現在、勤めている会社をいざ退職するときには、どのような事に注意すれば良いのでしょうか。退職理由の伝え方や退職願の書き方と提出方法など、会社を辞めるためにやるべき準備は意外とたくさんあるものです。
しかし、具体的にどのようなステップで退職の準備を進めていけば良いのか分からないですよね?とくに、勤めている会社を退職するのが初めてであれば、何が正しいやり方なのかも判断できません。ましてや、退職するのですから、退職に関する手続きを周囲の同僚などに気軽に聞くこともできません。
そこで、ここでは会社を退職するときに必要な準備の進め方について解説していきます。今現在の勤め先からの転職を考えていて、退職の準備を始めようとしている人は、ぜひ参考にしてください。
もくじ
正しく会社を辞める準備を整える!円満退社を目指そう
今まで自分が勤めた会社ですから、何の揉めごともなく、綺麗な形で退職したいですよね。退職する本人も、会社も納得する形で退職をする、いわゆる「円満退職」です。
しかし、上司や会社が納得できる明確な退職理由を伝えることができなかったり、自分が担当していた仕事の引き継ぎが不十分であったりすれば、円満退職にはなりません。このような不十分な状態で退職してしまっては、自分としても心残りにもなるでしょう。退職する本人にとっても、最適な形で退職するのがベストなのは言うまでもありません。
また、現在の会社を退職して別の会社に転職をしたとしても、何らかの形で今の会社と関わるかも知れません。とくに、同じ業界への転職を考えていているのであれば、過去の勤務先と仕事で関わることは珍しくありません。そのため、退職をするときは、本人も会社も充分に納得する形で会社を去るようにしなければいけません。
7つのステップで退職できる!会社を辞めるために必要な準備とは?
しかし、お互いが納得し、理解した状態で退職するには、やるべき事を正しいやり方で進めていかなければいけません。実際に、上司に会社を辞めたいことを伝えるだけでも、非常に勇気がいりますよね?
たとえば、「会社を辞めたい」という意思を伝えても、上司や会社から強引に引き留められることもあります。また、退職を希望していることを伝えてから、上司の態度が急変して、人間関係が悪化するケースもあるのです。
このように、会社を退職するということは、非常にデリケートな問題なのです。それでは、具体的に円満退職をするためには、どのような準備が必要になるのでしょうか?ここからは円満に退職するまでの具体的な準備を7つのステップに分けて、ひとつひとつ解説を進めていきます。
辞めた後の生活費を確保する!半年分の貯金は必須
まず、会社を辞めるために必要な準備として最初に挙げられるのが、辞めた後の生活費を確保しておくことです。当然、会社を辞めるわけですから、毎月受け取っていた給料が入ってこなくなります。つまり、転職先が見つかって次の職場で働き始めるまで無給の状態になってしまうのです。
ただ、退職してから転職活動を行うにも、お金が必要になりますよね?もちろん、毎日生活していくための生活費も必要になります。
そこで、退職するまでに十分な貯金をしておくようにしましょう。このときの貯金額の目安としては、半年分の生活費がベストです。半年間は給料が入らなくても生活していけるだけの貯金があれば、精神的にも安心して転職活動に集中できるでしょう。転職を成功させるためにも、しっかりと計画を立てて貯金をしてください。
退職を決意したその日から転職に向けて活動を始める!
そして、会社を辞めるための準備を始めるときに意識して欲しいことが、今の会社を辞めると決断をしたら即行動に移すことです。
なぜなら、いざ退職の決意をしても、なかなか行動に移すことができず、ダラダラと今の職場で仕事を続けてしまう人が非常に多いからです。とくに、自分の上司に退職したいことを伝えるのはストレスがかかるため、後回しにしてズルズルと時間だけが過ぎてしまうケースが多いです。
しかし、辞めたいと考えている職場で、そのような働き方を続けても、仕事の成果もあがりません。この状態で仕事を続けるのは、、単なる時間の無駄なのです。本当に今の会社を辞めることを決断したのであれば、すぐに退職の準備に取りかかるようにしてください。
退職の意思表示をする・忙しい時期を避けた1~3カ月前
会社を辞めるために必要な準備として3つ目にあげるのが、実際に退職する意思を会社に伝えることです。具体的には、一番近い直属の上司に口頭で伝えましょう。たとえば、自分が所属するマネージャーや部長です。もちろん、メールなどではなく、口頭でしっかりと伝えましょう。
また、伝えるときは他の社員に聞かれないように、上司とマンツーマンで話ができる環境を作らなければいけません。そのため、事前にアポイントを取り、上司に時間を取ってもらうようにします。
さらに、退職する時期は繁忙期を避けるべきです。年末年始や決算月などは忙しく、引き続きがスムーズに進まないからです。また、目安として退職する1~3ヶ月前には、退職の意思を上司に伝えるようにしてください。
退職日を上司と相談の上決定・退職願を提出する
あなたの直属の上司に退職の意向を伝えたら、次に実際の退職日について上司と相談しましょう。退職日、つまり最終出社日は、あなた一人で決めるのではなく、必ず上司と相談のうえ決めてください。また、実際の退職日を決めるに当たっては、あなたが携わってきた仕事をしっかりと引き継ぎできる期間を考慮して決めるようにしてください。
このとき、2週間ほどの余裕を見て退職日を決めることがポイントです。なぜなら、引き継ぎがスムーズにいかないケースもあるからです。たとえば、お客様への担当者変更の挨拶などは、お客様の都合によって、こちらの予定よりもズレる可能性があります。
そして、上司と相談のうえ最終出社日が決まったら退職願を提出します。退職願の提出先も、同じく直属の上司になります。
引継ぎや残務整理の確認!未解決問題は解決する
会社を辞めるために必要な準備としての5つ目のステップが、あなたが携わってきた仕事の引き継ぎや残っている業務の確認です。
今まで勤めてきた会社ですから何の心残りもなくスムーズに退職したいですよね?そのためにも、この引き継ぎ処理は非常に大切ですので、しっかりとスケジュールを立てて実行していきましょう。もちろん、業務における未解決の問題があれば、それは解決しなければいけません。
たとえば、営業職をやっていて、お客様との間にトラブルがあれば、責任を持って解決しなければいけません。ただ、お客様の反応によってはトラブルが長引くこともあります。さらに、あなたが退職した後に、同様のトラブルが再発することもあります。
そのため、もし未解決の問題あるのであれば、上司と一緒に解決にあたるのがベストです。そうすることで、万が一、解決までに時間がかかったり、退職までに解決できなかったりしても、その上司が引き継いでくれるからです。
社外へ退職の挨拶メールを送る・2~3週間前が目安
そして、退職の準備としての6つ目のステップが、社外の関係者に向けて退職の挨拶を行うことです。具体的な方法としては、メールでの挨拶で問題ありません。
やはり、今までの仕事でお世話になった人には、自分が退職することをしっかりと伝えたいですよね?そのためにも、過去の業務や携わったプロジェクトなどを振り返って、挨拶をするべき社内の人間やお客様をリストアップしておきましょう。くれぐれも、何も知らせずに退職してしまうのだけは、避けるようにしてください。
また、挨拶のメールを送るタイミングですが、目安としては最終出社日の2~3週間前がベストです。これぐらいの期間の余裕があれば、関係者も引き継ぎに対する質問などが十分に行えるからです。くれぐれも、「3日前に伝える」ということがないようにしてください。直前に退職の連絡をするのはビジネスマナー違反であると考えましょう。
退職当日はデスク整理!社内へ退職の挨拶をする
さて、会社を辞めるために必要な準備として最後にあげるのが、退職当日のデスク整理と社内への退職の挨拶です。
まず、デスク整理に関しては、退職時には何も残っていない状況が基本です。そのためにも、お客様の名刺や資料などはしっかりと処分してください。セキュリティ上、問題がある資料などはシュレッダーで処分するようにします。また、会社から支給されていたノートパソコンや携帯電話も、所定の部署に返却しなければいけません。
そして、退職日の当日のデスク整理が終わり、残るは社内の関係者への退職の挨拶です。大人数の人前で話すのは緊張するものです。そのため、退職の挨拶で何を話すかは、事前にしっかりと考えておきましょう。もし、時間的に余裕があるのであれば、挨拶の練習をしておくと良いでしょう。
一番悩むのはコレ!会社を辞める理由は何て言う?
さて、ここまで会社を辞めるための準備について、7つのステップに分け、それぞれの詳細を解説してきました。あなたが実際に今の会社を辞めるまでの流れが具体的にイメージできたのではないでしょうか?そこで、ここからは多くの人が悩む「退職理由」について話をしていきます。
とくに、あなたが退職する理由は、あなたの直属の上司が非常に気になるポイントです。そのため、誰が聞いても納得できる退職理由を考えるようにしなければいけません。
詳細を伝える義務はない!一身上の都合でもOK!
退職理由の基本は、あなたの本心を正直に伝える必要はないということです。退職するにあたって、その理由の詳細を伝える義務はありません。
たとえば、プライベートな理由により退職するときなどは、その詳細を伝えたくはないですよね?そのため、複雑な家庭の事情があって退職せざるを得ないときなどは、「一身上の都合により」という理由で問題ありません。
また、退職理由を考えるにあたって気をつけたいポイントが、ネガティブな理由にしないことです。たとえば、「職場の人間関係がイヤになったから」という内容や「給料に納得できない」というような退職理由です。
もし、このようなネガティブな退職理由であれば、先ほどと同様に「一身上の都合」という表現を使うようにしてください。
夢や目標があるなどポジティブな理由は伝えるのもアリ!
また、退職理由として「他にチャレンジしてみたい仕事が見つかった」というようなポジティブな理由は、とても説得力があります。そのため、ネガティブな理由であっても、ポジティブな退職理由にするには、どのように表現すれば良いのかを考えましょう。具体的には、次の職場でやりたいことを伝えるのです。たとえば、次のような理由です。
「より大きな商談に携わることができる法人営業にチャレンジしてみたいと考えています。現在は個人向けの商材しかないため法人営業部門がある会社への転職を決意しました」
このようなポジティブな理由であれば、上司も納得しやすいです。そのため、上司も応援してくれスムーズに退職の手続きを進めることができるようになります。
病気や療養が必要な場合は仕方がないと思われる
また、「退職理由はできるだけポジティブな表現にするべき」と言いましたが、正直に伝えた方が良いケースもあります。それが、病気や療養のために退職するような場合です。たとえば、以下のような伝え方です。
「ここ半年ほど体調を崩しております。ご存知のとおり、会社を休むことも多くなり、ご迷惑をおかけしています。しばらくの間、療養に励みたいと考えており、退職を決意しました」
体調が思わしくない人や病気により静養が必要な社員を無理に引き止めることは、上司も会社もできません。そのため、退職までの手続きがスムーズに進むケースが多いのです。
しかし、その内容によっては、診断書などの証明物の提出を求められることもあります。そのため、病気や療養を理由とするときは、その伝え方に十分に注意しましょう。
転職時の面接は?退職理由は志望動機とリンクさせる!
さて、ここまで退職理由の作り方と考え方について話をしてきました。あなた自身に照らし合わせて、具体的な退職理由を考えてみてください。また、この退職理由は、転職活動における面接で必ず聞かれる質問のひとつです。どのような面接官であっても、前の職場を辞めた理由は気になるからです。
そして、転職時の面接における前職の退職理由を伝えるときのポイントが、退職理由と志望動機を関連させるということです。たとえば、次のような表現です。
「営業の経験も増え、法人営業にチャレンジしたいという思いが出てきました。しかし、前職では個人営業の部門しかありませんでした。貴社においては、法人営業がメインのため、私がやりたいことが実現できると思い入社を希望しております」
このように、前職の退職理由と志望動機を上手にリンクさせることで、ポジティブで説得力のある退職理由になります。
まとめ
さて、ここでは会社を退職するときに必要な準備の進め方を7つのステップに分けて解説をしてきました。あなたが実際に退職するときの具体的なイメージが沸いたのではないでしょうか?
これらのステップに従って、退職するための準備ひとつひとつを丁寧に、そして正確に処理していくことが大切です。そうすることで、あなた自身も会社も納得いく形で退職することができるのです。次の職場で気持ちよく仕事を始められるためにも、円満退職を目指してください。
そして、「退職する、しない」を決めるのは、他の誰でもなく、あなた自身です。あなた自身が退職を決断したのであれば、今すぐにでも退職の準備を始めることができるのです。ここで解説した内容を参考にして、今すぐ行動に移しましょう。