「ノマドワーカー」という言葉が流行ったり「フリーランス」として働くスタイルが一般的になるなど、ここ数年で仕事に対する意識や働き方は、一気に多様化しました。
また、AI技術の進歩によって、今後10年で多くの職業が無くなるとも言われています。
さらに「副業解禁」をはじめとする、政府主導の「働き方改革」によって、今後はもっと働き方が変わるとされています。
10年後の未来、一体我々はどのようなスタイルで働いているのでしょうか。
もくじ
政府が推奨する「働き方改革」で未来の働き方はどう変わる?
2016年9月、安倍首相が「働き方改革実現推進室」を設けて、従業員や経営者に対して「働き方を変える」という意識を持たせるような動きが生み出されました。
しかし「働き方改革」と言っても、一体どんな改革がされるのか、そして改革の目的がどこにあるのか、まだまだ知っている人は少ないかもしれません。
まずは、働き方改革の目的と課題をおさらいしてみましょう。
働き方改革の背景には「労働力の減少」という背景がある
「働き方改革」がなぜ提唱されたのか、そこには未来の日本を見据えた問題である「労働力の減少」という理由があります。
日本は今、少子高齢化が進んでおり、現在のペースだと日本は遠くない未来に、人口が1億人を切ると予想されています。そしてその内、労働力人口と呼ばれる世代は、5000万人を切ると言われています。
このままでは、日本という国の生産力・経済力・競争力が失われてしまうことから、政府が改革に取り組むことになったのです。
働き方改革のキーポイントは「一億総活躍社会」
働き方改革の取り組みにおけるキーポイントは、「一億総活躍社会」というものです。
これは、「日本人が皆活躍できる社会を目指そう」という意味ではありません。
一億総活躍社会とは、少子高齢化が進む日本においても、50年後、100年後の未来でも人口1億人を維持しようという、未来を見据えた施策なのです。
ここで、働き方改革として目指されているのが、これまで労働できなかった女性や高齢者にもっと働いてもらうこと、子供を産みやすい、育てやすい環境を整えて出生率を上げること、バブル時代からなかなか変わらない「残業=偉い」という風潮を打破することなどを、一言で「働き方改革」と呼ばれているのです。
過去10年間を振り返ると未来の働き方が見えてくる
働き方の多様化という面で、10年後の未来を見据えるには、過去10年間を振り返ると見えてきます。
インターネットが急速に普及・進化したここ10年は、ネット環境があればどこでも仕事ができるようになりました。
それより前は、東京や大阪などの大都市に集まっていたような職種を、地方都市でも見かけるようになりました。バブル時代は、上京する人が多くいましたが、今後は地元にいながら好きな職場で働ける、学びたい学校で学ぶことができるようになっていくことでしょう。
この流れは、スピードは緩やかになっても止まることは当分ないでしょう。
10年後の未来で変わっている10の働き方とは?
10年後の未来、我々は一体どのような環境で、どのような働き方をしているのでしょうか。過去10年の実績と、政府が行う働き方改革から、考えられる未来の働き方を予想してみましょう。
現在でも導入されている「新しい働き方」が未来では普通となり、今の我々の働き方は、間違いなく「古い」と呼ばれるものになるでしょう。
10年後に訪れるであろう未来の10の働き方をご紹介します。
毎日の通勤は無くなり在宅勤務が普通となる
毎朝、満員電車に揺られ、「決まった時間に出社して定時で帰る」という勤務の仕方を導入している企業は、少数派となるでしょう。
出勤するのは週に1回、それ以外は決まった時間に自宅や近くのカフェで仕事をするという働き方が、未来では一般的になるはずです。
現在でもこのような仕組みを導入している企業はありますが、産休中の特例や、事前承認が必要など本格的な稼働には至っていません。
10年後の未来では、ほとんどの人が時間にゆとりを持って仕事に取り掛かっているでしょう。満員電車に乗る人は、労働人口の中の少数派の人になっていると考えられます。
長く勤めることの美学は無くなり年功序列制度が廃止される
バブル時代から続く、「勤続年数」や「年功序列」というものが廃止されているでしょう。むしろ、1つの会社に長くいることが、未来ではデメリットと言われているかもしれません。
複数の会社で、様々な人とたくさんの仕事を経験していることが、パーソナリティを評価する1つの指標だと考えられる時代となります。
1年毎に別の会社に転職する方が優秀だと言われ、会社に長く勤めていれば給料が上がるような制度は、10年後の未来の働き方には存在しないはずです。
残業という概念がなくなり長時間労働がなくなる
働き方改革の中に「生産性の向上」という考え方があるように、「少ない時間、少ない人員」で最大の効果を出すことが普通という考え方は、未来の働き方には存在します。
残業している人=頑張っている人、仕事のできる人というバブル時代から続く働き方の考え方は確実になくなります。優秀な人は、仕事をさっと終わらせて早く帰ります。
長時間労働というものがなくなるので、残業代というものも発生しません。そもそも、「定時」という概念が無くなっているのが、未来の働き方になることでしょう。
「正社員」「非正規社員」という雇用格差がなくなる
働き方改革の目玉の1つである、「正社員」と「非正規社員」の雇用格差の廃止ですが、これも当然無くなっていると考えられます。
現在でも、時短勤務や産休・育休の取得率がアップしている企業が増えているので、これまではパート扱いになってしまう人も正社員と同等の雇用条件で働くことが一般的になっていることでしょう。
そもそも正社員として働く人よりも、フリーランスとして働く人の方が増加していて、稼ぎやすくなっていると考えられます。
高齢者の労働力を期待した定年年齢の引き上げと定年後再雇用の活発化
現在の日本では、65歳で定年退職し、その後再雇用という制度があります。少子高齢化はもちろん、寿命100年時代に突入していることから、高齢者の雇用が活発化しているということは、十分に考えられます。
若年層は、自分でメディアを持って、クリエイターとして活動することができるので、コンビニ定員やレジ打ちなどの労働力は全て高齢者に置き換えられ、そもそも労働者年代の人は、知的労働が主になっているはずです。
「新卒採用」「第二新卒」の採用困難による正社員の減少
現在でも、大学を卒業して会社勤めを経験せずに企業したり、フリーランスとして活動するという働き方を選択する人はいますが、ほとんどの人は新卒で就職することを選択しています。
しかし未来の働き方では、優秀であればあるほど新卒エントリーに応募せずに企業やフリーランスをチョイスする人が増えると考えられます。今もすでに起きていますが、卒業後どころではなく、在学中にすでに会社を設立する人も増えていることでしょう。
一方で、スキルを持たない人ほど会社員として生きることを希望する傾向になるため、企業側も正社員の数は減らして、フリーランスに外注するという仕組みが一般的になることが予想されます。
副業が当たり前となりプロジェクト毎にチームが組まれる複業化
政府の副業解禁に伴い、これまで副業を禁止にしていた企業も続々と副業OKとしていますが、未来の働き方では副業が当たり前となっているでしょう。
むしろ、定時や出社の義務が無い働き方となっていることを考えると、兼業や複業が一般的な働き方となっているかもしれません。
複数の企業で複数のプロジェクト毎にメンバーとして参加し、別々の会社の人間が同じプロジェクトメンバーとして働き、プロフェクトが終わったら解散…という働き方が、未来では普通の働き方になっているでしょう。
ハローワークや転職サイトではなく自分自身を売り込み複数の企業で働くようになる
ハローワーク、転職サイト、書類選考など、現在の転職や就職におけるプロセスは、未来では完全に廃止されているでしょう。
「この企業で働きたい!」と感じたら、ポートフォリオや自己サイト、SNSを使い自分自身をプレゼンし、直接応募・直接雇用が一般的な世の中になるはずです。
複数の会社で働き、複数の会社から給与をもらう、未来ではこれが一般的であり、行きたい会社を諦める必要がなく、自分のキャパシティの中で色々な企業で働くようになるでしょう。
世界各国のビジネスマン同士が繋がって働くようになる
英語が話せないとか、そんなことは小さいことという考え方が未来では一般的になっています。googleの本社採用で、日本人が日本で仕事をするなんていう人がそこら中にいるのが未来の働き方です。
インターネットがあれば、世界中の人とオンラインで繋がることができます。翻訳ソフトがあれば、通訳がいなくてもコミュニケーションが取れます。
全世界を対象にビジネスをしている人が増えているでしょうし、ビジネスマン同士が情報を交換しながら繋がって働いているのが、未来の働き方です。
自分の好きなことを仕事にしている人が増えている
働き方が多様化、お金を稼ぐ方法が無限にある世の中になっているので、「お金のために仕方なく」という考え方で仕事を選ぶ人はほとんどいなくなっているでしょう。
未来では、自分の好きなことを仕事にする、働きやすい環境を生み出すことが一般的になっているでしょう。そしてそれが、働き方として当たり前になっているはずです。
企業が手動ではなく、働く人が手動で選べるというスタイルで、働き方でストレスを感じる人が少なくなっているのが、未来の理想の働き方です。
未来の働き方で大切なのはスキルでも能力でもなく「働く意識」
未来の10の働き方に共通しているのは、スキルや能力ではなく「働く意識」になります。働くということは、定時の間に会社にいることではありません。会社で成果を上げることなのです。
バブル時代のように、何もしなくても売り上げがどんどん増えるようなことは、今後は絶対にあり得ません。だからこそ、一人一人が働くということに対してしっかり意識を持ち、働き方を考えることが未来での働き方に通じていくのです。
まとめ
10年後の未来で考えられる10の働き方をご紹介しました。政府が打ち出した働き方改革がうまくいけば、今後の日本はとても働きやすい環境となるでしょう。
時代が進歩しているのにも関わらず、日本のビジネスモデルは未だにバブルの時代のものが良しとされています。当然、働き方も30年前のベースと変わっていないのです。
しかし、ここ数年で徐々に変わってきたことを考えると、10年後の未来の働き方は、より自由と責任が与えられ、それを全うできる人は楽しく仕事ができる世界になっていることでしょう。