転職市場も人手不足で売り手市場といわれていますが、その中でも第二新卒の需要は高く、30代~40代の転職者よりも未経験の転職も実現しやすいといわれています。そこで今回は第二新卒転職希望者に焦点をおいて、第二新卒で失敗せずに転職を成功させるための注意点や考え方について紹介します。
もくじ
どこからどこまでが第二新卒に当てはまるのか?
「第二新卒の需要が高い」と聞くと、「自分もまだ入社〇年目だけど、第二新卒に該当するのか?それとももう第二新卒の時期は過ぎているのか?」と、第二新卒枠に当てはまっているのかどうかが気になるところですよね。そこで、第二新卒の定義を改めて確認しておきましょう。
入社1~3年目までは第二新卒といえる!
実は第二新卒についての明確な定義づけはされておらず、厚生労働省などでも明確な定義は発表されていません。しかし、転職サイトや転職エージェントなどの転職支援サービス側で定義されている一般的なものは、「入社1~3年目の若手社員」となっています。
そのため、入社1年目で退職して転職を考えている人も、第二新卒に該当するのです。しかし、入社して4年目以降になると、一部の業種・職種では、第二新卒のブランドは使えなくなってしまうのです。
入社して3年目という時期は、仕事を覚えてようやく仕事が楽しくなってくる時期でもありますが、反対にこの時期に自分が新卒で就職した企業に見切りをつけて、新しい仕事にシフトチェンジしたいと考えている人もいます。
この3年目の時期に明確な決断ができなければ、あっという間に貴重な第二新卒の時期は終わりを迎え、一般的な中途採用者と同じ枠で転職活動をしなければいけなくなってしまうのです。
浪人・留年しても第二新卒に当てはまる
第二新卒に自分が当てはまるのか?と不安になっている人の中には、ストレートに大学に入学・卒業しておらず、浪人・留年・休学などの経歴がある人もいるでしょう。
そうなると、新卒から何年目までが第二新卒枠にカウントされるのか、ストレートに入学・卒業した同期とは条件が違ってくるのではないか…と心配になりますよね。
しかし、第二新卒はあくまでも「大学を卒業して、新卒で入社してから1~3年目」という条件がついているわけですから、途中で休学しようが、留年しようが、浪人していようが、企業側の設けた第二新卒枠に応募できるか否かは、同期とまったく同じ条件になります。
ただし、留年した理由が学業怠慢だったり、あまりよくない理由の場合は企業側は第二新卒かどうかという問題以前に、その人を雇用して企業側に生じるリスクのことを思い浮かべ、あまり積極的に採用しない可能性があります。
第二新卒は企業側にどう見られているか?
では、第二新卒枠を儲けて採用活動をしている企業も多い今日、第二新卒の社会人は、一般的に企業側からどのように見られているのでしょうか。
第二新卒といえば、入社して最低1年間の経験があり、まったくの新卒よりは社会の現場で身につけたビジネスマナーがあることが予測されます。
新卒に電話の受け答え、コピーの方法、社内・社外とのコミュニケーションなどについてイチから教える手間が省けるため、企業側からすればお得な印象を受けます。
さらに、まだ1~3年しか前の会社に属していないわけですから、前の職場での決まりきったやり方に染まりきっておらず、まだまだ育て甲斐のある年齢であるところもポジティブな評価を受けやすくなっています。
「ポテンシャル採用」という言葉もあるように、第二新卒の場合は「伸びしろ」に注目して、今後の成長に期待する形での採用が多くなっています。
そのため、企業側は「中途採用」という枠の他に、わざわざ「第二新卒」という枠を別に設けて積極的に採用しようとしている企業が多いのです。
第二新卒には新卒にはないメリットがたくさん!
第二新卒の社員側にとってみても、企業側にも勝るメリットがたくさんあります。第二新卒といえば、期間的には短いですから、ここで第二新卒転職のメリットを確認して、転職を実行すべきかどうか考えてみましょう。
未経験でも第二新卒なら転職成功率が高い
「転職 未経験」で検索してみると、未経験者OKの求人はあるにはあるものの、「長年にわたるキャリア形成のため、若年層を採用」という言い訳をつけて採用を若者に限定している求人が多くなっています。
未経験の仕事を任せるなら、企業側からしても30代、40代の人を雇用すると、単純に「新しいこと・新しい環境に適応する能力」が20代の、しかも第二新卒枠のほうが適応してくれるだろうと想像するため、第二新卒のほうに未経験の仕事を任せたいと考えるわけです。
もちろん、同じ仕事をするのに未経験である第二新卒と、キャリアのある30代を比べれば、キャリアのある30代のほうが有利です。でも、同じ未経験の仕事なら、若い年代のほうに軍配が上がる傾向にあるのです。
第二新卒の需要が高いのは可能性と経験値があるから
第二新卒を積極的に採用したい企業が多いのは、若い世代から自分の企業で自分の企業の社風に合う人材を、自分の企業のやり方で育てていきたいからです。
そのため、第二新卒のように前の職場にいた期間が短い人は、転職してから新しいルール、新しい仕事の仕方に適応しやすいと考えています。
これが「可能性」を感じさせるため、面接や応募書類の中で前の職場のアピールは控えたほうがよいのです。
さらに、社会人1~3年の経験値は、まったくの新卒と比べれば比にならないことも、第二新卒の需要が高い一因です。一般的な企業では、3か月程度の研修期間を設けて新卒者を教育している場合が多く、この研修期間は直接企業の業績に結び付くような仕事は期待できないことになります。
ところが、第二新卒の場合はこの研修期間がなくてよい、または短くて済むため、多少の期間をおけば「即戦力」となることを期待できます。
第二新卒を狙って採用する企業が多い
第二新卒で転職するメリットは、単純に「第二新卒採用枠があるから」ということもあります。一般的な転職サイトを閲覧してみるだけでも、「第二新卒歓迎」というタグがついている求人は多くみられますが、それ以外に「第二新卒に限定した応募枠」があります。
こうなると、この求人に応募できるのは、入社1~3年目までの若手社員に限られるため、他の転職求人に比べて格段に競争率が下がるのです。
競争率が下がるということは、転職成功率がアップするということですから、この時点でも第二新卒のメリットがあるといえます。
第二新卒の需要が高いことが分かっている企業は、中途採用枠という枠を設けず、第二新卒枠を設けることで、確実にポテンシャルのある第二新卒を採用しているのです。
第二新卒だから新卒よりも給与も高め
第二新卒で転職することもメリットは、採用された以降にもあります。まったくの新卒よりも、企業にもよりますが少し高い水準の給与を1年目から支給されることが多い点です。
転職の際に行われる給与交渉の際に、企業側に提示できるだけの「実績」がある人ほど、新卒の給与額よりも上乗せされた給与を交渉しやすくなるでしょう。
第二新卒の場合、既に元の職場では新卒水準の給与で働いてきたという実績があり、前の職場とまったく同じ額での採用となれば、「新卒扱い」しているのも同然ですから、企業側も少しは上乗せせざるをえません。
そうなると必然的に、その会社の新卒よりは少し上の給与水準に設定されるでしょう。
第二新卒転職でキャリアアップも実現できる
第二新卒転職は、未経験の職種にチャレンジできるだけではありません。未経験ではなく、前職の経験が活かせる仕事に転職することによって、第二新卒でキャリアアップを実現することもできます。
第二新卒の若い世代の社員を自社で成長させることで、ゆくゆくはマネジメントを任せたいと考えいている企業も多いのです。それも、マネジメント世代が人手不足で、マネジメント未経験でも任せられるように育成したいという背景があるからです。
元の会社ではキャリアアップなんて夢のまた夢だったという人も、第二新卒で転職することによってキャリアアップを実現できる可能性があります。
まったく最初からの教育が必要な新卒と、惰性で働いている可能性があるミドル世代の中間にあって、高い可能性を秘めている、それが第二新卒の高いニーズにつながっているのです。
第二新卒転職の落とし穴!転職に失敗しないための注意点
第二新卒は需要が高い!だからといって、第二新卒であることにあぐらをかいていてはいけません。第二新卒でも転職に失敗してしまう人はいます。せっかくの第二新卒ブランドを失敗で終わらせないためにも、つまずくその前に注意点をよく把握しておきましょう。
第二新卒でも、腰の低さに気を付けないと失敗する
第二新卒はまったくの新卒と違って、経験者として入社してくるわけですが、だからといって新人であることに変わりはありません。第二新卒の中には、経験者だから…新卒ではないから…という理由で、かなり堂々とした態度で入社してくる人もいます。
外資系などの実力主義で、自由な社風の場合はそれでも構いませんが、年功序列のカケラが残っているような企業では、第二新卒で大きな態度で入社して、早速先輩社員に目をつけられて出鼻をくじかれたという人もいます。
第二新卒でも新卒と同じような腰の低さで、未経験の場合は特に「学ばせてもらう」という姿勢を忘れないようにしましょう。ここに気を付けなければ、せっかくの第二新卒の時期を棒にふるって、次に中途枠で転職活動をすることを余儀なくされてしまいます。
1~3年で会社を辞めた理由をきちんと考えておく
第二新卒で転職する場合、どの人も会社を1~3年で辞めていることになります。このような場合、面接試験の際に面接官から質問される可能性が高い
「どうして前の会社を1年(1~3年)で辞めたの?」という質問にきちんとした答えを用意しておく必要があります。
素直に答えると「仕事が向いてなかったから」「楽しくなかったから」「人間関係が悪かったから」「給料が低かったから」…などのネガティブな理由が挙げられるでしょう。
でも、このような理由は、そのまま答えてしまうと面接試験をパスできない可能性があります。同じような理由であっても、いい方に配慮することが必要です。
たとえば「前職よりもより大きな規模のプロジェクトに関わってみたかったので」「未経験ですが、前職よりもPCスキルを活かせる仕事だと思ったので」というように、前向きな退職理由、及び転職理由に転換して答えることが大切です。
また転職するのでは?と面接できかれることもある
面接では、意地悪な面接官にあたると「前の会社もたった2年で辞めてるよね?うちで採用してもまたすぐに辞めちゃんじゃない?」などと、圧迫面接のようなことを言われることもあるでしょう。
実際に企業側からすれば、前の仕事をわずか数年で辞めていることは、自分の企業でも繰り返すのではないかと危惧するのは当然のことです。
このように質問された場合は、理由をきちんと添えた上で否定するようにしましょう。「前職ではキャリアアップ制度がなく、資格をとるにも自腹でしたが、御社のキャリアアップ制度を利用して、年齢に応じたスキルを身に着け、実力に応じたキャリアを形成していきたいと考えております。そのため、それが実現できることを目標に、御社では長期的に勤務させていただきたいと考えております。」というような受け答えができれば、企業側からしても安心して採用することができるでしょう。
未経験業種・職種で第二新卒転職を成功させるための考え方
未経験の業種・職種でも第二新卒の看板を使って上手に転職するためには、それ相応の心構え、考え方が必要です。第二新卒での転職を成功させるためにも、どのような心構えが必要か知っておきましょう。
経験はあるけど、物腰は柔らかくいくべし
第二新卒は、ある程度の社会人経験もあり、まっさらの新卒新入社員の頃のような初々しさよりは、多少は経験があるということを強調するためにも、少し貫禄を持たせるために余裕のある態度で入社してくる人もいます。
しかし、このような少しこなれた態度では、うまくやっていけない企業もあります。中には第二新卒も新卒同然のように見ている先輩社員もおり、そのような先輩社員の神経を逆なでしてしまうことになるからです。
わかりやすく言えば「かわいげがない」第二新卒よりも、新卒新入社員のほうがかわいがられ、重宝されるということもあり得ます。こうなっては第二新卒転職が成功したとはいえません。
そのため、第二新卒で3年ほどの社会人経験があったとしても、入社当初は新卒と同じくらいの腰の低さで仕事をすることをおすすめします。
第二新卒とはいえ、年齢は先輩社員よりも低いことが多く、見た目にも新卒とあまり変わらないのですから、事情を知らない他部署の人間からすれば、いきなり大きな態度をしてくる無礼なヤツ…と思われる可能性もあります。
第二新卒転職を成功させるためにも、入社してからしばらくは腰を低く、人と話す際には柔らかい物腰でいるように心がけましょう。
第二新卒のブランドを有利に使えるエージェントを選ぶ
第二新卒をうまく使って転職を成功させるためには、自分ひとりの力だけではなく、転職支援サービスを無料で提供している転職エージェントを活用するという方法もあります。
大手転職エージェントのリクルートエージェントでも、積極的に第二新卒の転職を扱っており、10万件を超える非公開求人の中から、第二新卒のスキルやキャリアにマッチングした求人を紹介しています。
第二新卒で、初めての転職活動に不安を抱いている場合でも、応募書類の添削や模擬面接の実施など、手厚い支援を受けられるため、初めての転職活動でも自信をもって取り組むことができるというメリットがあります。
まとめ
第二新卒で転職するメリットは、未経験の業種・職種でも転職しやすいこと、第二新卒枠があるので転職に成功しやすいことなど、複数のメリットが挙げられます。しかし、闇雲に転職活動をするのではなく、第二新卒で転職活動を行う際の注意点に気を付けましょう。
第二新卒とはいえ、年代的には新卒と大差なく、仕事をするうえでは物腰柔らかく、先輩をたてるという考え方が必要です。外資系などの自由な社風なら話は別ですが、一般的な企業なら先輩への態度は腰を低く保つように心がけましょう。
そこに気を付けることができれば、第二新卒転職は、メリットが数多くあり、その年代にしかできない限られた転職の形でもあります。限られた貴重な時期を有効に使うためにも、今の仕事を辞めるべきか、第二新卒で転職すべきかについて、よく考えてから実行する必要があるでしょう。