会社に入ってまずはじめに担当することも多い、電話の対応。ビジネスシーンにおいて電話の対応は、会社の印象にとても大きな影響をもたらすものです。電話に出た人の対応次第で会社の印象は良くもなりますし悪くもなります。固定電話でなく個人の携帯電話で話す場合には、その人自身の社会人としての印象に影響があります。たかが電話の対応、と思っていては大間違いです。今一度、電話を受けるときの対応についてマナーをおさらいしてみましょう。
もくじ
電話対応は社会人として必須のビジネスマナー
最近ではほとんどの人が携帯電話を持っていますし、若手社員の中には固定電話になじみがないという人もいます。個人宛に直接かかってくる携帯電話は「その人」名指しでかかってくるので便利ですが、会社の固定電話にかかってくる電話は「誰宛か」がわかりません。そのため携帯電話に慣れてしまっている最近の若手社員は、固定電話での応対が苦手だとも言われています。
若手社員でなくても、最近はビジネス上のやり取りを携帯電話で済ませてしまう場面もたくさんあります。ですがいつでも気軽にかけられる携帯電話と、会社の固定電話ではビジネスマナーも変わってきます。
会社に長くいる職種なのか、外出の多い職種なのかでも電話に対する考え方が異なりますが、それぞれのマナーを知っておかないと社会人として「だめだ」という烙印を押されてしまうかもしれません。固定電話も携帯電話、どちらであってもきちんと対応できるようにしておきたいものです。
会社の固定電話が鳴ったときの流れを確認しよう
まず電話が鳴ったときの基本的な動作から見直していきたいと思います。電話のコールがなったら、3コール以内で受話器を取りましょう。電話は相手に待たせないことが基本ですから、受話器を取るまでに3コール以上かかってしまったら「お待たせいたしました。」の一言を最初に述べましょう。また受話器を手にとったとき、かけてきた相手の名前や要件をメモできるよう、手元に紙と筆記用具を用意しておくとなお良いでしょう。3コール以内で電話を受けた場合はお待たせいたしました。」の一言は必要なく、「はい、○○株式会社です。」というように社名(または社名と部署名)を名乗ります。
そうすると相手も社名(または担当者名)を名乗るはずです。相手の名乗りには、「いつもお世話になっております。」という一言を返しましょう。もし相手が名乗らなかった場合は、「失礼ですがお名前をお聞かせいただけますか。」と、確認するようにしましょう。名前などを聞き取り損ねた場合は「申し訳ございませんが…」と断って再確認、電波状況が悪く内容が聞き取りづらい場合は「申し訳ございません、お電話が遠いようです。」という言葉を覚えておくと便利でしょう。
固定電話を担当者につなぐ場合の流れを確認しよう
相手が自分に電話をかけてきたのであればそのまま本題に入っても大丈夫ですが、別の者を呼び出す場合にもコツがあります。相手先が呼び出して欲しい担当者が席にいた場合、すぐ近くにいた場合も、「少々お待ちください。」と断った上でいったんは保留にしましょう。もし担当者が近くにおらず電話を受けるまでに時間がかかってしまいそうなら、30秒以上保留を続けないのもマナーです。それ以上時間がかかってしまうなら、いったん相手に断ってかけ直すか、時間を置いてかけ直してもらうか選んでもらいましょう。
担当者には「○○の▲▲さんよりお電話です。」と繋ぎます。会社によってルールはさまざまだと思いますが、基本的には担当者は自分に電話がかかっていることを知ればすぐに電話を代わってくれるはずです。
もし担当者が不在の場合は「○○は外出しております。」の旨を伝えますが、このときどこへ行っているか、何をしているか、などの情報は伝えなくてOKです。業務上の都合や営業上の機密を含んでいることもあるので、「外出」「席を外している」などの理由で問題ありません。担当者本人の同意なしに、携帯電話や自宅の電話番号を教えるなどはNGです。こちらからかけ直すか、あとでまたかけ直してもらうかは相手に聞いて任せましょう。その経緯は、不在にしていた担当者にもきちんと伝えておきましょう。誰がいつどんな用件で電話をしてきた、かけ直しの必要があるのかないのか、を記載したメモを残すようにしてください。このメモに誤りがないか、復唱して相手の名前や要件、電話番号を確かめておくことも大事なポイントです。
携帯電話に電話がかかってきたらどうする?
近年のビジネススタイルでは、携帯電話の存在も切り離せない関係です。特に営業マンや渉外業務を行っている方には携帯電話はもはや必須のアイテムでしょう。ですが携帯電話は便利な反面、マナーがおろそかになりがちでもあります。
まず、携帯に電話がかかってきた場合は周りの状況を確認してください。ビジネスに関する電話は、重要事項を含んでいることがあります。周りでどんな人が会話の内容を聞いているかわかりませんし、できるだけ他人に話が聞こえない場所に移動してから電話を受けるようにしましょう。
もちろん、携帯に電話がかかってきた場合も固定電話にかかってきたときと同じような流れで電話を受けましょう。まず自分の名前を名乗り、「お世話になっております。」の一言を添えるのです。自分宛にかかってきているのですから、あとは要件を話すだけでOKです。ただし携帯は持ち歩いているものなので電車の中などでは受けられません。そのため3コール以内で取る、といったルールは厳密に守らなくても大丈夫です。
また、いつかかってくるかわからないので、基本的にはマナーモードにしておくと安心でしょう。商談中に携帯がなったりすると印象が悪くなりますので、注意してください。
電話の受け答えは心理状態がストレートに表れる
顔の見えない電話ですが声しか聞こえない分、集中力が高まり、電話を受けている側の態度も意外と相手に伝わってしまうものです。疲れているときなどは姿勢が悪くなっていたり、表情も暗くなっていたりしますが、やはりそういった面は電話の声の質やトーンにも現れるものです。相手には聞こえないと思ってついたため息や、息を吸いこむ音なども自分が思っている以上にはっきりと伝わってしまうので要注意です。
電話では声しか聞こえないのですから、印象を良くするためには「大きな声ではきはきと」「笑顔で落ち着いて丁寧に話す」ことが大事です。姿勢も猫背でいると声がくぐもってしまうので、ピンと背筋を伸ばして話すと良いでしょう。特に携帯電話の場合は外で話していることが多くなると思いますが、うっかり電話の相手が近くにいた…なんてこともあります。いつ誰に見られても大丈夫なスタイルで電話をするように心がけましょう。
ちなみに隣の席の人など周りが電話の応対をしているときに大声でしゃべるなどもNGです。受話器越しにそういった雑音はよく拾われるものなので、仕事の話をするなどは厳禁です。もしライバル会社の話をしていたり、会社に対するネガティブな発言などをしていてそれが相手に伝わってしまったら大変なことになってしまいます。
まとめ
現代のビジネスシーンに置いて、電話はなくてはならないものです。ですから電話の対応がきちんとできているかどうかは、もはや社会人としての基本中の基本とも言えます。若手社員が電話の対応を学ぶのはもちろんですが、長年働いているとついついマナーを簡略化してしまったりすることもあるので、どんな立場にある方もたまに電話のマナーを振り返ってみることをおすすめします。