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再就職手当の手続きが全部分かる!受給条件や申請の流れを解説!

失業保険受給中に就職が決まった場合、失業保険の代わりに受け取れる再就職手当。

でも、就職が決まると忙しくなってくるし、収入の安定も見込めるので、何となく「もういいかな」という気持ちになりがちですよね?しかも、条件が細かかったり手続きが煩雑だったり、それでいて失業保険よりも金額が減るとも聞くので、ちょっと面倒だなと思いがちです。

ただ、貰えるのであれば貰ったほうがいいもの。ここでは再就職手当の詳細と、もらえる条件などについてご紹介します。しっかりと熟読して、スムーズに収入を得ていきましょう!

なお、ハローワークのHPでは「再就職手当のご案内」を確認できます。こちらも併せてご確認ください。

もくじ

再就職手当の概要と手続き方法を解説!

まずは、再就職手当の概要からご説明します。

再就職手当とは、失業保険の給付手続きを済ませた人が、給付をもらっている途中で就職が決まった場合に給付を受け取れる制度です。ただし、この給付は失業保険の代わりに受け取るものなので、再就職手当を受け取るということは失業保険を受け取れなくなるという反面があります。

また、再就職手当をきちんともらうためには、就職が決まった後で、別に手続きを行う必要があります。

再就職手当は失業保険手続きをしたあとで!

まず、再就職手当を受け取るためには失業保険の手続きが完了し、給付を受けている状態でないと申請ができません。そのため、まずは退職後に送付される書類を持って、近くのハローワークに行って、失業保険の手続きをしましょう。

なお、退職後すぐに次の転職先へ勤める場合は、失業保険は受け取れません。会社都合で辞めたときなど、再就職に就くまでに間が空く場合のみ、失業保険の手続きが必要になるということです。

失業保険の手続きは、ハローワークの窓口で詳しく教えてもらえますので、手続きに必要な書類「雇用保険被保険者離職票」と「雇用保険被保険者証」を用意してください。

必要な書類と一緒に、印鑑、証明写真2枚、通帳番号がわかるもの、マイナンバーカード(個人番号通知表)、本人確認証明書を持ってハローワークに行けば、手続きがスムーズに進みます。

なお、失業保険の概要や詳細については、こちらの記事でも説明しておりますので、併せてご覧ください。

再就職手当の受給条件とは?細かいので要チェック!

再就職手当は誰でも受けられるわけではなく、かなり細かく条件があります。1つでも条件から外れる場合は受け取れませんので、すべての項目で条件に当てはまっているかどうか、しっかりと確認しておきましょう。

支給残日数が3分の1以上あることが必須

まず、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上が残っていないと、再就職手当は受け取れません。所定給付日数を算出する方法ですが、辞める前までに働いていた期間(前回の失業保険手続き後)と、年齢、会社都合か自己都合で変わります。

たとえば、50歳で10年働いた人が会社都合で退職をした場合は270日となり、32歳で7年働いた人が自己都合で退職した場合は90日です。

この働いた期間ですが、学校を卒業してから退職をした期間ではなく、以前に失業保険をもらっていた場合は、そのあとに働き始めたところから退職をした時点までの期間ということです。

所定給付日数が270日の人は、残りの支給日数が90日以上あることが条件となります。働いていた期間が短くて所定給付日数が少ない場合は、手当はもらわずに次回へ繰り越した方が次回の受け取り額が増えます。

1年以上の勤務が必須!短期はNG

再就職手当の手続きにおいて、何度も確認をされることがあります。それは、1年以上の勤務が可能かどうかの質問です。質問というよりも、念を押されるという感じを受けるかもしれません。

再就職手当をもらうために、希望とは異な仕事内容でも就職を決めてしまう人もいるため、それを防ぐための対策です。希望とは異なる仕事に勤めても、短期間でまた辞めてしまう人可能性が高まるので、そうならないように何度も念を押されます。

派遣社員についてですが、条件がクリアになれば派遣社員でも手当を受け取れます。短期間契約の場合は受け取れませんが、1年以上は働き続ける意思があることを伝えれば、派遣社員でも受け取りは可能です。大切なことは、長期で働く意思があるかどうかということです。

また、フリーランスや自営業を始める人は、1年後も必ず同じ仕事を続けていられるのかどうかを聞かれます。もし続けられないかもしれないと考えている人は、手続きしない方がいいでしょう。

被保険者要件を満たす条件で就職しているかどうか?

被保険者要件とは、ある一定の条件で雇用され、年金や社会保険などの保険に加入することです。条件は1週間に20時間以上の労働時間があること、1カ月以上の就業見込みがあることの2点で、2つの条件に当てはまれば会社は社会保険の手続が必要になるため、必然的に状被保険者要件を満たすことになります。

1週間に20時間以内ですと被保険者要件にはならないので、再就職手当は受け取れません。求人に応募する際や内定通知を受け取った際は、必ず雇用条件を確認しましょう。

3年以内に再就職手当の手続きを行っていない

過去に再就職手当の手続きを行っていた場合、受け取りから3年以上の労働期間が必要です。3年以内の人は受け取れません。

ただし、再就職手当ではなく、通常の失業保険の場合は、3年以内でも受け取りが可能です。自己都合や会社都合などの条件には左右されず、あくまでも3年以上の就業期間があるかどうかです。

退職をする前に、いったんハローワークに問い合わせて、過去に再就職手当を受けたことがあるのか、あるとすればそれはいつだったのかを確認してみるといいでしょう。

再就職手当の手続きの仕方

続いて、再就職手当の手続き方法をご紹介します。

まずは再就職が決まった時点で連絡をいれ、いつに行くのか、働き始めるのはいつなのかを通知しておいてください。そして、手続きは入社日の前日にします。土日祝日を挟む場合は、その前日です。月曜日から出社の場合は、前週の金曜日となりますね。

そして、窓口で再就職手当の手続きをしたい旨を告げ、再就職手続きのために書類に記入を行います。その後で条件の確認を行い。無事にすべての条件をクリアできれば手続きは終了です。

なお、上記は会社に勤務する場合であって、フリーランスや自営業の人は、開業する日が決定したあと、開業日前に手続きを行います。この場合は、開業日前日でなくても問題ありません。

再就職手当の手続きで持参するもの

「雇用保険受給資格者証」と「受給資格者のしおり」に付いている「採用証明書」、「失業認定申告書」、印鑑、口座番号がわかるものを持参します。「雇用保険受給資格者証」は証明写真が貼られた支給日数や手当金額が載っている少し固めの用紙のことです。

「採用証明書」は「受給資格者のしおり」の後半に添付されていますので、それを切り取って再就職する会社の人(採用担当者など)に渡し、記入してもらいます。直接会社へ出向いて書いてもらうのがベストですが、どうしても行けない場合は、必ず連絡をして了承を得てから、郵送でやり取りをしましょう。

「失業認定申告書」は認定日になるとハローワークの窓口で「雇用保険受給資格者証」と一緒に渡されるA4サイズの用紙のことで、前回の認定日から働いた期間はあったか、収入はあったか、就職活動をしたのかということを記載する用紙です。

再就職手当の手続きが終了したあとの流れ

手続き終了後、ハローワークの窓口担当者から「再就職手当支給申請書」を受け取れます。その用紙を、入社日から1カ月以内に会社の上司か総務の人に記入してもらいましょう。そして、ご自身の記入箇所も忘れずに記入し、ハローワークへ送付します。

直接届けに行くこともできますが、忙しい場合は郵送で大丈夫です。その際は、ギリギリに郵送すると1カ月以内という期限が過ぎてから届く場合もあります。そうならないためにも、入社してから1週間以内には済ませておいた方がいいでしょう。

これですべての手続きは終了で、あとは1カ月後くらいに所定の銀行口座へ振り込まれます。

最後に全体の流れについておさらいをしてみましょう。「再就職決定→ハローワークへ通知→採用証明書の記入→ハローワークで手続き→再就職手当支給申請書の記入→ハローワークへ提出→口座振込」という流れです。

忘れることがないように、あらかじめ流れを把握しながら、手続きを行ってください。

再就職手当申請における5つの注意点

再就職手当の条件を満たしていても、申請のタイミングや方法を間違えると、正しく受給できないか受給金額が減額されてしまう場合があります。

ここでは、再就職手当を申請する際の注意点についてご紹介します。

待機満了日については良く確認すること!

待機満了日は離職票を提出して、受給資格の決定日から休日などを含めた7日間後ということです。ハローワークへ手続きに行った日付ではなく、受給資格の決定日になるので、書類に不備があり、翌日に出しに行った場合は、その日が受給資格の決定日になるので、間違えないようにしてください。

受給資格の決定日については、窓口で言われることもありますので、最初にもらうしおりに書いておくのも良いですね。万が一のことを考えて、しおり以外にもメモをしておきましょう。

受給資格決定日から待機満了日までに、仕事の種類に関わらず働いて収入を得たり、次の転職先が決まって働き始めた場合は、自己都合なのか会社都合なのかは関係ないので、再就職手当は受け取れません。

ただし、もらえなくても働く日数が加算されていくだけなので、損をするというわけではないので、安心してください。

自己都合で辞めたときは手続きに気を付けよう!

上記にも挙げましたが、自己都合の人は7日の待期期間以外にも、絶対に守らなければならない条件があります。それは待機満了日から1カ月以内に再就職をするときは、必ずハローワークからの紹介か、職業紹介業者による紹介の再就職が必須条件です。

会社都合で辞めた場合、待機満了日以降が条件ですが、ハローワーク以外で探した会社で働くことになっても、再就職手当は受け取れます。自己都合退職の人のみ、待機満了日はいつなのかを良く確認し、そこから1カ月後は何日かを確実に覚えておかないと、たった1日でも早い日に就職してしまうと、再就職手当は受け取れません。

窓口で、担当者に何日以降なら大丈夫なのかを何度も確認しておきましょう。

悪意のある雇用主には注意しよう!

会社を辞めた後に、再就職手当が受け取れる条件を満たしたので、無事に再就職手当を受け取ったとします。そのあとに辞めた会社から「また働かないか?」と持ち掛けられて再雇用となった場合は、再就職手当は無効となり、返還しなくてはなりません。

立場が弱いから雇用主に言いなりの労働者も多く、悪用して再就職手当を不正に受け取る人も残念ながらいます。そのため、あの手この手で言いくるめられて、再就職手当を受け取ったあとで、良い条件で再雇用をすると言われても、きっぱりと断りましょう。

入社前に手続きを済ませよう!

再就職手当の手続きは、必ず入社日前に手続きをすることが条件です。内定が決まって、あまり日数もなく慌ただしく入社した場合などは注意しましょう。

入社日が過ぎてから手続きを始めるのでは再就職手当は受け取れないので、必ず内定の通知を受けて、入社日が決定した時点で連絡し、入社日前に手続きをしてください。

不測の事態に備えて、何をいつまでにしておくのか、表形式でメモをしておくと、うっかり忘れてしまうこともなくなります。

フリーランスや自営業の再就職手当で注意すること

普通の会社勤務と同様に、フリーランスや自営業でも再就職手当は受け取れます。ただし、普通の会社勤務とは、手続き方法や条件などが違ってきますので注意しましょう。注意すべき点について説明しますので、フリーランスや自営業で再就職手当をもらうときの参考にしてください。

開業届を出す日に要注意!

フリーランスや自営業の人が再就職手当をもらうには、開業届が必要です。開業届を記入して、管轄の税務署に郵送する場合、返信用封筒を必ず同封して、開業届がきちんと受理された証拠になる印が押された開業届の写し(コピー)をもらってください。

再就職手当の手続きをするときに、この用紙をハローワークへ提出する必要があります。原本ではなく写しをさらにコピーしたもので問題ありません。

開業届には開業日を書く欄があり、開業者が任意で記載します。何日でも問題なく、4月15日に開業届を出しても、4月1日と提出する前の日付でも問題ないということです。

ここで重要な注意点ですが、自己都合で退職し、待期期間が7日間と1カ月の条件が付いていることを思い出してください。この7日間と1カ月よりあとに開業をするという条件ですが、これは開業日ではないということです。

あくまでも働き始めた日であって、開業をするために準備をした期間も含まれるということです。要するに4月1日に開業をしたと4月15日に届けを出した場合は、4月1日から働き始めたことになり、4月30日を開業日としても開業届を作成したのが4月15日なら、4月15日が働き始めた日ということにります。

非情にややこしいとは思いますが、「7日間+1カ月後」が4月15日だった場合は、開業届を記載して税務署に郵送するのは、4月16日以降でなくてはなりません。返信された開業届の写し(コピー)には、ばっちりと受理した日付が載りますので、ごまかしは効きません。

4月30日と開業届に記載したので大丈夫ということではないので、それが最も注意すべき点です。

まとめ

細かい条件がとても多いのですが、どれか1つでも条件から外れてしまうと、再就職手当は受け取れません。条件とやっておくべきことをしっかりと把握したうえで、手続きのタイミングがずれたりしないように注意してください。

再就職手当は就職してからの準備金として、スーツやかばんなど購入することもあり、何かと必要です。しっかりと手続きをして受け取っておきましょう。

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