ボトルネックは、ビジネスシーンで使われる用語の一つです。簡単に「ネック」と省略して使われることもあります。
ボトルネックは端的に言うと、生産能力や効率を妨げている要因のこと。このため、ボトルネックがどこにあるのかを探し出し、それを改善していくことは企業や組織における能力や効率アップに欠かせません。事業計画や戦略のポイントにもなるでしょう。
ここでは、ビジネスシーンにおけるボトルネックの意味、それを特定する方法や改善方法などをご紹介していきます。
もくじ
ボトルネックの意味をどこまで知っている?
ビジネスシーンにおいて、ボトルネック(bottleneck)という用語はよく使われます。略して「ネック」という場合もあります。
「この商品がボトルネックになっている」「ボトルネックはこの作業だ」「人手不足がネックになる」などと使われます。つまり、作業や生産能力などを低下させる要因をボトルネックと呼んでいるのです。効率の悪いボトルネックがあると、それが全体の能力にも影響し、企業や組織の効率を低下させてしまうのです。
ビジネスでこの言葉がキーワードとなっているのは、ボトルネックを探し出して改善することが、ビジネスのあらゆる現場で重視されているからでしょう。
プロセスを制限するモノ・コト・ヒト
広義には、ボトルネックは企業や組織における生産能力などを低下させる要因や原因を指します。すなわち、業務全体から見て非効率になっている部分のことです。
IT業界では、システム障害を発生させて処理速度を妨げている部分や要因のことを指します。生産管理の現場では、生産工程において、手間や時間を必要としながらも仕上がりの品質が悪い作業やその現場を指します。
業務の効率を低下させる要因としては、例えば、工場の製造現場であれば、仕入れる材料といったモノの場合もありますし、機械の処理能力が下がったというコトの場合もあるでしょう。あるいは作業する人の能力にばらつきがあるというヒトの場合もあるでしょう。
いずれにしても、ボトルネックとなる原因がそのプロセスのどこかにあるのです。
作業効率はボトルネックの能力で決まる
ここでボトルネックがもたらすことについて考えてみます。
ボトルネックによって作業などが滞ってしまうと、業務全体の流れに影響します。「瓶の首」という名前のとおり、業務の途中にボトルネックがあれば、その低い能力による量や内容に合わせてしか進みません。たとえ、他に効率よく進めている部署やパートがあったとしても、1ヵ所でもボトルネックがあれば、全体ではボトルネックの能力に合わせた量や内容でしか業務が進まないのです。
非効率を生み出す要因というボトルネックの意味は、こういうことなのです。
ボトルネックは製造現場やシステム環境などだけではありません。例えば、サービス業を営む企業や組織においても、効率の悪い部署が1ヵ所でもあれば、それによってサービス全体の質が落ちてしまうなどの影響が出るでしょう。ボトルネックはあらゆる業種業務で発生する可能性があると心得てください。
めざすのはボトルネックの改善
こうしたことから、業務の能力や効率を上げようとする多くの企業や組織が取り組んでいるのが、ボトルネックを探し出して改善することです。ビジネスにおける課題として、その能力が多くのビジネスマンに求められているのです。
経営者はもちろん、事業やプロジェクトのリーダーもボトルネックの改善を意識するのは必須でしょう。
とはいえ、ボトルネックを探すのはそう簡単ではありません。一見してボトルネックとは思えない、効率よく進んでいそうな部分や部署にもボトルネックが潜んでいる場合もあります。
潜んでいるボトルネックをどうやって探す?
例えば、製造現場において「この製品の納期が遅れるからボトルネックを探そう」としても、一連の業務には多くの機械を使っていたり、さまざまな部署が関わっていたりするので、すぐにどこがボトルネックなのかを特定するのは難しいものです。
一つの方法として、工程の順を追って探すことを試みてください。製造工程の各パートで作業内容が分かるように書き出し、フローチャートを作成します。パートごとにコストや作業時間、人員、生産量などを調べて記入していきます。書類作成などの事務的な作業も加えます。もちろん一覧表でも作成できますが、作業の流れを盛り込むことを忘れずに。これらを明確にしていくことで、どこで効率が下がっているのかが見えてくるでしょう。
ポイントはどこで、何が、どういった原因で滞っているのかを追求していくことです。
ボトルネックを改善する手順は?
ボトルネックを改善するには、さまざまなアプローチがありますが、
例えば、次のような手順を試してみてはいかがでしょう。
- ボトルネックを含む全体の状況を知る。
- ボトルネックを特定する。
- ボトルネックを改善する。
- ボトルネックの能力を上げる。
まず、どこでどんな問題が起こっているのか、プロセスの全体像と問題点を確認します。その上でボトルネックを探していきます。効率が下がっているところはもちろん、稼働率が異常に高かったりするところも要チェックです。
そして、ボトルネックを特定できたら、そこで効率を下げている原因を取り除いて改善します。コストや作業能力、人間関係、あるいは物理的な問題なのかもしれません。
もし、特殊で高額な機械やハード面など簡単には差し替えたり、すぐに改善できたりしないところであれば、作業や処理能力をボトルネックのレベルに合わせて、他の高いレベルのところを調整します。すると、全体で無駄がなくなります。これによって余裕が出てくれば、ボトルネックをサポートするなどして業務全体を強化していきます。
次なるボトルネックにも対応する
ボトルネックの改善をしていくと、起こりやすいのが、新たなボトルネックが見つかることです。
ボトルネックは一つとは限らないのです。いくつもの要因があって効率を下げていたり、質を下げていたりする場合もあるので、一つのボトルネックが改善されたとしても、他のボトルネックが出てくる…という連鎖的な現象も起こるのです。一連の状況となれば面倒なことですが、一つひとつ解決していくしかありません。
また、ボトルネックが製造工程などにあるとは限りません。例えば、製造や生産ラインそのものがボトルネックである場合もあります。一筋縄ではいかない、複雑なボトルネックもあることも知っておきましょう。
ボトルネックの改善は他の業務にも応用できる
このようにボトルネックの改善は、ビジネスにおける業務の効率化に大きく貢献します。つまり、ボトルネックはどこかにある…ということを常に意識しておけば、その発見や改善にも迅速に対応することができるでしょう。
効率が低下している原因と部署を確認し、ねらいを定めてボトルネックを探し、改善していきます。そして新たなボトルネックが分かれば再び探していく。この繰り返しをすることで、業務の効率は確実に上がってきます。
ボトルネックに対処できるようになれば、それは大きな成果です。そのスキルは今の部署に限ったことでなく、さまざまな部署やシーンにおいても応用できることでしょう。
ボトルネックに向き合い業務の見通しを立てる
一見、順調に見えても、どこかにボトルネックが潜んでいる、効率を妨げている要因があるかもしれないと意識することは、ビジネスマンにとって、さらには役職者や経営陣にとっても危機管理をふまえたスキルになるでしょう。
ボトルネックは業務プロセスの途中にあるだけでなく、例えば、サービスを提供するベテランの接客部門にあったり、実は高額取引のお客様のなかにあったりするかもしれません。予想外のところで発見される可能性もあるのです。
どのようにして探し、どのようにして改善して業務の効率化を進めるか。それはボトルネックと正面から向き合って対応していくしかありません。それゆえ、ボトルネックを改善していけば、業務の効率化に大きく貢献できるのです。
まとめ
これまで、ボトルネックの意味をご紹介してまいりました。ボトルネックは、業務プロセスのなかで一番、効率の低いところを指します。
結論から言えば、ボトルネックを改善しない限り、その後、企業や組織の成長や発展を成し遂げることはできないと言っても過言ではありません。ですから、問題があり、ボトルネックがあると分かれば、早めに対処することが望ましいのです。
ボトルネックはどんな企業や組織でも起こり得ることです。ボトルネックを探し出すのも、それを改善していくことも容易なことではありませんが、ボトルネックと向き合い取り組んでいくことで、ビジネスマンとしてのスキルを磨くこともでき、成長していくこともできるでしょう。