヤモヤを吐き出した感覚になれます。たとえば、悩みの相談にのってもらった後は少しスッキリした気持ちになりませんか?それは、頭の中のモヤモヤを言葉に変換して整理できたからです。
早めに寝る:夜はネガティブな思考が強くなる
人によって多少の差はあると思いますが、夜はネガティブな感情が生まれやすい時間帯です。ですので、寝る前に考え込まないためにも早めに睡眠をとることをおすすめします。
人は睡眠をとることで、自分の脳に記憶を定着させます。ですので、寝る前に考えていたことは脳に定着しやすいのです。それをくり返していると、嫌な記憶が脳に定着してしまい、いよいよ取り除けなくなります。
ですので、寝る前には深く考え込まないようにしましょう。できる限りポジティブなことを考え、睡眠をとるようにしてください。
逆に言うと、朝は比較的ポジティブになれる時間帯です。嫌な記憶が考えのジャマをする場合は、朝などの早い時間に考えを整理するための時間をとると良いでしょう。
「もう過去のことだ」と切り替える:いつまでも引きずらない
むずかしい作業ですが「その記憶はもう過去のことだ」と切り替えることは、嫌な記憶を忘れるうえで大切な考え方です。無理に記憶を押し込めたところで、あなたのなかで納得していなければ、いずれ思い返してしまう可能性があります。
酷な言い方になりますが、過去は変えられませんし取り消すこともできません。「過去は過去」と切り替えない限り、嫌な記憶を忘れることはできないでしょう。
先ほど紹介した「思い出そうとしない」と重複する部分がありますが、意識的に「過去のことだ」と考えるようにしましょう。少し落ち着いて考えてみると、気持ちが楽になるケースは少なくありません。
この段階は、嫌な記憶を忘れるうえでの最終ステップと言っていいでしょう。あなたが持つ嫌な記憶に対して「もうそれは過去のことだ」と切り替えられれば、嫌な記憶を克服したと言っても過言ではありません。
嫌なことが忘れられない!悩んだときに読みたい本とは?
ここまで、嫌なことを忘れるための方法を紹介していきました。この方法を実践すれば、少しずつ嫌な記憶から離れられるでしょう。
とはいえ、「もっと方法を知りたい」「いろんなアドバイスを受けたい」と感じる方もいるかもしれません。その場合は、人の言葉が多く詰まっている“本”の力を借りてみてください。
ここからは、「嫌なことを忘れたい」と悩む人におすすめしたい本を紹介していきます。足が止まりそうになったとき、背中をそっと押してくれるような本ですので、考えが煮詰まったら手に取ってみてください。
『忘れたいことを忘れる練習』
“心理カウンセラー”である著者が、嫌なことを忘れる方法を記した『忘れたいことを忘れる練習』。嫌な記憶を忘れるための方法が、さまざまな視点からまとめられた本になっています。
本書では嫌なことを忘れる“90の方法”が書かれているので、あなた自身に合った方法を選択・実行できるでしょう。その方法は、心理学や哲学、禅の教えなどに基づいているようです。
また、嫌な記憶に縛られている原因や、嫌な記憶を忘れた後のメリットなども書かれているので、「どうして忘れられないんだ…」と悩む人にとっては一読する価値があるでしょう。
本書は、「忘れなきゃとは思っても忘れられず、嫌な記臆をくり返しては自己嫌悪になってしまう。」と悩むあなたが、嫌な記臆を忘れる手がかりをつかめる1冊になっているはずです。
『忘れる技術ー思い出したくない過去を乗り越える11の方法』
『忘れる技術ー思い出したくない過去を乗り越える11の方法』は、精神科医である筆者が、“忘れられない記憶”との向かい方や対処法をまとめた本です。
“忘れられない記憶”のメカニズムから具体的な行動まで書かれているため、実際の行動にも落とし込みやすい内容となっています。
もちろん、“嫌なことを忘れるための技術”もわかりやすく丁寧に書かれており、「すぐに解決したい!」と悩んでいる方にもおすすめできる本になっています。方法としても“11の方法”が紹介されており、あなたに合う方法がきっと見つかるでしょう。
内容に具体性があるため、ぼんやりと悩んでいる人よりかは「〇〇に悩んでいる」と具体的に悩んでいる人向けの本でしょう。
まとめ
くり返しになりますが、嫌な記憶を完全に消し去ることは極めて困難です。記憶を消すのではなく「できる限り思い出さないように忘れる」という意識で、嫌なことに対して向き合うようにしましょう。
この記事では、嫌なことを忘れるための方法を“5つ”紹介しました。しかし、嫌な記憶はすぐに忘れられるものではありません。嫌なことを忘れるためには、それ相応の時間が必要です。
ましてや、嫌な記憶に対する感情が強いほど解決には時間がかかります。忘れられるまでの時間はとても辛いでしょうが、少しずつ取り組むことで嫌な記憶を取り除いていきましょう。
嫌なことを忘れられれば、自分がやりたいことに思いっきり力を注げるはずです。決して無理はせずに、少しずつ時間をかけて解決していくようにしてください。