仕事ができない部下がいれば、それを管理するする人には多大なストレスが掛かります。自分は仕事ができないと感じていれば、その本人も大きなストレスを抱えることになります。職場において、仕事ができないということは、その場にいる全ての人にとってマイナスになってしまう可能性が高いといえます。
しかし、なぜ仕事のできる、できないという差が生まれてしまうのでしょうか。その特徴に触れながら、本当の意味での仕事ができる、できないについて考えていくことで、この問題から生まれる職場のストレスや悪い雰囲気を改善していけるようにしておきましょう。仕事ができないことを覚えが悪いせいにしてはいませんか?
もくじ
仕事ができない人に共通する脳の使い方4選
仕事に限ったことではありませんが、先天的な病気や機能障害、後天的な事故などを除けば、そもそも人間の脳には記憶力の差はほとんどありません。ではなぜ、実質的に記憶力の良い悪いや、覚えが悪いといわれる事態が起こるのでしょうか。これは生まれた時からの脳の機能の差ではなく、その備わっている機能の使い方の上手い下手の差から起こることです。どのようにすれば、この機能を上手く使えるようになるのか?その例をいくつか見てみましょう。
仕事ができない人は睡眠の質が低いから覚えが悪い
記憶のメカニズムとして、睡眠が非常に重要な役割を担っています。人間は起きている間に得た情報を記憶として蓄積していきますが、その情報の整理整頓は睡眠時に行われます。きちんと整理された情報は記憶としての定着率が上がり、思い出すのも容易になりやすくなります。裏を返せば、どんなに必死に情報を入れ込んだとしても、適切な睡眠がとれていなければ、その情報はあっという間に失われてしまう可能性が高いということです。
試験の前日に一夜漬けをしても、大して意味がないどころか悪影響にすらなると言われる理由はこのシステムに由来するものです。だからと言って睡眠の直前にあまり多くの情報を詰め込もうとすると、脳が活発に活動してしまい、速やかにかつ良質な睡眠を取りづらくもなってしまうので、情報の詰め込みは睡眠の2時間前程度までに抑えておくようにしましょう。
仕事ができない人は繰り返しが苦手だから覚えが悪い
人間の最大の特徴の1つは、忘れることができることです。ただ、それは非常に魅力的な能力でありながら、社会生活とりわけ仕事を行う上では厄介な能力でもあります。厳密に言えば、忘れるということは記憶情報が消えてなくなるわけではなく、その情報にアクセスできなくなるだけです。とは言え、体感的には消えてなくなっているのと大差はありません。
記憶としての定着とは、好きなタイミングでその記憶情報にアクセスできる状態にあるか否かを指しています。このスムーズなアクセスを可能にするためには、繰り返し同じ情報にアクセスしてその経路を太くしてやる必要があります。1度太くした経路は時間が経っても失われにくくなるので、これが結果的に記憶として定着したと言える状態になります。
どうしても覚えが悪い場合は何かと関連付けて覚える
繰り返しが記憶の定着には非常に重要であることは既にお伝えしましたが、これとセットにすると効果絶大なのが、この何かと関連付けて覚えるということです。これはエピソード記憶と言われるもので、身近なところでは語呂合わせなどが挙げられます。また運動、とりわけ指先を動かしながら覚えるとより強く記憶できることが知られています。言葉として口に出しながら、同時にそれを書いて覚えることが推奨されるのはこの働きによるところが大きいのです。
匂いを感じる脳の部位は記憶を司る海馬と近い場所にあるため、匂いと一緒に記憶したことは強く残りやすいとも言われています。別れた相手の香水やシャンプーの匂いを嗅ぐと、それまでその相手のことなんて全く考えていなかったのに、瞬間的にその相手との記憶が鮮烈に蘇るなどと言う話は、まさにこの事を実証しています。
仕事ができない人は食事の栄養バランスも良くない
ここまでの事をまとめると、何かの匂いを嗅ぎながら覚えることを言葉にして同時に筆記します。それを繰り返して、かつ適切な睡眠をとることが記憶には一番良いと思われることが分かりました。さすがに全てを一度に行うのも難しいですから、覚えが悪い人はこのことを意識することを大事にしましょう。
ここまでは脳の機能的な部分についてでしたが、今度は栄養についての話です。脳は全ての臓器の中で骨格筋に次いで2番目にエネルギーを消費すると言われています。一応脳のエネルギーは糖質ですが、これは脳の詳細について触れていない大雑把な見方をした場合の話です。この詳細は本題から大きく逸れてしまう上に説明が非常に長くなってしまうので割愛しますが、大事なことはバランス良くしっかりと食事することです。間違っても糖質制限や、過度なダイエットなどは行わないでください。
覚えが悪いせいにして仕事ができないという人の特徴
ここまで書いた事はあくまでも科学的な脳の記憶機能に関することです。これらを充実させる行動を起こせるかどうかにも繋がることですが、一番大事なことは興味を持って積極的に取り組めるかどうかです。軽度発達障害などを除き、仕事ができない人に限って覚えが悪いという言い訳を盾にする人が多いという傾向があります。こういう事を平然と言ってのける人には特徴があることが多いですので、その特徴といえる言動を見ていきましょう。
- 発言の端々からネガティブ要素が聞こえる
- 時間にルーズ
- 責任感が薄く、自己弁護を一生懸命する
- なにをするにも取り掛かりが遅い
- 向上心がない
大きく分けるとこういう感じです。ネガティブ発言には、「でも」「だって」「どうせ」などの言葉も含まれます。責任感が薄いから時間にルーズでもなんとも思わないし、向上心も持てないから何事にも取り掛かりが遅くなってしまいます。そしてこういうタイプの人は往々にして自尊心と見栄が強く、自己弁護に関しては一生懸命行います。これらの言動が目につくような人は要注意ですし、あなた自身がこうなってしまっているなら、今すぐに改善すべきです。
覚えが悪い相手に対してどのように接するべきか
覚えが悪いことを自覚し、そのことを悪いと思い改善しようと努力するけど上手くいかないというタイプの人は、その改善のための努力を手伝ってあげること。時間も手間も掛かるけどサポートしてあげることで少しずつではありますが、改善していく場合が多いです。やる気はあるけど要領が悪いだけですから、きっかけ1つで化けることもあります。
- 覚えが悪いことを自覚していない
- 覚えが悪いことを自覚しているが、その事が悪いことだと思っていない
この2つのパターンはとても質が悪く、また職場などで覚えが悪いと思われる人の多くはこちら側の人であることが多いのも問題を大きくする要因です。そもそも覚えが悪いことを自覚していないのですから、こちら側が何をどれだけ言ったところで馬耳東風です。もう1つの覚えが悪いことを悪いと思っていない人は、自己弁護をひたすら繰り返すパターンが多いです。その自己弁護自体も支離滅裂である場合が多いのですが、感情的にひたすら自分は悪くないと訴えて聞く耳をもってくれません。どちらも残念ですが対処法は1つ、そういう人なのだとあなたが寛大な心で許し、必要最低限以外での接触を避けることです。
まとめ
あなた自身で覚えが悪くて仕事ができないと自覚して、そのことを改善したいと思っているなら、まずはここに書かれていることを実践してみてください。今現在、覚えが悪いと言われることがあり、実際にそうであったとしても、あなた自身に変わりたいと思う強い気持ちがあるならば時間は掛かったとしても変わることができます。あなたの周りに覚えが悪く仕事ができない人がいるのなら、その人の立ち居振る舞いを見て判断してください。先に書いたように、要領が悪く上手く出来ていないだけならば、可能な範囲であなたが手を差し伸べてサポートしてあげましょう。
そうでない2パターンの方であれば、あなたが無理に関わる必要はありません。もし立場上どうしても関わらなくてはならない場合は、相手の言動を逐一記録することをオススメしておきます。このパターンの人はとにかく自己防衛と自己正当化をしてくることが多いのでそれを残しておけば、いざと言う時に役に立ちます。
仕事ができない上に向上心も自覚もない人を変えることは相当に難しいです。そこにエネルギーを割くぐらいなら、適切な場所にそのエネルギーを使って効率的に仕事をしましょう。本当に仕事ができるということは、適材適所をしっかりと意識できるかどうかに掛かっています。