メンタル

対人恐怖症で仕事辛い…知っておきたい6つの原因と克服術

仕事や日常生活において、人に相対する場面になると恐怖感を覚えてしまい事が上手く進まないことを対人恐怖症といい、れっきとした病気です。一言で対人恐怖症といっても、そのパターンはいくつかに細分化されていて、1つだけを発症する人もいれば、いくつかを同時に発症する人もいます。パターンごとにその症状は違い、原因に関しても少しずつ違っている場合が多いです。

対人恐怖症だと思っていなくても、少し悩んでいたその症状が対人恐怖症であったという場合もあります。詳細なパターンと原因、対策を考えれば対人恐怖症は克服できる病気です。あなた自身、またはあなたの周囲の人のためにも、1度しっかりと知っておくことをオススメします。

もくじ

対人恐怖症を発症してしまう原因として考えられること

対人恐怖症を発症してしまう、知らずの内に発症している原因はいくつか考えられますが、その際たるものとして挙げられるのが幼少期の体験です。トラウマやPTSD(心的外傷後ストレス障害)などと似ている部分があります。例えば幼少期に公共の場でこっぴどく叱られている人を見たり、学校の発表会などで大失敗して周囲から笑われたり、食事の場での粗相を強く咎められたりなどです。生来の気質が繊細な人は、この様な人から受けたショックが引き金となって対人恐怖症を発症してしまう場合がほとんどです。

対人恐怖症のようなものは以前までは気の持ちよう、思い込みだと言われていましたが、現在は社会不安障害としてうつ病などと同じく精神疾患として認知されています。軽度のものであれば、自身の力で治していくこともできますが、重度の場合は周りのサポートや、心療内科を受診しての専門的な治療が必要になります。

あなたは対人恐怖症のタイプと仕事に与える影響をご存じですか?

先述の通り、対人恐怖症には大きく分けて6つのパターンがあり、それぞれで与える影響や、そうなった原因などが違っています。最初の重要なステップとして、まずどのタイプの対人恐怖症であるかをしっかりと認識する必要があります。ここの部分を間違っていると、根本的な原因に対してのアプローチが不十分になってしまい、いつまで経っても良い結果を得ることができません。以下に6つのタイプを記載しますので、あなたやあなたの気に掛けている人がどの様なパターンに当てはまるかを確認しておきましょう。

対人恐怖症のタイプ1、視線恐怖が仕事に与える影響

  • 誰も居ないのにどこからかの視線を感じて気が落ち着かない
  • 誰かと話をする時に相手の目を見て話ができない

これらの症状、他人の視線に対して必要以上に恐怖を感じてしまう対人恐怖症のことを「視線恐怖」といいます。軽度の視線恐怖症であれば、仕事や日常生活においてもそれほど大きな影響はありません。相手からしても、目を見て話をすることが苦手なシャイな人なのかな、くらいの認識で済むでしょう。

しかし、これが重度になると非常に厄介になります。仕事上においては、全く相手の目を見て話をすることができなければ、この人は自分の話を聞いているのだろうか?と思われてしまい心象は良くありません。それが何度も、いかなる場面においてもとなれば相手は取引をしてくれなくなることもあります。日常生活であれば、常に誰かに見られているという感覚に晒され、緊張感と恐怖から外出が難しくなり、引きこもりになってしまう場合もあります。

対人恐怖症のタイプ2、会食恐怖が仕事に与える影響

食べているところを人に見られていると食べることができなくなる、という症状は「会食恐怖」といいます。仕事やプライベートの人付き合いにおいて、一緒に食事をすることは大事なコミュニケーションツールの1つです。このツールを使うことができないと、交友関係が狭まってしまうリスクがとても高くなってしまいます。あなたが好むと好まざるとに関わらず、食事の場が仕事やプライベートで大事なことは事実で、変わるものではありません。

会食恐怖も視線恐怖と同様に、引きこもりを助長してしまう傾向があります。仕事やプライベートにおいて誰かと食事をすることができないと、必然的に家の中で1人の食事をすることが多くなっていきます。先述の通り、食事は重要なコミュニケーションツールですから、これを失ってしまうと様々な対外的なキッカケを失ってしまうことになり、言動も内向的になっていき負のループが始まってしまうことにもなりかねません。

対人恐怖症のタイプ3、書痙(しょけい)が仕事に与える影響

人前や公の場で字を書こうとすると手が震えてしまい、字を書くことができない恐怖症を「書痙」といいます。この書痙は現代社会においては他の恐怖症に比べて影響が少なく、それほど重く考える必要はないと考えられます。現代社会において、特に仕事上で手書きの字を書く必要に迫られる場面はそれほど多くありません。仕事を行う上では気に留める必要もないといえます。

書痙が気に掛かる場面は、むしろプライベートにあることが多いと考えられます。冠婚葬祭などの際の記帳などがその代表例でしょう。仕事上の繋がりがある場合もありますから、全く仕事と関係ないとは言いませんが、字が汚いからといって左遷の対象にされることや、降格されるなんてことはまず有り得ません。

あまり気にする必要のないものであると認識していただければ十分です。

対人恐怖症のタイプ4、電話恐怖が仕事に与える影響

電話が鳴ると動悸が激しくなって、電話に出ることができないという恐怖症を「電話恐怖」といいます。軽度の電話恐怖は近年、若年層の社会人に増えているといわれています。電話というツールは確かに恐怖を助長しやすい面があります。突然相手の都合で強制的にコミュニケーションを取らされ、顔も見えないから顔色を伺って話すこともできません。だからこそ、理不尽に強気に出る人も少なくないため、そうした要因が複合して電話恐怖に繋がっているとも考えられます。

メールやチャットが普及したとはいえ、仕事やプライベートにおいて電話の重要性はそれほど変わっていません。会社に居て、電話が鳴っているのに全く出ようとしないことを周囲がどう感じるかは明白です。多くの人は電話恐怖症ではありませんから、電話ぐらい出なさいと思っているはずです。取引先との連絡も常に全てをメールやチャットで行うというのは、今の社会では難しいでしょう。電話を使うことは仕事を行う上での大事な要素の1つですから、これが抜けるとなると仕事に重大な影響が出ることは避けられません。

対人恐怖症のタイプ5、スピーチ恐怖が仕事に与える影響

プレゼンや会議、披露宴や宴会などの人前でスピーチをする際にプレッシャーを感じて上手くできないことを「スピーチ恐怖」といいます。誰でも人前で話をする時は少なからず緊張するものですし、慣れていないのだからそれは当然のことです。その誰でも経験するレベルであれば恐怖症ではありませんが、震えが止まらなかったり、過呼吸になり意識が飛んだり、それらを併発して倒れてしまったりすれば、それは恐怖症です。

仕事をする上で、会議やプレゼンの度に倒れていては仕事になりませんし、身がもちません。これが重症化してしまうと、会議やプレゼンなどに限らず人前で話をすることや、会話にすら恐怖を感じてしまうようになることもあります。こうなってしまうと、人とのコミュニケーションを避けるようになり、どんどん内に引きこもるようになってしまいます。ここまで進行してしまうと、仕事どころか日常生活すらも困難な状況になってしまいます。

対人恐怖症のタイプ6、赤面恐怖が仕事に与える影響

人前に立つと顔が紅潮してしまうことを「赤面恐怖」といいます。書痙と同様に、仕事や日常生活においてそれほど重篤な影響を与える可能性は少ない恐怖症ですが、対応を間違うと引きこもりの原因になってしまうこともあります。スピーチ恐怖同様、誰しも人前に立つと多少は緊張して血圧や心拍数が上がるものです。血流が良くなれば顔が紅潮することだって不思議なことでもなければ恥ずかしいことでもありません。

しかし、その当たり前のことを誰かに笑われて恥ずかしい思いをしたことなどがキッカケとなり、人前に出ること自体が苦痛になってしまう場合があります。人前に出ることが憚られるようになるのですから、仕事でちょっと人前に立つことや、営業に出かけること、日常においても人が多くいる場所などに外出することが困難になってしまいます。

対人恐怖症に対する対策と克服方法を考えてみましょう

対人恐怖症の対策が遅れることや、適切に行われないことが少なくない要因の1つに、本人や周囲の知識不足が挙げられます。精神疾患であり、分かりやすい症状や外傷があるわけではないため、気付いた時には既に重症化している場合が少なくありません。対策としてはしっかりと知識を持ち、自分や周囲にその症状がありながら気付いていない人がいないかどうかを気に掛けることが大事な1つの手段です。そしてその兆候が見られる場合には、相談に乗ることや、心療内科の受診を促してみるなどの早めの1手を打つことが重要です。

対人恐怖症を発症する人は、真面目で完璧主義者な人が多いとされています。完璧主義が故に、本来は気にする必要もないことを許すことができず、真面目だからそれを100%真正面から受け止めてしまうのです。他人はあなたが思うほど、あなたに興味はありませんから、もう少し肩の力を抜いて、適当に事を済ませるように考え方を変えていく訓練をすることが必要です。苦痛ですが、何度も繰り返して場数を踏むことで改善されることもありますが、重症化する場合もありますので、専門医と相談しながら徐々に克服していくことをオススメします。

まとめ

対人恐怖症はそれ単体、軽度の場合は特に気に留められにくい精神疾患の1つです。確かに軽度の場合であれば、知らずの内に克服できている場合もありますが、重症化してしまうとパニック障害やうつ病といった1歩進んだ精神疾患の引き金となってしまうことも分かっています。これらを併発してしまうと治療や社会復帰に時間と労力、多大な苦痛を伴うようになってしまいます。現在は対人恐怖症も心療内科で薬物療法と認知行動療法を合わせて治療できますから、あまり深刻になり過ぎないようにしてください。

人間は1人では生きていけませんからどうあれ人と関わる必要があり、対人恐怖症はこれを阻害するものです。抱え込んでいても百害あって一利なしですから、早めに専門機関を受診して症状が軽い内に治療することをオススメします。

あわせて読みたい!