子持ちの女性は、ただでさえ大変な転職活動において、企業側からの妙な気遣いによって余計に転職活動に苦戦していませんか?子持ちだというだけで、企業側には転職に不利な想像をされてしまい、思ったように転職活動が進まない…という人も多いでしょう。そこで、今回は子持ちの女性でも正社員で転職するためのポイントを解説します。
もくじ
子持ちだからこそ働く必要がある!子育てにかかる費用は大きい
子持ち女性の転職を歓迎する会社は多くありません。でも、子持ちの女性からすれば、それは非常事態でもあります。独身、未婚者なら、自分の生活費だけを気にすればいい人が多い中、子持ちだからこそ子育てにかかる費用は大きく、自分以外に養うべき人がいるだけでも、転職にかけるものは大きいのです。
子どもが小さければ、保育料、学資保険の積立などで物入りですし、子どもが高校生なら塾の費用、習い事の費用、子どもが大学生でも年々上がる大学の学費に、子どもへの仕送りをしている家庭もあります。
自分以外にかけるお金が大きいのが子持ちなのに、企業側は「子持ちは面倒」という先入観から積極的な雇用をしている会社はまだまだ少ないのです。
子持ちが転職活動することのリスク
子持ち女性が転職活動をすることはいいことばかりではありません。子持ち女性ならではの転職リスクもあります。場合によっては多少のことに目をつむっても、現職にとどまるほうがよいということもあるかもしれません。
正社員だと残業も休日出勤もありえる
非正規雇用で、派遣社員や嘱託で働いている人は、正社員に転職することで勤務条件が厳しくなることもあります。派遣だから…という理由で休日出勤が免除されていたのに、正社員になったとたん休日出勤が当たり前のようになる企業もあります。
また、嘱託だから…という理由で残業も少なくて済んでいたのに、正社員になったとたんに突然残業が増えるという企業もあります。正社員として転職するということは、時間外労働という正社員が請け負いやすい部分をも請け負うことになるのです。
たとえば土日が本来なら休日の企業でも、正社員で転職すると土曜日は隔週出勤、日曜日もイベントで休日出勤ということもあり得ます。
土日といえば、子どもの行事が入りやすく、また子どもを過ごせる数少ない時間でもあるのに、その時間も働くことがあり得るのです。
転職失敗すれば年収ダウンで教育費も危うい
万が一転職に失敗すると、想像していたよりも低い年収になることがあります。または年収交渉に失敗してしまい、希望する年収額よりもはるかに下回る収入しか得られなくなったという人もいます。
子持ちとしては、年収ダウンしても子どもと過ごす時間が増えればOKという人もいますが、子どもの教育費のために年収重視している女性も少なくありません。
たとえば地方に住んでいるが、子どもが東京の私立大学を志望しているとなれば、親としては行かせたいと思う人も多いでしょう。自分が働くことで子どもの夢がかなうなら…と、年収アップを理由に転職する女性もいるのではないでしょうか。
しかし、転職しても年収が上がるどころか下がるという人もいるわけですから、年収アップを狙う場合は、子持ちなら特に転職前に十分に条件を確認しておかなければいけません。
子持ちが転職した後に遭遇する困難な場面4つ
子持ち女性が転職すると、子持ちならではの困りごとがあります。子どものいない上司や、子育てを妻に任せっぱなしの上司には、以下に紹介するような困難な場面は理解してもらい難いかもしれません。
子どもが急に熱を出した!すぐに休みがとれるか
子どもが小さければ小さいほど、免疫力がまだ強くはないため、保育園などですぐに病原菌に感染し、発熱しやすいものです。
今朝は元気だったのに、昼頃に保育園から電話がかかってきて「〇〇ちゃんが39度の熱で…」と言われれば、迎えに行かないわけにはいきません。
子どもは高熱の辛い状態で、今か今かとあなたが来るのを待っているのに、社会人としての時間を過ごしているあなたはなかなか会社を出ることができない…。
子持ち女性なら一度は体験したことがあるでしょう。でも正社員で転職すると、不思議と子どもの発熱が増え、保育園からの電話の回数も多くなってきます。
免疫がついてくる小学生くらいになると、呼び出し電話も少なくなりますが、子どもの乳幼児期をどう乗り切るかが課題となります。
子どもの行事と大事な会議が重複!どっちが優先?
子持ち女性の悩みのなかでもうひとつ大きなものが「子どもの行事と仕事の重複」です。入学式・卒業式、運動会や文化祭、作品展、親子行事など、保育園でも小学校、中学校、高校でもずっと続くものです。
行事が土日にあって、あなたの仕事が土日休みなら問題ありませんが、正社員ともなると土日の出勤がある場合もあります。
子どもがその日のために一生懸命練習してきたのに、母親に見てもらえない、参加してもらえないとなると、がっかりしてしまうことがあるでしょう。
「私の行事なんて、どうでもいいんだね」などと子どもに言われてしまうこともあるでしょう。
しかし、仕事で成功して年収を上げていくためにも、キャリアアップをしていくためにも、仕事を優先しなければいけないこともあるでしょう。
他の家族に代理出席してもらったりして、乗り切るという方法もありますが、子どもとしては母親に見てほしいということも理解しているため、親子そろって心を痛めるかもしれません。
残業が多いと子どもの生活リズムが崩れる
正社員ともなると、残業が多くて帰宅時間が遅くなることもあります。保育園の預かり時間ギリギリまで働いて、急いで子どもを迎えに行って…。
子どもを迎えに行ったら、すぐにごはんを作ってたべて、お風呂にいれて、子どもを寝かしつけて、夜に洗濯機をまわして…というハードスケジュールで過ごしている人は多いでしょう。
しかし、残業が多すぎると子どもの生活リズムが狂ってしまいます。就寝時間が遅くなれば、起床時間も遅くなり、眠い目をこすって保育園につれていき、別れ際にギャンギャン泣かれて、子どもも親も辛い思いをしてしまいます。
かといって、業務上必要な残業であれば断ることもできず、家族と協力しながらなんとか仕事を続けているけれど、残業の少ない仕事に転職したい…と心から願っている人も多いでしょう。
転職してすぐに家庭の事情を理解してもらうのは困難
新卒で入社し、何年目かに結婚し、その後も会社の産休・育休制度を使って勤務し続けているベテランの女性社員なら、家庭の事情も分かってもらいやすく、社員からも「子ども、いくつになった?」などと理解を示してもらいやすいものです。
しかし、中途採用で既に子持ちの状態で入社した場合、あなたの家庭環境については他の社員はほとんど何も知らず、子持ちであるという情報は知れ渡っていても、共感は得られないことが多いですよね。
中には子持ちで、さらに自分の親、配偶者の親の介護をしていたり、義理の家族と同居していてその人の面倒も見なければならない…など、より複雑な事情を抱えている人もいます。
ところが、転職組はこのような複雑な家庭の事情があっても説明する場所もなければ、ベテラン女性社員のような配慮をしてもらうことも少ないという困難があるのです。
子持ちが転職後に遭遇する困難の対処法
子持ちの女性が転職した後に感じる困難にうまく対処するために、いくつかの対処法を紹介します。この対処法を実践してみると、子持ちでも働きやすい転職が実現できるかもしれません。
面接の時点で子持ちをカミングアウト
ベテラン女性社員が特別な配慮をしてもらうことを羨ましいと思うのであれば、自分も子持ちだということを面接の時点で企業側にカミングアウトしておくことをおすすめします。
このご時世、プライベートな質問をすることがよくないと思われるため、受験者が特に何も言わなければ家庭の事情について突っ込んだ質問をしてくる面接官はあまりいません。
あなたの年齢がまだ若く、子どもが小さいならば、特に子持ちであることを企業側に伝えておく必要があります。中には、それが理由で面接を落とされるのでは…という懸念を抱く人もいるでしょう。
でも、言わなければ何の配慮も受けられず、子持ちでもあなたにスキルやキャリアがあれば、企業側は積極的に採用してくれます。
懸念事項に対する明確なアンサーを用意
子持ち女性に対して、企業が懸念するのは「残業できないのでは」「休日出勤に対応できないのでは」「休みやすいのでは」ということです。
これらに対して、胸を張って大丈夫です!と言えるだけの明確なアンサーをあれば、子持ち女性でも正社員での転職が可能です。
具体的には、「親と同居していて、子どもに何かあれば20時までは見てもらえるので大丈夫です」「夫が自由業で時間を作ってもらいやすいので大丈夫です」など、これがあるからここまでなら対応できるという具体例を出せるようにしておくと、より正社員での転職は成功しやすくなります。
子育て支援サービスを利用しながら対応する
女性の社会進出が当たり前になった今日では、国や各自治体が提供している子育て支援サービスの他に、民間でも子育て支援を行っている企業がたくさんあります。
保育ママの制度を利用してもよいですし、保育園への送り迎えを頼めるシッターに依頼するという方法もあります。病児保育を利用すれば、子どもが熱を出した時にも仕事に出ることも可能です。
子どものことを考えれば、そばにいてあげたほうがよいこともあるでしょう。どうしても子どものために休まなければいけないその時のために、外部のこういった子育て支援サービスをうまく活用しながら、仕事と家庭の両立を目指すことができます。
まとめ
子育ては優しさ、根気、強さなど、親としての成長が試されるものでもあります。親として、人として、子持ちならではの強さを持つあなたが正社員として転職するためには、企業側が懸念する諸事情に配慮することが大切です。
企業側としては、子どものいる・いないにかかわらず、企業の成長のために一緒に頑張ってくれる人が欲しいわけですから、子どもがいても企業のために、そして自分自信のキャリアのために尽力できることを面接や応募書類で伝えることができれば、子持ち女性でも正社員での転職に成功できるでしょう。