終身雇用が当たり前の時代は終わりを迎えました。新天地を転々とする働き方も、昔は変わり者扱いされていましたが、徐々に受け入れられつつあります。ほんの数年で、ここまで価値観が変わるのは驚きですが、転職でキャリアアップを目指す人にとっては嬉しい流れかと思います。
今回は、転職でキャリアアップを目指す際の、具体的なプラン設定の方法と、転職時の注意点を解説していきます。自分にとってのキャリアアップが何を意味するのか、初期段階からしっかり理解して活動を始めれば、必ず望む道に進むことができます。
もくじ
キャリアアップで成功している人が実行していることって何?
「キャリアアップ」と一言に言っても、それが何を意味するのかは、人によって全く違います。スキルを伸ばすことがキャリアアップなのか、はたまた収入を上げることがそうなるのかなど、様々あることと思います。
他のイメージで挙げられるとしたら、待遇、会社のネームバリュー、責任の重さ、雇用形態、仕事内容などでしょうか。本当に多種多様です。
そして、キャリアアップに対する価値観は、その時々で、自分の中で変わっていくのが当然です。しかし、本当に望む道に進むためには、はじめに道順を設定しておくことがおすすめです。
キャリアアップで成功している人が実行する、道順設定の手順を説明していきます。
まずは長期的なビジョンを決める 仕事と関係がなくてもOK
まずは、長期的なビジョンを決めます。普段考えることの少ない、むしろ見ないようにしてきた人生のビジョン。向き合うことを恐れず、ぜひこのタイミングで決意してみてください。
どんな大それたと思うようなことでも大丈夫です。世界中で役立つ新しいサービスを提供したい!医療の研究で世界中を驚かせる新発見をしたい!社長になりたい!などの欲望を書き出すのです。
この長期的ビジョンは、仕事と関係がなくても大丈夫です。家族と幸せに過ごしたい!老後は農業したい!など、漠然としたものでも構いません。
こうありたいなあ、こうなりたいなあ、という気持ちを、思いつくままに挙げていきましょう。
ここで掲げる長期的なビジョンは、義務感から生まれるものや、苦痛をともなうものではいけません。心から願って、ワクワクするものにしておくのが、成功の秘訣になります。
長期的ビジョンを達成するための中期・短期的ビジョンを設定していく
長期的でビジョンは、最終的にどうなりたいか、自分の人生で何を成し遂げたいかという前提で決めたものです。
まずお伝えしたいのは、この長期的ビジョンなしに、キャリアアップ転職を成功させるのは難しいということです。なぜなら、最終的な目的地を設定しないことには、その道順も設定できないからです。
そして、その道順にあるキャリアアップ転職の軸もブレることになります。
長期的ビジョンが決まったら、10年、20年単位で中期的ビジョンをちりばめていきます。どうすれば長期的なビジョンにたどり着くか、中期的なビジョンをところどころに設定しましょう。
ちょうど右肩上がりの折れ線グラフを描くイメージで、ポイントを設定していきます。
最後に、中期的ビジョンを達成するためにできることは何があるか考え、短期的ビジョンとして具体的にやることを決めていきます。長期的ビジョンはフワフワとした夢のあるもので大丈夫です。しかしこの短期的ビジョンでは、現実的なものに落とし込んでいく必要があります。
短期的ビジョンに落とし込んでみると、どんなに浮世離れしているかのように見えた長期的ビジョンが、何とか現実にしていけそうな気持ちになってくるので不思議です。
いつか叶う、いつか叶えたいという希望があっても、具体的プランがないと、現実にしていくのは難しいでしょう。でも、このように長期・短期・中期で分類していけば、漠然とした未来が、確信へと変わるのです。
新しいサービスを提供・発信するのが長期的ビジョンだとしたら、キャリアアップでの転職先も自然に候補が絞られますよね。現場でお客さんと接することで、新しいサービスの切り口を探る、的確な発信力を身につけるために広告代理店でスキルを磨くことなどが、選択肢になるかもしれません。
このキャリアアップにより、どんなに待遇が悪くなっても、報酬が落ちても、長期で掲げたプランを達成するための1つの過程です。本人にとっては、完璧な予定通りのキャリアアップが叶い、満足できる結果になりえます。
逆算して次のステップを決めれば強い意志ができる
このように、長期的ビジョンを先に設定しておくことは、キャリアアップの成功には欠かせません。中期・短期的ビジョンの中に、具体的な転職先の希望が入っていますから、一貫性を持てます。
今よりも待遇を良くすることや、技術を覚えておきたいという曖昧なものを、キャリアアップと呼ぶこともできます。一般的には、こちらの使われ方が多いですね。
でも、転職した先で目の当たりにしたものが、想像よりも満足できなかった場合、嫌気がさして、転職自体を後悔してしまうことになりかねません。
でも、上記のように、長期・中期・短期的ビジョンを明確に設定しておけば、多少の困難が降りかかっても大丈夫。今の苦しい状況は、長期的なビジョンを達成するための通過点だと捉えることができます。これらのビジョンは、立ち返る原点にもなります。
キャリアアップ転職は、強い意志があれば、どんなことがあっても乗り越えられます。そんな強い意志を固めるためにこそ、綿密な計画が大事なのです。
転職せずにキャリアアップする道もあるのか考えてみる
キャリアアップと言えば、すぐに転職の道を考えてしまいがちです。しかし、必ずしも転職が最善ではない場合もあります。まずは、今いる会社でできないかどうか、考える時間を持つのも無駄にはならないと思いますよ。
同じ会社でも職種を変えてもらえば、長期的なビジョンを達成するためのキャリアアップになるかもしれません。上司や周りの人間に相談してみると、思いのほかあっさりとポストを用意してくれることもあります。物は試しです。希望は、思い切って伝えてみましょう。
同じ会社で実現できるとしたら、勤続年数は途切れずに続きますので、社内等級などもゼロからのスタートではなくなります。報酬は下がらないに越したことはありませんから、大いにアリですよね。そして、慣れ親しんだ環境で仕事を続けられるのも、精神的負担を減らせて助かることもあるでしょう。
会社が大規模で手広くやっているところだと、役職や必要スキルも様々用意されていると思います。いったん社内の様子をよく観察してみて、賢く、そして効率良くキャリアアップができないか、考えてみましょう。
正直過ぎるのもダメ キャリアアップ時の面接の伝え方
転職をするのがキャリアアップに最善だと判断した場合は、希望企業へ面接に臨まれることと思います。この時、正直に「キャリアアップのため」と伝えてしまうのは、絶対にしないでくださいね。正直過ぎるのは良くありません。
まず、「キャリアアップ」という言葉に、どんなビジョンが含まれているのか。もちろん知っているのは自分ひとりです。自分にとってのキャリアアップは、今回であれば長期的ビジョンを達成するための“布石”を指します。
更に、本音で「長期的なビジョンを達成するための過程に、御社を選びました」と、堂々と布石宣告された企業側の人間は、どう思うでしょうか。恐らく企業側としては、求職者の夢を叶えるための踏み台にされるのでは?と不快感を覚えるでしょう。
胸の内の事実はどうであれ、しっかりと企業が求める仕事内容を行うという使命感は持っているはずです。その熱意を誤解されないように気を付けてくださいね。
また「キャリアアップ」という言葉を出しても出さなくても、「前(今)の会社では、できないことなのですか?」というように切り返されることがあります。
おすすめの回答は、「前職で掛け合ってみたが、希望を通すことが難しかったため、苦渋の決断で転職という道を選んだ」というニュアンスを伝えることです。前職に対しての申し訳ない気持ちを、ふんだんに織り交ぜてください。
あまりに堂々と伝えるのは危険です。自分の希望が通らなければ、すぐに退職する我の強い人間だという印象を持たれる可能性があります。いずれにしても、「キャリアアップ」という言葉を面接時に持ち出すのは賢明ではありませんね。
まとめ
「キャリアアップ」が何を意味するものなのかは、人によりけりです。まさに、十人十色なんですよね。でも、人生全体で達成したい長期的ビジョンを掲げ、それを達成するための手段とした転職を「キャリアアップ」と呼ぶならば、その人は絶対に望む道へと進むことができます。
道から外れても、目的から逆算したレールを決めてしまえば、軌道修正をしやすくなります。挫折することがあっても、自暴自棄という状況になることはなくなります。そして、途中で長期的ビジョンが変わっても、また前と同じように、中期・短期的ビジョンを設定しなおせばよいのです。
キャリアアップを語る上で、これでは周囲に認められない、バカにされてしまうと考えて、今の環境から踏みとどまる人も多くいます。これは、世間が決めた、続けられない人が負け、挑戦はおろかだとか言うネガティブな常識の枠の中で生きている人にありがちなことです。
変化を恐れる人間としては、納得の行動パターンです。しかしこれでは、周囲の評判に左右されてばかりで、自分のための人生を生きていないことになるのではないでしょうか。自分の人生に責任を持てていないように感じます。
キャリアアップ転職は自分がどうしたいか、そしてどうあるべきかを考えるキッカケにもなる時間です。是非、じっくり内面と向き合って、キラキラしたプランを練ってみてくださいね。