職場の悩み

上司からのセクハラに対抗する5つの方法とセクハラの基礎知識

近年、セクハラ被害の報道が増えてきました。

自らの性的な欲求を満たすためだけに、立場を利用して嫌がらせ行為を行うのは、絶対に無くさなくてはいけない卑劣な行為です。

だからこそ、もしセクハラ被害を受けたときには、速やかに対策をとることが重要です。

ですが、なんの準備もなく抵抗するのは、大きなリスクを秘めていることも理解しておかなければいけません。

ここでは、上司からセクハラを受けたときや受ける前に、理解しておきたい取り組みや知識をご紹介します。

世界が警鐘を鳴らしはじめたセクハラ被害

様々な業界で今「話題」なのが、セクシュアルハラスメント(セクハラ)です。ハリウッドでは、数々のアカデミー賞受賞映画を手掛けてきた大物プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインが、アンジェリーナ・ジョリー、グウィネス・パルトローといった有名女優やモデル等30人以上の女性からセクハラ行為で訴えられました。

その結果、妻からは離婚を突き付けられ、自身の映画会社ワインスタイン・カンパニーをクビになり、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーの会員資格をはく奪される事態となっています。この件に端を発して、「me too運動」として、女性・男性達が団結してセクハラや性的暴行に立ち向かう動きが、世界的に広がっているのです。

また、厳格な印象がある日本の相撲界でも、セクハラ問題が話題となりました。立行司の式守伊之助が、冬の巡業を行っていた沖縄県内のホテルで泥酔し、部屋まで送って行った10代の行司の男性に対して数回キスをし、手で胸に触れる等のセクハラ行為に及んだという出来事がありました。このセクハラ行為の処分で、3場所の出場停止の懲戒処分となる事態となりました。

少しずつ広がり始めたセクハラの理解と対策

このように、男女間はもちろん同性間でも起こるセクハラ問題に関するニュースは、最近頻繁に耳にするようになりました。なぜでしょうか?

それは、セクハラをする当事者のセクハラに対する意識が低いこと・セクハラに対する充分な理解がないことはもちろんですが、セクハラで訴えることができる環境になってきたことが考えられます。

近年セクハラは社会問題化し、企業では社内カウンセラーを配置する等様々な対策を講じていたり、報道機関がセクハラ被害を訴えるニュースを大々的に報じたりすることにより、セクハラ被害を受けている人は、「自分も我慢せずに訴えて良いんだ!」という意識が高まり、一般の方でも我慢せずに社内カウンセラーや弁護士等に相談する傾向が強くなってきています。

身近に存在するセクハラの恐怖とリスク

そしてセクハラ被害の中でも特に上司からのセクハラは、最も起こりえるケースでありかつ最も被害が大きいものだと言えます。それは、社内において上司と部下という立場にあるという上下関係を利用することによって行われるセクハラは、拒否することが非常に難しいからです。

上司であることを理由に、昇進や昇給そして評価等の権限を盾にしてセクハラをする行為は、非常に卑劣で悪質なセクハラですが、上司、部下の関係の場合、いわゆる「対価型セクハラ」が起こりやすい関係にあります。

「何でもかんでもセクハラだと言いやがって!」と思う上司の方もいらっしゃるでしょう。一方「あの上司、いつもセクハラばかりして、いつか絶対に訴えてやる!」と日々不満を抱えている部下の方もいらっしゃると思います。セクハラは、充分に理解していないと、加害者も被害者もセクハラによって人生が狂ってしまう可能性が多大にしてあります。セクハラについて充分に理解し、現在セクハラ被害で悩んでいる方はどのような対策や措置を講じればよいのかを考えていきましょう。

セクハラの判断基準とは?

セクハラかどうかの判断基準についてですが、職場環境や当事者によってセクハラの状況は様々であるため、それぞれのセクハラのケースにおいて当事者の事情や心情を充分に汲み取ってから状況を判断する必要があります。

また、労働者の意に反する性的な言動や就業環境を害する行為の判断については、労働者の主観を重視することはもちろんですが、男女雇用機会均等法において事業主のセクシュアルハラスメント対策は規定で義務化されていることから、事業主のセクハラ防止のための措置義務の対象となることを考慮すると、一定の客観的な視点を持つことが重要になってきます。

一般的には、労働者の意に反する身体的接触は、強い精神的苦痛を被ることが考えられるため、1回でも就業環境を害することになります。身体的接触は、異性間の場合最大の注意を払うことが必要ですね。

継続的又は繰り返しが要件となるセクハラであっても、明らかに抗議したのに問題解決しようとせず放置された状態であったり、その行為により精神疾患を発症したりする等の心身に重大な影響を受けていることが明らかな場合には、就業環境が害されていると判断できます。

また、男女の認識の違いにより生じる不快感や精神的苦痛があることを踏まえると、被害を受けている労働者が女性の場合には一般の女性労働者の平均的な感覚を、被害を受けている労働者が男性の場合には一般の男性労働者の平均的な感覚を基準とすることが重要となります。

「この位の対応なら大丈夫だろう。」や「自分ならこの位されても我慢するだろう」等といった自分主体での考え方はセクハラの判断基準にはなりません。

更に、男性・女性の中にも、トランスジェンダーの方や性同一性障害の方もいらっしゃるので、その場合は単純に男性・女性基準での判断だけでなく、当事者の事情や心情を尊重しセクハラを判断すべきケースもあります。

職場で起こり得るセクハラの種類を理解する

職場で起こり得るセクハラには、「環境型セクハラ」と「対価型セクハラ」の2種類があります。

  • 環境型セクハラ

上司や同僚等の相手から労働者である自分の意に反する性的な言動や行動をされることにより、自分が不快になったため就労意欲が低下し自分の能力が十分に発揮できず仕事を行う上で重大な悪影響が生じる等、労働者が就労するうえで見逃すことのできないほど支障がでることです。

具体的な例としては、「勤務中に上司が自分の胸やお尻等を度々触られるため、不快に思い就業意欲が低下すること。」や「同僚が取引先で自分に係わる様々な性的な内容の情報をわざと流したため、苦痛に感じて仕事が手につかなくなったり、その取引先に出向くことができなくなったこと。」、「社内で共有するPCの壁紙が卑猥なヌード画像になっているため、女性社員が苦痛に感じて就労意欲が低下すること。」等が挙げられます。

  • 対価型セクハラ

上司等の相手から労働者である自分の意に反する性的な言動や行動をされることに対して、自分が拒否や抵抗する等の対応を取ったことにより、自分が解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換や異動等の不利益を受けることです。

具体的な例としては、「勤務中に事業主が労働者である自分に対して性的な関係を要求してきたが、拒否したため自分が解雇されたこと。」、「移動中の車中で、上司が労働者である自分のお尻や胸などに触ったが、自分が抵抗したため不利益な配置転換をされたこと。」、「事業主が日頃から労働者である自分に係る性的な情報について他の労働者の前で平気で発言していたが、自分が抗議したため、降格させられたこと。」等が挙げられます。

環境型セクハラに抵抗や抗議をしたことによる報復として自分の地位や権限を利用し当事者に不利益を与える卑劣な行為ですね。

上司からセクハラをされたときの対処方法と抑止策5選

セクハラを受けた場合、どのような対応を取ればよいのでしょうか。セクハラの早急な解決と自分の身を守るために、対処方法と対策を充分に把握しておきましょう。

外部の「第三者」に相談する

セクハラを受けた場合、社内のカウンセラーや他の上司に相談する方法もありますが、社内のいわゆる「身内」の方に相談した場合、身内ゆえになかなか客観的に話を聞いてもらえなかったり、セクハラが起きたことにより会社のイメージを害すること等を理由に内々で処理してしまう傾向があり、根本的な解決に至らないケースがあります。

せっかく勇気をもって相談しても、解決に至らないのであれば意味がありません。そこで、必要なのは「第三者の目」です。

相談窓口として挙げられるのは、労働基準監督署・都道府県労働局・厚生労働省・弁護士や司法書士・ハローワーク等です。先述しましたが、男女雇用機会均等法において事業主のセクハラ対策は規定で義務化されています。

セクハラの無い働きやすい就労環境の確保は事業主の義務なので、公的機関等からの指導はセクハラ防止及び抑止の大きな効力となります。訴えたり事を大きくしたくない場合でも、相談だけでも可能ですので、一人で抱え込まずにまずは第三者に相談してみましょう。

自分自身ではっきりと拒絶する

上司からセクハラを受けた時、拒絶できない気持ちは良くわかります。

上司に言い返すということは、セクハラでなくても勇気がいりますよね。でも、勇気をもって抵抗しましょう。セクハラをされた時に、何も抵抗しなければ「この人にとってこの位ならセクハラじゃないんだな。」と相手に勝手な都合の良い解釈をされてしまいます。はっきりと拒絶し抵抗することで、相手のしたことによって自分が不利益を被っている、不快に思っているという事実を作ることができ、後々「本人も同意のうえの行為だった」という言い訳を阻止することができます。

抵抗したことにより、自分にとっての不利益を被るようなことがあれば、それはまさに「対価型セクハラ」にあたりますので、そうなった場合はしっかりと訴えていきましょう。

周りに「味方」をつくる

自分がセクハラを受けている社内や会議室等まさに「その場所」に、他の社員や先輩等のたくさんの味方を作っておくことが重要です。目撃者(証人)が多く出そうなところで、人は罪を犯しませんよね。

周りにたくさん自分の味方がいる環境を作ることにより、セクハラ加害者は、証拠を押さえられることを恐れているため手を出しづらくなります。また、なるべく一人にならないことはセクハラの抑止に繋がります。

そしてたくさんの味方をつくることは、後述する対策にも大きく影響してきます。

訴えるための証拠を揃える

セクハラで裁判や訴訟を起こす場合、必ずと言っていいほど高い確率で証拠の提示が求められます。

身体を触ったりといった行為等は一瞬だったりするのでセクハラの証拠集めは結構大変です。そこで、身体を触られるなどのセクハラ行為をされそうな場合は、一人で行動せずに、なるべく味方である社員や先輩等と一緒に行動し、セクハラをされた場合は、味方の社員や先輩を「証人」として確保しておきましょう。

その他にも、セクハラの証拠となり得るメールや文書等があれば必ず押さえておきましょう。セクハラに値する言動を録音しておくことも有効な手段です。

セクハラを受けた記録を取り整理する

セクハラをされたと感じた時は、ノートやスマホのメモ記録等を活用したりしながら自分なりに記録し、しっかりと整理をしておきましょう。

記録する時には、「セクハラを受けた日時・場所」・「証人(現場にいたセクハラを認知している第三者)」・「セクハラを受けた内容」「セクハラの証拠(証拠となるメールや録音データ等の有無)」をしっかりと明記しましょう。

刑事さんの裏付け捜査のような作業ですが、まさにそれです!セクハラを受けた直後のショックや怒りが治まり次第、速やかに記録を取りましょう。

自分が受けたセクハラ行為を記録しておくことで、第三者に相談する時の資料になったり、「いつ・誰に・どんなセクハラをされたか」を加害者本人に突きつけ追い込むことができます。また、セクハラ加害者にも、自分が対策を取っていることを知らしめることにより、危機感を感じさせセクハラの抑制にもつながります。

まとめ

今後セクハラに対する世間の意識は益々高まり、今まで以上にセクハラ行為に対して厳しい目が向けられることは明らかです。しかし、冒頭でご紹介した業界以外にも政治の世界や一流企業等様々な業界でのセクハラ被害が後を絶ちません。そしてそのほとんどは、上司から部下に対して行われているセクハラです。

セクハラを防止するためには、セクハラに対する充分な理解が不可欠です。セクハラ加害者の方は、セクハラの判断基準は、「自分(加害者)」ではなく、客観的な男性あるいは女性の視点と、被害者の事情や心情によるものであることを充分に理解していません。

身体に触れてくる方や性的で卑猥な言動をとる方は、明らかにセクハラの「確信犯」だと言えるでしょう。しかし、いわゆる「グレーゾーン」を攻めてくる無自覚なセクハラ加害者もたくさん存在している現状です。

また、セクハラ加害者は、セクハラ行為で訴えられたことによる本当の自身の損失を充分に理解しておらず、「自分は大丈夫だ」という慢心があります。

今まで築き上げてきた地位や仕事や家族等、セクハラで訴えられたことにより、全てを失ったという事例も少なくありません。セクハラ行為による自身のリスクを充分に理解しても、いわば「捨て身」でセクハラ行為に及ぶ方はいるのでしょうか?

やはり、セクハラ加害者になり得る方たちの充分な理解が今後の企業でのセクハラ問題のカギを握っています。

そうは言っても、他力本願では現状は改善されません。セクハラ被害を受けて悩んでいる方は、まずは自分自身ではっきりとセクハラに「No!」を突き付けることから始めて、自身の身を守るために断固として戦いましょう!

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