ビジネスマンが磨くべきスキルはいろいろありますが、その中の一つに文章力があります。文章力はその他のスキルの基盤になると言っても過言ではありません。
AIが私たち人間の仕事を奪ってしまうのではと懸念されている現代でも、文章によるコミュニケーションがなくなるようなことはないでしょう。文章力を向上させることは、決して無駄にはならないのです。
ビジネスマンが文章力を向上させるためにするべきことをまとめました。
もくじ
文章力はいろいろな場面で試されている
会社に勤めていると、企画書や報告書、取引先へビジネスメールなど、文章力が試される場は日々いろいろな場面にあります。
また、最近ではWebマーケティングも盛んになってきており、会社のSNSやブログなどで情報を発信する機会も増えてきました。これまでは社内での評価がメインでしたが、今後はWebを通じて広く世界に文章を発信していくようになり、ますます文章力が試される場が増えていく可能性があります。
文章力を向上させるためにすべきことって?
文章力を向上させるためのセミナーや通信教育もありますが、まずは日常生活の中でできることを取り入れてみることから始めてみましょう。意外と簡単なことでも、文章力向上のトレーニングになるものです。
逆を言えば、高額なお金をかけなくとも文章力を鍛えることは可能だということです。些細なことから意識改善をしていくことが大切です。ここでは、文章力を向上させるためにするべきことを5つ挙げてみます。
①ジャンルを問わず多くの文章を読む
ジャンルを問わず、多くの文章を読みましょう。その数が多いほど
- 正しい日本語の使い方
- 読みやすい文章の作り方
- 読み手を説得させる文章の組み立て方
などが身につきます。
また、知らない言葉に出会う機会も増えるので、語彙が増えます。語彙が増えると表現の幅も広がるので、読み手に誤解を与えるようなトラブルを防止することにつながります。
ビジネスに関わる文章だけでなく、新聞や雑誌、小説や評論といったさまざまなジャンルの文章にも触れることが大切です。その際、ただ読むだけでは効果がありません。書き方や言い回しなどについて意識を向けるようにしながら読み進めていくといいでしょう。
②実際に自分の考えや意見を文章化する
いくら頭の中に考えや意見がまとまっていたとしても、実際に文章化してみなければ本当の文章力は測れません。文字にしてみることで、
- 前後のつながりが自然かどうか
- 同じようなことを繰り返し書いていないか
- 回りくどい表現になっていないか
などを確認することができます。さらに自分が書いた文章を読み直すことで、誤字が多い、同じような表現を繰り返し使いがち、句読点が不適切…など、自分の癖を見つけられるようになります。癖がわかれば修正もしやすくなり、文章力の向上につながります。
自分の考えや意見を言葉で書き出すのは、文章力向上のための効果的なトレーニング方法なので、日常的に行うようにしましょう。
③わからない言葉は【調べる⇒使う】で定着させる
他人が書いた文章を読んだりニュースを見聞きしたりしていると、わからない言葉や言い回しに出会うことがあります。それらは今後、自分の文章に彩りと広がりをもたらしてくれる重要な武器となるものです。積極的に意味を調べ、文章や会話の中に取り入れながら自分の力にしていきましょう。
これはスポーツに似ています。スポーツにおける技は語彙や言い回しで、大会本番で発揮できる力は文章力だと仮定しましょう。技は練習なしにいきなり本番で成功させることはできません。練習を重ね、自分のものとして習得できて初めて成功に近づくことができます。大会本番=自分の文章が評価される場面を想定し、多くの言葉や言い回しを蓄えましょう。
④読み手の立場に立って文章を読み返してみる
文章力を評価するのは他人です。他人があなたの文章を読んで、言いたいことがストレートに伝わる内容になっているか、最後まで目を通したくなる構成になっているかなどの視点から文章力の有無を判断します。
文章を書いているときは熱意もこもります。また、伝えたいことで頭がいっぱいになっているかもしれません。できるだけ読み手に近い心情になるためには、文章を書きあげてから少し時間をおき、冷静な状態になることが大切です。
文章を書いたら、読み手の立場に立ってもう一度自分の文章を読み直すということを習慣づけてみてください。文章の「読みやすさ」を客観的に判断できるようになります。
⑤第三者に書いた文章を読んでもらう
文章力を向上させるのに最も効果的な方法とも言えるのが、書いた文章を第三者に添削してもらうことです。自分で書いた文章を自分で読み返す場合、内容について思い入れがあるので細かい点に気が付けないことがあります。自分では気が付くことのできなかった視点や観点から文章を評価してもらうことで、効率的に文章力を向上させることができます。
第三者が上司などでなく家族や友人のような身近な人物だった場合、指摘されたことを素直に受け入れるのは難しいと感じてしまうかも知れません。しかし、そのプライドの壁が成長を大きく阻害していることを知ることも大切です。指摘があるということは伸びしろがあるということです。
文章力が高いと思われるポイントは?
文章力を高めるためのトレーニングは日々続けてほしいのですが、読みやすい文章をつくるのにはいくつかのコツもあります。
こちらの例文を下の視点から改善してみましょう。
“先日の会議では新商品を開発するにあたり〇〇という点と■■という点に重点を置くことが必要だということが再確認され、そのチェック機関として新しいプロジェクトを立ち上げ新商品の開発費を少々上乗せすることを全会一致にて可決しました。”
①一文は80文字前後で、一文一義であること
読みやすい、わかりやすい文章の絶対条件として、一つの文章を80文字以内に抑えることが挙げられます。これ以上長くなってしまうと、言いたいことがストレートに伝わらなくなってしまうので要注意です。また、併せて意識をしておきたいのが、一文一義、つまり一つの文には一つの情報だけという点です。
上の例文は分の長さが100文字以上である上、情報量が多く何が重要なのかがわかりづらくなっています。まずは伝えたい情報を整理しましょう。
- 新商品の開発において〇〇、■■という2点が重要であることを再確認
- チェック機関として新たなプロジェクトを立ち上げる
- 開発費の上乗せ
これらを一文で丁寧に伝えることが大切です。
②似たような表現の繰り返しや言葉の重複がないこと
あれ?このフレーズさっきも読んだな…という文章は意外と多いもの。伝えたいことへの思い入れが強いほど、何度も同じようなことを書いてしまったり似たような表現を繰り返してしまったりするものです。
先ほどの例で言えば、“〇〇という点と■■という点に重点を置くことが必要”という部分です。まず、「~という点」が繰り返されていますが、これは一つにまとめることができますね。
“〇〇、■■という2点”
これだけでだいぶスッキリします。
続けて、“重点を置くことが必要”という部分ですが、重点と必要という言葉は何だか類似しています。
“~が重要であること”
とまとめることも可能です。
③価値観に頼る表現は使用しないこと
価値観に頼る表現とは、「すごく」「たくさん」などの言い回しのことで、これは人によってどのくらいという範囲はバラバラです。具体的に言えば、50人以上を「たくさんの人」と言う人もいれば、それ以上を想像する人もいるということです。
この曖昧さを解消するためには、具体的な数値で示すことが大切です。先ほどの例文にも“新商品の開発費を少々上乗せする”という表現がありましたが、少々という表現は曖昧で、どのくらい上乗せするのかはわかりません。
“30パーセント”
“500万円”
このように具体的に示すことで曖昧さを解消し、より分かりやすい情報提供が可能になります。
ビジネスシーンにおいて文章力を向上させるメリット
文章力を向上させることは、物事を論理的に考えることにつながります。論理的な思考とは、
- 複雑な問題を単純化し誰でもわかるようにすること
- 原因と結果を明確にし、具体的な問題解決策を考えること
で、ビジネスシーンにおいても非常に役に立つ考え方です。つまり、文章力を向上させることは論理的思考を鍛えることにもつながり、ビジネスマンとして必要なスキル(ビジネススキル)を身につけることができるのです。
まとめ
どのような文章もそうですが、ビジネスの場合は特に、読み手は自分の時間を割いて文章を読んでくれています。読みづらい文章や要点がつかみにくい文章では、相手が費やした時間を無駄にしてしまうことになります。
文章力を向上させることは
- 正しい言葉づかいや数値を活用した分析力が身につく
- 物事を論理的にとらえ、端的に情報をまとめる力が身につく
- 必要な情報を的確に相手に伝えるコミュニケーション能力が身につく
などにもつながります。
すなわち、文章力を向上させることは自分のスキルアップの一つという認識だけでなく、仕事をスムーズに進めるための手段の一つとも言えるのです。