職場の悩み

パワハラを訴える!パワハラ訴訟で欠かせない準備と証拠3つとは?

パワハラを受け続けると肉体的・精神的に大きなダメージを受けます。これまでになかった体調不良が出てきたり、今までできていたことができなくなったりと、日常生活に支障をきたしてしまう人も多いのではないでしょうか?今回はそんな「パワハラを訴える場合に注意したいこと」についてお話します。

どんなに不当な扱いを受けていたとしても、やり方を間違えてしまうとあなたの想いをくみ取ってもらうことはできません。訴えるには、しっかりとした事前準備が必要です。

もくじ

悪質なパワハラは刑事事件へ発展する!損害賠償責任を課すことも可能

パワハラの定義は大きく分けて3つあります。①職務上の地位や優位性を利用していること ②業務上の適正な範囲を超えた指示や命令をしていること ③相手に対して著しい精神的苦痛を与える、または職場環境を害する行為であること、です。また、種類においては「身体的侵害」「精神的侵害」があります。これは過大な要求や過小な要求を含むさまざまな方法で侵されるものです。

パワハラは基本的に民事事件です。民事事件であれば警察は民事不介入によってタッチすることができません。しかし悪質なパワハラを受けて傷害罪などで起訴されている事例もあります。そうなれば損害賠償責任を課せられることもあるでしょう。民事であったとしても、正式に訴えることでパワハラを受けた事実を公にし、自分の権利を守ることができます。

被害を他人に認知してもらうには?パワハラ訴訟で重要となるのはどんなこと?

では、パワハラで相手を訴える「訴訟」ではどんなことが重要になってくるのでしょうか?パワハラ訴訟での勝訴例を見てみると、いくつかポイントがあるようです。たとえば「継続してパワハラを受けていたか」「できる限りの対応を試みたか」「具体的にはどのようなことがあったのか」などでしょう。

これは、訴訟に関わらずほとんどの争いごとで言えることですが、「イヤだった」「よく覚えてないけどいろいろされた」では信憑性に欠けますよね。これが訴訟ともなれば尚更です。

パワハラ被害を受けた期間や頻度 できるだけ明確な日数や日付が有効

パワハラ訴訟では、あなたのことも相手のことも知らない人が双方からの話を聞いて事実を想像します。より具体的な想像をさせた方が、信用してもらいやすいのは明らかですよね。物事を具体的に伝えるために欠かせないのは「日時」そして「頻度」です。

「○月○日○時~○時の○時間にわたって暴言を浴びた」など日時がしっかりしている人の証言が優先されます。また、頻度についても「毎日やられた」と言われるより、「○月○日~○日の○日間」など、こちらについても具体的な期間を述べられた方が裏付けも取りやすくなります。

訴訟を担当する人も人間です。相手がどれだけ真面目にこの訴訟に取り組んでいるのか?という部分に感情を左右されることもあります。日時や頻度を具体的に伝えることには、訴える自分の心情を乗せるという目的もあるのです。

パワハラの内容 言われたこと・されたことは具体的に伝えられることが大事

パワハラを受けた人の心にはたくさんの傷が残っています。「人として否定された」「人間として扱われなかった」など、結果として残る印象はさまざまです。しかし、パワハラ被害を訴える時に必要となるのは、繰り返しになりますが「具体性」です。「どんなことをどんな風に言われたのか?」というのは非常に重要になります。

訴訟を起こしている時点で、あなたが深く傷付いているということは訴訟を担当する人も理解はできます。しかし気持ちには形がありません。自分以外の人を納得させるためには形にすることが必要です。時間が経った後であっても、その形になっているものを見て「こんなに大変な想いをしたんだな」ということが伝わらなくてはならないのです。

パワハラに対する会社の対応 相談した結果やそれによって変化したこと

パワハラで相手を訴える時には「自分でできる限りの対処をしたか?」ということも重要になってきます。自分でできることを何もせずに、いきなり訴訟ではあらぬ誤解を招くことにもなりかねません。上司への相談、社内・社外ホットラインへの相談など、パワハラを受けた人の足跡が残っていると、訴訟を担当する人も判断がしやすくなります。

たとえば、あなたが訴訟を担当すると考えた時に「この人はパワハラを解決しようと努力をしたけど、それができなかったんだな」と感じた方が、「訴えたいと考えた気持ちがわかる」と思いますよね?どんなことでもそうですが「本人の努力の跡」は見えるか見えないかで、受ける心情が大きく異なります。特に「社内ホットラインがあるのに、相談をしていない」という場合は、努力を疑われやすいでしょう。

パワハラで上司や同僚を訴えたい!その為に欠かせない事前準備とは?

では、実際にパワハラで相手を訴える準備に取りかかります。パワハラ訴訟で重要視される部分をカバーできるだけの準備をしなくてはなりません。この準備には手間がかかります。毎日コツコツと準備をする必要もあります。

毎日パワハラを受け続けている人にとっては「そんな余裕はもう無いよ」と言いたくなるようなことかもしれません。でも、この準備ができなければあなたは今のまま変わることができないのではありませんか?

「百聞は一見にしかず」というように物事は100回聞くより見れば1回で理解できます。パワハラ訴訟を起こすということは、この「百聞」を作るということです。見ていれば1回で済むはずのことを聞いて理解してもらうというのは大変な労力が要ることです。

「ホットラインへの相談」相談実績がなければ訴訟の信憑性に欠ける

まずは、できるだけ早い段階でホットラインへ相談をするということが必要です。社内ホットライン・社外ホットラインどちらでも良いです。電話が辛いのであればメール相談を受け付けているところも多くあります。ホットラインから受けた指示は実行しておきましょう。

ホットラインの中には厚生労働省が運営をしているものもたくさんあります。もしかしたら、本当にそのホットラインへの相談で解決するかもしれません。今はどの企業もコンプライアンスを重要視しています。パワハラやセクハラが起きるということは、今の企業にとっては致命的なことだからです。あなたがホットラインへ相談することで労働基準局からの指導が入る可能性も十分にあります。

「証拠の準備」映像・音声だけではない、自分で準備できる証拠を多く集める

パワハラ訴訟を起こすのであれば、欠かせないのは「証拠」です。証拠というと、ボイスレコーダーで音声を録音したり、隠しカメラで録画したり、という方法が思い浮かびやすいですが、証拠と呼べるものはそれらだけではありません。

今すぐに始められる証拠作りとしては「日記をつける」「診断書をもらう」「証人を見つける」「ケガした箇所の写真を撮る」「武器となったものの実物を用意する」などがあります。

日記には「いつ」と「頻度」をできるだけ明確に残しておきましょう。今日から常に日時を意識して書き留めておくことがおすすめです。被害者が書いたものであっても、一定期間以上に渡って書き留められているものであれば、証拠として見てもらえることは大いにあります。

過去のことについては、自分の記憶だけでなく、携帯電話の履歴やSNSの記録、同居の家族や親しい友人など、さまざまな角度から「いつ」「どのくらいの間」自分がパワハラを受けていたかを確認しておくと良いでしょう。

「費用の準備」訴訟を起こすお金を用意 自分でやるのか弁護士かでも異なる金額

パワハラ訴訟を起こすには費用が要ります。しばらく仕事を休むことになるのであれば、その間の生活費も必要です。他にも、裁判所へ支払う手数料、文書を送る費用、訴訟書類の作成費用、訴訟書類を作成する人の日当や交通費など、これらは訴訟を起こす人の負担になります。

弁護士を雇えばその費用もかかります。弁護士費用には「着手金」と「成功報酬」があります。着手金は、訴訟に負けても返ってはきません。金額は弁護士によってさまざまですが、勝訴した場合の利益8%以上というところが多いようです。

成功報酬は、勝訴した場合にのみ支払うものですが、これは15%以下になることは無いと思って良いでしょう。「ただでさえ傷付いているのに、この上お金までかかるのか」と途方に暮れてしまう人もいるかもしれませんが、訴えるというのはお金がかかるものです。

パワハラかどうかを決めるのはあなた ただし思い込みや不確かな情報は危険

パワハラには定義はありますが、あなたの置かれている状況がその定義に沿っているかどうかはあなたにしかわかりません。人と人の付き合いには、片方には悪意がなくても、もう片方は悪意と受け取るということは良くあることです。そこに正解はなく、受け取った人が悪意と感じたのであれば、悪意なのかもしれません。これがパワハラの難しいところです。

でも、当事者であるあなたが「パワハラ」と認めているのであればそれはパワハラです。決めるのはあなたで良いのです。ただ、起こした訴訟は元には戻りません。会社での立場、人間関係、それによって影響を受ける生活、これらのこともしっかりと考えた上で訴えることを決めるようにしてください。

自分だけの思い込みの可能性や、不確かな噂によってあなたが判断していることがある可能性などについても、もう一度確認をしてからでも遅くはありませんよ。

まとめ

同じ会社で仲間として働いているはずなのに、その人が自分にとっての仲間ではなかった、と気が付いた時、とってもさみしい気持ちになるものです。相手の口から出る言葉や態度の一つ一つに傷付き始めると、もう自分ではその感情を止めることができなくなります。

仕事は1日8時間なのに、ずっと仕事のことを考える、それも思い出したく無いようなことを考え続けるのですから、その負担が体や心に届くのは無理もありませんよね。

パワハラはいけないことです。どんな理由があっても、同じ人間としてやってはいけないことでもあります。でも、あなたにはたくさんの選択肢があるのではありませんか?今「これしかない」と考えていることを一度手放して、周りを見渡してみてからでも良いのではないでしょうか?

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