よく例えでも用いられる言葉ですが、『論語』の中の有名な一節があります。
「吾、十五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。」
40歳で迷いを断ち切り、悟りを開いた孔子には及ばずとも、この年齢になったら何かしら達観できる分野があっても良いと思います。
しかし、多くの40代の、特にサラリーマンの方は、まだまだ「四十にして惑ってばかりだよ」と嘆きたくなるほど、なかなか思うようにはいかないのが実情ではないでしょうか。40代の働き盛りは、会社や家庭の様々なことに時間を取られ、本来自分がしたい事やすべき事に時間を割けない。これが悩みの種の一つと思います。
そこで敢えて、今後の日本を生き抜くためにも、40代だからこそ提言しておきたい。
40代だからこそ、新しい働き方にチャレンジしてみましょう。どうすれば、そんなことができるのでしょうか。
もくじ
「これから」の前に40代が背負うも「今」を考えよう
40代と簡単に言っても、多様な生き方ができる時代になったからこそ、取り巻く状況は様々です。
所帯を持っているかどうか、お子さんが何人いるかどうか、そうした違いもあります。
40代サラリーマンの背負っている共通の荷物というと、まずは「職場での地位」になるでしょうか。
企業の中で、40代と言えば、組織の中核であり重要な中間管理職です。重要な仕事を任され、その分責任も持たされている40代管理職は、その地位における業務を全うするために、日々苦闘しているのではないでしょうか。
さらに、40代ならではの苦労は家庭にもあります。
- 住宅ローンが定年まで残っている
- 子供の養育費、特に教育費はこれからが本番
- 今のところ健在だが、親の老後の介護が待っている
数え上げれば切りがないかもしれません。
40代の将来に対する意識を調査結果から確認してみる
公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団が、2017年2月に調査した、『40 代・50 代正社員の退職・ 引退に向けた意識に関する調査報告書』という資料があります。
40代が、将来をどのように意識しているのか、これからの働き方を考えるためにも、まずはデータに基づく調査結果で確認してみましょう。
調査対象は、定年制のある民間企業に正社員として勤務する全国の40歳から59歳の男女5,000人が対象です。
いくつか、気になる項目を箇条書きにします。
- 自分が60歳を越えたら仕事を続けていたいか
この質問に、収入を伴う仕事についての生活の割合は4割、という希望があることがわかりました。
その理由は、希望通りに悠々自適の生活になることは難しく、働かざるを得ないからと考える人が多い、という現実もあります。60歳になっても働き場所を得ていたいという心理は明確でした。その分、60代後半にはどうなっていたいか、という問いには、仕事の割合は2.5割程度と低くなっています。
- 60代以降ではどのように働きたいか
この質問には、男性7割、女性6割がフルタイムで働きたい、という回答です。しかし、それは難しいという意見も多いです。
- 60代以降でも働きたいのはなぜか
この質問の最大の理由が、「日常生活費のため」、となっています。特に住宅ローンを抱えている人は、ローン返済が大きな理由になっていますし、子供の学費のため、という理由もあります。
- 60歳以降で希望する年収はいくらか
この質問には、60代前半では現在の8割程度、70代では男性は5割強、女性は6割程度を望んでいます。
- いつまで今の会社に勤めたいか
この質問には、65歳以降まで勤めたい、という意見が多く、70歳以上という声もあります。
- 退職金は何に使うのか
この質問の1位は「老後資金」です。住宅ローンの残っている人の45%は退職金で返済するとしています。
- 定年後の生活はどうしたいか
この質問では、男性は妻との関係、女性は友達づくりを意識するとしています。
これらを集約すると、今の40代・50代の意識として、
- 生活費を考えると、60代になっても今の会社でフルタイムで働きたい
- そのためには、今の年収の8割程度はもらっていたい
- 退職金は老後の生活にあて、配偶者もしくは友人との関係づくりに時間を使いたい
となります。
この資料には、他にももっと興味深い調査結果があるのですが、まずは上記を注目してみました。
40代の働き方は、もっと「自分らしく」であってもいいのではないか?
さて、ここで多少の疑問もあります。
いつ、自分のしたいことをする、のでしょうか? 定年後にようやく始めるのでしょうか?
確かに、生きていくためには働いてお金を稼がないといけない、それは世の中の仕組みですから仕方ありません。
しかし、本当に自分がやりたいことは、いったいいつするのでしょうか。60歳過ぎてからでしょうか、70歳過ぎてからでしょうか。
人生は、いつ終わりが来るともわかりませんし、例えまだ先だとしても、いつまでも健康でいられるかはわかりません。
だからこそ、例えば、この10年で己を磨き、来る50代で子供の養育から手が離れたときなどをきっかけに、第二の人生を踏み出せるようにしてはどうでしょうか。本当に自由なことができる50代にするために、40代の10年間を過ごすのです。いかがでしょうか。
そのためには、何をすればいいでしょう。ここで40代のうちに明確にしておきたいいくつかの項目があります。
- まずは、自分自身は何者なのかを知ること
- 自分自身を見つめなおしてみること
- 自分は、何が好きで、何が得意で、何に興味があるのか
- 逆に、何が嫌いで、何が不得意で、何に興味がないのか
自分が何者なのかを明確に意識することが重要です。
そこでお薦めなのは、「好きなこと・得意なことリスト」を作ることです。
これに思いを巡らしていくと、知らず知らずのうちに、自分自身を省みていることに気づきます。客観的な視点で自分を見ているのです。
決して、嫌いなことや不得意なことのリストは作らない方がいいでしょう。不得意とわかって書き出してしまうと、それが強く植え付けられてしまいます。不得意や嫌いなものも、いずれ興味の対象になる可能性もありますので、それは思っても心に留めておき明確化しないことです。
そうやってある程度自分自身が何者で、どんな価値観を大事にしているかを理解したところで、次に、同じ価値観の仲間を求めるようにします。
一番出会いやすいのは、その価値観を体感できる集まりやイベントに参加することです。最近ではソーシャルネットワークでそうしたイベントを見つけることは簡単にできるようになりました。そこで見つけたコミュニティで、じっくりと同じ価値観の仲間を見つけると良いでしょう。
そして、そこで、新たなビジネスや働き方や生き方を仲間とともに考えてみるのです。
そのきっかけが掴めれば、仲間と共に40代に何をすべきか、明確にイメージし、行動できるようになります。
50代であるべき自分をイメージして、そのための準備を40代から仲間とともに実行する。
そんな過ごし方が、より良い40代の働き方の一つになるでしょう。
まとめ:40代で理想の生き方に向けて、働き方をシフトする。
自分自身を見つめ、価値観を明確にし、その同じ価値観を持つ同志をコミュニティで探し、そしてその同志たちと新たな働き方や生き方を見つけ出す。
これを40代から始めれば、50代に突入してからの生き方に大きな差が生まれていることでしょう。
40代のそうした活動は、場合によってはすぐに変化を得られる可能性もあります。
今は、自分だけでなく、世の中もどんどん変化する時代です。自分だけが、同じ場所の同じフロアの同じ机に居続けることこそが、実はとてもリスクだったのだと感じることもあるでしょう。
ぜひ、まずは自分を見つめ直してください。内観してください。
自分の価値を明確にしてください。
そこから、次の人生は開けてくることでしょう。