あなたは上司から納得のいかない扱いを受けた時に「この上司、ブラックだな」と感じたことはありませんか?環境や待遇が良くない企業について「ブラック企業」と称されたことが始まりで「良くない」「悪い」という状態をブラックという言葉を使って表しますよね。
今回はその延長線上で生まれた「ブラック上司」についてのお話です。個人的な嫌がらせから部下全員に対しての不当な行いまで、その実態はさまざまですが、今回はその中でも、特にブラックな特性を3つに分けてご紹介します。それぞれの特徴や対処法についてもお話しますので、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
ブラック上司に定義はない、ブラックかどうかを決めるのはあなたの「不快指数」
「ブラック上司」と言われる上司にはさまざまなタイプの「ブラック」があります。わかりやすいブラック上司から、人によっては「いい人じゃない?」「熱心なだけでは?」と勘違いしてしまうようなブラック上司もいます。そのため、あなたが「ブラックかも?」と感じても周囲の賛同が得られなければ声をあげられないというのが現状ではないでしょうか?しかし、それがあなたの身体や精神に影響を及ぼす原因となることもあります。
みんながブラックと認めなければブラック上司ではない、ということはありません。他の誰でもなく「自分自身が傷ついた」「自分自身が不当な扱いを受けた」というだけでも充分ブラック上司である可能性はあります。あなたが「不快」と感じたのであれば、自分の気持ちを無視せずに、しっかりと相手を見極めて自分自身を守りましょう。
ブラック上司あるある① 特技は「大声」「下品な言葉」クラッシャー系ブラック上司への接し方は?
まずは、とってもわかりやすいクラッシャー系ブラック上司です。このタイプは「怒鳴る」「物にあたる」「自分の気分でものを言う」「人前で部下を罵倒する」など、音や言葉で威圧感を与えます。選ぶ言葉も下品なものが多く、聞いているだけで気分が滅入ってしまうことが特徴です。このタイプの上司の下では、上司の顔色ばかりを気にしてしまい、仕事の提案や相談などができません。各自が持つ力を発揮できないというのは会社にとっても致命的でしょう。
正攻法で攻めるも良し、仲間を作るネタにするも良し、上手く使って成長の機会に
このタイプはプライドが高く、正面からぶつかっていっても上手くはいくことはほぼありません。あなたがどんなに正論を言ったとしても、本人のプライドが跳ね返してしまいます。有効な対処法としては、仲間と協力して水面下で策を練ることです。それぞれがお互いの証人となって然るべき機関へ申し出ることもできますし、各々がボイスレコーダーなどを使って証拠を残せばかなりの数になるはずです。
もし、あなたにそこまでの対処をする気がないのであれば、その上司を周囲との関係を深める道具に使ってしまいましょう。同じブラック上司の下で働く者同士が結託すれば、強い絆を持つこともできます。「今日も大変だったね」「昨日よりはいいんじゃない?」など共通の話題を持つことで話しも盛り上がりますし、知らず知らずの内に圧に対する耐性も養えます。「あの上司の下でもやって来られたのだから、どこに行っても大丈夫」と自信を持ったビジネスパーソンになることもできますよ。
ブラック上司あるある② 「物静かで温和な人」なんかじゃない陰湿系ブラック上司にはどう挑む?
大声を出すことも、人を罵倒することもない上司です。その代わり「業務を教えない」「仲間はずれにする」「要望を無視する」「自分のミスをもみ消す」「常にやる気がない」などが特徴でしょう。人によっては「楽でいい」「特にこれといった被害がない」とポジティブに受け取ることもあります。
しかし、上司の仕事は書類に判を押すだけでも、事なかれ主義で偽りの平穏を作り出すことでもありません。特に、部下を教育し、現場からの意見を吸い上げて対処をするということは大きな義務です。その義務を疎かにしてしまっては部下はいつまでたっても成長することができませんし、利益を生み出すこともできないでしょう。
「メモ魔」「スキルアップ」で陰湿系ブラック上司から逃げる
業務を教えてもらえないのであれば、常に指示を仰いで上司の目の前でそのことをメモに取るという方法が有効です。もし「適当にマニュアルを見てて」と言われたのであれば、その言葉を声に出しながらメモします。そうすると目の前で自分が出した指示の証拠が残っていくのですから、いつまでも同じことは言っていられなくなるでしょう。
仲間外れにされたり、要望を何度も無視されたり、ミスのもみ消しを重ねたり、上司自身に常にやる気が無いなどの場合は、異動願いを出すという方法もあります。違う部署で使えそうな資格を取って、それを理由に異動願いを出せば、会社としても要望を通しやすくなります。他部署でどのような資格が活かせるのかをリサーチしてみるのも良いですね。
ブラック上司あるある③ 「人としてどうなの?」首を傾げてしまう非人道的ブラック上司へ必要な対処は?
このタイプが今の世の中にまだいることに驚きますが、部下の人格を否定したり、あからさまな差別をする上司ももちろんブラック上司です。内容はさまざまですが、見極めるべきポイントは「自分ではどうしようもないこと」「個人的なこと」です。たとえば、顔や身体の特徴、出身地や血液型、家族のこと、恋人のこと、など業務に関係の無いことでからかって笑ったり責めたりするような上司はブラック上司と言って良いでしょう。
仕事は見た目や生まれ持った性質や環境でするものではありません。そのために入社の際に入社試験があり、面接があります。その上で入社した人に対して「君は○○だからダメだ」「君は××だから嫌い」とためらい無く言えていること自体に問題があります。近年では「パワハラ」「セクハラ」という言葉もあり、このタイプの上司は減ってきてはいますが、逆に言えばそんな風潮の中でまだこんなことを続けている上司の下で働いていても未来は明るくないでしょう。
通報する勇気がなければ逃げていい、自分を壊してはダメ
このタイプの上司であれば、きちんと会社や然るべき機関へ通報することが大切です。人にとって「自分という存在を否定される」ということは、自分で思う以上に精神や身体へ大きな影響を及ぼします。自分を犠牲にする必要はありません。
もしどうしても通報する勇気が出ないのであれば、異動または退職も視野に入れておきましょう。せっかく入社した会社を辞めるというのはとても勇気が要ることですし、もったいなく感じるものです。実際に転職が上手くいくという保証もありません。しかし、非人道的な人物であることを見抜けず、主要ポストに置いている会社は、果たしてあなたの将来を豊かにしてくれるところなのでしょうか?人間は辛いことに直面すると視野が狭くなってしまいます。上司に何と言われても休暇を取るなどして、自分の気持ちとしっかり向き合う時間を作りましょう。
「ブラック上司を論破してやっつける」はその場限りの快感に過ぎない、同じ土俵に上がるリスクを考える
上司から不当な扱いを受けた時に「論破したい」「やっつけたい」「復讐したい」と思うことはあるでしょう。明らかに間違ったことを言っている上司に、思っていることを言葉にしてぶつけるというのは、想像しただけでも爽快ですよね。
しかし、それはその時だけのことです。上司・部下という関係であって、同じ会社でこれからも働いていくのであれば、今度はその上司からの復讐が考えられます。そんな状況ではあなたの思うような日常を送ることは難しいでしょう。残念なことですが、やはり上司は上司です。部下の思うような改善を強いることはできません。
また、論破して復讐をするということにはもうひとつの大きなデメリットがあります。それは「あなた自身がブラック上司と同じ土俵に上がってしまう」ということです。ブラック上司を押さえつけようとしているあなた自身が、気が付けばそのブラック上司と同じことをしているのです。こんなにもったいないことはありませんよね?「論破」「やっつける」は現実ではその場限りの快感です。あなたがこれからも会社で過ごすのであれば、もっと有効で有意義な方法があります。
最も効果的な復讐は「良い部下」と信じ込ませること、ブラック上司は操縦しやすい
では、ブラック上司への最も有効で有意義な復讐とはどんなことでしょうか?それは、そのブラック上司があなたのことを「良い部下だ」と信じ込むことです。ブラック上司がブラックであるが由縁は「自分のことを信じすぎていること」です。「自分が言うから間違いない」「自分は間違わない」と信じて疑わないから周囲とズレていきます。つまり、あなたがブラック上司にとって良い部下であるほど、その上司にとってあなたという人は「正しい人」になります。
だからと言ってブラック上司と仲良くならなければいけないということではありません。挨拶をする、納期を守る、叱られたら謝る、言い訳をしない、持ち上げる、笑顔を向ける、これらの基本的なことさえしていれば、ブラック上司はかなり高い確率であなたのことを気に入るでしょう。これはブラック上司が持ちがちな「孤独」という性質に訴える方法です。孤独な人は自分に対して肯定的な人に弱いので、そのポイントさえ押さえておけば、さほど難しいことではありません。
これが上手くいけば、徐々にブラック上司を操縦することができるようになります。「君が言うならそうしようか」「君が言うならやめておこう」と、考えるようになるのです。そうすれば「そういう言い方は通報されるといけないのでやめましょう」「そろそろこれをやっておかないとマズいです」とささやくことで、ブラック上司を少しずつ改めさせることもできます。
この方法なら誰も傷を負うことはありませんし、あなたの腕次第でブラック上司をブラックでなくすこともできるでしょう。
まとめ
自分や仲間が不当な扱いを受けた時に、その上司を「ブラック上司」と決めることは簡単なことです。でも「ブラック上司」と決めただけでは何も解決しません。大事なことは「それからどうするか」です。「ブラック上司だけど、良いところもないわけではないから我慢する」「ブラック上司だから対策を執る」など、その先が決まっていないから苦しいのではないでしょうか?
まずは自分の気持ちをしっかりと確かめてみましょう。ブラック上司以外の同僚や自分の部下、同期の友人、家族、恋人、あなたには味方がたくさんいるのではありませんか?ブラック上司の不当な扱いで下を向き続けているのであれば、顔を上げて回りを見渡してみてください。別のところへ身を移すのか、上手く立ち回ってやり合うのか、決めるのはそれからでも遅くありませんよ。