仕事に対してストレスを感じていると、会社に行くのが嫌で朝から憂鬱ですよね。今日はもう出勤せず、そのまま仕事をばっくれて辞めてしまいたい、と感じたことはありますか?
「今日はもう出勤せずに家で昼まで寝ていたい…」
「どうせ今日も上司に怒られるから、行きたくない!」
「会社に行かず、いっそ違う電車に乗って遠くへ行って、静かに海を眺めていたい…」
などと思ってしまうこともあるでしょう。しかし、会社をばっくれてしまうと、その後に大変なことになってしまうんじゃないかと心配ですよね。学生時代にアルバイトをばっくれるのと、正社員をばっくれて逃げるのでは責任の重さが違います。
正社員で会社をばっくれてしまうと、給料や社会保険、また転職などに関連して様々な問題が生じてきます。この記事では、仕事をばっくれると後でどうなってしまうのかを明らかにするとともに、どう行動していけば良いかを解説していきます。
もくじ
仕事をばっくれて会社を辞めると給料や社会保険はどうなる?
仕事をばっくれて、あわよくばそのまま音信不通になり辞めてしまいたいと思った時、まず気になるのは給料のことですよね?ばっくれる前日までは普通に働いていたわけですから、その分の給料はちゃんと貰えるのかどうか不安に思うでしょう。また、正社員として会社に所属していれば社会保険にも加入しているので、保険証はどうすればいいのか気になりますよね。
正式な手続きを踏んで退職するのであればもちろん最後まで給料は貰えますし、社会保険等に関しては総務のほうで手続きをしてくれます。しかしばっくれてしまうと、会社を怒らせることになりますから、給料や社会保険に関して何か自分に不利益なことをされてしまうのではないかと不安になってしまう気持ちはよくわかります。ここでは、ばっくれて退職すると、その後の給料や社会保険はどのように処理されていくのか明らかにしていきます。
ばっくれたとしても、働いた分の給料は支払われる
まず給料についてですが、ばっくれたとしても給料は最後まで支払われます。会社は給料を支払う法的な義務を負っているので、給料を払わないとなると、それは違法行為になってしまいます。なので通常であれば、ばっくれて音信不通になっていたとしても、あなたが働いた分の給料は口座に振り込まれるはずです。
しかし、「給料を払うのを多少しぶられる」ということはあり得ます。大企業などの大きな組織であればコンプライアンスには敏感なので普通に払ってくれることが多いですが、中小などではこちらから「給料を払ってください」と言わないとなかなか払ってくれない場合もあります。ばっくれた後にどうしても最後の給料を払って欲しければ、勇気を出して会社に電話をいれて「この度はご迷惑をおかけしてすいません。最後の分の給料を頂きたいのですが…」と伝える必要はあるでしょう。そうすると、会社側は怒っているわけですから、何かしら暴言をはかれる可能性はあります。あなたが会社に出向いて直接謝罪し、必要書類を記入するよう求められることもあるでしょう。
どうしても会社が最後の給料を支払わないようであれば、内容証明で給与請求を送り付けるという手段もあります。しかし、それでもなお無視するなど、「絶対に給料は支払わない」という意思を見せる会社もごく稀にあります。給料の支払い拒否は違法行為ですが、額が20~40万円程度であればわざわざ弁護士を雇って法的措置を強行するのもコストのほうが高くついてしまいますので、諦めるほかありません。
むしろ、こんなブラック企業は辞めて正解だったと考え、最後の給料は勉強料だと思って気持ちの整理をつけましょう。
また、逆に会社側からばっくれたことに対して訴えを起こされて、損害賠償を請求されるのではないかと不安に思う人もいるでしょう。しかし、よほどあなたが会社に対して違法な手段で損害を与えた事実がなければ、ばっくれたことだけで訴えられるようなことはありません。
裁判を起こすということは弁護士や書類の準備のために多額の費用が発生し、さらに大きな時間的コストもとられることになります。ばっくれの責任を追及するために裁判にまで発展させてしまうと、会社にとってはかえって損が大きくなってしまいます。なので、法的な手段で会社から損害賠償を請求されることまでは心配しなくてよいでしょう。
懲戒解雇になれば社会保険から外されて保険証の返却義務が生じる
正社員として会社に所属していれば、保険証を持っているはずですよね。正社員でなく派遣社員などでも、一定の基準を満たして保険に加入し、保険証を持っていることもありますね。保険証を持っているということは、社会保険に加入しているということです。社会保険というのは、雇用保険、健康保険および厚生年金のことを言います。
仕事をばっくれて音信不通になると、会社側ではあなたに対して「懲戒解雇」という処分を下すことになります。懲戒解雇になった時点で、社会保険からは外れることになります。ただ、あなたが保険証を会社に返さないと、会社側はあなたの社会保険を外す手続きを完了することができません。会社側としては、あなたの雇用保険と健康保険の額を半分支払っていますので、ばっくれられたとなれば早くあなたを社会保険から外してしまいたいものです。あなたが社会保険に加入している間は、会社側にはずっと支払い義務が発生し続けてしまうという事情があるのです。
また、保険証をいつまでも返さずにいると、もしあとで他の会社に転職したとしても、そこでまた社会保険に加入しなおすということができなくなってしまいます。なので、ばっくれたとしても以下のような方法で保険証を返却する必要があります。
- ばっくれる際に、社内の個人ロッカーなどに保険証を入れておき、電話などでそうしたことを伝える
- 会社宛てに郵送で返却する
- 同僚や先輩、総務係の人などで信頼できる人に保険証を預ける
- 自分が会社に返しに行くか、どうしても行きたくなければ親族に保険証を預けて会社へ持って行ってもらう
保険証を返却しないと会社側もあなたも双方にとって不利益となりますので、必ず返却するようにしましょう。
仕事をばっくれて会社を辞めた時のデメリットとは?
仕事をばっくれるとなると、会社側を困らせたり、怒らせたりしてしまうことが不安ですよね。あなたがもう入社して数年もたっているのであれば当然ある程度の業務を抱えているでしょうし、引継ぎもなく急に抜けられては業務がまわらなくなってしまうでしょう。入社したばかりの新入社員だったとしても、新たに人を雇いなおす必要が出て来たりと、ばっくれが迷惑であることに変わりはありません。
ばっくれて辞めると、このように会社に不利益を与えることになりますので、会社から何かしらの復讐をされてしまうのではないかという不安があるでしょう。特に、上司が怖い人であったりすると、ばっくれて怒らせると何をされるのか、不安は大きくなりますよね。また、ばっくれて辞めて次の仕事にスムーズに転職できるのかという不安もあるでしょう。ここでは、仕事をばっくれた後に具体的にどのようなデメリットを受けるのか明らかにしていきます。
家族に連絡されたり警察に捜索願を出されたりする可能性がある
あなたが連絡もなく仕事をばっくれた日、会社側はあなたがなぜ出社していないのか、理由がわからないという状況になりますよね。この時点では、あなたがただ寝坊して遅刻しているだけなのか、無断欠勤なのか、もしくは何らかの事故や事件に巻き込まれて行方不明なのか、いろいろな可能性があります。なので会社側としてはまずあなたに電話で連絡をいれ、確認をとることになるでしょう。会社からの電話に出ず無視し続けていると、会社はあなたの住所を知っていますので、自宅に来る可能性があります。
自宅に来ても居留守を使って出ない、もしくは自宅にもいないということになると、会社としては状況が把握できず困ることになりますよね?頻繁に社員がばっくれるような職場であれば「またばっくれられた!」と受け取ってそれ以上の捜索をしないこともあります。しかし「もしや何かの事件に巻き込まれているのでは?」などと心配されてしまうと、会社はあなたの家族や知人にまで連絡を入れたり、警察に捜索願を出す可能性もあります。
あなたとしては、仕事が嫌でばっくれるぐらいなので、なるべく会社とは連絡をとりたくない心境でしょう。しかし、家族や警察も巻き込んだ捜索にまで発展してしまうと、かえって大ごとになってしまい、見つかった後に事態を収拾させる負担が大きくなってしまいますよね。なので、なるべくなら会社側には連絡をいれるのがベターだということになります。
ばっくれたことがバレて転職活動に悪影響が出る
ばっくれて辞めた後に別の会社に転職する際、ばっくれたことはできればバレずに済ませたいですよね?
数週間程度で会社を辞めた場合は履歴書の職歴の項目には書かずにしておいてもOKですが、3カ月以上在籍していれば履歴書には書かないといけません。なので、前の会社を辞めた理由については、うまく説明する必要が出てくるでしょう。
履歴書や面接ではばっくれた事実をうまく隠し通せたとしても、離職票でバレる可能性があります。離職票の退職理由の蘭は会社が記入するので、あなたの説明と内容が食い違っていれば、転職先の会社は不審に思ってしまいますよね。また離職票以外に、前職の退職証明書を求められた際も、同じように記載内容とあなたの説明との矛盾でばっくれがバレてしまう恐れがあるでしょう。
転職先の会社によっては、前職調査をされる場合もあります。たとえば転職先の会社からあなたがばっくれた会社に連絡を入れられ、あなたの在籍や業務内容、および勤務態度について確認をとられてしまうということです。これをされてしまうと、もうばっくれた事実はごまかしようがありませんよね。なので、ばっくれてしまったなら、前職調査をされる会社への転職は厳しいということになります。
また面接や書類ではうまくごまかし、前職調査をされなかったとしても、同じ業界内での転職であれば「風の噂」によって後からばっくれがバレてしまうということも考えられます。たとえば、地域も業種も同じ会社同士であれば、社長同士あるいは社員同士の付き合いがあることも多いものです。そうしたときに、「前にそっちの会社にいた人が、当社に転職してきたよ。どんな人だったの?」と話題があがることも大いにあり得ることですよね?ばっくれられた側は怒っているわけですから、あなたのためを思ってばっくれの事実を隠してくれるとは期待できないでしょう。こういった「風の噂」によってばっくれがバレてしまう可能性は、何年たっても残り続けるものです。なので、ばっくれたのであれば、なるべく前職とは全く関係のない会社に転職することを考えなければなりません。
当たり前のことですが、どんな会社も、ばっくれて退職した人を雇いたいとは考えていません。ばっくれて辞めたことがバレてしまうと確実に採用されないということは、承知しておく必要があります。
ばっくれて辞めることが癖になって同じことを繰り返してしまう
ばっくれたことであなたが受ける不利益は上記に説明した通りですが、あなた自身にばっくれ癖がついてしまうことも危険なことです。「辞めさせてください」と会社に伝え、引継ぎなどの責務を果たしたうえで退職するということは、めんどくさくてエネルギーのいることです。ばっくれて辞めるのは楽なので、いちどばっくれに成功してしまうと、次に仕事が嫌になったときも「またばっくれればいいや」と心のどこかで思ってしまうかもしれません。辛い状況になったときに甘いほう、楽なほうへと流される癖がついてしまうということです。
ばっくれて辞めることを繰り返していると、いつまでたっても社会的な信用が得られなかったり、自分自身のキャリアをステップアップしていくことは難しくなります。また、ばっくれた事実があなたの心の中に「うしろめたさ」として残り、何年たっても自分を責め続けてしまったり、自分を信じられなくなるというようなこともあり得ます。
結果的に、あなた自身の人生がよくない方向へ向かってしまうことにもなるでしょう。なので、過去にばっくれたとしても、もう二度とばっくれはしないという決意を持つ必要はあります。もしくは、ばっくれなくて済むような、自分がやりがいをもって働ける会社を慎重に選ぶことも重要でしょう。
いちど冷静になって、まずはばっくれて退職せずに済む方法を考えてみましょう
仕事が辛い時、ばっくれて音信不通になってしまうことは一見、楽なことです。しかし冷静にデメリットを考慮したとき、ばっくれはあなた自身にとって決して得な選択肢ではないことがおわかり頂けたかと思います。むしろ、ばっくれた過去をうまく隠すための苦労や、いつかバレてしまうのではないかという不安を抱え続けることによるマイナス面が負担になってしまうことでしょう。
- 毎日怒られてばかりで、精神的に限界に達している
- ひどいパワハラやセクハラを受けている
- これ以上仕事を続けると過労死してしまう
といった抜き差しならない状況にいるのであれば、自分を守るためにやむを得ずばっくれという選択をすることもあるかもしれません。しかし、よほど異常な状況でなければ、辞めたいと申し出たことに対して暴力を振るわれたりなんてことにはならないでしょう。会社側も、今までいろいろな形で辞めていった人の姿を見てきてはいますから、どうしても辞めたいという意思があるのであれば最終的には辞めさせてはくれます。
ただ、本当に違法なレベルで悲惨な状況にあり、今すぐばっくれないとあなたの生命に危機が及ぶことが明らかなのであれば、かまわずばっくれましょう。
まとめ
この記事では、正社員の立場で仕事をばっくれると何が起こるのか明らかにしてきました。まず、よほど悪質な会社でなければ給料は最後まで支払われます。ただ、給料をくださいと連絡しないと貰えないということはあり得るので注意は必要です。また、次の就職のためにも社会保険の手続きは完了させる必要があるので、保険証は会社に返却しなければなりません。
実際にばっくれを実行してしまうと、あなたに様々なデメリットが生じることは事実です。例えば行方不明ということで家族や警察にまで連絡されてしまい、かえって大ごとになる危険があります。また、転職するにしても退職理由をうまくごまかすのもひと苦労ですし、書類や「風の噂」によってばっくれがバレてしまうことには十分に注意しないといけません。また、あなた自身にばっくれ癖がついてしまうことも、人生にとってマイナスが大きくなってしまうでしょう。
できることなら、ばっくれて音信不通になるよりは、会社にきちんと連絡するようにしましょう。社会人としてそうすしなければならない、ということもありますが、何よりばっくれてしまうのはあなた自身にとって損なことが大きいです。朝起きて、どうしても会社に行きたくないなら、まずは会社に電話をいれて体調不良などの理由を説明し、休ませてもらいましょう。そしてどうしても辞めたいという気持ちが消えなければ、会社に辞める意思を伝えた上で、辞めるようにしましょう。
なお、こちらの記事では辞めたいと思った時にまず考えたい事をご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。