一般社員よりも大きな裁量を任せられ、決定権も大きい。今よりも大きな仕事を動かせて、何よりも給与や待遇、肩書きが上がる。会社員であれば出世を望む方も少なくないでしょう。出世する人としない人は何が違うのでしょうか。スキルが高くて後輩にも慕われているのに出世しないこともいれば、仕事が大してできないのに、上司に気に入られているだけで出世する人もいます。
そこで「理不尽だ」と諦めてしまうのはもったいない。なぜ仕事ができても出世できない人と、仕事ができないのに出世できる人がいるのか。そのポイントを解明していきましょう。
もくじ
目標に対して成果を出せる人
まず誰から見ても出世できるのは、目標に対して成果を出せる人です。しかも定性的な目標よりも、数字で測れる定量的な目標をコンスタントに達成できる人は出世につながります。企業の存在意義は「社員と家族を幸せにする」「社会貢献」などいろいろありますが、大前提のミッションは「利益を残すこと」です。むしろ利益を残せなければ、どんなに立派なビジョンを掲げていても、社員を幸せにしたり、社会貢献といったこともできません。
定量的な目標を達成できる人は「利益を残す」という企業の永久的なミッションに大きく貢献できる人です。どう言ったやり方をしているのか、その人を上位レイヤーにすることで一般社員たちに拡散してもらい、総力で利益を上げていく。そのためにこうした人を出席させることは、ほとんど異論がないでしょう。
反対意見なくスムーズな出席の早道は「会社の利益につながる成果を出す」ことです。間接部門など直接の売り上げでなくても、コスト削減や人の採用、ブランディング・知名度向上させる、など幅広い意味で会社へ利益を還元できる存在になることです。
リーダーシップ力の高い人
仕事そのもののスキルが高いよりも、リーダーシップ力の高い人の方が出世しやすいでしょう。そもそも企業の役職者というものは何のために必要かと言うと、一般社員の集合体を束ねて、メンバーの力を発揮させる役割のためです。いくら能力の高い人でも個人プレーのソリストでは、出世させて部下をつけたところで部下の能力を引き出して、何倍何十倍の力を発揮できそうにありません。
ところがリーダーシップのある人は、人を束ねて率いていくのが得意です。「この人と仕事すると面白そう・大きなことかできそう」「この人についていきたい」というカリスマ性のある人です。仕事の能力自体は十人並みでも、リーダーシップに長けている人はいます。リーダーシップのある人になることも出世への早道です。リーダーシップは「人にそう思われる」ことが大前提。何か新しい事業、社内のアイデアコンテストなどで、多くのメンバーに声をかけてチャレンジする人はリーダーシップがあると見なされるでしょう。
マネジメント力が高い人
出世する=管理職になる、ということなので、マネジメント力が低い人は会社も当然、出世させられません。リーダーシップとよく混同されますが、マネジメントとは「経営管理」です。管理職は自らのセクションの「経営管理」を行います。マネジメント能力が高い人も出世はしやすいです。既に順調である事業。軌道に乗っている事業でも、それが続くようにきめ細かくマネジメントしていかなければなりません。その素養が高い人は重宝され、出世しやすいでしょう。
この「マネジメント力」は管理するメンバー・チームを持たない一般社員のうちに、どういう局面で評価・判断されるのでしょうか。それはセルフマネジメント力です。部下がいなくても「自分で自分を管理すること」は仕事の基本です。タイムマネジメント、タスクマネジメントなど、様々なセルフマネジメントを重ねて、管理職になって人やチームのマネジメント能力がつきます。
セルフマネジメントの極意は「目標と時期を定める」「それを成し遂げるために、マイルストーンの数値目標を立てる」「いつまでに何をしなければならないかのタスクを洗い出す」「最終目標達成時期に合わせてタスクを設定する」。こうした道筋を設定し、常に見直して軌道修正をする。管理職が行うマネジメントはこれを部下のいるチーム全体に対して行いますが、自分で行うセルフマネジメントでも流れは同じです。一般社員の時に自らできている人は出世しやすいですし、役職者になった後、期待に応えられる実力が身についています。
上司が仕事をしやすい人
悪い言葉で言ってしまえば、いわゆる「上司にゴマをすって出世した人」に最も近いタイプかもしれません。ですが、こうしたタイプの人にも出世する合理性があります。主任クラスであれば部下は5〜6人。全員に目が行き届かない人数ではありません。それが課長、部長と役職が上がるにつれて、全員を見ることは不可能になり、課長は主任を通じて、部長は課長を通じて報告を聞き、全体把握をするというのが組織の基本です。
つまり部長にとっては課長、課長にとっては主任が現場を知る窓口になるわけです。そこでコミュニケーションの取りづらい気の合わない相手を置くのは、お互いのストレスになるだけでなく、組織全体に支障が及ぶでしょう。上司にとってコミュニケーションが取りやすく、仕事がしやすい相手の方が業務もスムーズです。一見「ただのえこひいき?」と感じてしまう「上司のお気に入りで出世する人」ですが、このように組織や業務への合理性がある理由といえます。
尊敬する上長、仕事を教えてもらいたい上長がいたら、積極的に距離を近づけてはどうでしょうか。上長に「こいつはコミュニケーションがスムーズで、考えも合うしやりやすい」と感じてもらうことは、決して悪い方法ではありません。
スキルが高いのに出世できない人とは
一方、高いスキル・能力がありながら、出世できない人はどんなタイプでしょうか。チームワークもお構いなしで単独で仕事をする人。マネジメントや組織全体に興味がない職人気質の人。愚痴や不満が多くネガティブな人。そしてコミュニケーションでトラブルが起こりやすい人です。プレーヤー志向、職人気質で出世を望まない人は別ですが、出世を目指すことであれば、能力が高いのに出世しにくいタイプであるのはもったいないこと。仕事の能力が秀でていなくても出世することはたくさんいるので、能力が高い人が出世したら鬼に金棒ですね。
まとめ
出世する人は必ずしも仕事の能力が認められるのではなく、目標達成力、リーダーシップ、マネジメント力、上司との相性など、様々な要因で出世する例も多くあります。記事で挙げた要素は「企業であれば共通するポイント」と言えますが、会社によって出世の条件は異なります。海外進出を始める企業では、ある時突然「TOEICのスコアが出世の条件に加わった」というケースも珍しくありません。
一般社員のうちは与えられた仕事をこなすことや、その能力を高めることに精一杯かもしれません。しかし、管理職には職能とは異なる資質が大きく要求されます。「仕事できるAくんより、仕事ができないBくんが出世した」という場合は、得てしてAくんはプレーヤーとして優秀だった。Bくんは能力は並でもマネジメント力、リーダーシップに長けていたというケースが往々にしてあります。
出世を目指すのであれば職能を磨くだけでなく、起業化のビジネス書を読み、成功企業・失敗企業のケーススタディを研究して「経営管理」の意識を持ち、日々のタスクを単発でこなすのではなく、長期的な視野で見てセルフマネジメントを心がけましょう。その積み重ねが出世力につながります。